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エランド「プッチョ」
【2020年2月23日追記】
病理組織検査により、第二報の病理解剖結果を裏付ける所見(栄養障害が示唆される脂肪組織の変化など)が確認されました。
その他、新たな病変は見つかりませんでしたので、これにより診断は病理解剖時と同じとなりました。
【第二報 2020年1月24日公開】
先にお知らせいたしましたエランドの「プッチョ」(オス14歳)の死亡につきまして、23日午後から病理解剖を行いましたので、その結果をお知らせいたします。
なお、下記の病理解剖結果は、肉眼的な所見による判定であり、病理組織の検索の結果、判定が変わることもあります。
1 病理解剖結果(肉眼的所見)
・重度の削痩
・第一胃の鼓脹
※重度の削痩により衰弱し起立不能となったことが推察されます。
長時間横臥(横倒し)状態でいたことに伴い、反芻などの正常な消化機能が働かず、第一胃内の排出が出来なくなった結果、第一胃鼓脹症(ガス溜まり)を呈し、これによる呼吸困難や循環不全などによりさらに衰弱が進行したと推測されます。
2 プッチョの健康状態について
プッチョは、他の個体に比べて餌の選り好みが強く、十分量の餌を与えていても食べる量が少ないため、熱帯動物館で飼育していた当時からやや痩せておりました。餌の種類を変えることなどにより採食量の改善を試みておりましたがなかなか安定した採食量の改善が見られませんでした。
また、軟便や下痢が見られたことから、第一胃の性状改善を念頭に、投薬による治療を行ってまいりました。
3 死亡に至るまでの経過
2019年11月27日から軟便が続く
11月28日 摂餌量が減少
11月29日 第一胃内環境改善のため生菌剤を投薬開始
12月18日 便性状の改善が見られないため生菌剤を変更
12月25日 生菌剤を二種類に変更
12月29日 便性状改善(生菌剤投薬は継続)
2020年 1月13日 食欲がやや改善
1月22日 午後5時ごろ乾草を食べている様子を確認(ビデオ)
1月23日 午前6時頃 獣舎内で倒れている様子を確認(ビデオ)
午前8時10分頃 飼育員から、エランドが起き上がれなくなっているとの連絡あり。獣医師による腹腔内ガスの排出、血液検査、点滴等を開始。体位変換を行う。
午後1時30分 点滴治療を継続していたが、死亡を確認。
4 献花台
1月24日(金曜日)から、動物園センター受付前に献花台を設置しております。
5 円山動物園園長より
この度のプッチョの死亡は、栄養状態に起因する可能性が極めて高いと判断しております。前述のとおり、彼は餌の選り好みが激しく、「好き嫌いせずよく食べる個体」ではありませんでしたし、便の状態から、彼らの食物消化の重要なポイントである第一胃での微生物による発酵・栄養素の吸収がうまくいっていないことが示唆されておりましたが、そのような性質であっても、なんとか彼にたくさん食べてもらうことができる工夫、うまく消化機能を助けてあげられる工夫を見出すことができなかったことが悔やまれてなりません。
彼の死を無駄にしないよう、改めて検証を行い、草食動物たちの栄養管理に役立ててまいります。
【第一報 2020年1月23日公開】
エランドの「プッチョ」(オス、14歳)が、2020年1月23日(木曜日)に亡くなりましたので謹んでお知らせいたします。
「プッチョ」は2008年4月24日に来園しました。
大きな体と澄んだ瞳、また人懐こい性格で当園の人気者でありました。
近年は、削痩が目立つようになり、昨年の11月下旬からは軟便を呈するようになったため、消化管内の環境改善を狙い、投薬治療を続けてまいりました。
食欲にムラはあったものの、12月下旬からは、便の性状にも回復傾向が見られておりましたが、1月23日早朝、起立不能になっているのを発見し、すぐ症状に対する点滴などの治療を開始したものの、その甲斐無く、午後に死亡いたしました。
これまで可愛がってくださいました皆様に厚くお礼申し上げます。
1 個体情報について
生年月日 :2005年6月20日
来園年月日:2008年4月24日
死亡年月日:2020年1月23日 享年:14歳
死因:調査中(北大獣医との共同で解剖検査予定)
2 死亡に至るまでの経緯
1月23日 8時10分頃
飼育員から、エランドが起き上がれなくなっているとの連絡あり。
獣医師による腹腔内ガスの排出、血液検査、点滴等を開始。体位変換を行う。
同日 13時30分
点滴治療を継続していたが、死亡を確認。
3 献花台について
1月24日(金曜日)朝より、動物園センター受付前に献花台を設置いたします。
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