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更新日:2022年9月14日

シマフクロウのヒナが誕生しました

シマフクロウ

母親「レイン」(右側)とヒナ(左側)5月16日撮影

円山動物園では、野生復帰施設(非公開施設)でシマフクロウを飼育しております。このたび当園では初めて、ヒナが誕生しましたのでお知らせいたします。

シマフクロウは、日本では北海道及び北方領土に生息している世界最大級のフクロウで、生息環境の変化等で生息数が減少し、現在の北海道内の生息数は、160羽程度といわれています。

親のシマフクロウは、獣舎の補修のため一時保管室にて飼育しておりましたが、その直後、3月中旬に産卵、4月下旬にヒナがふ化し、巣箱の中にいる姿を5月13日に初めて見ることができました。

引き続き、シマフクロウの行動を注意深く観察し、ヒナが無事成長できるよう見守ってまいります。

1 ヒナについて

 産卵日:令和3年(2021年)3月17日(水曜日) 推定

 ふ化日:令和3年(2021年)4月21日(水曜日) 推定

 確認日:令和3年(2021年)5月13日(木曜日) 

 性別は不明です。

2 ヒナ誕生までの経緯

 円山動物園では、釧路市動物園から感染症等のリスク分散を目的として、オスの飼育下繁殖個体を2012年に、メスの野生傷病保護個体を2014年にお預かりし、2016年から飼育下繁殖に取り組んでまいりました。

2017年に初交尾を確認、2019年には初めての産卵が確認されましたが、ふ化までには至りませんでした。

 今年の3月12日に獣舎の補修が必要となったため、オス、メス2羽を野生復帰ゾーンの一時保管室へ移動させたところ、母親である「レイン」がすぐに巣箱に入り始めました。その後「レイン」は3月17日頃に産卵し、巣から出てこない状態が続いていましたが、5月13日の給餌の際に「レイン」が巣から出てきて、巣の中にヒナがいるのが確認できました。

3 両親個体の情報

 (1) 父親

  愛称:クック

  生年月日:平成22年(2010年)4月16日 釧路市動物園生まれ

  来園年月日:平成24年(2012年)2月10日来園

 (2) 母親

  愛称:レイン

  生年月日:平成22年(2010年)生まれ(保護個体のため詳細不明)

  来園年月日:平成26年(2014年)12月18日来園

  その他:2010年の保護時に左翼が骨折しており、その後遺症で現在も飛行は困難

4 シマフクロウについて

 分類:フクロウ目フクロウ科 英名:Blakiston’s fish owl

 分布:ロシア極東部から中国東北部、サハリン、南千島及び北海道

 形態:全長65~70cm、翼開長180cm

 生態:魚類を中心とした小動物が豊富な河川流域で、かつ営巣可能な大きさの樹洞のある針広混合樹林に生息する。

 保護規制状況:ワシントン条約付属書2.類、IUCNレッドリスト:絶滅危惧ⅠB類 環境省レッドリスト:絶滅危惧Ⅰ類

5 シマフクロウの国内動物園飼育状況(今回当園で生まれたヒナを除く)

 釧路市動物園:オス7羽、メス8羽、不明2羽

 旭山動物園 :オス2羽、メス2羽

 円山動物園 :オス1羽、メス1羽

 秋田市大森山動物園:メス1羽

 1995年に釧路市動物園が世界で初めてシマフクロウの繁殖に成功しました。その後2014年に動物園ではありませんが釧路湿原野生生物保護センターが、2018年には旭山動物園が繁殖に成功しております。今回の当園での繁殖は国内4番目の繁殖成功となります。また、「レイン」は保護された時点で左翼を骨折しており飛べない状態でした。「レイン」のように野生に戻せない個体が繁殖に取り組み成功できたことは、今後の希少種の保全を進めるにあたり、大きな成果だと考えております。

このページについてのお問い合わせ

札幌市円山動物園

〒064-0959 札幌市中央区宮ケ丘3番地1

電話番号:011-621-1426

ファクス番号:011-621-1428