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環境破壊等に加え、地球温暖化が私達人間を含めた生物にとって大きな問題となっています。近年の急速な温暖化の進行により、北極海の氷はどんどん減少しており、アメリカのスーパーコンピューターの試算によると、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測より更に早く2040年には夏に北極海の氷は消えるとされています。
ホッキョクグマは交尾と子育て以外は単独生活を送っており、冬の間氷の上でアザラシを捕食し、皮下脂肪を蓄えます。妊娠したメスはたった一人で雪穴を掘り、何も食べずに出産・子育てをします。氷の無い期間が長くなると、ホッキョクグマがアザラシなどの良質な蛋白質を採ることができる期間が短縮され、大きな影響を受けます。実際にカナダのハドソン川では、海が凍らない期間が一週間長くなると、ホッキョクグマの体重が平均で10kg減少したという調査結果が出ています。アルバータ大学の調査では子グマの平均生存率も低くなっており、野生の子グマの平均生存率は温暖化の影響が少ない1980~1984年では約70%ですが、温暖化の影響がでてきている1987~1992年の5年間の平均は50%弱と20%ほど減少しています。母グマの栄養不足が原因である可能性が指摘されています。ホッキョクグマは今後45年で生息数が少なくとも30%減少すると予測され、2006年に絶滅危惧種に指定されました。
ホッキョクグマ以外にも、温暖化の影響を受ける動物たちがたくさんいます。ヒマラヤやキリマンジャロの氷が溶けてしまい、洪水や砂漠地帯への氷の融解水の枯渇、海面上昇による影響で生息地を失い、絶滅が懸念される種や、植生の変化により採食が困難になる、感染症のリスク地域拡大により生息数の激減が懸念される種など、地球温暖化が生物多様性に及ぼす影響は重大です。
そして私たち人間にも大きな影響を与え始めているのです。
(平成20年3月18日・種の保存担当部長 大谷倫子)
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