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更新日:2011年6月9日

チンパンジーの進化 その1

画像:人と類人猿の系統図

 最初の霊長類は、今から約6500万年前に食虫類(ネズミの仲間)から分かれて進化したといわれています。それは、被子植物の繁栄とともに昆虫が増えた時期と一致しています。虫を捕まえたり、木々を移動するために両眼が前向きになり、立体視が可能になった、と考える事ができます。その後、果実や葉を摂食するようになると霊長類の体格は大きくなり、夜行性から昼行性へと変化したのです。

 果実、木の葉、樹皮、昆虫、などさまざまな食物を食べられるよう消化機能を変化させ、さらにわれわれヒトやチンパンジーの祖先(そせん)は小型哺乳類(こがたほにゅうるい)の肉を摂食するようになりました。

 ヒトとチンパンジーの祖先が大きく分かれ始めたのは、500~700万年と考えられています。ヒトの祖先はめまぐるしい進化をとげ、アフリカ大陸から進出していきました。
一方チンパンジーはアフリカにとどまり、その知能と身体能力を発揮して独自のコミュニティをつくりあげていったのです。

画像:主な類人猿との比較

類人猿の社会構造(しゃかいこうぞう)

<チンパンジーの社会>

 通常20~100頭で構成される、オスメス複数の集団を形成します。メスは成熟すると、新しい集団に移動しますが、オスは集団に残ります。オスはメスよりも同性間(どうせいかん)の仲間意識が強く、隣接集団のオス同士は敵対関係にあります。

画像:チンパンジーの社会

<ゴリラの社会>

 通常1頭のオトナのオスと複数のメスやコドモ達で構成された10頭前後の群れを作って生活しています。思春期に達すると、メスは新しい群れに仲間入りします。オスは群れに残るか、メスをつれて新たな集団をつくるか、単独生活を送るなどの選択肢があります。群れ同士にはなわばりはありません。

画像:ゴリラの社会

<オランウータンの社会>

 単独生活を基本とし、オスの生活域が複数のメスの生活域を包括しています。繁殖期になるとオスとメスは行動をともにします。こどもは母親が一人で育てます。

画像:オランウータンの社会

チンパンジーとヒト

 最近の分類学では、これまでショウジョウ科に属していたチンパンジーやゴリラなどの大型類人猿を、我々ヒトが属するヒト科にまとめるのが一般化しています。チンパンジーを含む類人猿、彼等の体の構造や、行動、生活様式、社会性などを知る事から、我々人類との共通点、相違点がみえてきます。まず、我々ヒトとチンパンジーとの違いについて、考えてみましょう。

 

 

●直立二足歩行

 

画像:直立二足歩行
画像:毛づくろい

さまざまな仮説があるものの、人類が直立二足歩行に進化した正確な理由はまだ解明されていません。しかし、ヒトとチンパンジーとを大きく分岐させたきっかけであることには間違いありません。直立二足歩行を可能にした人類の祖先は、両手を自由に使えるようになりました。その結果、細かい手の動きが脳を刺激し、大脳の発達を促したといわれています。

●脳の進化

チンパンジーの脳は、現代人の脳の3分の1の容量しかありませんが、基本的な構造はよく似ています。大きな違いは、前頭葉の拡大です。この領域は話し言葉をつかさどり、最初の人類であるアウストラロピテクスの頭蓋骨からもその痕跡がみつかっています。

●言語・コミュニケーション

『ことば』の『発明』により、人類は飛躍的に進歩しました。一般にチンパンジーや他の類人猿も他の生物同様、音声によるコミュニ
ケーションを行なっていますが、第三者の情報や、言語による文化の継承などはわずか数万年のあいだに人類のみが獲得した能力なのです。しかしながら、チンパンジーの脳も、訓練によって様々な潜在能力がさらに引き出されるかもしれません。

(平成19年3月29日・記)

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