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更新日:2019年12月7日

対話録(令和元年度第3回サッポロスマイルトーク)

○真砂さん 皆さん、こんにちは。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで自己紹介をする進行役の真砂さん
 本日は、サッポロスマイルトークにお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 ご通行中の皆様も、こんにちは。
 さて、このサッポロスマイルトークなのですが、札幌市のさまざまなテーマについて市民の方々と市長が語り合うトークイベントで、年に3回程度開催されているのですが、今日が初めてという方いらっしゃいますか。
 あっ、うれしい。
 初めまして。ありがとうございます。
 では、2回以上のリピーターだよという方いらっしゃいますか。
 あっ、うれしい、うれしい。いらっしゃいましたね。
 初めましての方も、リピーターの方も、本当にありがとうございます。
 今日のサッポロスマイルトークは、今年ラストのスマイルトークということで、食品ロスを減らしてごみを減量しようというテーマになります。
 最近、食品ロスという言葉を皆さんもよく耳にすると思うのですけれども、まだ食べられる食べ物を廃棄してしまう、捨ててしまう、その量が増えているということがちょっと問題になっていますね。
 実際に私自身を顧みますと、ビュッフェのレストランに行って、食べ切れないぐらい盛っちゃったり、スーパーで特価品を見るとつい買い過ぎちゃったりということがありますので、今日は、私も自身の生活を顧みながらご一緒させていただきたいと思っております。どうぞ最後までおつき合いください。
 申し遅れましたが、司会を務めます真砂徳子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 ありがとうございます。
 では、早速、ご登壇の皆様にご登場いただきます。
 拍手でお迎えください。どうぞ。(拍手)令和元年度第3回サッポロスマイルトークで自己紹介をする草野さん
 今日はよろしくお願いいたします。
 どうぞお座りください。
 私も座らせていただきます。
 早速ですけれども、皆様に順に自己紹介をしていただきまして、その後に市長のご挨拶をいただくということで進めさせていただきます。
 まず、私のお隣にいらっしゃる草野さんから自己紹介、ご挨拶をお願いできますか。
○草野さん 皆さん、こんにちは。
 NPO法人ezorockというちょっと変わった団体名の代表をしている草野と言います。
 私たちは、若者とまちづくりのようなことを進めておりまして、その流れで、ごみのこととか生ごみの話をさせていただきたいと思います。
 今日は、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○真砂さん よろしくお願いします。
 草野さんは、札幌を「ごみのいちばん少ないまちへ」ということで動き出している新スリムシティさっぽろ計画の審議会の委員でいらっしゃいますので、それにかかわる活動についてもお話を伺いたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 では、竹田さん、お願いいたします。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで自己紹介をする竹田さん
○竹田さん 私は、札幌消費者協会の内部研究会である「食と健康を考える会」で、食について正しい情報を知ろうということで、月2回、集会を開いています。札幌市から食品ロスの話をいただいて、消費者協会の内部委員会として検討しております。4年ぐらいさかのぼって、食品ロスについていろいろと調べたり取り組んだりする中で、今は自分で何とかしなきゃいけないと強く思っております。(拍手)
○真砂さん よろしくお願いします。
 竹田さんには、消費者のリアルなお声も届けていただけるのではないかと思っております。今日はよろしくお願いいたします。
 続きまして、和田さん、お願いいたします。
○和田さん 皆さん、こんにちは。
 食育教室good food,good lifeを主催していまして、サルベージ・プロデューサーとして活動しております和田順子と申します。
 皆さん、サルベージ・パーティというのは聞きなれない言葉ではないかと思うのですけれども、これは、お家でどうしても持て余してしまう食材、例えばいただき物や乾物などがあるのではないかと思いますが、そういったものを持ち寄ってもらって、その持ち寄ってもらったものだけを使ってお料理をして、おいしく食べようというパーティを主催しています。よろしくお願いします。(拍手)
○真砂さん サルベージ・プロデューサーとしては、全国で十数名のうちのお一人ということですね。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで自己紹介をする和田さん
○和田さん そうなのです。北海道では私が初めてです。
○真砂さん そうなのですね。サルベージ・パーティ、何だか楽しげな雰囲気です。後で詳しく伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、鈴木さん、よろしくお願いいたします。
○鈴木さん 皆さん、こんにちは。
 生活協同組合コープさっぽろの鈴木と申します。
 私は、コープさっぽろでは、環境事業全般と、最近、耳にすることが多くなった持続可能な開発目標、SDGsの担当をしております。
 今日は、いい機会なので、いろいろな活動の内容等をお話しできたらいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○真砂さん よろしくお願いいたします。
 コープさっぽろのフードバンクの取り組みや、今おっしゃっていただきましたSDGsについて詳しく伺えるということです。よろしくお願いいたします。
 では、広沢さん、お願いいたします。
○広沢さん 皆さん、こんにちは。
 整理収納、お家の中の片づけの本を何冊か出して、セミナーや講演をさせていただいています。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで自己紹介をする鈴木さん
 札幌市さんの冷蔵庫の整理ということでお手伝いをして4年目になります。冷蔵庫の整理の基本のポイントはお家の片づけと一緒ですから、まずは冷蔵庫の整理をして、見やすい冷蔵庫にして食費を浮かすなど、皆さんにメリットたっぷりの話をお伝えしたいと思いますので、ぜひ聞いてください。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
○真砂さん 今日は、会場に冷蔵庫がドンとあるので、なぜここに冷蔵庫がと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、後ほど、実際に冷蔵庫をすっきりお片づけできるポイントを広沢さんに教えていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、皆様にお話を伺っていきたいと思うのですが、その前に、秋元市長より、一言、ご挨拶をよろしくお願いいたします。
○秋元市長 皆さん、こんにちは。
 札幌市長の秋元克広でございます。
 サッポロスマイルトークというのは、札幌市政に関する事柄について、いろいろな立場の方に来ていただいてお話をさせていただいています。そして、今日はチ・カ・ホにお邪魔していますが、こういったオープンな場所で話をすることで、たまたま通りかかった方も、何をやっているのだろうなと耳を傾けていただく、いろいろなことに関心を持っていただこうということで開催させていただいております。
令和元年度第3回サッポロスマイルトークで自己紹介をする広沢さん もう既に5年目になるのですけれども、今日は、今年度の3回目ということで、食品ロスを減らしてごみ減量というテーマです。市民の皆さんのご家庭から出るごみは、今、いろいろな形で分別をしていただいて大分減ってきたのですけれども、実は、家庭から出るごみの45%ぐらいが食品なのです。生ごみですね。これを減らしていくことで札幌市全体のごみが減っていくだろうということで、まだ食べられるのに捨ててしまっている食品をどうにかできないか、いろいろな活動をされている皆さんからアイデアをいただきたいと思っております。そして、今日お越しの皆さんもぜひ参考にしていただければと思っています。
 今日、多くの皆さんにこの会場にも来ていただきましたことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 今日はよろしくお願いします。(拍手)
○真砂さん ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、時間の許す限り、皆様にお話を伺っていきたいと思います。
 まずは、今の市長のご挨拶にもございました家庭から出る食品ロスについて詳しく伺っていきた令和元年度第3回サッポロスマイルトークで自己紹介をする秋元市長いと思っております。
 草野さんに伺いたいのですが、その話の前に、ezorockとは何だろうと思っている方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単にご紹介いただけますか。
○草野さん 名前がわりづらくて大変申し訳ないです。
 私たちの団体は、もう20年ぐらい前から活動していまして、隣の石狩で行っているRISING SUN ROCK FESTIVALという2日間で7万人も来る大規模なイベントがあるのですが、初期のころは、ポイ捨てごみによって会場がすごく汚くなってしまったのですね。それを何とかしようということで若者が集まって、そこから、ごみの問題に取り組んでいきまして、今、会場では13分別をしたり、生ごみも完全に循環していたり、かなり取り組みが進んでいるのです。そして、若者を集めて何かするという力がついていきまして、この会場の中に自転車のポロクルを知っている方はいらっしゃいますか。
 ありがとうございます。
 あれも若者が運営しているのですが、実は私たちもお手伝いして一緒にやっています。
 そして、今は、集まった若者が被災地などへ支援活動に行っています。去年から厚真町でも若者が支援活動をしていまして、いろいろな課題が起きたときに若いパワーをお届けするということを行っている団体です。
○真砂さん 震災ボランティアなども行っていらっしゃるということですね。
○草野さん はい。
○真砂さん そこで得た食品ロスを減らす知恵というか工夫という話になるのでしょうか。
○草野さん そうですね。
 今日は、乾燥野菜をお持ちしました。見えづらいですが、この中に乾燥したズッキーニが入っています。
○真砂さん ズッキーニなのですね。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る草野さんと進行役の真砂さん
○草野さん 実は、これを乾燥させると、6か月間も保存ができるのです。今、これを食品ロスと防災という観点から普及活動をしております。
 もともと私たちが東日本大震災で支援活動に入ったときにわかったのですが、支援物資というのは、インスタントラーメンやパンやおにぎりといった炭水化物に偏るのです。大体、皆さんはそういうものばかりを食べるのですが、3日目ぐらいからだんだん野菜が欲しくなって、体調を崩してしまうのです。ただ、避難所は野菜の支援が非常に難しくて、衛生面と野菜を切る人手が足りないので、使えないのです。
 そこで、この乾燥野菜に注目したのです。実は、南区の澄川地区は防災のまちづくりにすごく力を入れているのですが、そこのお母さんたちと一緒に若者が乾燥野菜を作りまして、毎月1回、乾燥野菜で作ったメニューで防災を普及するということをずっと続けているのです。
 また、若者がひとり暮らしをしていると、野菜を送るお母さんがいると思いますが、あれは食べなくて腐らせてしまっていることが多いのです。
○真砂さん なるほど、料理しきれなくてですね。
○草野さん それを言えずに、「おいしかったよ」なんて言うのですが、そこで食品ロスが起きてしまっているのです。
○真砂さん なるほど、優しい気持ちで言っているのだけれども、食品ロスが起きていると。
○草野さん そうなのです。
 ですから、インスタントラーメンと一緒に乾燥野菜を使うと、ニンジンでもキャベツでもできますので、野菜増しのインスタントラーメンになって、ロスも減って、体にもいいということで、最近、送るときには乾燥野菜にしませんかということも呼びかけています。
○真砂さん 震災のボランティアで、非常時に役立つのではないかという知恵が食品ロスにもつながるわけですね。
○草野さん 日常的に使っていて、それが災害時にも役に立つという観点で普及しようとしています。
○真砂さん 送る方としては、このようにすれば荷物がコンパクトになりますから、配送料も安くなるのではないかと思いました。
○草野さん そうです。10分の1になります。90%がほぼ水分ですから、乾燥させると、6か月間保存できて、送料も安くなって、食品ロスも減って、いざ震災などが起きたときには防災食としても使えるという観点で、皆さんにお勧めしています。
○真砂さん ちなみに、これはズッキーニですが、ほかにお勧めの野菜はありますか。
○草野さん 意外とおいしいのは、エリンギです。実は、きのこ類は何でもできるのです。
 あとは、タマネギも非常に使いやすいです。
○真砂さん スライスしてですか?
○草野さん そうです。もちろん、ニンジンやゴボウもいいです。ただ、ジャガイモだけは、一度、湯がかないと難しいです。
○真砂さん いろいろやってみたのですね。
○草野さん はい。大体の野菜は乾燥できますね。
○真砂さん 手軽にお料理できますし、水で戻せばいいだけですものね。
○草野さん そうですね。令和元年度第3回サッポロスマイルトーク会場の様子
○真砂さん しかも、おいしくなるということも伺ったので、一石何鳥にもなりますね。これは、楽しく使っていただきたい知恵ですね。
○草野さん そうですね。
○真砂さん 最初からいい話を伺いました。
 今、ちょうど震災のお話が出てきたのですが、和田さんも震災に関しては実体験があるようですね。
○和田さん そうですね。震災があったときに、私はマンションの高層階に住んでいるのですが、電気が止まってしまったので、エレベーターが使えなくなってしまって、階段を上り下りしなければいけなかったのです。そうすると、一旦下りたら、もうしばらく上がりたくなくて、そうすると、なかなか下に下りて買い物に行くということもできなかったですし、たとえ頑張って行ったとしても、すごい行列で、子どもを連れて一緒に並ぶということもできなくて、ちょっと心細いな、つらいなという経験をしました。
○真砂さん この会場の中にも同じような思いになった方がいらっしゃるのではないかと思いますが、そういう場合にもサルベージ・パーティが生きるのではないかというお話になるのでしょうか。
○和田さん そうなのです。お家にあるもので生き延びなくちゃいけなかったので、冷蔵庫にあるもの、食品庫にあるものでどのようにおいしいものがつくれるかというのは、サルベージ・パーティのときと全く同じだったのです。あるものでどうにかするという経験が震災のときとサルベージ・パーティでそっくりだったので、私は震災のときもすごく楽に料理ができたなと思いました。
○真砂さん そもそも知恵があったということですね。
○和田さん そうなのです。サルベージ・パーティをやっていたおかげです。
○真砂さん でも、何しろ、サルベージ・パーティって横文字なものですから、何だろうとはてなマークがついた人がいるかもしれませんので、わかりやすく教えていただけますか。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る和田さん
○和田さん お家にどうしても余らせてしまっているものや、いただき物で使いこなせないなと思っていて、放ったらかしにしちゃったら食品ロスになってしまうようなものを持ち寄ってもらって、そのものだけを使ってお料理をして楽しく食べるというパーティです。
○真砂さん 今、ちょうど写真が出ておりますが、この食材が今おっしゃっていた使い切れないものということでよろしいでしょうか。
○和田さん そうです。参加者の皆さんに持ち寄っていただいたお家の食品庫とか冷蔵庫で賞味期限切れを待つみたいな状態だった食材です。
○真砂さん ありますよね。そうめんだったり、パスタだったり、お豆腐なんてものもありますね。
○和田さん そして、この時期は夏だったので、トマトとキュウリが見えると思いますが、家庭菜園の時期なんかだと、一気にできて、一気におすそ分けが回ったりきたりして、家の冷蔵庫の半分がトマトみたいな時期もあると思いますが、そういったものもよく持ち寄られます。
○真砂さん なるほど。残り物というと楽しさが半減するのかなと想像しちゃいますけれども、和田さんがお話ししている雰囲気ですと、ものすごく楽しそうです。
○和田さん そうなのですよ。余ったものを食べたくないのに嫌々食べるのはつらい気持ちになってくるのですが、みんなで集まって、持ち寄ったもので、これで何ができるかなと相談しながら、一緒に料理をして全く新しいものを作るのです。なので、これとこれの組み合わせはしたことがなかったというようなものが意外とものすごくおいしくて。
○真砂さん これは、実際にパーティ中の状況ですね。皆さんで作っている様子ですね。
○和田さん はい。なので、後ろめたいというか、下向きの気持ちではなくて、前向きな気持ちで食品ロスをむしろ楽しんでしまうみたいなパーティになります。
○真砂さん なるほど。食べるだけではなくて、アイデアを持ち寄って、それを実現する過程をみんなで楽しむということですね。
○和田さん そうです。
○真砂さん サルベージ・プロデューサーというのを私は初めて聞いたのですが、どうしてこういうお仕事をされようと思われたのですか。
○和田さん たまたまテレビで見たのがきっかけだったのです。サルベージ・パーティは東京で始まったのですが、その様子をテレビで見て、すごくおもしろいと思ったのです。
 捨てられゆく食べ物に再びスポットライトを当てて、よみがえらせるというのがものすごくおもしろいし、わくわくするし、それをみんなでできるというのがすごく魅力的だなと思ったので、私は絶対にサルベージ・パーティを開けるようになりたいと思って、そのテレビを見た翌週には研修を申し込んで、東京に資格を取りに行ってきました。
○真砂さん 和田さんのお人柄も伝わってくるようなお話ですが、そういった第一人者が札幌にいるということも心強いと思いました。
○和田さん ありがとうございます。
○真砂さん 興味を持った方がたくさんいらっしゃると思いますが、和田さんはSNSでいろいろと発信もされているということなので、そこでサルベージ・パーティの情報も詳しく見てみてください。
 震災の話が出ましたので、震災時の取り組みについてということで、企業側の取り組みをコープさっぽろの鈴木さんにも伺ってみたいと思います。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る鈴木さん
○鈴木さん コープさっぽろの一番の仕事は、食を届けるということで、食のインフラを自負しています。震災があったときに、実は働いている職員やパートさんも被災者ではあるのですけれども、お店に出勤して、出せるものを店頭で販売させていただいたりしました。あとは、宅配のトドックですね。実は、震災当日にも、トップの判断で、それがないと非常にお困りの方がいらっしゃるということで、あの日、停電をして信号もとまっていたのですが、安全に注意をしながら商品をお届けいたしました。
 先ほどもありましたが、震災のときに、マンションなどでエレベーターが止まってしまって、配達している職員も上階まで持っていくのが大変だったようですが、後日、非常に喜んでいただけたということで、そういうときに活躍できたことをうれしく思っております。
○真砂さん 今日は、食品ロスを削減しようということがテーマではあるのですが、非常時に心強い動きが札幌市の企業であったのだなということを知れたのは、市民としてうれしいなと思いました。
 これまで、食品ロス、食品ロスと何度も伝えておりますが、実際に食品ロスの現状はどうなっているのかということを皆さんはお知りになりたいのではないかと思います。
 そのあたりを竹田さんに詳しく伺ってもよろしいですか。15
○竹田さん 家庭系の食品廃棄物などということで、一般家庭から出ているごみは789万トンあるのです。そのうち、食べ残しや過剰除去で291万トンです。ただ、これを聞いても皆さんわからないと思いますし、私も数字的にはよくわからないのですが、具体的に言うと、1日1人お茶わん1杯分の食べ物を捨てているという計算になるのだそうです。
 1人当たりのお米の年間消費量が54キログラムなので、お米の消費量に相当する分を捨てているという勘定になると、とてももったいないですよね。日本の自給率はものすごく低いのです。日本の食品廃棄物に関する画像
 私たちの世代は、もったいないという気持ちをおばあちゃんたちからすごく教えられて、私はいまだに米一粒も残さないでお釜の米を全部冷凍しています。1回分ずつ冷凍して、お米に関してはほぼ捨てずにやっているぞという自負はあります。1人お茶わん1杯分ですから、家族4人いたら4杯分を捨てているということになりますね。そうなると、家計費にも相当影響するそうです。京都あたりでは、そういう計算をして、家庭で食品ロスを減らすような取り組みしたら食費がかなり浮いたという話もありますので、これはやはりやってみるべきで、やらないという選択肢はないだろうと思いますので、これからの話も含めてぜひ考えていただきたいと思います。
 世界を見渡すと、貧困によって食べ物がないという国や家庭がいっぱいあります。日本だって食べられないという貧困家庭がどんどん増えている現状にあるので、ロスをなくして、行き渡るような取り組みをしていかなければいけないと思うのです。
 私たちだって、そんなにゆとりはないぞと思います。SDGsということも頭の中にちょっとは入れなければいけないと思います。
○真砂さん ありがとうございます。
 私も主婦ですので、今のお話をそうだなと実感しながら伺いました。
 和田さんも、日本の食品ロスの現状を数字的なもので見ると、家庭を守る主婦として感じるところがありますよね。
○和田さん そうですね。どうしてもということがあります。作り過ぎてしまったり、急に予定が変わったり、いただき物は拒めませんから、どうしても使えないというのは身に覚えがあります。
○真砂さん 竹田さんもおっしゃいましたが、貧困で物を食べられずに困っている人たちが世界にはいるという現状の中で、食品ロスを減らしていこうということが課題になっています。その解決の糸口となる行動を家庭でできると考えると、非常に取り入れやすいというか、眉をひそめながらやるのではなくて、楽しく気軽にやられるのかなと感じながら伺っていましたが、市長、いかがですか。
○秋元市長 今日は、食品ロス、ごみの減量ということが一つの切り口ですが、今の竹田さんのお話にあったように、世界レベルで物を見たときに、食料が十分行き渡らない地域はまだまだたくさんあるわけです。
 そう考えると、私たちの周りには本当に物が豊富で、豊かな暮らしができるのですが、一人一人の行動で無駄にしているものをなくしていくことは、世界中のいろいろなものを循環させていく意味でも重要なのだろうと思うのです。
 それは、ちょっとしたことでもいいと思うのです。先ほどの草野さんの話にあったように、せっかく実家からいろいろなものを送ってもらって、確かに嬉しいのですが、私も若いころはそうだったように、大量にあっても使い切れないのです。でも、食べられなかったとか捨てちゃったなんてとても言えないですから、乾燥というのはすごくいいアイデアだと思いました。
 草野さん、乾燥野菜というのは簡単にできるものなのですか。
○草野さん 冬であれば、空気が乾燥しているので、天日干しなどでご家庭でされる方もいます。ほかにも、簡単に温風で乾燥できるご家庭用の機械もあるのです。それでやれば、1日か半日くらいでかなりの量の乾燥野菜ができますので、ご家庭では機械があると便利だったりしますね。
○秋元市長 私の家でも、魚の干物をつくるような網にエノキなどを入れてぶら下げておいて、乾燥させています。
○真砂さん 市長のご家庭では、やっているのですね。
○秋元市長 はい。
○真砂さん そうすると、そんなにハードルの高いことではないのですね。
○草野さん そうですね。簡単にできます。
○真砂さん いいなと思った方は、ぜひ今日からでも試していただきたいと思います。
 今は乾燥保存のお話でしたが、この後は冷蔵保存の工夫について伺いたいと思います。
 ここで、いよいよ、あちらに置いてある冷蔵庫を使って、広沢さんにご指導をいただきながら、ポイントを皆さんに持ち帰っていただこうと思います。
 やはり、作り過ぎという問題点はありますよね。冷蔵庫の前で冷蔵保存について説明する広沢さん
○広沢さん そうですね。例えば、お子さんがいる家庭だったら、カレーとか、麺類とか、お鍋とか多めに作っておこうとなりますし、たくさん煮たほうがおいしいからとなって、2日目、3日目にまたカレーかよということで、ちょっと処分しちゃうというご家庭もありますよね。
○真砂さん 作り過ぎました、冷蔵庫に置いておきました、ああ、気づかないで腐っちゃいましたみたいな。
○広沢さん そうです、そうです。
○真砂さん それがよくないスパイラルですね。
○広沢さん そうですね。
○真砂さん そこで、今日は、そうはならないような工夫を実際に見せていただけるということです。
 それでは、冷蔵庫の方にご移動をお願いできますか。
 広沢さんと市長にもお願いしたいと思います。
 では、私も場所を移動させていただきます。
 前の方にお座りの方は冷蔵庫が見えると思いますが、後ろの方にいて見づらい方は、会場両側の画面に映りますので、そちらでもしっかりご覧いただきたいと思います。
 では、開けますよ。
 きれいです。
○広沢さん これは、皆さんに見せるために、とてもきれいにしているパターンです。でも、基本的にはこういう感じになります。先ほど言った作ったおかずを食べ残して、どんぶりにラップをかけて、そのまま入れてしまっていますね。そうすると、どんぶりがあるのはわかるのだけれども、中に何が入っているのかわからないので、それを無視して他のものを出して、またご飯支度をして、気がつくと、どんぶりの中の肉じゃがなどが腐ってしまっているということがあり得ます。
 ですので、ポイントは透明な容器です。普通にぱかっと開ける保存容器がありますね。ここで固有名詞を言えませんが、保存容器がありますね。(笑)
 それに入れると、そのまま電子レンジでも使えます。このように透明な容器に必ず入れるということです。色のついた入れ物に入れると、どんぶりと同じように、忘れてしまうのです。
○真砂さん 市長、透明というのがポイントみたいですね。冷蔵庫の前で語り合う広沢さんと秋元市長
○秋元市長 どんぶりとか、小鉢に入れたままラップをして置いておいてしまうのです。ですから、何が入っているかわからなくなって、気がついてみると、もう何日前のものかわからないと。
○真砂さん そうですね。もう開けるのが怖いぐらい置いてしまったりしますね。
○秋元市長 いやいや、それはないです。(笑)
○真砂さん そうですか。それはすみません。(笑)
 透明な容器ですね。
○広沢さん この間、市長とご一緒させていただいたときにこの話をしたのですが、ご家庭で奥様が実践されているようで、うれしいです。
○真砂さん 市長のご家庭で実践されているのですか。
○秋元市長 そうです。教えていただいたことを話したら、すぐに実践してくれました。
○真砂さん わあ、すてきな奥様ですね。
○広沢さん 細かいものを仲間でまとめます。赤いパンフレットに書いていますが、例えばこれだと、朝ご飯がパンの方はジャムとかマーガリンとかいろいろなものをセットでまとめて、このまま食卓に出して、みんな好きなものを塗ってねと言って、使い終わったらまたそのまま戻すのです。
○真砂さん なるほど。
○秋元市長 これは、すごく便利です。ジャムとかバタークリームをまとめておいて、パンのときにはこれでという形ですね。
○真砂さん では、市長のご家庭の食卓は、このように。
○秋元市長 はい。出し入れするのは私の役です。(笑)
○真砂さん いいご主人ですね。(笑)
 冷蔵庫を開けておく時間も少なくなりますから、いろいろな意味で省エネですね。
○秋元市長 今までだと、バターがこっちにあったり、ジャムが奥のほうにあったりするではないですか。ジャムなんかも、これはいつ開けたものだろうというものがあったりしますが、セットで入れておくと、量がわかるので、少な目のものを早目に食べようとか、無駄にならないですね。
○広沢さん すごいですね。
○真砂さん 本当に素晴らしいです。簡単ですから、ご主人もお手伝いをしやすいかもしれませんね。
○秋元市長 そうです。和食のときはのりの佃煮とかね。
○真砂さん 和食チームもあるわけですね。
○秋元市長 はい。和食パックと洋食パックがあります。
○真砂さん これはすぐに活用できそうです。
○広沢さん すごく教えがいがありますね。(笑)
○真砂さん そうですね。冷蔵庫の前で語り合う広沢さんと秋元市長2
○広沢さん あとは、冷蔵庫の奥にあるものですね。背の低い方だと届かないではないですか。結局、ずっと忘れてしまって気がつかないということがあるのです。ですから、ケースがあると、引き出しのようにさっと引っ張れば、奥にあるものもとれます。
 ですから、ぜひケースを使って入れておくということと、場所を常に決めておくということです。先ほど言ったように、朝食用のセットだったり、食べかけのものだったり、お味噌だったりというふうに場所を決めておくと、開けた瞬間に、何が残っていて、何がないかということがわかりますね。
 普段はあまり使わないものを高い位置に置くとか、炭酸などは一度飲んでしまったら戻さないと思いますので、そういうものを乗せておくのです。
○秋元市長 100円ショップで売っているようなケースがありますね。深いものや浅いものなどいろいろあるのですが、例えば、こういうものに入れて、必要なものだけ引っ張り出せるというのはすごくいいです。今まさに実践しています。
○真砂さん 確かに、今、引っ張り出し方がなれた感じだったので、市長はやっていらっしゃるのだなと思いました。
 今、いろいろな深さ、高さ、形のケースがありますから、ご自宅の冷蔵庫に合わせて使うということですね。
○広沢さん どこに何があるかわかると、買い物に行くときも、足りないものをメモして買いに行けば無駄買いがなくなります。
○真砂さん なるほど、作り過ぎもセーブできて、冷蔵庫の中がすっきり目に見えてわかるようなっていると、無駄なものを買わないということですね。
○広沢さん そうです。
○秋元市長 余計なものを買わなくなりましたね。(笑)
○真砂さん そうですか。実践されている市長のご自宅で食品ロスも減っているということですね。
○秋元市長 明らかに、無駄に捨てるものはなくなりましたね。
○真砂さん ということですので、まだ実践されていないという方は、すぐにでも冷蔵庫をチェックしてみてください。
 それでは、冷蔵庫を閉めていただいて、お席の方にお戻りください。
 どうもありがとうございました。
 今は、お時間の関係で、駆け足でポイントを広沢さん、そして市長にもご案内いただきましたけれども、皆さんのお手元にこういうパンフレットがございます。「日曜日は冷蔵庫をお片付け」パンフレット
 赤い方が冷蔵庫で広沢さんの監修のもので、緑の方が和田さんの監修のものですが、日曜日は冷蔵庫をお片づけという呼びかけのもと、皆さんにお伝えしているということでいいですか。
○広沢さん そうです。冷蔵庫の形に似ていますよね。かわいいですよね。自分で言うのも何ですけれどもね。(笑)
○真砂さん 日曜日の「日」の字が冷蔵庫になっております。ここに今お話しいただいたことを詳しくまとめていただいておりますし、緑のほうは、野菜の気持ちですね。
○和田さん 私は、サルベージ・プロデューサーなのですけれども、野菜ソムリエでもありまして、野菜ソムリエの仲間と北海道野菜を盛りあげ隊というチームを組みました。ですから、私一人の力ではないのですが、メンバーと一緒に作らせていただいたのが緑の冊子です。札幌市は野菜の廃棄がすごく多いのです。こんなにおいしい北海道の野菜なのに、北海道野菜というのは全国ではブランド野菜なのに捨てられるのはもったいないねということで、特に廃棄の多いという調査結果が出たトマトとキュウリとレタスのおいしい食べたとか、効率的な保存法とか、食べ切り方のレシピが載っていますので、ぜひご覧いただけたらと思います。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る和田さん2
○真砂さん これを活用して、皆さんでサルベージ・パーティを開いてください。
○和田さん そうしていただけたらうれしいです。
○真砂さん そして、お料理の材料のために教えていただいた乾燥野菜を使うとかね。
○和田さん ぜひぜひ。
○真砂さん 今日の情報で食卓、キッチンが楽しくなるのではないかと思います。
 ここまでは、市長のご家庭の事情なども伺いながら……
○秋元市長 今日、帰ったら叱られそう。(笑)
○真砂さん いえいえ、いいお話でした。私も見習って頑張りたいと思います。
 ここからは、企業、団体の食品ロスに関わる取り組みについて伺っていきたいと思います。
 鈴木さん、コープさっぽろさんでは積極的に取り組まれているということですね。トドックフードバンクの仕組みに関する画像
○鈴木さん 食品ロス絡みで一番関連の強いうちの取り組みとしては、フードバンク活動というものを2015年から始めております。
 皆さん、フードバンクという言葉は聞かれたことがある方が多いと思うのですけれども、簡単に説明いたしますと、何らかの理由で流通できない、売れなくなったような食品等を主に社会福祉施設に提供するというものがフードバンク活動です。全国的には、NPOさんなどが、小売業のところや生産者さんから、訳ありの食品をいただいてきて、社会福祉施設に提供するという活動をされています。
 コープさっぽろは、宅配のトドックという事業をしています。利用されている方はわかると思うのですが、注文をすると後日届くという仕組みですが、人間のやることなので、注文のときに間違ってしまったりということが少なからずあるのです。特に、うちのトドックなどは、ある程度年齢の高い方によくご利用いただいているので、そうなると、数字を間違ったとか、違うものを頼んだとか、先週も頼んだのに今週も頼んでしまったとか、身内に何かがあって、1週間家を留守にするので受け取りができなくなったという場合に、お店だと商品は戻せるのですが、宅配の仕組みというのは、組合員さんから注文していただいて、一括発注をしてお配りをするという流れですから、商品自体に問題がなくても、戻す場所がなくて廃棄せざるを得ないという非常にもったいないことになっていました。
 そういうときに、何かできないかと考えて、フードバンクというものを知りまして、宅配の返品というのは、物自体に全く問題がなくて、むしろ、こだわり商品、捨てるにはもったいない商品を提供するということです。ただ、返品の量も無限にあるわけではないので、限られた量のものを誰に提供したらいいのかと考えた結果、将来を担う子どもたちのために使いたいということで、児童養護施設と呼ばれている、家庭の事情などで入所したお子さんが生活されている施設へ提供するということを始めて、今年で4年目になります。
○真砂さん 大変喜ばれていると伺っていますが、取り組まれてみて実感されるようなことはございますか。
〇鈴木さん やはり、そういった施設だと、予算があって、その中で栄養士さんがメニューを組み立てて現場の職員さんが料理を作って提供するのですが、予算ありきのことですから、料理を豊富に提供できるわけではないのです。ですから、嗜好品の提供もなかなかできません。でも、ここにいらっしゃる方も、中学生とか高校生の男の子を育てたご経験のある方だったらわかると思いますが、食べますよね。
○真砂さん そうですね。
○鈴木さん 部活動をしていれば、お弁当を準備しなければいけないというときに、なかなか満足のいく量を準備できなかったりというところで、フードバンクの品を使ったりということですね。あとは、通常3食提供するところで、もう一品を追加で作れたりします。
 さらに、児童養護施設を卒園された方にも施設を通じての2次提供を認めております。高校を卒業して大学へ行かせたりしたときに、家から仕送りがある方もいると思うのですが、児童養護施設の場合、18歳で卒園した後からのサポートはないわけです。ですから、相対的貧困層と呼ばれるような生活に困る若者というのは、施設を卒園した後の非常に不安定な時期に、私どものフードバンク品を児童養護施設でストックしておいて、定期的に取りに来ていただきます。最初にフードバンクを始める前は役に立つということは全く想定していなかったのですが、実は、18歳、19歳とか生活が不安定な時期を支えます。そして、施設側が、最近大丈夫ですかと聞いても、子どもたちが大丈夫ですと言ったりしますと、意味もなく来られないではないですか。そういうときに、フードバンク品でお米があるよ、取りに来ないかと言えば、お互いに口実になりますね。そういう形で、卒園された後も施設に顔を出す頻度が増えてコミュニケーションが取れ、卒園後の様子を見守ることができます。
 そもそも食べるというのはうれしいことですよね。変な話、お子さんを預かっている施設では3食ともインスタントラーメンを提供できないですね。でも、子どもたちはインスタントラーメンを食べたいのです。そういうときに、私どもからのフードバンク品でインスタントラーメンがあったら、夜食などにそういうものを使うことができます。やはり、おなかいっぱい食べるというのは、精神的にも満たされるので、物理的に満たすだけではなくて、心の豊かさというところでもフードバンクが貢献できているところは大きかったと思います。
 これは、実際に始めてみて、施設さんとお話をさせていただいた中で、非常に強く感じた、思い出深い印象です。
○真砂さん まだ食べられる、まだおいしく味わえる食べ物が捨てられるのではなくて、ちゃんと必要なところに行き届いているということですね。
○鈴木さん もちろん宅配の発注ミスがないに越したことはないですが、どうしても出てしまったものに関しては、できるだけ最大限価値があるような活用の仕方を行っております。
○真砂さん 市長の食品ロスの削減という話を聞きながら、札幌市でもそういうストーリーが展開されているのだなと思いながら伺っていました。いいお話ですね。令和元年度第3回サッポロスマイルトークの対話の様子2
○秋元市長 そうですね。今お話があったように、児童養護施設は18歳になると施設を出なければいけないのです。私も、ひとり暮らしをしていたころに、実家に帰ったりしましたが、実家に帰る最初の目的は、やっぱり洗濯と食べ物ですよ。実家に帰ってたくさん食べて、あるいは持って帰ってということはありましたね。
 ですから、なるほどと思って話を伺っていました。児童養護施設などにフードバンクでいろいろと協力をいただいている話は聞いていましたが、卒園、卒業した方に対しても、コミュニケーションというのは確かに大事ですね。
○鈴木さん 北海道には児童養護施設が23施設ありまして、1,200人くらいの子どもが生活しております。ここ札幌市には5施設あります。数百人のお子さんが生活をされているということで、施設から仕送りがされる場合もありますし、札幌市だと、卒園された後も札幌で仕事をされている子どもたちが多いので、比較的施設に顔を出しやすい環境にあるのですが、そういうときに施設で使えないちょっと半端なものですね。宅配の返品なので、いつも何かがあるわけではないのです。ばらばらなのです。60人くらいが暮らしている施設の中では使い勝手が難しいものでも、冷凍食品などでも、施設に顔を出した卒園生さんにはちょうどいい量だったりします。
 卒園生さんへのサポートというのは、最初は貢献度を全く考えていなかったのですが、そこの貢献は非常に大きかったということに驚きました。
 あとは、施設の食育ですね。皆さん、一般の家庭で親から料理などを習ったりすると思いますが、卒業した後に自分たちで自炊ができるようになってということがありますが、施設だと食育の機会をなかなか持ちづらいのです。やりたいけれども、予算がないから食材が用意できないというところがあったのですが、フードバンク品で、本当に初歩的なところだと、お米を研いでおにぎりを作るということですね。無洗米に対して抵抗があったりとか、全く触れていないと、子どもたちはそういうレベルなのです。
 恥ずかしいことに、フードバンクの宅配の返品というのは、毎週、お米が出るのですね。
○真砂さん そうなのですね。令和元年度第3回サッポロスマイルトークの会場の様子2
○鈴木さん お米で思い出したのですが、昔、うちのフードバンクが始まる前には、中高生の男の子などからおなかがすいたと結構言われたという施設長さんがいたのですが、フードバンクが始まってからは、お米は食べたいだけ食べられるようになったのです。米の提供は常にあるからです。それで、精神的に安定したというお話は聞いたことがありました。あとは、フードバンク品を使って、食育ができるということですね。卒園して生活が貧しいときに自炊できるとできないとでは、安定度が全く変わってきます。コープさっぽろは、食育も大事にしているのですが、そういった材料にもしていただけているところがあります。
○真砂さん この寒い季節に本当にほかほかする取り組みのお話を伺えたなと思いました。
 食べられる食べ物は捨てずに行くべきところに行ったほうがいいなと強く思いました。
 今、食べられる食べ物を捨てずにフードバンクの取り組みなどで循環させようというお話でしたが、今度はごみの話ですね。草野さんは生ごみを堆肥化するということにも取り組まれているのですね。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る草野さん
○草野さん そうですね。もう10年ぐらいになりますけれども、先ほど話しましたロックフェスティバルは、主催は民間の会社がやっているのですが、その環境担当のような感じだと思っていただけるといいと思います。
 あのイベントでは生ごみが大量に20トンくらい出てしまうのですが、石狩の牧場さんと有機農家さんと連携しまして、生ごみを牛ふんと混ぜたりして堆肥を作って、ジャガイモを作って、翌年、ロックフェスティバルの食材として一部戻すという活動をしているのです。そうすると、分別した人たちが、去年しっかり分別したものがこのようにジャガイモになって返ってくるのだということがわかると、分別に協力してくれたり、食べ物を大切にするというような食育になるのです。ジャガイモにメッセンジャーのような役割になってもらって、ぐるっと回ることを伝えるために10年ぐらいやっていますね。
○真砂さん そうすると、生産者さんとのつながりも強くなりますね。気持ち的にもですね。
○草野さん そうですね。もちろん、ごみを出してしまうのは仕方がないところはありますが、できるだけ減らしつつ、出してしまったものは、ぐるっと循環させて、関わる人たちのこともお伝えしてということですね。
○真砂さん そういうことを体験、体感することで、目の前の食について、また、ごみについての考え方が全く変わってきますね。
○草野さん そうですね。だから分別は大事なんだと言っていただくということもできますので、ポジティブに伝えていくということは大事にしていますね。
○真砂さん 草野さんは、札幌を「ごみのいちばんすくないまちへ」ということで動いている新スリムシティさっぽろ計画の審議会の委員でいらっしゃいます。
 市長、まさしく、そういう取り組みで、心を変えていく、気持ちを変えていくという部分も、ごみを少ないまちにしていくという上では大事なところなのでしょうね。
○秋元市長 そうですね。ごみという物理的なものが減っていけば、例えば、清掃工場を一つ建て替えるのに何百億円ものお金と時間がかかるわけです。ごみが少なくなれば、工場を増やしていく必要がなくなります。
 実は、札幌市も、以前、新しい清掃工場を一つ作らずに済んだのは、市民の皆さんに分別をしていただいて、ごみが減量になったからです。ただ、ごみというのは、一人一人の家庭から出るものなので、みんなが少しずつやっていって、ちりも積もればではないですけれども、それが大きな動きになっていきます。まさに、そういう活動自体が一つの運動となり、みんながまちづくりに参加をしているということになると思いますし、そこが大事なのではないかと思います。
○真砂さん 無駄を省いて、循環型、持続可能な社会を目指していこうということで、最近、SDGsという言葉を聞かれるようになりました。
 市長、札幌市はSDGs未来都市に選ばれているのですね。
○秋元市長 そうです。北海道の中では、下川町とニセコ町と札幌市です。そして、北海道も未来都市となっています。それは、環境政策などに積極的に取り組んでいるまちということで国が認定しているわけですが、エネルギーの問題や環境問題は、市民一人一人の活動が札幌全体、北海道全体の動きにもなるし、それは世界中のCO2削減の動きにもつながっていくことなので、このことを皆さんに知って行動していただければなと思います。SDGs17項目の画像
○真砂さん 今日は、それを詳しく知っていただくいい機会になるのではないかと思います。
 画面の方にSDGsの17項目が出ています。
 鈴木さん、SDGsについて詳しくご説明いただけますか。
○鈴木さん 時間の関係もあるので簡単に説明しますが、2015年9月に国連で採択されたもので、持続可能な開発目標です。
 ここにあるとおり、17のゴールがあります。最近、これを目にする機会が増えたかと思いますので、皆さんも目にしていると思います。
○真砂さん よく目にするようになりましたね。
○鈴木さん これからもっと目にすることになるというのは、来年から、学習指導要領でこれを習うことになっています。
○真砂さん 学校で習うということですか。
○鈴木さん 学校で習います。総合学習等でSDGsを子どもたちが習うので、来年からは、「お母さん、SDGs知ってる?」とお子さんたちから聞かれますからね。
○真砂さん そういう時代なわけですね。
○鈴木さん なので、これからの世代の子どもは、持続可能な社会でないとだめだし、そういうことをしていないのは変だよねというふうに変わっていきます。
 今回は食品ロスがテーマなのですが、一番関係が深いのは12番です。後でまだ出てくると思うのですが、8の字を横にした、くるくる回っている「つくる責任、つかう責任」というところになりますね。
○真砂さん 17項目のうちの12番目ぐらいが今日のテーマに関係するところなのですね。SDGs12番「つくる責任、つかう責任」の画像
○鈴木さん もちろん、1番、2番の貧困をなくそう、飢餓をなくそうという大きな課題もあります。やっぱり、世界では、貧困によって食べられない子どもたちがいるのに、日本でそんなに「もったいない食品」を出していいんだろうか、また、日本も、食があふれているようで、実は食料自給率で考えると100%ではないです。北海道は食料の生産地なので、北海道だけだと自給率は200%を超えていますけれども、日本人というのは、食に対しては大事に使っていかなければいけないということで、SDGsだと1番、2番、12番が強く関連するゴールになっております。
○真砂さん お子さんの授業に組み込まれるということですから、大人が知らないなんて言っていられませんね。
○鈴木さん 恥ずかしいですね。
○真砂さん 勉強します。今日もとても参考になったと思います。
 鈴木さんには、後ほど、コープさっぽろとしてのSDGsの取り組みについても伺いたいと思いますが、草野さんは、ごみに対する意識を変革するといいますか、そういうことをすごく楽しくやられていますよね。今年、ごみの分解ナビゲートということもやられているのですね。これはどういうものですか。
○草野さん 今の鈴木さんの話にちょっとかぶせますと、私もお手伝いで高校の授業を幾つかやっているのですが、その中でSDGsをテーマにしましたら、食品ロスの問題をもっと勉強したいと言っている高校生もおります。
 食品ロスとかごみの話もそうですが、足元の問題を解決していくことが実は世界の問題にも貢献するのだと覚えると、SDGsはすごくわかりやすいと思っています。
 私たちがお祭りでのごみの問題に取り組むときに、ペットボトルは捨てるのが面倒くさいのです。キャップとラベルと本体というふうに分けて捨てるということになるのですが、ロックフェスの中で、7メートルくらいのごみ箱を作りまして、手前の方のごみは、分解までに何か月とか何週間なのですね。そして、奥の方に捨てにいくと、分解まで時間がかかるというキャンペーンブースを作ったのです。
 どういうことかというと、ペットボトルを捨てに来ると、ラベルは分解されるまでに2~30年くらいなのですね。そして、本体は450年くらいかかるので、3メートルくらい歩いてくださいと。そして、キャップは固いので分解に1,000年くらいかかるのではないかということで、これは推測なのですが。
○真砂さん 自然に返るということですね。
○草野さん そうです。これが自然界で分解されるには一体何年かかるかということを、捨てに来るだけで体感できるわけです。おむつだと400年くらいだったりするのですが、自然界で分解するのにどれくらいかかるかというメッセージをごみ箱から発信するということをしました。
○真砂さん アイデアですね。
○草野さん これは非常に好評で、皆さん、ごみ箱の前で腕を組みながら、そうかと悩みながら捨てていくのです。お祭りというのは、トイレとごみ箱の集客が一番ありますので、それをうまく利用してメッセージを伝えて、持ち帰っていただくということをして、非常に好評でしたというお話です。
○真砂さん 単純に言うと、捨てる量が減ればいいということではあるけれども、捨てるのをやめなさいと強制的にやるのではなくて、目に見える形でごみの行く末を見ていただいて、啓蒙というか、行動そのものに変化が出るのではないかということですね。
○草野さん そうですね。3秒間くらいしか時間がありませんので、そういう方々にちょっとずつメッセージを伝えたいと思っています。難しい話を聞く機会は限られてしまいますので、いろいろな方にどう気軽にお伝えして納得してもらえるかということをやっているブースです。
○真砂さん 先ほど、札幌市はSDGs未来都市に選ばれているという話がありましたけれども、市長、実際にこれぐらい先進的な活動が始まっているということですね。「レジ袋が不要な方はお申しつけください」のポップ画像
○秋元市長 そうですね。草野さんのところの活動もそうですが、民間で非常に熱心に環境問題に取り組んでいらっしゃるところがたくさんあります。先ほど、プラスチックの分解の問題が出ましたけれども、今、プラスチックごみが海を汚して、海の生物にも影響するということで、プラスチックをできるだけ使わなくて済むものは減らしていこうということです。分別していくのもそうですが、もともと使わなくて済むものは使わないようにしましょうということです。
 今、大多数の皆さんは、スーパーに行くときに、マイバッグを持たれている方が多いと思います。札幌市も、スーパーなどの事業所と一緒になって、レジ袋の有料化をすごく早い時期から進めております。実は、北海道は、全国的にもマイバッグ持参率がすごく高いのです。それだけ、札幌市民や北海道の皆さんは関心が高くて、非常に協力的だということですね。
 今、コンビニの袋はまだ有料になっていませんが、今年の10月に、うちの職員が猫をテーマにポップを作りました。
○真砂さん ありますね。今、画面に出ていますね。
○秋元市長 コンビニのレジのところにポップが置いてあって、お客様の方から必要かどうか言ってください、あるいは、お店の人からは要るか要らないかを必ず確認してくださいということで、不要であれば、できるだけレジ袋を渡さないようにしてくださいと。いずれコンビニのレジ袋も有料化となってくると思いますが、それに先駆けて、こんな取り組みもしています。
○真砂さん 「レジ袋いらニャイです」ですね。
○秋元市長 うちにも猫がいるので、これは市長の趣味かと言われたのですが、そうではなくて、この絵を描いた職員が猫好きだったということです。
○真砂さん でも、猫好きさんが考えたのですね。ちょっとしたおもしろ裏話を伺いました。
 レジ袋といえば、鈴木さん、スーパーのレジ袋というのは、毎日の仕事の中で感じるところだと思います。令和元年度第3回サッポロスマイルトークの対話の様子3
○鈴木さん 今、レジ袋の有料化ということがニュースで非常に取り上げられていると思います。北海道の皆さんは、そのニュースを見て、えっ、レジ袋の有料化は当たり前だよねと思うと思います。
○真砂さん 北海道の皆さんはということは、全国的にはそう思わないのではないかということですか。
○鈴木さん はい。全国的にレジ袋を有料化しているところは50%強だったと思います。60%に行っていたかな、そんな程度です。当たり前ではないのです。
○真砂さん そうなのですか。びっくりしました。
○鈴木さん スーパーも、いろいろな会社がありますので、自分のところだけレジ袋を有料化したら売り上げが落ちるのではないかということで、ただで配布していたものを有料化するのは怖いのです。ですから、1社だけではできないのですが、コープさっぽろは、ほかの小売さんとか消費者団体と連携して、ちょうど洞爺湖サミットがあったときです。今から10年以上前に、レジ袋の無料配布をやめて、有料化するべきだということでやっているので、北海道ではレジ袋の有料化が当たり前になっているのです。
 コープさっぽろだと、組合員さん限定で計算すると、レジ袋の辞退率は89.5%になっています。レジ袋を辞退された組合員さん1件につき0.5円を植樹活動の基金に回しております。年間にすると3,000万円くらいを森づくりの基金にして、組合員参加型の森づくりを、レジ袋有料化で出た財源で行っております。
○真砂さん 皆さんが気持ちよくマイバッグを持ってこられるようなストーリーもちゃんとご準備されているということですね。
○鈴木さん 実は、私は、昨日まで、東京ビッグサイトで開催されたエコプロ2019という環境の一大イベントに行っていまして、札幌市さんもブースを出されていましたが、いろいろな企業が環境の取り組みの展示をしていますけれども、多くの企業がプラスチックの対策をされていて、環境に優しいプラスチックに替えるとか、紙を作っているメーカーであれば、紙でできるものは紙でというように、プラスチックに対しては日本全体で取り組みの動きがまさに起こっているのだなと感じました。
○真砂さん 市長、今日皆さんのお話を伺っていると、札幌はそういう動きの先駆けになり得るような活動がどんどん行われていますね。
○秋元市長 そうですね。全国的にも動きが早いというか、スタート早く取り組んでいるところが多いのです。そういう意味では、市民の皆さん、道民の皆さんの環境に対する意識が非常に高いのではないかと思います。
○真砂さん 今日は、こういう機会なので、先ほど鈴木さんからも説明がありましたSDGsについても、時間の許す限り深めていこうと思っています。
 先ほど出していただきましたSDGs12番目の「つくる責任、つかう責任」に関して、消費者側としての意識ということで、竹田さんにも話を伺いたいと思います。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る竹田さん
○竹田さん 消費者側の取り組みというか、提言というか、例えば私はスーパーに買い物に行って、牛乳を奥から取るという行動を少し減らしていくべきではないかと思います。また、野菜を触って硬さを確かめるというのも、それを買って帰ったら、トマトが潰れていたということがあると、気分が悪いですよね。消費者の自分だけが良ければいいというところは改めなければいけないと思います。
 また、スーパーの作荷台にビニールがありますが、あれを何枚も出して袋に入れるというのは、自分の家の節約にはなるかもしれないけれども、全体を考えると、とてもいけないことだと思います。
 あと感じているのは、イベントですね。10月はハロウィン、これからクリスマス、そしてお正月で、その後は、節分が来て、3月はどうのこうのと、そのたびに消費者は、店に売っているから、2月の恵方巻を買ってしまうとか、私たち北海道の習慣にはなかったものを仕立てる側のやることに乗らされて、本当に廃棄が増えているという現状があるのが気になっています。やはり、自分の家の暮らしでどういうイベントを行うかを見極めるとか、必要なものだけを買うということが非常に大事になってくると思います。
 ですから、消費者が一つ一つ注意をしていかなければいけないこともそうですし、もう一つは、賞味期限と消費期限のきちんとした区別もなかなかわかっていない方がいると感じることがあります。賞味期限が来たから食べられないといって捨ててしまう、それもごみの一つになっていくわけです。
 ですから、そういうこともしっかり知らなければいけないし、賞味期限が来たらいきなりだめというのではなくて、自分の目と鼻と舌で味を確かめてということをある程度やらなければいけません。すぐ捨ててしまうのではなく、消費者の責任としてそういうことをやるべきだと思います。
○真砂さん 今の竹田さんのお話は、赤いパンフレットのほうにも詳しく出ております。
 今のお話を聞いていて、私も身につまされました。牛乳を奥から取ってしまうことがあります。野菜は、強い力では触りませんけれども、ちょっと確認はしてしまったりしますし、世の中に乗せられて恵方巻も買っているなと。消費者側も自分の生活を見つめた方がいいわけですね。使う責任のところでですね。
○竹田さん そうですね。
 例えば、牛乳を2本買って、1本は手前から取って、もう一本を奥から取るというのは仕方ないと思いますが、すぐに奥からとるというのはやめたほうがいいかなと思います。
 また、先ほど野菜を捨てるという話もありましたが、道産の野菜が、コープさっぽろがスタートだったと思いますが、ご近所野菜とか、いろいろな店先に置いてあるのです。市場を通るには貧弱な野菜などもあるのですが、結構お得に買えますので、そういうものを買うことも消費者として無駄を出さない工夫だと思いますので、ぜひお試しいただければと思います。
 それから、一人で頑張ってはいけないと思います。食品ロスを出さないために、一人で頑張ってしまって、食べられない部分まで食べるというのは、下手をすると危ないです。トマトのへた、ナスビのへたは、多少ですが、毒が入っています。そういうものを乾燥野菜にして、あるときにスープなどにしてどっと食べるというのはよした方がいいと思います。そういう知識もつけていかなければいけないと思います。
 私も、「食と健康を考える会」で、消費者協会のお便りを通じて発信したいと思いますので、ぜひそういうページものぞいていただけたらいいと思います。
○真砂さん こちらにも詳しく書いておりますし、竹田さんは本当に研究熱心で、食の情報に関しては、いろいろな知識を持たれていると伺っていますので、情報発信を気にしていただきたいと思います。また、そういういいことはお仲間で共有する機会をつくるといいですね。
○竹田さん 本当は、リピーターさんがすごく多くて、無駄のないお料理をつくるのも年々同じ方が出るというのもうれしいけれども、それを横に広げていってほしいと思います。こんなふうに教えてもらって作って、とても役に立っているということを一人ずつ周りに広めていくということが、食品ロスの取り組みとともに、自分たちの家計も助かるわけだし、レパートリーも増えていくことになると思いますので、ぜひそうしたこともやっていただきたいと思います。
○真砂さん 消費者側の意識の変化がつくる側にも深く関わってきますね。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る鈴木さん2
○鈴木さん そうですね。12番のテーマも、つくる責任、使う責任とありますが、つくる責任というのは、何となくわかりますね。食品を作っているメーカーだったら、安全・安心な商品を作らなければいけません。それと同時に、12番に使う責任とあります。今回の食品ロスの絡みだと、12番のところで、食品ロスは2030年までに半分にしましょうと書かれています。先ほど、日本の食品ロスは650万トンで、1人当たりお茶わん1杯分が出ているという話ですが、その食品ロスの半分は、食品に携わっている事業者が出しているけれども、もう半分は、実は皆さんのところから出ているのです。
 では、具体的にどうしたらいいのかということで、先ほどの広沢さんのお話のように、きちんと食材を管理して、賞味期限、消費期限を管理したり、食材を使い切るというところで和田さんのような取り組みがあったり、まだまだできることがあるので、民間企業も努力しますし、消費者の皆さんも努力することで、北海道が単に食料をつくる基地であるだけではなくて、食材をきちんと使い切るエコな未来都市になっていただきたいと思います。
○真砂さん おいしいものを作っている土地だから、おいしく食べ切りましょうという動きになっていくといいですね。
○鈴木さん はい。進んだところになってほしいです。
○真砂さん さて、本日は、お時間の許す限りということでお話を伺ってきましたけれども、だんだん終わりの時間が迫ってまいりました。
 最後に、皆様に、今日来てくださっている方にメッセージと、今日のご感想なども伺えたらと思っております。
 まず、広沢さんからお願いします。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る広沢さん
○広沢さん 感想としては、皆さんのすばらしい取り組みの話を聞いていて、私としては、個人一人一人ができるものは冷蔵庫整理ですので、こちらを広めて伝えていかなきゃいけないなと思いました。わかりやすく、楽しく、自分の教え方をもっともっと工夫していかなければならないなと反省していますし、皆さんのすばらしい活動には、本当に立って拍手をしたいぐらいです。
 また、皆さんには、今日の話を聞いて、この後、スーパーなどに買い物に寄られる方もいらっしゃると思いますが、そんなに買わずに、とりあえずないとわかっているものだけを買って、早速、冷蔵庫の中のものを一度出して、賞味期限と消費期限の近いものを先に食べて、そこから減ってなくなったら買い物に行くというくせをつけていただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします。
○真砂さん まずは無理なくできるアクションからということですね。ありがとうございます。
 日曜日は冷蔵庫をお片づけで、明日は日曜日ですね。
○広沢さん そうですね。
○真砂さん そこから始めてみるのもいいのではないかと思います。私も始めてみます。ありがとうございました。
 それでは、鈴木さん、お願いします。
○鈴木さん 今回いらっしゃる皆さんにすぐできることは、買い過ぎない、作り過ぎないというところだと思います。うちのお店に来ていただいて、いっぱい買ってくれるのはうれしいことですが、適切な量を買っていただいて、その分、足しげく通っていただければうれしいです。
 また、このように市長さんと一緒になれる機会はなかなかないので、できたら市長さんに考えていただきたいことがあります。
 コープさっぽろは生産者さんともよくつながっていて、生産者さんからの声にあるのですが、これから12月になると、宴会や忘年会で食品ロスがたくさん出てしまいます。でも、それをパックに詰めて帰りたいと言っても、保健所から指導されているからできないということがあって、提供している側も持ち帰っていただきたいのだけれども、できないのです。食品衛生管理上の問題もあると思うのですが、食品ロスというのも同じように大事な問題で、そこのバランスは難しいと思うのですけれども、ロスが出ないようにと少ない量で宴会をやって、食べるものがなくなったら興ざめですよね。やはり、ある程度の量はあったほうがいいので、ちょっと余った分に関しては持ち帰って、家でもその喜びを家族と共有できたりするような状況になったらいいなと思います。
 特に、札幌が変わるということは、北海道の3分の1を変えるインパクトがあるので、ぜひ市長さんにも頑張っていただきたいと思います。
○真砂さん 市長、世界がSDGsに向かっていく中で、そういった取り組みが必要になってきますよね。
○秋元市長 実は、ホテルの方とも話しているのですが、やはり食中毒の問題があって持ち帰りはできないので、非常にもったいないということがあります。そこで、一つは、市の職員の宴会のときに、最初と最後はしっかり食べて残さないようにという運動をしています。それから、これもとりあえず市の職員から始めているのですが、ホテルで了解いただいたものの持ち帰りバッグですね。汁物は難しいのですが、から揚げなどについては、持ち帰りバッグをつくって、始めようと思っています。
○真砂さん 今、画面に出ているドギーバッグ、持ち帰り袋ですね。
○秋元市長 ホテルも、最終的には食中毒が起きたら困るので、双方了解した中で、そこから始めましょうということを進めようとしています。
○鈴木さん 素晴らしい取り組みだと思います。
○真砂さん 今日来てくださっている方々の中にも、飲食業関連の方もいらっしゃるかもしれませんから、では、うちもという気持ちになった方もいらっしゃるかもしれません。
 それでは、和田さん、お願いします。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る和田さん3
○和田さん 家庭から出る食品ロスというのは、やむを得ない部分もあると思うのです。どんなに努力をしていても、予定が変わってしまったとか、自分にはどうにもできない理由で発生してしまう食品ロスは、もったいないなという気持ちがあって、嫌な思いをしながら無理やり食べるというのはすごくつらいのですが、先ほど竹田さんがおっしゃったように、1人だけ頑張るとつらいのです。1人で、食べたくない食材で作るのはすごくつらいのですが、みんなで仲間と一緒に食材を持ち寄って作ることで、すごく楽しみながら食品ロスに向き合えると思うのです。ですから、サルベージ・パーティというのは、実は周りのお友達や家族と気軽にできるものなのです。持ち寄りさえすれば、キッチンさえあればできるので、ぜひぜひやってほしいと思いました。
 私も、食品ロスに関わる活動をして3年になるのですが、それでも、知らなかった、こんなことをされていたのかという活動がいっぱいあることに、今日はすごく驚きました。皆さん、今日ここに来られている時点で、食品ロスの解決に一歩も二歩も踏み出していらっしゃるのだろうなと思ったら、何だかすごくうれしい気持ちになって、皆さんのお話を聞いていました。
○真砂さん サルベージ・パーティという言葉自体も今日初めて聞いたという方がいらっしゃると思います。実際に円山にスタジオをお持ちになって、そこで開催できるようになっているのですね。
○和田さん そうなのです。来月も開催を予定していますので、もしよかったらお越しください。また、町内会の集まりとか企業さんの研修会に私が出向いてさせていただくということもしています。
○真砂さん サルベージ・パーティ、サルベージ・プロデューサーの第一人者がいらっしゃいますので、ぜひやってみたいなという方は、気軽にお問い合せをしてみてください。
 和田さん、ありがとうございました。
○和田さん ありがとうございました。
○真砂さん では、竹田さん、お願いします。
○竹田さん 今日、皆さんの話を聞いていて、本当にまだまだ知らないことがいっぱいあって、とても参考になりました。まず、今日、仲間にこのことを伝えたいなと思います。
 私たち研究会は、月1回は栄養バランスを考えた食事などを研究しているのですが、その中で欠けていたのがサルベージ・パーティなのかなと思います。皆さんもいただき物や余ったもののストックなどが多くあると思いますので、それを使ってのサルベージ・パーティですね。今年、私も企画したいと思います。
 また、今、インターネットが普及して、私も含めて、お年寄りの方は見る機会が多いと思うのです。その中で何と何を使ったらできるのかというのをのぞいてみるのも手だと思います。私も、残り物で何をつくろうかと考えたら、料理関係の便利な情報がいろいろ出ているので、そういうものを利用することも大事だと思います。そんなふうにして暮らしていきたいと思います。
○真砂さん 無理なく、楽しく、みんなでやるというこいとですね。ありがとうございました。
 それでは、草野さん、お願いいたします。
○草野さん 実は、私たちが事務局をしているのですが、ふるさと応援隊という札幌市の事業があります。これは、すごく珍しい取り組みで、参加される方は比較的若い方が多いのですが、他の自治体に行ってまちづくりのお手伝いをしましょう、札幌市民の皆さん、第2のふるさとを持ちませんかという取り組みです。
○真砂さん 札幌市民が他の自治体に行ってお手伝いをするのですか。
○草野さん そうなのです。田舎の方は人がどんどん少なくなっていますので、うちに来てくれませんかという運動はよくあるのですが、逆なのです。これは、政令指定都市でやっている事例を聞いたことがない取り組みだと思うのです。
○真砂さん 行かせてくれませんかということですよね。令和元年度第3回サッポロスマイルトークで語る草野さん2
○草野さん そうです。連携しませんかということをしていて、すごく画期的な取り組みなのです。私どもは喜茂別町や厚真町と一緒にやっているのですが、参加している若い人たちと話していて印象的なのは、生産地域に入っていくのですね。喜茂別町はアスパラが有名なのですが、今までスーパーで売っている、道産とだけ書いてあったものが、喜茂別のあの人たちがつくっているものかなというふうに、生産している地域の人たちとつながれる機会をたくさんつくれる効果もあるのです。そうなると、買うときから、食べる意味とか、顔の見える関係がつくれるというのはおもしろいところだと思っております。
 やはり、現地に行くということもあって、参加した人たちがいろいろなことの関心が高くなって、ライフスタイルが非常に変わっていくという効果が見られます。
 これは、政令指定都市として非常に珍しい取り組みなので、私も関わっていけたらと思いますし、コープさんも食育だったり、生産地とつながる機会がありますので、その辺と合わせて食品ロスを考えていけると、食べ物と人がつながっていくのはすごくいいなと感じました。
 どうもありがとうございました。
○真砂さん ありがとうございました。
 竹田さんから、インターネットを活用して楽しもうというお話がありました。それも一つの方法ですし、草野さんのように、顔の見える関係を、こういうことをきっかけにつくっていこうというのも一つの方法です。どちらも楽しくていいですね。みんなが楽しめるいい案ですし、いい取り組みですね。
 さあ、今日は駆け足でお話をいただきましたが、皆さん無理せず、気軽に、すぐに楽しめるという方法を、大きなテーマを知りながら、知恵や工夫を出されているところは素晴らしいと思いました。市長、いかがでしたか。
○秋元市長 そのとおりですね。今日の皆さんの話を聞いて、自分はちょっと無理、できないなということはほとんどなかったと思います。今日お配りしている資料の中にも、冷蔵庫のパンフレットや、和田さんのところのパンフレットも入っております。そういう意味では、私も非常に参考になりましたけれども、今日来ていただいた皆さんにも、これはできるのではないか、こんなことをしてみようと思える取り組みがたくさんあったと思います。
 前に広沢さんに教えてもらったことをやってみたら、冷蔵庫がすごくすっきりして、無駄なものが出ないのです。それは、意識しなくてもそういうふうになってくるのだと思うのです。
 今日の話を聞いていても思いましたが、無理をして、頑張ってやっていくというのは長続きしませんので、楽しくパーティをやるとか、みんなで一緒に取り組むというようなことが持続していくコツなのだろうと思います。また、みんなが少しずつやったその数がたくさん出てくると、世界中のCO2の削減にもつながっていくとか、いろいろな活動になっていくと思います。
 札幌は、ごみの減量を皆さんにやっていただいて、どんどん減っていきましたけれども、全国一ごみの少ないまちにしていこうということで、今は、生ごみの部分をいかに減らしていくかということで、楽しみながらやれますし、本当にちょっとしたことからできるということを参考にしていただければと思っています。やってみると、意外と楽しいことがたくさんあるのではないかと思います。
○真砂さん 市長は実際にやられていますからね。
○秋元市長 うちはやっていますし、はまっています。(笑)
 あとは、先ほど草野さんのお話の中にありましたが、札幌は消費都市です。生産されている方もいらっしゃいますが、割合がそんなに多くなくて、実は札幌の野菜なども随分とおいしいものがたくさんあるのですが、道内の他市町村で物を作られて、生産地と消費地を結びつけていくということも大事です。札幌は、人もたくさんいらっしゃるし、いろいろな機能もあるので、札幌の持っているものを使ってもらうことで、北海道のほかの地域が元気になり、盛り上がるということをこれからもしていきたいと思っています。そういう意味では、それぞれの皆さんの行動が環境に優しい北海道につながっていけばなと思っております。
○真砂さん 環境に優しい北海道につながり、行く末は持続可能な世界につながっている、それを家庭から気軽に楽しく工夫してできるということは、とてもいいことですね。
○秋元市長 今日、皆さんに来ていただいて、一つでも二つでも実践していただければなおありがたいと思っております。
 今日は、たくさんの皆さんに聞いていただいて、改めて感謝申し上げたいと思います。
○真砂さん どうもありがとうございました。
 ぜひやってみて、楽しかったら、今日来ていない方に教えてみるという感じでじわじわと広がっていくのが持続可能なポイント、コツなのだろうという感じがしました。
 今日は、皆さん、お話をお聞きいただきまして、ありがとうございました。
 ご登壇いただきました皆さんも、ありがとうございました。
 どうもありがとうございました。(拍手) 

 

令和元年度第3回サッポロスマイルトークの対話者と秋元市長の記念撮影

 

 

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