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マレーグマ「小熊妹」(令和7年5月28日撮影)
1 マレーグマ寄贈の経緯
平成25年10月に当園と台北市立動物園は協力関係樹立の覚書を締結し、平成26年2月には下記の動物交換にかかる合意書を締結しました。
・当園からヨウスコウワニ3頭、ヤドクガエル類48匹を寄贈(搬出済)
・台北市立動物園からチンパンジー幼オス1頭と母親個体1頭を寄贈
しかし、令和元年6月に母親個体が死亡した旨の連絡があり、幼オスを安全かつ円滑に当園のチンパンジーの群れに入れるのは困難との判断から導入が中止となり、以降の協議が途切れていました。
令和5年度に協議を再開し、令和6年9月、チンパンジーの代替としてマレーグマ2頭(メス1頭、オス1頭の姉弟)を円山に寄贈することで合意しました。
2 寄贈を受ける個体について
(1)メス:平成19年(2007年)8月16日生まれ、17歳
台北市立動物園における愛称:「小熊妹」(シャオ ション メイ)
(2)オス:平成19年(2007年)12月12日生まれ、17歳
台北市立動物園における愛称:「熊覇」(ション バー)
※この2頭は父親と母親が同一のきょうだい(姉弟)です。
※メスを人工哺育中に、母親は妊娠したものと推察されます。
3 当園におけるマレーグマの飼育について
当園では、マレーグマを昭和36年6月から令和5年10月25日までの間、中断した期間はあるものの、通算56年にわたって飼育していました。
この間、平成27年7月に、不適正な飼育方法が原因でマレーグマ「ウッチー」を死亡させる事故を起こしてしまい、市民はもとより国内外から多くの批判を受け、札幌市動物管理センターから改善勧告を受ける事態となりました。
事故後も、雌雄各1個体の飼育を継続していましたが、オス個体に先天性疾患(特発性てんかん)が判明し、いったん繁殖を断念していたところ、国内の繁殖計画が見直され、令和元年5月にメス個体、令和5年10月にオス個体が転出しました。
そのため、マレーグマの飼育は中断していますが、当園のコレクションプランにおいては、当園が果たすべき役割の観点から飼育の必要性がある「継続種」として位置づけており、導入機会を模索していました。
4 マレーグマを再導入する理由について
(1)保全の必要性
マレーグマは絶滅危惧種であり、国内外の動物園等で、種の保存の取り組みが行われていますが、国内では8園館14頭にまで飼育頭数が減少(この10年間で半減)しています。遺伝的多様性を保ちながら飼育個体群を維持し、国内の園館で飼育展示を継続するには、危機的状況にあります。
このため、海外から新たな血統の個体を導入することは、大変に貴重で重要な機会となります。
なお、きょうだい(姉弟)を導入するため、当園で繁殖に取り組むためには、今後どちらかの個体を国内園館に移動させるとともに、別な個体を迎えてペアにする必要があります。
(2)展示による教育的効果
野生のマレーグマが生息数を減らし続けている背景には、急速な生息地の消失や分断、毛皮目的の密猟などの人間の活動があります。
道内には飼育園館が無く、当園でマレーグマの姿を見て、野生下の状況を学んでいただくために、再導入する意義はとても大きいと考えております。
5 受け入れの体制について
令和7年5月末、当園職員が台北市立動物園で個体および飼育状況の確認を行いました。今後、飼育担当を予定する職員の国内園館での研修や、現在は空き施設となっているマレーグマ獣舎の再整備を行い、受け入れの準備を進めてまいります。
6 今後の予定について
年度内の当園への移動を予定しておりますが、輸送の安全を考慮し、輸送日程の公表は控えさせていただきます。当園に到着後、あらためてお知らせいたします。
マレーグマ「熊覇」(令和7年5月27日撮影)
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