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更新日:2012年12月26日

よもやまくにがまえにとばなし

第23回 本もリニューアルするのです

 2012年5月のおはなし

先日、お客様が本を借りにカウンターにいらした時のことです。題名が同じ本が混じっていたので、「この本とこの本は、同じ内容ですよ」と申し上げると、お客様はビックリ顔。

「えー、でも表紙のイラストが違うよ。あ、あれ?本当だ、同じ題名だ・・・」

 

実は、こんな事が起きるのも図書館ならではかもしれません。どうしてかって?

ご説明しましょう。

 

人気のある本や名作といわれる本は、最初に出版されてから何年経っても「読みたい!」という人が多いものです。なので、出版社は何回も同じ内容の本を出版することになります。これを「刷」という単位で数えます。最初に出版された時が「初版」(一刷)、回を重ねるごとに「二刷」「三刷」となっていきます。

刷を重ねていくうちに時がたち、事実とは異なる記述となったり、「文字が大きい方が読みやすい」とか「表紙のイラストが今風じゃない」など不都合も出てきます。そこで記述を正したり、文字を大きくしたり、イラストを変更したり、表紙カバーをかけかえたりと、「初版」とは異なる版が作られたりします。同じ内容の本がさらに印刷される「刷」とはちがい、ここでは内容に手が加えられています。これは大きく「改版」と呼ばれています。「本のリニューアル」みたいなものですね。

リニューアル

本屋さんでは改版が出版されると、古い版と取り替えてしまうことが多いようですが、図書館では古い版も改版も両方置いておくために、上記のお客さんのような事が起こったのですね。図書館には古い版どころか、もう印刷されなくなった「絶版」の本まで置いてあるのは、以前にたまがお話しした通りです。

第4回 たまのお仕事拝見1

 

自分の大好きな作品を版別に楽しむ、「通」なお客さまもいらっしゃいます。児童文学のコーナーでは「お母さんが子どもの時に読んだのって、このサイズでこのイラストだったよー。新しいのは、こんなに小さいサイズなんだね」なんて、懐かしげにお子さんとお話している光景を目にすることもあります。

というわけで、いま現在、出版されている本が「題名は同じなのに、どうも自分の記憶とは違うような…」という時は、一度、図書館のカウンターに声をかけてみてください。もしかしたらリニューアル前の…、記憶の中に眠っていた大切な一冊と、再会できるかもしれませんよ。

 

まお

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