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更新日:2012年12月26日

よもやまくにがまえにとばなし

第14回 ニャン左衛門からの手紙

2011年7月のおはなし

図書館ネコのみけです。
今回は仲間の図書館ネコであるニャン左衛門さんからの手紙を紹介します。
ニャン左衛門さんは、岩手県大船渡市の市役所で東日本大震災後のお手伝いに行っていました。

みけさんへ
いま、市役所の手伝いで、家を津波で流された多くの方々のために一生懸命、事務の仕事をしています。泊っているのは、歩いて10分くらいの公共施設です。(夜は寝ぶくろで寝ています。)
ちょうど到着した日は、地震のあとかたづけを終えた大船渡市立図書館が、ようやく再開できた日でした。 図書館ネコとしては、ぜひお会いして震災後のご苦労をねぎらわなくてはと思い、係長さんにお話をお聞きしましたよ。

大船渡市の人口は約4万1千人でしたが、震災の影響で今は4万人を割っています。図書館の蔵書は約13万冊。建物は平成20年にできたばかり。とても豪華で立派です。高台地区にあるので津波にはあわずにすんだとのこと。地震で建物そのものは大きくゆれましたが本棚が特別なつくりであったために倒れることもなく、本もほとんど飛び出さなかったそうです。たしかに本棚が建物と一体化しているようなつくりでとても丈夫に見えました。係長は「デザインは立派なのですが、独特な配置で慣れるまでは大変でした」とおっしゃいましたが、そのおかげで大きな被害がなかったのはいいことです。
しかし震災によって図書館システムを動かすための光回線がダウンし、これを直すのに3ヶ月もかかったそうです。また、図書館のいろいろな部屋は、全国から支援にかけつけてくれた役所や医療チームの人たちの緊急の宿泊所になりました。このため、図書館としてのお仕事がなかなか再開できなかったとのこと。
しかし再び図書館をオープンする日をむかえ、係長さんの表情は、本と情報の面から市民を支えていく決意にみなぎっていました。

お手伝い最後の日、大船渡市のとなり町である陸前高田市に足をのばしました。ここの図書館は、津波で職員の皆さん全員が行方不明または亡くなるという大きな悲劇に遭われています。亡くなられた方々のために静かにお祈りしました。

しかし、泥だらけのまま壁ぎわに積まれたたくさんの本の分類記号を見ているうちに涙が流れてとまらなくなりました。この背ラベルを見ながら返本していた職員の方々は、もういないのです。悲しみが心にしみわたってきて、本当に心からのご冥福を祈らずにはいられなかったです。私たちは失った仲間たちの思いをしっかりと受けとめ、復興の支援のきずなを広げていきましょう。

 

ニャン左衛門より

今回の震災で亡くなられたすべての方々のご冥福をお祈りします。
また、大切な家族・友人・同僚を亡くされた方々の心の支えに図書館がなれますように―。
私たちはこれからもていねいな仕事をしていきます。 
 みけ

 

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