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更新日:2016年7月19日

鳥瞰図

鳥瞰図とは、地表面を上空から斜めに見下ろしたように描いた地図のことを指し、街並みや地形を立体的に表現できることが特長です。鳥瞰図を多く残した人物として、大正から昭和期にかけて活躍した吉田初三郎が挙げられますが、初三郎の描く鳥瞰図は色鮮やかで分かりやすく、地域の特性に応じた独創的なデフォルメがなされており、行啓中の皇太子(後の昭和天皇)が初三郎の描いた観光案内図を称賛したことは有名なエピソードとして語られています。

初三郎は自身を「大正広重」と称したとおり、北は樺太から南は九州まで、全国各地を写生しながら渡り歩いたそうです。その作品数は3000点を超えると言われており、中でも北海道(樺太含む)の作品は多く、約200点の鳥瞰図を残しています。

札幌市中央図書館では、これらの鳥瞰図の一部をデジタルライブラリーにて公開しております。以下、代表的な作品をご紹介いたします。

札幌市観光鳥瞰図

1950(昭和25)年
昭和25年には、初の公選により就任した高田市長の下、「新規事業五年計画」が策定されました。計画の一つとして、円山動物園の設置があり、地図の中にも「動物園予定地」が描かれています。また、同年に白石村の一部が札幌市に編入されたため、「東札幌」が札幌市の一部として表現されています。
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札幌市観光鳥瞰図

定山溪温泉御案内

1918(大正7)年
大正7年には、定山渓鉄道の白石~定山渓間が開通したため、地図にも線路とそれを走る蒸気機関車が描かれています。定山渓鉄道は、その後電化工事を行い、昭和4年には高速度電車として運転を開始したため、昭和6年に描かれた「札幌市郊外定山溪温泉電鉄沿線名所図絵」では、蒸気機関車が電車に切り替わって描かれています。
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定山溪温泉御案内

北海道鳥瞰図

1936(昭和11)年
1936年には、北海道で陸軍特別大演習が開催され、大本営が北海道帝国大学(現・北海道大学)の農学部に置かれました。旭川の第七師団が北軍、弘前の第八師団が南軍として演習を行っており、地図の中にも旭川付近に「第七師団司令部」が描かれています。
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北海道鳥瞰図

関連図書

中央図書館2階のさっぽろ資料室(郷土の森)では、吉田初三郎の関連図書も取り揃えています。
一般貸出も行っていますので、ぜひご一読ください。

  • 北海道の鳥瞰図 空から眺めた大正・昭和期の103市町村と樺太の街並(弥永芳子/著 2011)
    初三郎を始めとした、鳥瞰図画家達が描いた道内103市町村の鳥瞰図が、約130点にわたり、カラーで掲載されています。当時の画家達が各市町村の特徴をどのように捉えて鳥瞰図に描いたのか、比較しながら楽しむことができる一冊です。
  • 吉田初三郎のパノラマ地図 大正・昭和の鳥瞰図絵師(平凡社 2002)
    初三郎の描いた全国の鳥瞰図が、描いた経緯や当時の地域の様子等のコメント付きで掲載されています。年譜や作品目録、初三郎を研究する様々な知識人の論評も載っており、初三郎を知る大きな手がかりとなる一冊です。

 

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