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ホーム > 北区の紹介 > 歴史と文化 > エピソード・北区 > 第2章:屯田兵 > 18.娯楽の花形、草競馬-楕円(だえん)形の競馬場も誕生

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更新日:2023年1月10日

18.娯楽の花形、草競馬-楕円(だえん)形の競馬場も誕生

エピソード・北区

第2章:屯田兵

11.反乱事件も遠く12.風雪に耐え九十年13.いろりの座り方は決まっていた14.貴重な遺産を発掘15.生命を支えた竹16.明治の遺構、開拓の心を今に17.荒野にともる開拓の灯18.娯楽の花形、草競馬19.祭りの起こりは西郷どん

18.娯楽の花形、草競馬-農耕馬が駿馬(しゅんば)へ変身-

楕円(だえん)形の競馬場も誕生

 

明治10(1877)年の札幌競馬場(現北大農学部前庭)

発端は神社祭典

明治5(1872)年9月14日、官幣小社札幌神社祭典に当たって、札幌およびその近郊の農村から馬に乗って参拝に来た数十騎の者が琴似街道(現在の西25丁目通)に集まり、互いに持ち馬の自慢をして、ついには同街道の路上(直線距離約550メートル)で、馬比べの競走をした。「競馬」の始まりである。
その後、札幌の競馬は開拓使の後押しによって隆盛への道をたどり始める。明治8(1875)年、北6条通に300間(けん)(約550メートル)の直線コースが生まれ、明治10(1877)年になると、エドウィン・ダンの手によって、現北大農学部前庭に初めて距離440間(けん)(約800メートル)の楕円形の馬場が作られた。このころから、競馬は速歩(はやあし)に代わって本格的な疾走競走が行われるようになり、現在のようなスピード感あふれるレースへ変身していったのである。そして、明治20(1887)年には、中島遊園地南側に550間(けん)(約1,000メートル)の馬場が作られ、さらに明治40(1907)年には、子取川農場を買収して現在の札幌競馬場が誕生する。

各地で人気を集める

この間、札幌での"中央場所"だけでなく、道内各地の農村で祭典に合わせた草競馬が農民の人気を集めたことを忘れてはいけない。当時の農村では、馬は農業に欠くことのできない重要な生産手段であり、どの家でも1頭や2頭の馬を飼育していた。そして、平常時は農耕用として使われていた馬は、秋の収穫期を終え秋祭りになると今度は競走馬として走り比べが行われたのである。
旧篠路村(現・篠路)では、明治30(1897)年ごろ拓北農場内(現在の釜谷臼線南)に興産社競馬場と呼ばれる一周約1,000メートルの楕円形の馬場が作られた。レースは、3~4頭の馬が馬場を1~2周して賞金を争ったという。「その時の馬は、農耕馬だから2周もすると大抵へたばってしまうんですよ」と、当時を振り返って吉成数也さんが話す。また、その当時"チャンピン"(チャンピオンをなまって発音)競走と呼ばれる珍しいレースがあった。これは、レース前に見物人から帽子の中へお金(1人1~2銭ぐらい)を入れてもらい、そのお金を布袋に移し柳の枝につるしておく。レースの結果、1着になった者にその集まったお金が賞金として与えられる。そして、優勝者は柳の枝につるした布袋を担ぎ馬に乗って馬場を一周、観客に優勝したことを披露したといわれる。このことからも、草競馬が農民たちの娯楽の中心としていかに人気があったかを伺うことができる。

草競馬と屯田兵

また、草競馬といえば、屯田兵とのかかわりを見逃すわけにはいかない。屯田兵村の開墾で農耕馬は大きな威力を発揮した。それと同時に、何の娯楽もなかった屯田兵に、競馬という楽しみを与えたのである。
篠路兵村(現在の屯田)に農耕馬が導入されたのが明治24(1891)年ごろ、そして、明治26(1893)年には既に青年たちによって競馬会が組織され、屯田新道にコースを設け人馬一体の競走が行われた。その後、明治29年3月、篠路兵村が後備役に編入され中隊本部も引き揚げとなったことから、練兵場跡地に一周約800メートルの馬場を造成、開拓記念日の7月15日には草競馬が盛大に繰り広げられた。こうして、競馬が盛んになるにつれて、屯田地区では軽種馬の生産に力を入れるようになった。その中で当時の有名馬は石川藤四郎の「いろは」で札幌競馬でも優勝し、3,000円という価格がついたという(当時、米1俵が4~5円)。その後も、札幌競馬や函館競馬で活躍する馬を数多く誕生させ、屯田の馬の声価を高めた。
このように、北区では篠路兵村の草競馬が発端となり、やがて競走馬の飼育、そして有名な「石狩ペルシュロン」の産地へと発展していくわけだが、その過程には、屯田兵の馬に懸けた並々ならぬ情熱が感じられるのである。
(「続・北区エピソード史(昭和62年3月発行)」掲載)

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