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更新日:2024年5月9日

「オランウータンとボルネオの森」2024年5月21日オープン!

2024年5月21日11時にオープン!
※天候の良い日は屋外展示となり、屋内ではオランウータンをご覧いただくことができません。

 歯科検診

オランウータン画像

弟路郎の写真です。

今回はオランウータンの健康管理の一環として行ってきた口腔内ケアについてお伝えします。
はじまりは、2017年。オランウータンの口腔内環境を把握しようと日本歯科大学(当時)の中村先生(歯科医師)と共同で、彼らの唾液を採取して簡易検査をすることから始めました。

RDテストの画像 ペリオスクリーンの画像

左が口腔内の汚れ具合を見るRDテスト、右が潜血反応を見るペリオスクリーンです。
歯周病の有無をオランウータンがシグナルで自ら吐き出してくれる唾液をコップに直接採取して検査から把握しようと取り組んでいました。
最初は先輩の吉田職員が唾液をコップ吐く様子をレンボーたちに実演して教えていました。

その次の段階として取り組んだのが、こちらです。

歯科検診の画像

この写真は中村先生が実際に行う「学校歯科検診」の様子です。

カルテの画像

歯科医師が児童の口の中を定期的にチェックして、「歯式」を作ります。
短時間(1分程度)で、口腔内にデンタルミラーを挿入して視野を確保しながら、歯科検診項目に準じて目視によりカルテを作成するものです。
これをオランウータンで行うことに。
実際、開始した2019年の時点では、国内の動物園で飼育されているオランウータン各個体の歯の本数を正確に把握している動物園は、当園も含め1つもなかったはずです。とてもチャレンジングな取り組みの開始でした。

歯科検診の道具の画像 ハズバンダリートレーニングの画像

2017年より取り組んできたハズバンダリートレーニングのおかげでレンボーを含め皆、口を開けて器具を挿入することは問題ありませんでした。

ハズバンダリートレーニングの記録1 ハズバンダリートレーニングの記録2

そこからはまず目視したものを記憶して、それを絵と文字で記録します。
中村先生からは「大人チャレンジ」と銘打たれ、飼育者がオランウータンたちに協力してもらいながら実践。中村先生から歯科医師のもつ健診に使用するスキルを学ぶ機会となりました。ふり返っても感謝しかありません。

これにより、安全で有効なミラーやライトの使い方が身に付き、飼育者の視野が徐々に広がっていくことを実感しました。
また、毎日レンボーと決まった時間に決まった取り組みで接していたことで、関係性がかなり深まる結果となりました。これは、この3か月後に行うこととなったレンボーの胎児を超音波検査器により無麻酔で描出することに成功した取り組みに繋がっていきます。

ハズバンダリートレーニングの画像3 ハズバンダリートレーニングの画像3

これを経て実際にミラーを使い、順番に口腔内を見て、歯式をとっていきます。
ウェアラブルカメラを装着して画像を中村先生にも見て頂きながら、取り組みました。

オランウータンの口腔内1

開始から2か月で取り組みは成功し、歯式は完成。
その中でこの写真のように歯茎にでき物も発見し、経過を観察、徐々に小さくなって無くなることも確認したりしました。

オランウータンの口腔内2

レンボーから始め、弟路郎も完了。

オランウータンの口腔内3

弟路郎の実施は、またの機会に。
お口の健康状態は体全体に影響を与えますよね。
よし、レイトも・・がんばろうね。

オランウータンの口腔内4

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