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更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1980)

1979年~1980年,札幌市におけるインフルエンザの流行について(PDF:169KB)

1977年ソ連で分離されたインフルエンザA/USSR/92/77(H1N1)型は1978年1~2月に日本各地でA(H3N2)型との同時流行となり抗体を保有していない小・中学生、高校生を中心に罹患率80%を超える大流行となり、札幌市においても患者数、臨時休校等の影響は1973年のB/香港/72型を上回った。1979年1~3月のインフルエンザの流行は抗体の獲得、ワクチン接種により小規模なものとなり、流行の中心は6~7才の小学校低学年であった。また、分離されたウイルスはA(H1N1)型、A(H3N2)型、B型の3種であった。(65-70ページ)

小学校で発生した急性嘔吐下痢症について(PDF:83KB)

1980年5月に札幌市内の小学校で発生した集団急性嘔吐下痢症について調査を行ったところ、便5検体中2検体にロタウィルスを検出した。また、ペア血清のNCDV(仔牛下痢症ウィルス)によるCF(アデノウィルス補給結合)試験では、27検体中8例に有意の抗体価上昇がみられた。(71-73ページ)

札幌市の海外旅行者の腸管病原菌の検索成績(昭和53年8月~55年7月)(PDF:167KB)

昭和53年(1978年)8月から55年(1980年)7月までの海外渡航者522名の検便を行い86名(16.5%)から腸管系病原菌を検出した。内訳はサルモネラ菌(66.3%)、腸炎ビブリオ菌(18.6%)、赤痢菌(11.6%)、プレシオモナス菌(8.1%)、NAGビブリオ菌(2.3%)、腸チフス菌(1.2%)であった。また同一人から複数の菌が検出された例が16名にみられた。旅行者関係者の検便では、病原菌の検出率は0.3%であった。(74-78ページ)

札幌市における先天性代謝異常スクリーニングの概況(PDF:127KB)

札幌市では1977年4月から新生児先天性代謝異常症等検査を行っている。開始年度の実施率は68.2%と低かったが、1978年度以降実施率はほぼ100%となり、1980年3月までに検査例数は59,538例となった。これまでヒスチジン血症12名を見出した。(79-82ページ)

「I-AB54,I-AB59」RIAキットによるクレチン症マス・スクリーニングの検討(PDF:169KB)

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)のマス・スクリーニングは、乾燥ろ紙血液を用い、甲状腺刺激ホルモン(TSH)または甲状腺ホルモン(T4)を指標として、ラジオイムノアッセイ(RIA)により検査が行われている。今回T4測定用2抗体法RIAキットについて、その測定法に基礎的検討を加えた結果、乾燥ろ紙血液3ミリディスク1枚で検査が可能であり、かつ検査に要する日数を短縮でき、即日判定を可能にした。(83-88ページ)

クレチン症マス・スクリーニング用キットSD-8549の基礎的検討(PDF:155KB)

クレチン症は甲状腺ホルモンの欠乏により、発見が遅れると身体の発育遅延、非可逆的な知能低下をきたすが、出生後の早期発見、早期治療により良好な予後が期待できる疾患であり、その発生頻度はおよそ4,000人に1人と高い。現在クレチン症のマス・スクリーニングは出生直後の乾燥ろ紙血液を用いて甲状腺ホルモン(T4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定することで行っている。今回、クレチン症マス・スクリーニングのために開発されたキットSD-8549について基礎的検討を行ったところ、測定手技のカンベンさ、測定値の信頼性、経済効果に優れ、有用であった。(89-93ページ)

ラジオイムノアッセイによる乾燥ろ紙血液を用いたサイロキシン結合グロブリン測定法の検討(PDF:149KB)

サイロキシン結合グロブリン(Thyroxine binding globulin :TBG)は甲状腺ホルモン(T4、T3)の特異的な結合蛋白である。血中TBG濃度は性ホルモン、肝疾患、遺伝学的要因により変動しT4濃度に影響を及ぼすことから、甲状腺機能を正しく評価するためにはT4、T3と同様にTBGの測定も必要である。今回、血清サイロキシン結合グロブリン測定用RIAキットを用いて、測定法に改良を加えた結果、乾燥ろ紙血液中の微量TBGの測定が可能となった。(94-99ページ)

札幌市におけるTSH,T4同時測定によるクレチン症マス・スクリーニングの検討(PDF:182KB)

1978年6月から1980年6月まで45,681例の新生児についてスクリーニングを行い、クレチン症9例を発見した。これらは全例原発性甲状腺機能低下症であり、二次性、三次性のものは認められなかった。T4によるスクリーニングは、TBG異常症や低出生体重児で異常値を示し、また正常と異常の境界領域が不明瞭であり、TSHに比べて再採血や性差が極めて多くなる。しかしT4測定により二次性、三次性の疾患を発見できると共に、TBG異常症をも発見でき、クレチン症マス・スクリーニングとしてTSH、T4の同時測定が最も望ましいと考えられた。(100-106ページ)

カドミウム-銅カラム法とイオンメーター法による飲料水中の硝酸性窒素定量法の比較検討(PDF:133KB)

飲料水中の硝酸性窒素の濃度を測定するため、pH4前後でイオンメーターにより電位差を測定する方法を検討したところ、従来法のカドミウム-銅カラム法と良好な相関を示した。(107-111ページ)

羊毛防虫加工剤オイランU-33の含有量実態調査(PDF:96KB)

羊毛製品の防虫加工剤オイランU-33の分析法について、ディルドリン公定法と鹿庭らの方法を対比検討するとともに、羊毛製品(カーペット、衣類など)の含有量を調査した。いずれの方法も直線性、再現性とも良好であった。また市販のカーペットおよび玄関マットの一部から80~1,800ppm程度オイランU-33が検出されたが、衣類などの製品からは検出されなかった。(112-115ページ)

畜産食品中の合成抗菌剤の残留に関する研究(第3報)-クロピドールの市販鶏卵中の残留について-(PDF:71KB)

合成抗菌剤クロピドールの市販鶏卵中での残留量をECD-ガスクロマトグラフィーにより測定した。1パックを1件として調査したところ、29件中4件から0.01~0.02ppmの濃度範囲で検出された。また、残留量の約80%は卵白中に含まれていた。(116-117ページ)

畜産食品中の合成抗菌剤の残留に関する研究(第4報)-ニワトリにおけるクロピドールの消長について-(PDF:60KB)

市販鶏肉中より検出されることがある合成抗菌剤クロピドールについて、ニワトリに経口投与し、生体内における消長について調べたところ、休薬後72時間でほとんどの組織に残留を認めなかった。そのため、と殺前7日間の休薬機関を守るとともに、その前半の糞尿掃除を行うことにより、市販鶏肉中のクロピドール残留を防ぐことができる。(118-119ページ)

食品中のスズ比色定量法の検討(第1報)-ピロカテコールバイオレットによるスズ比色定量時のリンの妨害について-(PDF:130KB)

魚肉食品のようなリンを多量に含有する場合のスズ定量法の基礎的検討を行った。スズとリンを硝酸で湿式分解する際、スズ・リン不溶性化合物をアルカリによって溶かし、次いで硫酸酸性とし、更にリンをのぞくためスズをヨウ化物の形でベンゼン抽出することで、ピロカコテールバイオレット法により比色定量した。本法により、スズ200μgにリン50mgの添加でも回収率99.2%、変動係数4.0%の結果が得られた。(120-123ページ)

なつみかん外果皮中のカルバリル(NAC)定量法についての検討(PDF:133KB)

なつみかん外果皮中のカルバリル(1-naphthyl N-methyl carbamate, NAC)公定分析法の追試を試み、フロリジルカラムの溶離液をn-ヘキサン・アセトン(9時01分)とし、さらに、NACをモノクロルアセチル化した後、ECD-GCを行い好結果を得た。また、ベンゼン抽出を行うことで、有機塩素系及び有機リン系農薬とNACの同時抽出が可能となった。(124-128ページ)

酵素法による食品中のL-グルタミン酸モノナトリウムの含有量調査について(PDF:127KB)

L-グルタミン酸脱水素酵素を用いたキットによって、みし、しょうゆ、かまぼこ、魚肉ソーセージ・ハム、味付けのり及びインスタントラーメン粉末スープ、計39検体中のL-グルタミン酸モノナトリウム含有量長鎖を行った。その結果、インスタントラーメン粉末スープにおいて10%前後の検出があり、次いで味付けのりで平均4.4%の検出となった。(129-133ページ)

悪臭測定におけるアンモニア分析法の検討について(PDF:95KB)

アンモニアの分析法としてインドフェノール法、溶液吸収法(0.5%ホウ酸吸収液使用)、テドラバック法、ホウ酸ろ紙法の各法について、公定法との比較、検討を行ったが優劣の判定には至らなかった。(134-136ページ)

ジフェニル系化合物による水域環境汚染に関する調査研究(第2報)-アルカリ分解を利用した底質中フェニルエーテルのガスクロマトグラフィーによる定量法の検討-(PDF:93KB)

水質中フェニルエーテルの定量法として、アルカリ分解を利用したガスクロマトグラフィーによる方法を検討したところ、泥状ケイソウ土を模擬資料とし添加回収試験を行ったところ、92~97%の回収率であった。また底質10gを用いたときの検出限界は0.2ppmであった。(137-140ページ)

滴定法と溶存酸素計によるBOD試験の比較検討(PDF:93KB)

溶存酵素計によるDOの測定は、従来法に比し、簡便で妨害物質が少ないという利点がある。そこで、今回従来法と比較検討を行ったところ、BOD試験法として十分に代わりうるとの結論を得た。(141-144ページ)

「四塩化炭素抽出-赤外線分析法」による油分の簡易定量法について(PDF:142KB)

低濃度の油分測定について、nヘキサン抽出の重量法と四塩化炭素抽出の赤外法を比較検討したところ、赤外法においてより高い回収率が得られ、特に重油法では差が顕著であった。(145-149ページ)

札幌市河川水質の傾向及び季節変動について(PDF:193KB)

札幌市の河川水質の季節変動を明らかにするため時系列解析を行ったところ、BODは水質の良好な地点ほど明らかな季節変動を示した。またDOは水温の影響で季節変動した。一方でpHの傾向線は変化が大きく、各地点によって異なる結果となった。(150-162ページ)

原子吸光法による水質中ニッケルの分析法の検討(PDF:78KB)

水質中のカドミウム等の分析に用いている「DDTC-クロロホルム抽出-塩酸逆抽出-原子吸光法」により、市内の河川水、工業排水のニッケルの定量を行ったところ、河川水のニッケルはすべて0.01mg/l以下であり、工業排水では44検体中3検体に検出され、最高は0.15mg/lであった。(163-166ページ)

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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