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更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1976)

1975年インフルエンザ流行予測調査(PDF:83KB)

1972年以降私たちは札幌市におけるインフルエンザ流行像解明のため公衆衛生部・保健所・教育委員会・各学校と共同で実態調査を行っている。1975年は市内の小学生を対象に1月と9,10月の2回、それぞれウイルス代表株に対するHI(血球凝集抑制)抗体価を測定した。既存のA-香港株に対しては1月、9,10月とも抗体飽和の状態であり、B型に対しては9,10月では抗体保有率は約50%であった。(49-52ページ)

1975年札幌市におけるインフルエンザの流行について(PDF:314KB)

前年に引き続きウイルス分離ならびに血清疫学的調査により、札幌市におけるインフルエンザ流行の実態調査を行ったところ、2月にA/東京/6/73(H3N2)型による小流行が確認された。また12月からの流行はA/東京/75型とA/Victoria/75型によるものであり。それぞれのウイルス株に対して市民の抗体保有率はそれぞれ43%、11.8%と低いためかなりの流行になることが予想される。(53-59ページ)

1975年における札幌市民の風疹の血清疫学調査(PDF:224KB)

1975年は数年振りの全国的な風疹の流行があった。私たちは1974年に引き続き札幌市民の風疹HI抗体保有状況を調査したところ、3~6才におい陰性率は87.9%と高く、流行の一因となると考えられた。(60-62ページ)

札幌市居住者の毛髪重金属濃度-性別並びに年齢別濃度について-(PDF:216KB)

毛髪重金属濃度の性別年代間検討を行った。その結果、Hgでは男性が高値を、その他の元素では逆に女性が高値を示した。また、男性においては、Hgでは30~50才代にピークがあり、Cd、Pbでは60才代で有意に低く、Znでは年齢とともに上昇し、Cu、Mnでは年代間の差が認められなかったが、女性においては、各金属とも年代間でバラツキが大きく、ほとんど有意差を認めなかった。(63-75ページ)

水に混入した油の分析(第2報)(PDF:173KB)

第1報に続いて水中の灯油、軽油の分析法について検討した。n-ヘキサンによる抽出回数は10ml×3回が適当であった。臭気濃度による濃度推定では、灯油の数ppmの差を感知することができなかったが、嗅覚閾値が0.05~0.1ppm程度であることがわかったため、閾値前後の低濃度汚染の量的把握に使用可能であった。熱分解装置を用いた高沸点油の分法についてはさらなる検討が必要である。(76-84ページ)

家庭用品中の有機水銀化合物の分析(PDF:214KB)

家庭用品に用いられる化学物質の規制が昭和49年(1974年)に実施され、これに伴う試験方法が定められた。このうち有機水銀化合物に関する試験法で、還元気化法を用いる場合には2時間の還流分解が必要であるとしているが、私たちはこの分解操作を用いないアルカリ法が適用できないか検討した。その結果、酢酸フェニル水銀は、システイン・アセテート抽出溶媒でも定量することができたが、塩化メチル水銀については、メルカプト基(SH基)の妨害により定量は困難であった。(85-88ページ)

水中のアクリルアミドについて(PDF:53KB)

昭和49年(1974年)3月、福岡県で地盤凝結剤として用いられるアクリルアミドを原因とした「新宮病」が発生し、同年内に飲料水基準が制定され、翌1975年2月には検査法が定められた。私たちは公定法の検討と市水道給水せん水、地下水及びし尿浄化槽放流水について測定を行った。その結果、公定法は定性試験には使用可能だが、低濃度における直線性がなく、再現性に乏しい上、基準前後以下の汚染量を把握するには感度が足りなかった。市水道給水せん水、地下水及びし尿浄化槽放流水からのアクリルアミドの検出はなかった。(89-92ページ)

食品中のニトロソアミンの研究(第1報)-ECD付ガスクロマトグラフィーによる食品中のジメチルニトロソアミンの分析について-(PDF:319KB)

ニトロソアミンの人体に対する発がん性などの有害性については、1956年MageeとBarnesによってはじめて報告されたが、近年食品中の第二級アミンが亜硝酸と反応してニトロソアミンを生成することが明らかとなった。ニトロソアミンの定量法としては、薄層クロマトグラフ法、比色法、ポーラログラフ法、ガスクロマトグラフ法などがあるが、食品からの分析は低濃度でありこと、回収率の低さなどに問題がある。そこで、私たちはニトロソアミンの中でも特に毒性が強いといわれるジメチルニトロソアミンについて、ECD付ガスクロマトグラフによる検出を試みたところ、0.5ppbまでの検出が可能であった。(93-99ページ)

食品、容器包装中のフタル酸エステル(DBP,DOP)の検出法について(PDF:115KB)

新しい環境汚染物質であるフタル酸エステルは、既存の検出法に若干の問題を含んでいる。私たちは特に前処理の困難な脂肪食品及びその合成樹脂容器包装中のフタル酸エステル類の検出方を検討したところガスクロマトグラフィ(FID)でアセトニトリル分配によりによりフタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチルを分離・定量することができた。また、5%酢酸エチル含有n-ヘキサンとフロリジルカラムにより前処理におけるクリーンアップは可能であった。(100-104ページ)

河川の汚染状況調査(第5報)豊平川(札幌市)に棲息する魚類中の農薬・PCBについて(PDF:378KB)

私たちは昭和47年度(1972年度)から有害物質による汚染状況を把握するため豊平川に棲息する魚類中の農薬・PCBを調査している。ふくどじょうの1975年度における塩素系農薬含有量は、Total-BHC、Total-DDT、ドリン剤ともに1973年度に比べて減少していた。有機リン系農薬は、ふくどじょう、幌平橋うぐい、雁来橋うぐいの可食部及び内蔵の全てで検出されなかった。(105-111ページ)

河川の汚染状況調査(第6報)茨戸に棲息する「ふな」中の重金属について(PDF:284KB)

札幌市における河川の環境汚染把握調査の一環として、札幌市郊外茨戸において採取した「ふな」について水銀・カドミウム・鉛・ヒ素の分析を行った。水銀については総水銀・メチル水銀とも暫定的規制値を下回っていた。カドミウム、鉛、ヒ素についてはともに微量検出されたが、海産魚に比べて低い値であった。(112-115ページ)

食品・容器包装中の塩化ビニルモノマーについて(PDF:119KB)

1973年、米国で塩化ビニル樹脂製ボトル入りのウイスキーから塩化ビニルモノマーが検出され、わが国でも容器包装、食品中に塩化ビニルモノマーが残留することを認めその人体への毒性と合わせて問題となった。私たちは塩化ビニル樹脂、食品中の塩化ビニルモノマーの試験方法を検討したところ、86~94%の良好な回収率が得られた。また、実態調査によ容器検体55件中9件から1ppm以上が検出され、そのうち5件では食品への移行も認められた。1974年後半以降の製品についてはすべて不検出だった。(116-121ページ)

悪臭防止法におけるアンモニア捕集用硫酸濾紙の作製法の検討(PDF:65KB)

悪臭防止法において告示されているアンモニアの環境濃度の測定法は、試料採取法として硫酸濾紙を用いている。しかし、この測定法では実験室内空気による汚染のため、NH4+として20~40μgの高いブランク値があり、精度に問題があった。今回、真空乾燥法を試みたところ、従来よりも良好な結果を得た。(122-124ページ)

茨戸川水域の水質についての統計学的解析(Ratio-Matching法)の試み(PDF:199KB)

茨戸川水域は創成川、伏籠川、旧発寒川よりなるが、創成川は豊平川中流より分岐して都心に入り、市の中央部を縦断して最北端の茨戸にて二河川と共に茨戸川に合流している。私たちは1974年度に行われた河川水質調査の中から、創成川を中心に13地点を選び、その地点で得られたDO、BOD、COD、SS、大腸菌群、ABSの検査データからRation-Matching法により、河川の水質の不連続性を検討した。その結果、豊平川藻岩橋-創成川対山橋、創成川北22条橋-創成川創橋、創成側麻生橋-創成川北2番橋でそれぞれ連続的な類似性は観測されず、異質の水が相当量流入していることがわかった。一方で、創成川対山橋-創成川南大通橋・北9条橋、及び創成川北2番橋-創成川耕北橋、茨戸橋では類似性が認められた。三河川合流地点(茨戸橋)と合流3河川の類似性は、創成川耕北橋との間でもっとも高く、次いで旧発寒川旧発寒橋であり、伏籠川伏籠橋との類似性は認められなかった。(125-133ページ)

原子吸光法によるアンチモンの測定(PDF:64KB)

アンチモンは環境水準及び水質汚濁防止法のいずれにも規制されていないが、毒性の強い元素であり、札幌市では昭和50年度(1975年度)から河川水中のアンチモンを測定することになった。分析法としてはローダミンB比色法があるが私たちは原子吸光法について検討したところ、抽出可能なpH領域が広く、実際の河川についても測定が可能であった。(134-137ページ)

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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