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更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1993)

1992~1993年の札幌市におけるインフルエンザの流行について(PDF:111KB)

今季の札幌市におけるインフルエンザの分離状況は1992年12月A香港型・B型ウイルスがたてつづけに分離され、A香港型を主流としてB型が混在する形で1993年1月まで経過した。1993年2月に入りA香港型からB型に流行の主流が移り3月-4月にはB型のみの流行となった。(47-50ページ)

札幌市内の冷却塔水におけるLegionella属菌の検出状況について(PDF:232KB)

札幌市内の特定建築物における冷却塔水のLegionella属菌の検出状況を知るために、平成3,4年に35施設の冷却塔について調査したところ、15施設からLegionella属菌が分離され、検出率は42.9%であった。また、分離されたLegionella属菌はすべてLegionella pneumophilaであり、1群が15株、4群が1株であった。
次に平成4年度は冷却塔の清掃後におけるLegionella属菌数の経日変化を調査し、除菌剤による抑制効果について検討したところ、除菌剤を使用したところ、除菌剤を使用した場合約2週間程度は増殖を抑制できることが確認された。(51-56ページ)

札幌市において3事例に検出したVero毒素産生大腸菌について(PDF:133KB)

1992年7月~10月の間に分離した3例の散発事例由来のE..coliO157について菌株のVero毒素産生性、生化学性状及び薬剤感受性について調査を行った。その結果、Vero毒素産生性、生化学的性状では米国で検出したE.coliO157/H7(EDL931)と一致したが、薬剤感受性ではテトラサイクリン系感受性で感受性で異なるものがが見られた。(57-59ページ)

ラテックス免疫比濁法による尿中β2-ミクログロブリン測定の基礎的検討(PDF:133KB)

腎尿路系疾患の尿中指標として有用な尿中β2-ミクログロブリンの生化学自動分析装置を用いたラテックス免疫比濁法による迅速・簡便な定量法を検討した。その結果、従来法として知られるELISA法との相関性や測定値の再現性も良好であった。また、1時間あたり50検体のβ2-ミクログロブリンとクレアチニンの同時測定が可能であり、大量検体処理の必要なマス・スクリーニングのための測定法として優れていることが確認された。(60-63ページ)(PDF:131KB)

札幌市における神経芽細胞種スクリーニング結果(1992年度)(PDF:338KB)

札幌市では、生後6ヶ月と1歳2ヶ月の乳幼児を対象にした2回目の神経芽細胞腫マス・スクリ-ニングを実施している。1992年度、生後6ヶ月のスクリーニングにおいて、15,342人の検査を行い、新たに3例の神経芽細胞腫患児を発見した。このうち1例は初回調査だけの結果により精密検査とした本症スクリーニングでの初めての例である。
生後1歳2ヶ月のスクリーニングは11,378人が受検したが発見例はなかった。しかしながら、精密検査となった例の尿中には、予後不良な神経芽細胞腫患児の尿中に出現するVLA、DOPAC、dorpamine等の異常排泄が認められた。(64-66ページ)

L-Methionine γ-lyaseを用いる乾燥濾紙血液メチオニンの微量ケイ光定量法の開発(PDF:279KB)

新生児先天性代謝異常症マス・スクリーニングの対象疾患の1つホモシスチン尿症の新しいスクリーニング法として、乾燥濾紙血液中のメチオニン(Met)をL-Methionineγ-lyase(Met-Lyase)を用いて酵素的に測定する微量ケイ光定量法の開発を試みた。最終的なケイ光検出反応として、酵素反応の生成物2-オキソ酪酸(2OB)をロイシン脱水素酵素(LeuDH)との共役反応を利用したNADHのケイ光減少量として測定する系と、もう一方の反応生成物アンモニア(NH3)をオルトフタルアルデヒド(OPA)と2-メルカプトエタノ-ル(2ME)の中性域での特異ケイ光を利用して測定する系につき、それぞれ基礎的条件検討を行った。(67-74ページ)

乾燥濾紙血液Pheの微量ケイ光定量法:Phe脱水素酵素法とNinhydrine-Peptide法の比較(PDF:214KB)

フェニルケトン尿症の新しい新生児マス・スクリーニング法として開発されたPheの微量ケイ光定量法につき、原理的に異なる2法を比較検討した。一方はフェニルアラニン脱水素酵素(PheDH)を用いNADHのケイ光を測定する方法(PheDH法)で、他方はPheがジペプタイド;Leucyl-Alanineの存在下、Ninydrine(Nin)と特異的な発ケイ光体を生成することを利用した方法(Nin-Pep法)である。いずれもスクリ-ニング法として実用的な優れた方法であるが、ルーチン検査への導入にあたっては、それぞれの特徴を十分理解した上での選択・運用が望まれる。(75-79ページ)

時間分解蛍光法によるFT4測定―妊婦甲状腺機能検査への応用―(PDF:164KB)

乾燥濾紙血液をサンプルとした妊婦甲状腺機能検査への応用を目的として時間分解蛍光法によるFT4測定の検討を行った。この方法の再現性は、7.1-11.0%と良好で測定感度も0.16ng/dlと高感度であった。従来使用してきたラジオイムノアッセイ(RIA)法による測定キットであるアマレックス-MFT4での測定値との間には、相関係数r=0.96の良好な相関関係が認められ、その平均値もほぼ一致した。また、平均値の妊婦週数による推移も従来と同様な傾向を示した。さらに従来法でFT4高値となった抗T4抗体陽性者において正常範囲の測定値を得た。以上により本方法は乾燥濾紙血液をサンプルとした妊婦甲状腺機能スクリーニングに有用な方法と考えられる。(80-84ページ)

学発光免疫測定法による乾燥濾紙血液中TSHの測定と妊婦スクリーニングへの導入(PDF:147KB)

乾燥濾紙血液をサンプルとした妊婦甲状腺機能検査に化学発光免疫測定法(CLIA)によるTSH測定法を導入し、1年間スクリーニングを実施した。この方法は検出感度が0.14μIU/ml、測定内及び測定間の変動係数が29-77%と高感度で再現性がよく、スクリーニングされた妊婦のTSH値を妊婦週別に比較すると、妊婦前期にその平均値の減少が認められた。FT4高値のバセドウ病妊婦ではTSH値が感度以下に抑制され、甲状腺機能低下症の検出率は従来法と変わらなかった。(85-89ページ)

生児期特異IgE測定の基礎的検討(PDF:178KB)

小児アレルギ-の発症について新生児期Total-IgE、アレルギ-家族歴を中心に検討を行ってきた。今回乾燥濾紙血液中の特異IgEの測定を化学発光免疫法に検討し、高感度の測定法を確立することができた。さらに新生児期における乾燥濾紙血液中の特異IgEの測定を行った結果、すでにこの時期においてミルクをはじめとするアレルギン特異IgE抗体の陽性例が認められた。(90-94ページ)

スラブ式ポリアクリルアミド電気泳動法によるLpXの検出(PDF:813KB)

先天性胆道閉鎖症(CBA)の確定診断法として、胆汁うっ滞時に血中に特異的に出現する異常リポ淡白(LpX)を検出するスラブ式ポリアクリルアミド電気泳動法を開発した。本法を用いることによりリポ蛋白分画(VLDL、IDL、LDL、HDL)像が明瞭となり、同じIDL画分である動脈硬化性リポ蛋白Lp(a)との分離も良好となった。また、新生児先天性代謝異常症等のマス・スクリーニングと平行して、本症のマス・スクリーニングを行う目的で、本法により乾燥濾紙血液中のリポ蛋白分画を試みたが、リポ蛋白像は乱れ、分画が不可能であることが判明した。(95-101)

固相抽出法を用いた地下水からのフタル酸エステル類の分析法について-第一報-(PDF:141KB)

地下水中より6種類のフタル酸エステル類(以下PAE類)を簡単な操作で固相抽出を行いHPLCで一斉分析する方法を試みた。
PAE類のうちフタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチエル(DEP)、フタル酸ジ-n-プロピル(DPP)フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸-2-エチルヘキシル(DEHP)の6種類について固相抽出用カートリッジAdsorbexRP-18を用いて濃縮及び溶出方法の検討を行った。その結果、添加回収率は82.2%の精度であった。定量分析はグラジェント法を用いたHPLC法によった。充填剤に逆相系を用いて高感度に定量することができた。6種類の添加回収による相関係数の平均はr=0.924であった。(102-105)

土壌による低沸点有機塩素系化合物の吸着特性(PDF:220KB)

トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及び1,1,1-トリクロロエタンによる地下水汚染が問題となっており、その汚染機構は土壌と密接に関わっていることから、有機物含有量等の性質の異なる土壌3種を用い、高濃度のトリクロロエチレン等の溶液を土壌に添加した場合の吸着および溶出特性について検討を行った。
吸着実験の結果、どの土壌においても吸着等温線はフロインドリッヒ式によく従った。また、Kd泥炭土で高かったが、硬質土壌間には有意な差はなかった。
また、溶出実験においても泥炭土で鉱質土壌と比較して、溶出し易いことが認められた、鉱質土壌間に溶出パタ-ンの差は認められなかった。
以上から、高濃度の添加ではトリクロロエチレン等は多段層吸着を行うと考えられた。また、吸着、溶出とも有機物含有量以外の要因により左右されると推察された。(106-111)

蛍光検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーによる食肉中の残留サルファ剤の定量について(PDF:175KB)

食肉中に残留するサルファ剤10種類について蛍光検出器付高速液体クロマトグラフィーによる一斉分析を試みた。試料からの抽出にはアセトニトリルを用い、クリーンナップにはアルミナカラムとSep-PakC18カートリッジを使用した。蛍光誘導体化試薬ぬフルオレスカミンを用いることにより高感度な定量が可能となった。各サルファ剤の添加回収率はそれぞれ70%以上の結果が得られた。(112-116)

ショ糖脂肪酸エステルの分析に影響を与える食品成分について(PDF:139KB)

食品中のショ糖脂肪酸エステル(SuE)を分析する上で影響を与える食品成分について考察した。考慮した食品成分は脂肪、蛋白質,炭水化物、糖分及び水分含量でおのおのを主な成分とする食品を試料として用いた。食品成分の影響を調べるために各試料にSuEを添加してその添加回収率を求める方法をとった。その結果として試料の水分含量が低いと回収率が低くなる、またショ糖の存在が回収率を著しく下げるということがわかった。(117-120)

食品中の放射能測定における測定時間の影響について(PDF:127KB)

134Cs、137Csの測定に用いているGe半導体分析装置では一般的に測定時間が長ければ測定値のばらつきは小さく、短ければ大きい。そこで輸入食品の放射能濃度と測定時間を変えて繰り返し5回ネットカウントを測定して求めた。その結果、測定時間60,000秒としても放射能濃度の測定は可能なことが分かった。(121-123)

ゲル浸透クロマトグラフィーを用いた農作物中残留農薬の一斉分析法(PDF:516KB)

有機リン系20種類及びカーバメ-ト系13種類の計33種類の農薬を分析対象とした。これら農薬の分析において抽出からクリーンアップ法としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いた自動前処理装置を新たに開発して、操作を自動化することにより、簡易で迅速な実用性のある一斉分析法を検討した。
本法によるFPD検出器を用いた有機リン系農薬の分析では妨害ピークもなく、回収率はジクロルボスを70%以上と良好であった。またFTD検出器を用いたカ-バメート系農薬分析では一部の農作物で共存物質による妨害が見られたが、オキサミル、ジクロフルアニドを除いて60%以上の回収率が得られた。(124-132)

札幌市における降水中の水素イオンの挙動について(PDF:136KB)

平成元年から平成4年まで当所で採取した降水量が4mm以上の8降水について、水素イオンの挙動を調べたところ、ほとんどの水素は4つのパターンに分類できた。しかし、デ-タ7は水素イオンと導電率が増加しているが、導電率の増加に寄与する硫酸イオンなどは減少する異なったパターンを示した。
これはカルシウムイオンの減少率が降水量3mm目以降で大きく、カルシウムが寄与する中和反応が減少したので水素イオンが相対的に増加したたためと考えられる。また、水素イオンの当量イオン導電率は他のイオンに比較して約5倍大きいので、他のイオンが減少しても水素イオンの増加により導電率が増加したと考えられる。(133-136)

非分散赤外分光光度法による都市大気中の二酸化炭素の定量(第1報)(PDF:165KB)

非分散赤外分光高度法による連続測定器を用いて平成3年5月から平成4年3月までの1年間、札幌市における大気中の二酸化炭素濃度を測定した。この結果大気中の二酸化炭素濃度は351-380ppmの範囲に全測定数の70%が該当していた。また、各月における時間割の平均値は1日の最大値と最小値の差が大きい秋季と冬季の2つのパタ-ン分けることができた。さらに月別の濃度の平均値は夏季に低い値を冬季に高い値を示したが、これは夏季の光合成による二酸化炭素の吸収と冬季の暖房による二酸化炭素の発生量の増加に由来するものと考えられる。(137-140)

水生生物を指標とした札幌市内2河川の水質調査(1)(PDF:314KB)

厚別川と真駒内川の上流、中流、下流について水生生物調査を行い、水質を評価した結果、概ねosからβ-msが得られた。また、現在、全公研(全国公害研協議会)が調査検討している新評価手法のBMWP(Biological Monitoring Warking Party)法と従来法の方法について比較検討した結果相関が認められた。(141-146)

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札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

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