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更新日:2024年12月14日

アジアゾウの同居訓練について

アジアゾウの雌4頭

アジアゾウは、野生では雌とその子どもたちは群れで過ごしますが、雄は大きくなると群れから離れて基本的に1頭で生活し、繁殖時などには群れに近づいたり、出入りしたりします。

このように雄・雌で過ごし方に違いがあるため、雄・雌を常に一緒の空間で飼育するには、とても広大な環境が必要となります。そのため、動物園では、成長した雄のために、1頭で過ごせる環境を整えています。そして雄は、時には他個体と自然な交流が行えるようにすることが動物福祉上大切であり、例えば、隣接する飼育場で過ごし、柵ごしに鼻をふれあえるようにしたり、雌たちの生活する姿が見えたり、気配が感じられたりするように、飼育する上での工夫を行っています。

また、同居訓練も行います。これは、繁殖や動物福祉向上を目的として行います。訓練の方法としては、同居に際して、餌を与えて落ち着かせたり、同居時間を様子を見ながら延ばしていったりと、状況を見ながら進め、個体同士で関係性を確認したり、深めてもらったりします。この訓練は、ゾウ同士の相性や個体の成長に応じて調整が必要であり、一度同居が成功しても、その後また分けて飼育しなければならない場合もあります。

当園ではこれからも、ゾウの特性に加え個々の性格や状態をしっかりと見極め、ゾウ達の動物福祉向上に努めていきます。

これまでの同居訓練

導入後の雌の同居

2018年11月にミャンマーから4頭のゾウがやってきました。2019年4月から雌3頭での飼育を開始しましたが、2021年1月頃からシュティンとパールの間で闘争が見られるようになってきました。パールの成長に伴い個体間の関係性が変化してきたようです。同年3月にはシュティンが右耳にケガをしたこともあり、雌3頭の同居は一時中断しました。

繁殖のための同居

雄との同居

2021年2月頃より、パールと雄のシーシュの繁殖を目的とした同居を開始しました。最初は日中の短時間同居から始め、状態を見ながら終日同居へと移行しました。シーシュとパールの同居は、その後パールの出産3週間ほど前まで継続しました。

タオ出産後の雌の同居

分離飼育の様子 寝ている姿

2023年に産まれたタオに強い興味を持ち、柵越しに交流していたシュティンとニャインとの同居訓練を開始しました。ニャインとの同居訓練は2023年の10月頃から、シュティンとの訓練は翌年1月頃から開始し、それぞれ40回以上の同居訓練を行った後、4月中旬には4頭の終日同居ができるようになりました。

 

 

今後の同居について

3頭同居

次の繁殖を見据えて、雄と雌の同居訓練を、再開していきます。雄のシーシュとシュティン、またはシーシュとニャインの同居訓練となります。お互いの成長にともない、関係性も変わっていくので、同居の経過を丁寧に観察し模索していていきたいと考えています。

2024年12月11日にはシーシュとシュティンの同居訓練をいたしました。シュティンは出産の経験があり、今後の繁殖に向けて、相性や関係性を見るため同居の経過を見ていこうと考えたところです。この日の同居訓練においては、シーシュの右牙の先端が折れてしまい、シーシュの牙でシュティンが擦過傷を負ってしまったことから、今後の同居訓練は一時中断し、屋外を含めて使える暖かい時期に再開できないか検討しており、慎重に判断していきたいと考えています。なお、擦過傷は幸い深いものではなく、適切に消毒処置等を進めております。

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