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コツメカワウソ「イヨカン」
当園では、雄「サン(2011年7月25日生まれ、14歳)」、雌「イヨカン(2010年9月26日生まれ、14歳)」の2頭のコツメカワウソを飼育しています。
コツメカワウソは、JAZAの種管理計画に基づき血統的に優先度の高いペアによる繁殖計画が進められているところです。当園の「サン」と「イヨカン」につきましては、血統の優先度があまり高くないことに加え、飼育下の寿命が15年程度といわれているコツメカワウソの中では高齢であり、母体への負担や加齢による仔の生存率低下を考慮した結果、繁殖は行わないこととし、繁殖制限のため雌雄を分け単独で飼育しています。
コツメカワウソは野生下では十数頭程の群れを作って生活し、仲間同士でコミュニケーションをとる動物であり、当園の「サン」と「イヨカン」も檻越しにコミュニケーションを図ろうとする様子が見られていますが、彼らの生態と比較して十分な接触ができないため、動物福祉上の問題が生じています。特に「イヨカン」は常同行動(同じ動作を繰り返す行動)や自分の手をかじるなど、ストレスが原因と思われる異常行動も観察されるようになってきており、原因の1つに別個体とのコミュニケーションが取れないことが関係していると予想されます。このため、雌雄2頭を同居することができれば異常行動の低減や解消が期待されます。
ただし、同居させるには繁殖制限を行う必要があるため、その方法について検討をおこなった結果、「イヨカン」に性ホルモンの産生を抑制するインプラントを挿入することといたしました。インプラントの挿入には短時間の麻酔を必要としますが、できるだけ安全に実施できるよう、麻酔前には事前に血液検査やレントゲン検査等の健康診断を行います。インプラント挿入後は北海道大学獣医学部のご協力のもと、性ホルモン濃度を継続的に測定し、性ホルモンの産生が抑制されたことを確認した後、「サン」との同居を開始する予定です。
円山動物園では今後も、飼育動物の良好な動物福祉の維持と向上に努めるとともに、JAZAや他園館と相互協力しながら希少な動物種の繁殖・保全を図ってまいります。
皆様のご理解をどうぞよろしくお願いいたします。
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