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みなさんは運動で汗を流した後に、コップ一杯の冷たい水を飲み「おいしい!」と感じた経験はありませんか。水の味は、水に含まれる成分やそのバランスにより変化し、おいしさの感じ方は、飲む方の感覚や好みによるため個人差がありますが、「おいしいとされる水の要件」は、表に示す水質の目標値により規定されています。
今回は、「水のおいしさ」と「水道水をさらにおいしく飲む方法」についてお知らせします。
■「おいしさ」にかかわる水質の目標値
水質項目 |
水質の 目標値 |
内容・特徴 |
札幌市の 水道水 |
残留塩素 (mg/L) |
1以下 |
水にカルキ臭を与え、多いと風味を損なう。 消毒効果を維持するために、蛇口から出る 時点で0.1mg/L以上が必要である。 |
0.45 |
遊離炭酸 (mg/L) |
20以下 |
適量で爽やかな味を与える。 多いと炭酸水のように刺激が強くなる。 |
1.8 |
有機物 (全有機炭素(TOC)の量) (mg/L) |
2以下 |
水に渋味をつけ風味を損なう。 多いと消毒用塩素の消費量が多くなる。 |
0.6 |
カルシウム・ マグネシウム等(硬度) (mg/L) |
10~100 |
主なミネラル分である、カルシウム及び マグネシウムの含有量。 低い水はクセが少なく、高いと好みが分かれる。 |
35 |
蒸発残留物 (mg/L) |
30~200 |
適量でコク・まろやかさを与える。 多いと苦味・渋味が増す。 |
80 |
※札幌市の水道水のデータは令和5年度の白川浄水場給水栓水の平均値です。
札幌市の水道水は、水質基準に適合した「安全で安心の水質」であることはもちろんのこと、「おいしさ」に関わる水質の目標値を満たしており、おいしく飲んでいただけます。
※冷やすことで雑味やカルキ臭が感じにくくなり、おいしく感じられます。
※煮沸やレモン汁を入れることで残留塩素(カルキ臭の原因)が除かれます。保存はせずに早目にお飲みください。
水道水を飲料水として保存する場合、最も問題となるのは消毒用の残留塩素の消失です。札幌市の水道水には通常0.3~0.5mg/L程度の残留塩素が含まれていますが、時間が経つにつれて、水道水中の有機物により消費されたり、分解されたりして、失われてしまいます。
また、水温が高いほど、光が当たるほど、残留塩素が失われます。水道水を汲み置きし、残留塩素が消失すると、詰め替えの時に混入した細菌や、容器に付着していた細菌などが水中で繁殖し、水質が悪化して飲用に適さない水となってしまいます。
水道水を保存する場合は、清潔な容器に口元いっぱいに水を満たし、空気が入らないようにしっかりふたを閉めて保存するように心がけてください。
水道局では、次の期間を目安に水を入れ替えていただくことをお勧めします。
※残留塩素の減り方は、保管場所や水温、容器の材質や洗浄状況などによって異なりますので、あくまでも目安となります。
※保存容器は、事前に水道水で十分に洗浄してください。
※煮沸したり浄水器を通した水は残留塩素が残っていないため、保存には適していません。
■市販のボトル水を保存する場合
製品の保存方法や賞味期限などの記載事項をご確認ください。
クリプトスポリジウムやジアルジアは病気の原因となる微生物です。クリプトスポリジウムなどは塩素に対して強い耐性を持っているので、細菌等とは異なり、塩素消毒で死滅させることができません!
クリプトスポリジウムなどを含む水道水を飲んでしまうと下痢や腹痛を引き起こすことがあります。過去に水道水を介したクリプトスポリジウムなどによる健康被害としては、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー市(約400,000人)や日本の埼玉県(約8,800人)の事例があります。
※(左)微分干渉像:内部のつくりを目立たせる方法で撮影した写真
※(右)落射蛍光像:蛍光物質で染色し、発光させた写真
クリプトスポリジウムなどは塩素に強いですが、細菌などに比べて大きいため、浄水場で凝集剤という薬品を使って、濁りの成分と一緒に沈でん、ろ過を行うことで除去できます。浄水場では、濁りの程度を示す「濁度」がろ過後の水について0.1度(水道法で定められる水質基準値は給水栓水で2度以下)以下になるようにしっかりと管理しています。
札幌市では、定期的にクリプトスポリジウムなどの検査を行っていますが、これまで水道水中から確認されたことは一度もありません。
札幌市の水道水の水源は、ほとんどが国立公園などの森林地帯になっており、雨や雪解け水が水源の元となっています。この雨や雪解け水が森林の土の中を通る時に、おいしさにつながるミネラルを適度なバランスで含むようになります。さらに、徹底した水質の検査・監視により、いつでも安全でおいしい水を飲むことができます。一方、私たちの生活のなかで、ミネラルウォーター類はとても馴染みのあるものとなっています。
そこで今回は、水道水とミネラルウォーター類の違いについて紹介いたします。
■水道水とミネラルウォーター類の比較
以下の表は、水道水とミネラルウォーター類の「値段」と「検査項目数」の違いを比較したものです。
※1:札幌市の水道水1m³=約200円(施設の維持管理費などが含まれます)
※2:ミネラルウォーター類は食品衛生法で清涼飲料水に分類され、清涼飲料水の成分規格には一般規格と個別規格があり、個別規格の検査項目数は、除菌・殺菌工程の有無によって異なります。
水道水の水質基準項目は令和5年4月現在で51項目ありますが、多くの水質基準値でmg/Lという単位が用いられます。例えば、「銅及びその化合物」の基準値は1mg/L以下となっています。
このmg/L(ミリグラムパーリットル)とは水1L中に含まれる対象物質のミリグラム数を表します。
塩1粒の重さはおよそ0.1mgですので、1mg/Lは1Lのペットボトルの水に塩粒10個分(1mg)を溶かしたときの濃度です。
次に、トリハロメタンの一つの「クロロホルム」の基準値は0.06mg/Lであり、60μg/L(マイクログラムパーリットル)とも表現されます。μgとはmgの1000分の1の重さです。
1μg/Lとは、家庭のお風呂の浴槽には約200Lの水が入りますので、この浴槽1杯に塩粒2個分(0.2mg)を溶かしたときの濃度です。
カビ臭の原因物質である、ジェオスミンや2-メチルイソボルネオールの基準値は0.00001mg/L以下であり、10ng/L(ナノグラムパーリットル)とも表現されます。ngはμgのさらに1000分の1の重さです。
1ng/Lは25mのプール(縦25m×幅12m×水深1m:水量300m³)に塩粒3個分(0.3mg)を溶かしたときの濃度です。
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