ここから本文です。
水道は、飲用、炊事、洗濯、お風呂、トイレなど、毎日の生活に欠かすことのできない重要なライフラインです。水道局では、「水質基準」に適合する安全な水をつくり、みなさまのご家庭にお届けしていますが、水道水の安全性について不安をお持ちの方もいるかもしれません。そもそも水質基準って何?どうやって決まっているの?安全な水って…?今回は、水道水の安全を守る「水質基準」について説明します。
■水質基準ってなに?
水質基準とは、水道水の飲用、生活利用のために“水道水が備えなければならない水質上の要件”を、項目ごとに具体的に示したものです。「水道法第4条」に基づき省令により定められています。
水質基準として、水質に関する51の項目について、水道水の安全を確保する条件=“基準値”が定められています。この51項目を、「水質基準項目」といいます。
水質基準項目は、大きく分けて2つの観点で設定され、分類されています。
■水質基準値はどうやって決めているの?
水質基準を満たす水道水は安全だとされますが、具体的には何をもって安全といっているのでしょうか。健康に悪影響を及ぼす化学物質の基準値がどのように設定されているのか、一例を紹介します。
~健康に影響を及ぼす化学物質の基準値の決め方の基本~
⇒生涯にわたり水道水を飲み続けても、人の健康に影響が生じない
(または発がんリスクが十分に低い)水準をもとに設定されています。
■これからも見直され続ける水質基準…
水質基準は昭和33年に制定された後、昭和35年、昭和41年、昭和53年、平成4年の改正を経て、平成15年に全面的な見直しが行われました。従来水質基準は、全国的に問題となる項目に対して設定されてきましたが、平成15年の全面改正では、全国的には検出率が低くても、健康や生活利用上支障を生じるおそれのあるものは全て基準項目とされました。また、約10年サイクルで見直されてきた水質基準ですが、平成15年以降は、最新の知見をもとにその都度基準が見直されるようになりました。今後も、水道を取り巻く環境の変化や最新の科学的知見に従い、水質基準は見直されていきます。
残塩消毒の消毒効果により、浄水場でつくられた水道水が皆様のご家庭に届くまでに細菌が繁殖するのを防いでいるところですが、その消毒の効果が蛇口まで適切に保たれ、水道水中に細菌が繁殖していないことを確認するために水質管理センターでどのような検査を行っているのかを、一部ですが簡単にご紹介します。
■残留塩素
検査する水にDPD試薬を加え、残留塩素計で濃度を測定します。DPD試薬は、残留塩素の濃度が高いほど濃い赤紫色を示す試薬です。残留塩素計でこの色の濃さを測ることで、残留塩素の濃度がわかります。
■一般細菌
培地※に検査する水を加え、36℃の環境で24時間培養します。その後、繁殖した細菌の集落(コロニー)の数を数えます。一般細菌を含まない水道水では、写真左側のようにコロニーが全くできていないことが確認できます。
※培地とは、細菌が繁殖するのに必要な栄養分、環境を与えるための物質です。
■大腸菌
検査する水に専用の培地を加え、36℃の環境で24時間培養します。その後、検水に紫外線ランプを当てて、蛍光の有無を確認します。大腸菌が存在する場合には、蛍光を示します。
今回ご紹介した検査の他にも、水質管理センターでは水質基準項目51項目をはじめとした100項目以上の検査を行い、水道水の水質の安全を確認しています。
有機フッ素化合物とは炭素-フッ素結合を持つ有機化合物の総称で、非常に多くの種類があり、PFOSとPFOAはその一種です。これらの物質は、低濃度で優れた界面活性効果を示すことから、コーティング加工、界面活性剤、撥水剤、消火剤等として幅広く使用されてきました。熱や薬品に強く、生物による分解をほとんど受けないことから、環境中への残留性や生物への蓄積性が示されています。
PFOS、PFOAについて、今までは「要検討項目※1」に分類されておりましたが、令和2年4月1日から「水質管理目標設定項目※2」となり、暫定目標値※3として「PFOS及びPFOAの合算値で50ng/L以下」が定められております。
札幌市では、令和3年1月からPFOS、PFOAの検査を実施しております。
なお、札幌市の浄水処理工程においてフッ素添加は行っておりません。そのため今後も従来どおり安心して水道水をご利用いただけます。
このページについてのお問い合わせ