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更新日:2023年11月29日

円山動物園における今後のライオン飼育の方向性について

「クレイ」と「イト」の今後については様々なご意見をいただきました。
この度はこのことで、皆様に大変ご心配をおかけしましたことにつきましてお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
いただいたたくさんのご意見を踏まえ、あらためて様々な角度から今後の飼育方法について検討し、考え方を整理いたしましたので、その結果について報告いたします。

1 ライオンを飼育する目的

円山動物園は、動物の良好な動物福祉の確保に最大限配慮し、生き生きとした動物たちの姿を通じて、その動物たちの生態や生息地の状況などから、環境や生物多様性の大切さを伝えるとともに、動物種ごとの生息状況、飼育状況を踏まえた種の保全に取り組んでいくこととしております。

具体的にどのような動物種を飼育・展示するかについては、円山動物園の運営方針である「札幌市円山動物園基本方針ビジョン2050」に基づいて「飼育展示していく動物種」において定めております。この中では、飼育・展示する動物について、2050年を見据えて、絶滅に瀕した動物を保護・繁殖し保全する必要性や、環境教育の効果、良好な動物福祉を確保できるかなどを検討し、分類しています。

その中でライオンは、アフリカの生態系で食物連鎖の頂点に立つ象徴的な動物であり、環境教育の役割を担う上で貴重であることから、継続して飼育・展示する動物種と分類しており、今回は、その目的のために飼育することといたしました。

2 動物福祉について

ライオンは群れで暮らす動物であり、最も動物福祉が良好な状態は、群れで繁殖ができること、その次に良好な状態は、複数頭で暮らせる状態であることとなります。

繁殖についてですが、国内におけるライオンの飼育状況が既に飽和状態にあり、種を維持するうえで十分な頭数がいる状況であることから、(公社)日本動物園水族館協会では繁殖を推進する種には指定しておりません。

このような国内の飼育状況を踏まえると、当園での繁殖はしないものの、次に動物福祉が良好な状態である2頭以上で飼育していくことが重要であると考え、2頭の同居に向けて準備しております。 

なお、同居には、闘争の起こるリスクが低い、年齢が若いうちから慣れることが必要となります。

「クレイ」「イト」の2頭については、ようやく円山動物園にも慣れ始めており、円山動物園で同居に向けて慎重に状態を見つつ、引き続き大切に飼育してまいります。

3 繁殖制限について

まず2頭の相性を見ながら同居を進め、同居が可能となった場合は、繁殖を実施しないことから、2才頃の性成熟を迎える前にどちらかの個体に避妊の処置を行う必要があります。

その処置にも様々な方法があり、それぞれメリットが異なることから、どの方法が最善なのかを具体的に検討をしていくことといたします。

なお、国内の飼育頭数や血統の状況に応じて繁殖を抑制するにあたり、適切かつ安全な方法で避妊処置を進めることは、良好な動物福祉を確保する観点からも動物を飼育するにあたって全国の動物園で一般的な手法となっています。

4 施設の改修について

現在のライオンの獣舎につきましては、生息地であるアフリカの草原と岩場の環境を模し、野生におけるライオンの状況を見てもらうことをコンセプトにしたもので、屋外に1つ、屋内に2つの展示場を備えており、その他に寝室が2部屋ありますが、もともと繁殖を目的とした部屋数を備えておりません。

繁殖を行わず、2頭で飼育するには十分な飼育スペースが確保されていることから、大規模な改修は行いませんが、後肢に疾患を抱える「クレイ」の体調を考慮し、負担を軽減するための改修について検討していきます。

 

この度はたくさんのご意見をいただき、ありがとうございました。
ライオン「クレイ」と「イト」の今後について、11月9日に更新したホームページの内容に説明が足りなかった点があったこと、記載内容に配慮が足りない面があったことにつきまして、重ねてお詫び申し上げます。
今後も「クレイ」と「イト」の状態を見ながら、できるだけ良好な動物福祉を確保した飼育に努めてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

このページについてのお問い合わせ

札幌市円山動物園

〒064-0959 札幌市中央区宮ケ丘3番地1

電話番号:011-621-1426

ファクス番号:011-621-1428