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白石市立白石中学校3年 曳地爽羅
「あっ。揺れてる」振動に気付いた瞬間、けたたましい音が鳴り響いた。2024年夕方、年明けで浮かれていた空気を一変させる大災害が、能登半島沖で起こった。当時、僕は食卓を囲んで家族団欒を楽しんでいた。僕は、「このくらいの地震は、去年も起こっているし大丈夫だろう」と高を括った。しかし、それがすぐ間違いだと分かり、戦慄した。地震が起きてすぐ、テレビには津波警報が映し出され、ニュースキャスターは「逃げて」と何度も何度も呼びかけていた。僕は、いつ余震が来てもおかしくないと思い、不安な夜を過ごしたことを鮮明に覚えている。
僕は最近になって、当時のことを思い出すことが増えた。「7月に大きな地震が起こる」そんな噂がにわかに流れ始めたからだ。この噂の影響は大きく、海外では、地震を恐れて日本への旅行を控える方々もいたそうだ。僕自身は噂を信じてはいなかったが、ニュースでの専門家の話を聞いていると、昨年のことが頭をよぎり不安な心持ちだった。そこで、家族で非常食を用意したり、避難する場所を確認したりした。何があってもいいように備えたつもりだったが、実際に確認すると、どこに防災グッズがあるか忘れてしまっていて、日頃から確認することの大切さを実感した。
それと同時期に、地域の防災訓練が行われた。コロナ禍で中止になっていたものが再開され、僕たちも避難所設営をするために参加した。初めに、簡易ベッドやトイレ、テントの設営をし、5分ほどで準備することができた。その後、3人組になり土嚢作り訓練を行った。2人が袋に土を入れ、1人が袋を縛ることで、効率よく土嚢を作れた。また、がれきに埋もれた人を、ドローンを使って探すことを教わった。これらの技術はいずれも震災後に発展した技術だと、防災委員の方が教えてくれた。僕は、ベッドやトイレなどの用意が簡単になったことに驚くとともに、ドローンのような新技術に、過去の災害の教訓を生かそうという思いを感じた。
地震や災害にまつわる奇妙な噂は、結果として防災意識の向上に繋がったように思う。しかし、大切なことはそこではないのではないかと思う。僕は、目の前に「災害が起こるかもしれない」という現実が突きつけられることで、やっと防災に目を向けることができた。もし、噂が流れていなかったら。そして、明日大きな災害が起こるのだとしたら。過去の災害のことなど忘れ、あの1月1日のような日が何度も繰り返されていたのではないか。
だからこそ、僕たちのできる最大の対策は、「震災の記憶を風化させないこと」。2024年、宮城県の調査によれば、県内の小学生の約6人に1人が「東日本大震災が起きた日付を知らない」と回答している。僕自身も当時の震災を、身をもって体験した最後の世代だ。記憶を風化させてはいけない責任があると思う。
そのために僕は、2つのアプローチが必要ではないかと考えた。1つ目は、地域の防災訓練を充実させること。防災は「繋がり」だ。防災に関する意識を、地域全体で一致させれば、災害に強い共同体を作ることができる。2つ目は、災害の備えを家族で確認することだ。防災グッズを買ったのは良いものの、放置されてはいないだろうか。家族会議などを通して、道具を定期的に更新することで、明日の災害に備えられるはずだ。
この大会が開かれている今、この瞬間にも災害は起こるかもしれない。僕の話を聞いている皆さんは、災害への備えができているだろうか。備えている人、そうでない人。様々な人がいると思う。災害が起きていない今なら、まだ間に合うはずだ。一人でも多く「明日起こるかもしれない災害」に備えられることを願う。
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