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更新日:2024年1月31日

「普通」は存在しない

「男」だからスカートを穿くのはおかしいことだろうか。私は皆に問いたい。自分の常識と違ったら、それを嗤っていいのだろうか。自分が考えている「普通」と違っていたら、それを何と中傷しても良いのだろうか。

一年前、コロナ禍の影響で生徒総会が放送で実施されました。その時の出来事ですが、生徒会への要望の一つに、「男子のスカート着用を認めてほしい。」というものがありました。私の学校では、女子のスラックス、ネクタイの着用は認められていますが、一方で男子のスカート、リボンの着用は認められていません。なので、男子のスカート着用についての主張を聞いた瞬間、「やっとか!良かった!」と思いました。

しかし、その要望を読み上げる生徒会の声がやんだ瞬間、クラスの十数人から嗤いが巻き起こりました。「男子でスカート穿くとかキモ」、「誰も穿くわけないでしょ。」、「つーか誰だよこんな要望出したやつ。」嘲笑う声がクラス内を飛び交いました。あのときのことは今でも鮮明に覚えています。どうして皆がそのように言うのかが分からなくて、戸惑いと共に怒りを覚えました。もし自分達の友だちに心の底からスカートを穿きたいと思っている男の子がいたらどうするのか。このような雰囲気ではとても穿きづらいではないか。生徒総会で嘲笑う声をあげていた君たちは、身の回りの男子の誰かがスカートを穿いてきたら、嗤うのか、馬鹿にするのか。

世界では、段々とジェンダーレス化が進んできて、今では女子がスラックスを穿くことも、性転換手術を受けることも許容される時代になりつつあります。ですが、世界全体がジェンダーレス化の方向に進んでいても、偏見的、あるいは差別的な思考を持っている人は一定数存在しています。そして日本は主要先進七カ国の中で唯一、同性婚が認められていません。日本国民の同性婚に対しての意見は非常に差別的なものも多く、「子どもの生産性がない同性カップルに補助のためなどの税金を使うのは国家の損失だ。」等、心の根底にある同性愛への嫌悪感を理論で押し通すような意見を目にする度に心が痛みます。きっとそのような意見を言う人たちにとっての「普通」とは「異性愛」で、「同性愛」は異質なものであるから、嫌悪感が湧くのでしょう。

しかし、このような考えを無くしていかなければならないと私は考えます。このような差別的な、あるいは偏見に満ちた発言があるから、本当にジェンダーレス化を必要としている人たちが本心を曝け出すことができないのです。私たちは、誰かの「言ったら気持ち悪いと思われるかも。」という恐怖心を無くせるように過ごしていかなければならないと考えます。

このように考えるのは、私が個人的に同性愛をテーマにした漫画や小説を読むことがあるからでも、漫画の中に出てくる同性愛の人物が美女や美青年だから、同性愛のイメージを美化している訳でもなく、「私も当事者の一人」だと考えているからです。皆さんの周りにも、きっと明かしていないだけで、ジェンダーについて悩んでいる人は沢山います。最早自分に無関係な話ではないのです。

世界には「普通」なんて存在しません。「平均」はあるかもしれませんが、普通と平均は全くの別物です。自分の中の「普通」と一致しないから悪く言っても良い、嗤っても良いなんてことは絶対に許されません。同性愛だって、日常で私達が同性の友達同士で手を繋いだり、じゃれ合ったりするのと何も変わりません。小さな所からで良いから、ジェンダーレス化についての差別や偏見がなくなって欲しいです。

最後に、繰り返しになりますが、「普通」なんて存在しません。自分の固定観念に囚われずに、多様性を認められる社会が、一刻も早く来ることを、当事者としても、いち人間としても願っています。

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