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ホーム > 広報さっぽろ東区民のページ > 広報さっぽろ東区版8月号「いま、むかし、みらい、丘珠獅子舞130年」

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更新日:2022年9月22日

広報さっぽろ東区版9月号「いま、むかし、みらい、丘珠獅子舞130年」

丘珠獅子舞メイン写真202209

東区丘珠地域で受け継がれてきた伝統芸能「丘珠獅子舞」は、明治25年(1892年)に初めて舞が披露されてから今年で130年を迎え、伝承が途絶えてしまう危機を乗り越えながら、130年間、変わることなく、忠実に受け継がれてきました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、今年の丘珠神社秋季例祭での舞の奉納は見送られることになりましたが、伝統を次世代に受け継ごうとする地域の人たちの取り組みは続いています。今月はそんな丘珠獅子舞の今、昔、そして未来について、伝承に携わる方々にお話しを伺いました。

富山から伝わり130年札幌の伝統芸能に

丘珠獅子舞は、富山県から丘珠地区に入植した人々が故郷の獅子舞の道具を持ち込んだことで始まり、明治25年の丘珠神社創建の際に、初めて舞が奉納されました。以来、五穀豊穣や無病息災、家内安全などを祈願して、丘珠神社へ舞が奉納されてきました。
社会情勢の変化などで、昭和37年から3年間は舞が中断していましたが、当時の丘珠連合町内会長などが音頭を取り、昭和40年に「丘珠獅子舞保存会」(※)を発足、丘珠獅子舞を再興しました。昭和49年には札幌市無形文化財第一号に指定され、現在では札幌を代表する伝統芸能として親しまれています。
毎年9月の丘珠神社秋季例祭には、舞を一目見ようと多くの人が集まっていましたが、令和2年以降は新型コロナウイルス感染症の影響で舞の奉納が中止されており、今年の舞も取りやめになりました。
※現在は小学生から70代まで約60人が所属し、舞の練習や伝承活動などをしています。

地域での役割や現状について、丘珠獅子舞保存会の佐々木幸順会長にお話しを聞きました。

娯楽から地域をつなぐ役割に

明治時代に現在の富山県からの入植者たちが始めた丘珠獅子舞。「娯楽もない時代。昭和の前半頃までは、娯楽として、あとは故郷をしのんで獅子舞をやりたいという気持ちが大きかったのでは」と佐々木会長は話します。その後は、幅広い年代が集い、地域をつなぐ「核」のような役割も果たしてきました。「(若いころは)獅子舞をやっていないと地域のことが分からないなんて言われていましたよ」と振り返ります。

若い担い手不足、伝承の課題

近年は、就職などを機に丘珠を離れる若者や、地元に残っていても仕事や家庭の都合で参加をためらう若者が多く、若い担い手不足が深刻です。加えて、コロナ禍で活動を休止しているため、「せっかく自分なりの『あや』をつけて舞えるようになった人も、また振り出しから」と、伝承への影響を懸念しています。
逆風の中でも、佐々木会長は、丘珠獅子舞を次の世代に伝えていきたいという思いを語ります。「9月の例祭には、獅子舞を見に来る人が大勢いる。札幌市の無形文化財第一号だというのも、重しになっているかな。解散するわけにはいかないよ」。

佐々木会長202209-2
丘珠獅子舞保存会の佐々木幸順会長。高校卒業後から50年以上、丘珠獅子舞に携わってきました。

厄払い202209
厄払いの意味を込めて、獅子に子どもの頭をかませる。厄払いをするために、子どもを連れて丘珠に帰省する人も。

昭和40年の保存会202209
結成当初(昭和40年9月5日秋季例祭)の丘珠獅子舞保存会。(丘珠獅子舞保存会顧問の山田治仁さん提供)

子どもたちへ舞の指導をしている竹田裕さんに、次世代へ思うことについて聞きました。

子どもの成長が楽しみに

丘珠獅子舞では、獅子の前で剣や扇などを持って舞う「獅子取り」を、小学生と中高生が担います。現在所属している獅子取りは6人。指導者である「獅子取長」の竹田さんも、子どもの頃は獅子取りでした。「もう獅子舞が好きで好きで。踊りや笛の高揚感が好きでしたね」。指導者となった今では、「子どもたちが、自分よりうまくなっていくのを見るのが楽しいです」と話します。

コロナ禍も乗り越え、次世代へ

獅子取りの練習は、コロナ禍で2年以上休止しています。動きを忘れてしまうかもしれない、学年が上がるにつれて難易度が高くなる舞についていけるだろうか、など心配事は尽きません。それでも、次に舞える日に備え映像を見るなどし、舞を確認するように指導しています。今のコロナ禍を含め、伝承にはさまざまな壁がありますが、竹田さんは「和気あいあいと楽しくできるような形で残ってくれればと思います。なくさないことが一番」と次世代への思いを話します。

親子で丘珠獅子舞に携わる竹田裕さん・長男の朔玖さん

竹田さん親子202209
竹田裕さんの長男で中学校2年生の朔玖さんも丘珠獅子舞保存会のメンバーです。「3歳頃から舞を教えていました」と裕さん。小学校1年生で獅子取りとして初舞台を踏んで以来、頭振りなどを担当する父と親子で共演しています。「1つ上の先輩と同じくらいうまくなりたい、切れのある舞をしたい」。それが朔玖さんの、次の丘珠神社秋季例祭での目標です。

歴代の獅子頭をご紹介

初代
初代獅子頭202209
明治時代、富山県から入植した人たちによって持ち込まれる。丘珠小学校郷土資料室で展示。重さ:4kg

二代目
二代目獅子頭202209
明治35年から昭和40年まで、活躍。札幌村郷土記念館で展示。重さ:9.6kg

三代目
三代目獅子頭202209

丘珠神社から贈られた獅子頭。現在も、練習用として活躍中。重さ:5kg

四代目
四代目獅子頭202209

平成元年までの約25年間活躍。現在は丘珠まちづくりセンターで展示。重さ:9.6kg

五代目(←NOW)
五代目獅子頭202209

丘珠獅子舞創設100年を記念して、当時の丘珠獅子舞保存会会長から寄贈。重さ:9.6kg

ちょとのぞき見!頭振りの練習

今年の舞の奉納は取りやめになりましたが、動きを忘れないようにと、7月中旬、約2年ぶりに「頭振り」の練習がありました。

獅子舞練習1202209
練習用の獅子頭や、動きを再現できる木製の模型で、演目ごとに動きを確認。

獅子舞練習2-2202209
片手で獅子頭を持ち、もう片方の手で、顎を動かします。
練習用の3代目獅子頭の重さは5kg!(本番に使う5代目は、約10kgも!!)

獅子舞練習3202209
上下左右、前に後ろにと激しい動き。時々「ゆっくりゆっくり!」という指導の声が飛びます。
滑らかに、軽やかに、雄々しく」振る。「腕に力が入るとガクガクとした動きになるため、体全体を使うことが大切」と、獅子頭長の山本幹哉さん。

ハードな練習の後は疲労困憊の様子。「2年ぶりに舞うと、やはり重たく感じますね」(三澤哲也さん)「笛の音と合わせるタイミングをだいぶ忘れてしまっていましたが、久しぶりの練習は楽しいです」(斉藤恵一さん)と話していました。

※本特集での、丘珠獅子舞の歴史と獅子頭に関する説明は、丘珠獅子舞保存会発行のリーフレット「札幌市無形文化財丘珠獅子舞」を参考にしています。



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