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藤山 哲人(ふじやま てつひと)
技術系家電ライター
家電コーディネーター
あらゆる家電を使い込んで比較し、性能を数値やグラフにする技術系家電ライター。「家電おじさん」、「体当たり家電ライター」の異名を持つ。
ライターのかたわら電子回路や機械設計、またプログラマとしても活動し、家電の使いやすさや便利さ、内部から見た作り込みや問題点なども紹介。
TBS「マツコの知らない世界」番組史上最多の6回をはじめ、テレビ出演番組100本以上。「家電Watch」「文春オンライン」「現代デジタル」などのWeb媒体やラジオのレギュラーを持つ。
※本動画は、令和5年度に実施した、さっぽろ 省エネ家電で家計を応援キャンペーン事業で作成したコラム動画です。補助金情報など古い情報が含まれている場合がありますのでご容赦ください。
●世界トップの技術力、「パワー半導体」
日本の家電メーカーは近年「省エネ」に力を入れ、技術が急速に発達しています。家電を取り巻く様々な技術、マテリアル、コンピュータ、センサーと、家電そのものの機能を組み合わせて進化を続けてきました。特に日本は家電の中に入っている半導体の技術が優れ、世界一のレベルを誇ります。半導体はモーターの制御や火力の調整などを行っていて、その省エネ技術が世界一高いのです。こうした日本の高性能な半導体は「パワー半導体」と呼ばれ、10年ほど前から進化して世界を牽引し、シリコンやゲルマニウム、レアメタルなど新しい物質を取り入れ、世界にリードし続けています。
●エネルギー効率が良いエアコン暖房
エアコンは夏に多くの電力を使うと思われがちですが、夏に気温32℃を27℃まで下げる場合はマイナス5℃で済み、冬は気温0℃をプラス20℃くらいまで上げるので、冬は4倍のエネルギーが必要で消費電力も大きくなります。それでも、エアコン暖房はストーブなどに比べて非常に効率が良いと言えます。ガスや灯油を使うストーブはエネルギーの一部を光や音エネルギーに変換していますが、エアコンは電気のエネルギーをほぼ100%熱エネルギーに変換するため、ムダがなく効率が良いのです。冬の寒さが厳しい北海道でも、旭川くらいまでなら「エアコン暖房のほうが有利」と言われています(購入の際は寒冷地仕様エアコンの省エネ性能ラベルも参考にしてください)。エアコンは部屋が暖まるまで時間がかかるので、最初にストーブで部屋を一気に暖め、その後エアコンで温度を保つなど上手に併用するのがおすすめです。
●新幹線にも使われる「パワー半導体」
エアコンの室外機にはコンプレッサーというモーターがあり、冷媒ガスを圧縮して室内機に送り、温かい空気を出しています。このコンプレッサーにパワー半導体が使われ、部屋が寒い時は強力にモーターを回し、部屋が暖かくなるとゆっくりトロトロ運転で回しています。つまり超高速から超低速まで一つのモーターで適切に制御できる点が、日本のエアコンの素晴らしいところ。この技術は時速300キロ近くで走る新幹線にも使われています。
●二つの断熱材で広い庫内を実現
日本の冷蔵庫は半導体技術も優れていますが、庫内を冷たく保つための断熱材の技術もたいへん優れています。その一つが「真空断熱材」で、発泡スチロールだと厚さ約20cmになる素材を真空でギュッと圧縮し、約1cmまで薄くして冷蔵庫の外壁と内壁の間に入れるので、庫内が大きく使えます。また、真空断熱材は硬くて曲げられないため、複雑な形の部分には液状の「発泡剤(発砲ウレタンなど)」を使います。従来の発泡剤は充填するとその場ですぐふくらみますが、日本で開発された液状の発泡剤は冷蔵庫の奥まで注入後、一定の温度に上げると発泡し、冷蔵庫の隅々まで充填が可能です。そのため冷蔵庫の壁の厚さは海外製が約5cmに対し、日本製は約2.5cm。日本製冷蔵庫はその分容量が大きく、その差は約60リットル(スーパーの買い物カゴ約2つ分)にもなります。