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青地絢美(あおちあやみ)
環境省 北海道地方環境事務所 環境対策課 課長補佐
北海道大学工学部環境社会工学科卒業後、環境省へ。廃棄物部局、国土交通省(出向)、福島地方環境事務所を経て、2021年5月より現職。
北海道の地球温暖化対策施策に関して幅広く活動している。国民・消費者の行動変容や、ライフスタイル変革に関する普及啓発のほか、市町村や企業が実施する地球温暖化対策についての補助金等相談対応、勉強会等での講演を行なっている。
※本動画は、令和5年度に実施した、さっぽろ 省エネ家電で家計を応援キャンペーン事業で作成したコラム動画です。補助金情報など古い情報が含まれている場合がありますのでご容赦ください。
環境省は「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、いろいろな取り組みを進めています。そもそも「2050年カーボンニュートラル」とは、どんなことでしょうか。
●CO2排出量=CO2吸収量
ひと言でいうと、「CO2の排出量と吸収量をイコールにしましょう」ということ。今は人間の社会活動のなかで多くのCO2が出ている状況なので、まずCO2を出す量を減らすことが大切です。植物が光合成などによって吸収するCO2の量と、人間が出すCO2の量を一緒にすると、空気中にCO2は増えません。その状態を2050年までに達成しましょうという目標が「2050年カーボンニュートラル」です。
●カーボンニュートラル(=脱炭素)の動きが加速
2年ほど前から、当時の菅内閣総理大臣が「日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指します」という掛け声をかけ、日本でカーボンニュートラル(=脱炭素)に向けた活動が加速してきました。世界の国々でも脱炭素に取り組まなければいけないことが認識されています。企業の活動でみると、例えばアメリカのアップル社では「CO2を出す企業とは取引をしない」といった動きがあり、重要性が高まっています。
●気温が上昇、健康にも影響
一概にはいえませんが、一番実感しやすいのは気温の上昇だと思います。10年前の札幌は夏場にエアコンを使わなくても過ごせましたが、最近は使わないと辛い状況です。全国的に見ると気温40℃を超える猛暑日が増え、熱中症などのリスクが増えています。そのほかにも、気象変動による大雨や台風などの災害の増加が予測されています。
●食べ物にも変化が
北海道では今までとれなかった魚、例えばブリがとれるようになりました。良いことのように思うかもしれませんが、反対に今までとれていた魚、イカやサンマなどが少なくなる、という状況になっています。農業ではお米の品質に影響が出たり、ミカンやリンゴが熟さなかったりしています。将来、みなさんが食べられるものが減ってしまうかもしれません。
●CO2を減らすデ(DE)+エコ(Eco)活動=デコ活
環境省が進めている「デコ活」は、CO2を減らすデ(DE)と、環境に良いエコ(Eco)、活動・生活の組み合わせた言葉で、脱炭素を意識した生活を広めていく取り組みです。
●脱炭素と快適を両立
これまで環境省は「冷房の設定温度は28度にしましょう」と呼びかけてきました。でも、最適な温度は部屋の広さや人数などによって違うので、一律に28度とはいえませんよね。脱炭素のためにガマンするのではなく、脱炭素と快適な暮らしを両立させるのが、「デコ活」です。
●デコ活アクション
エアコンを買う時に高効率な製品を選ぶと、それだけで節電、脱炭素になります。また、地元産の食材を選ぶ、食材を残さず食べる、必要なものを必要なだけ買うことも脱炭素につながります。宅配便の再配達をくり返すとCO2が多く出てしまうので、1度で受け取ることなどもそうです。商品やサービスについて、CO2がどこで出るのか思いをめぐらせてみると、「ここを変えると脱炭素につながるかも」という発想が生まれると思います。
●住宅の断熱化
特に北海道は冬の寒さが厳しいので、住宅の断熱化が大きなポイント。断熱性能の高い住宅は、灯油代や電気代の節約になり、健康の面でもヒートショックなどの防止にもなります。
●自動車の工夫
北海道は面積が広いので、輸送で出るCO2の削減も重要な課題です。車をお持ちの方でもあまり遠出をしないという場合は、電気自動車で問題なく過ごせると思います。また、ガソリンと電気を併用できるプラグインハイブリッド車もあります。自宅に充電器を設置すればスタンドに行かなくても済み、便利で安心です。
●「やらなきゃダメ」を「楽しいからやろう!」へ
先日、ギャルのユニークな発想でブレインストーミングするという「ギャル式ブレスト」に参加して、脱炭素は「真面目すぎてつまらない」「やらなきゃと言われて気が滅入る」「もっと楽しいことがしたい」といった率直な感想をいただきました。
そこでぜひ「楽しいこと」を、みなさんで考えてもらえたらと思います。ゲームでもファッションでも、自分が好きな分野で「こうしたら楽しい」と思うことに、少し脱炭素の要素を入れていただけたらと思います。
●「お気に入りを長く」がカッコいい
ファッションでみると、服を安く買って1シーズン着て捨ててしまう行動はエコではありません。それよりも長く着られる服を買って、リメイクをしたり愛着を持って着ることが「カッコいい」と思えると楽しくてエコにもつながります。
●脱炭素を続けるコツ
わたしはよく、脱炭素はダイエットに近いと思います。ダイエットを続けるには、将来のきれいな自分を想像してモチベーションを保ったり、毎日できることを少しずつ頑張って、自分をほめたりしますよね。脱炭素もそれによく似ています。
いろいろなポイントを集めるのが趣味の方は、脱炭素とポイント集めが似ていると思うかもしれません。「これと近いかも」「それなら続けられそう」と思うことを見つけて、未来の地球のために、少しずつ脱炭素を取り入れてみてはいかがでしょう。
もし何かを選ぶ時、「こっちのほうが脱炭素になって、これくらいの値段だったら、こっちを選ぼうかな」くらいの気持ちで。ちょっとだけそういうマインドを持っていただければうれしいです。