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○札幌市男女共同参画推進条例
平成14年10月7日条例第27号
札幌市男女共同参画推進条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第8条―第19条)
第3章 札幌市男女共同参画審議会(第20条)
第4章 雑則(第21条)
附則
日本国憲法では、すべての国民の基本的人権の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女は、性別により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されないこととされている。
そして、国においては、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び男女共同参画社会基本法の制定等、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い、その個性と能力を十分に発揮し、利益を均等に享受することができる男女共同参画社会の実現に向けた取組が進んでいる。
また、札幌市においても、これまで、女性の自立と地位向上を図り、さらには、男女共同参画を推進するため、さまざまな施策を長期的、総合的に進めてきたところである。
しかし、社会全体では、男女の人権の尊重に関する認識がいまだ十分であるとは言えず、性別による固定的な役割分担意識とそれに基づく制度・慣行や男女間の不平等な取扱いが依然として根強く残っていることから、男女平等の達成にはなお一層の努力が必要である。加えて、少子高齢化の進行、経済環境の変化や情報社会の進展等の社会情勢に対応する上でも、男女共同参画をより一層推進し、男女共同参画社会を実現することが緊要な課題となっている。
ここに札幌市は、男女共同参画を推進することにより、男女の人権が十分尊重され、豊かで活力のある社会を実現することが重要であるという認識の下、男女共同参画社会の実現を目指し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により当該言動を受けた個人に不快感を与え、その者の職場などの生活環境を害すること又は性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与えることをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念にのっとり推進されなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接的にも間接的にも性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として性別にとらわれることなく能力を発揮できる機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会における制度及び慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女共同参画を阻害する要因となるおそれがあることを考慮し、社会のあらゆる分野における活動の選択に関して、男女が、制度及び慣行によって直接的又は間接的に差別されないよう配慮されること。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策及び民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における共同責任を担い、かつ、職場、学校、地域その他の社会における家庭以外のあらゆる分野において活動を行うことができるよう配慮されること。
(5) 男女が互いの性に関する理解を深め、性に関する個人の意思が尊重されるとともに、女性の性と生殖に関する健康と権利が生涯にわたり尊重されること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を策定し、及び実施しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に寄与するよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する取組(積極的改善措置を含む。)を行うよう努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第7条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、直接的にも間接的にも性別を理由とする差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、配偶者等に身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為その他の男女共同参画を阻害する暴力的行為を行ってはならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(男女共同参画計画)
第8条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、札幌市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、市民、事業者及び民間の団体(以下「市民等」という。)の意見を反映させることができるよう適切な措置を講じなければならない。
4 市長は、男女共同参画計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前3項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
(年次報告)
第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(推進体制の整備及び財政上の措置)
第10条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に企画し、調整し、及び実施するための推進体制を整備するものとする。
2 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第11条 市は、男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(調査研究)
第12条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な調査研究を行うものとする。
(審議会等における男女共同参画の推進)
第13条 市は、市が設置する審議会等の委員の委嘱等を行う場合には、男女の委員の数の均衡を図るよう努めなければならない。
(広報及び啓発)
第14条 市は、情報提供、広報活動等を通じて、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に関する市民等の理解を深めるよう適切な広報及び啓発を行うものとする。
(教育及び学習の振興)
第15条 市は、市立学校等において、男女共同参画の推進に関する教育及び学習の振興を図るよう必要な措置を講ずるものとする。
2 学校その他の民間の団体及び事業者は、男女共同参画の推進に関する教育及び学習の振興を図るよう努めるものとし、市は、それに対する必要な支援を行うよう努めなければならない。
(市民等に対する支援等)
第16条 市は、市民等が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援し、又はそれと連携するため、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 市は、別に条例で定めるところにより、市民等が行う男女共同参画の推進に関する活動の総合的な拠点施設を設置するものとする。
(雇用の分野における男女共同参画の推進)
第17条 市は、事業者に対し、雇用の分野において男女共同参画が推進されるように、情報提供その他の必要な支援を行うよう努めなければならない。
2 市は、必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の実態を把握するための調査について、協力を求めることができる。
(苦情等の申出)
第18条 市民等は、市が行う男女共同参画の推進に関する施策に対する苦情等があるとき、又は男女共同参画の推進を阻害すると認められるものがあるときは、その旨を市長に申し出ることができる。
2 市長は、前項の規定による申出を受ける相談窓口を設置するとともに、当該申出を受けたときは、関係機関と連携して適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
(国際的協調)
第19条 市は、男女共同参画の推進が国際社会における取組と密接な関係があることを考慮し、男女共同参画の推進に当たっては、国際的連携を図るなど国際的協調に努めるものとする。
第3章 札幌市男女共同参画審議会
(札幌市男女共同参画審議会)
第20条 市長の附属機関として、札幌市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事務を行う。
(1) 市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策に関する事項について調査審議し、及び意見を述べること。
(2) 男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について調査審議し、及び意見を述べること。
3 審議会は、市長が委嘱する委員20人以内をもって組織する。この場合において、委員の一部は、公募した市民の中から委嘱しなければならない。
4 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、再任されることができる。
7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。
第4章 雑則
(委任)
第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成15年1月1日から施行する。
(委員の任期に関する特例)
2 第20条第3項の規定によりこの条例の施行の日以後最初に委嘱される委員の任期は、同条第5項の規定にかかわらず、平成17年3月31日までとする。
(札幌市特別職の職員の給与に関する条例の一部改正)
別表その他の附属機関の委員の項中「中高層建築物紛争調整委員会委員」を「/中高層建築物紛争調整委員会委員/男女共同参画審議会委員/」に改める。



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