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1 概要
平成28年5月12日(木)、アフリカゾーン・キリン館で飼育しているサーバルキャットの一般公開を開始しましたが、公開当日の午後3時15分頃、メスの「エン」(1才)が室内展示場ロフト部分(高さ約2m)を歩行していた際に、ロフトから地面(土床)に転落しました。
「エン」は転落後、しばらく地面にうずくまっていましたが、起き上がった後も左前肢を地面につけることを嫌がって歩こうとしませんでした。そのため、「エン」の様子を観察していた職員が、すぐに獣医師に連絡し、獣医師が「エン」の状態を確認したところ、骨折の疑いがあったため、麻酔下でレントゲン検査を実施しました。
その結果、左前腕骨(橈骨(とうこつ)及び尺骨)近位端の完全骨折であることが判明しました。骨折部位は関節に近く、歩行時に負担のかかりやすい部分であるため、機能の完全回復を図るためにはプレート固定手術が必要となることから、北海道大学獣医学部に相談し、北海道大学動物医療センターに手術を依頼することとしました。
手術までは、園内動物病院に入院し、ギブスで固定するとともに鎮痛剤の投薬を行いました。
5月16日(月)の午後から北海道大学動物医療センターで手術を行っていただき、無事に手術は成功し、現在はアフリカゾーン『キリン館』で通常通り観覧が可能です。
2 発生日時
平成28年5月12日(木) 午後3時15分頃
3 発生場所
アフリカゾーン・キリン館1階 サーバルキャット屋内展示場(現場写真参照)
4 骨折の原因
今回、ロフトの中央部からオス側に向かって歩行している際に、ロフトの縁から地面に転落していますが、転落時に観察していた職員によると、空中を飛び越えようとする様子や、床で滑った様子は見られませんでした。このことから、地面がない部分を認識せずに歩こうとして、足を踏み外して、地面に転落したと思われます。
前日までの「エン」の行動観察では、転落した部分を飛び移ろうとする行動を見せたことはなく、ロフトの縁を歩いて渡っておりました。
以上のことから、一般公開初日ということもあり、観覧通路側にいる来園者の方々に意識が集中していたため、ロフトの縁に気付かずに転落してしまったと推測しています。
5 対応
(1)負傷個体への対応
転落当日の5月12日に麻酔下でのレントゲン検査で左前腕骨(橈骨及び尺骨)近位端の完全骨折が判明したため、鎮痛剤を投薬し、応急措置としてギブスによる外固定を実施しました。その後、北海道大学動物医療センターにプレート固定手術を依頼し、16日に手術を実施しました。
(2) 獣舎改修等の対応
今回の転落の原因は、獣舎の不備が原因ではないと考えていますが、転落した場所は歩行できる道幅が約15cmと狭いことから、板を張って道幅を広げる予定です。
また、ロフト部分の高さは約2mで、健康なサーバルキャットであれば、地面から自由に上り下りできる高さですが、さらに安全に上り下りできるように、壁面もしくは昇降用樹木にステップを設置することを計画しています。
6 経過
5月12日
15:15頃 エン転落
観察していた職員が無線で獣医を呼ぶ。
落下地点でうずくまっており、歩行時に左前肢を地面に着けない。
16:30 閉園後、吹き矢により麻酔を実施
翌日以降のサーバルの観覧について協議し、ポッキーは継続、エンは中止とすることを決定
16:55 エンの公開中止を、報道機関に対し投込み
17:10 レントゲン線検査の結果、左前腕骨(橈骨及び尺骨)の完全骨折が判明。鎮痛剤投薬し、応急措置としてギブスによる外固定実施。治療について北海道大学動物医療センターに相談し、プレート固定手術を依頼することを決定
18:30 麻酔より覚醒。覚醒状態良好。そのまま、園内動物病院に入院する。
5月13日 元気、食欲良好。鎮痛剤の投薬継続
5月14日 報道機関に対し第二報を投げ込み
元気、食欲良好。鎮痛剤の投薬継続
5月15日 手術前日のため午後から絶食
5月16日
9:00 飲水制限実施
14:20 北海道大学動物診療センターで手術実施
18:15 手術終了、術後レントゲン撮影後、ギブス装着
19:35 動物園到着し、園内動物病院に入院
5月17日 元気良好。術後治療継続
報道機関に対し第三報を投げ込み
5月21日 報道機関に対し第四報を投げ込み
緑:公開前の移動経路、 赤:転落時の移動経路 ※ロフトの高さは約2m
左前肢写真。 緑:尺骨骨折部、 赤:橈骨骨折部
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