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更新日:2011年2月26日

ピリカの役割 - 種の保存の一翼を担う -

画像:一般公開を控えたころのピリカ
2006年3月撮影。4月1日の一般公開を控えたころの一枚。
一般公開後の様子

画像:泳ぎの練習中
2006年5月撮影。ゴールデンウィークにプールに活魚(ウグイ)を入れ、果物を入れた浮き玉を初めてピリカに与えました。
ピリカのプールデビュー

 2005年12月15日生まれのピリカは2月始めに円山動物園から、帯広市の「おびひろ動物園」に旅立ちます。

 北極圏に生息するホッキョクグマは氷の上で狩りをし、冬の間にエネルギーを蓄えます。特にメスは、自力で穴を掘り、その中で飲まず食わずで、出産・育児をたった一人で行います。ですから、冬の間に十分に食べてエネルギーを蓄えないと丈夫な子を産み育てることができないのです。

 今、地球は温暖化が進み北極海の氷はどんどん溶けて、ホッキョクグマがエサを食べることができる期間が短くなっています。カナダのハドソン湾では、海が凍らない期間が1週間長くなると、ホッキョクグマの体重が平均で10kg減少したという調査結果もでています。また、カナダのアルバータ大学の研究によると1980~1984年の子グマの平均生存率は73.3%ですが、1987~1992年は48.8%となっています。この平均生存率の減少の要因として母グマの栄養不足の可能性が指摘されています。

 このようなことから、ホッキョクグマは2006年5月に公表された最新版のレッドリストに絶滅危惧種として載せられました。

 このまま地球環境が悪くなり、温暖化に歯止めがかからなければ、野性下のホッキョクグマは確実に生息数が減少し、今世紀末を待たずに地球上からその姿を消すと言われています。そうなれば、動物園でしかホッキョクグマを見られないという状況にもなりかねませんが、世界的に動物園での飼育個体数も減少しています。国内では、24施設で50頭を飼育しており、2000年以降、ホッキョクグマの繁殖に成功しているのは円山動物園だけです。

 ホッキョクグマの寿命は概ね20代後半で、繁殖可能期間は5~20才といわれています。繁殖技術を確立し、実績のある円山動物園が引き続き繁殖に挑み、個体数を増やすことは、国内、ひいては世界の動物園にとっても大きな財産となります。動物園は絶滅の危機に瀕している動物の「ノアの箱舟」としての役割もあるのです。

 ピリカを一人立ちさせ、デナリとララのペアを同居させることで、今年の冬の出産が期待されます。

 しかし、絶滅してしまった種の飼育個体を野性復帰するには莫大な時間と労力を必要とし、そのための費用も多大なものとなります。動物園の最も大きな役割は、ホッキョクグマはじめ絶滅危惧種が生息している環境を保全・回復するために、温暖化などの地球環境問題について考え、私たちにとってもかけがえのない地球を守るために、できることから行動するためのきっかけとなるメッセージを発信することだと思います。

(2007年1月12日・飼育課飼育二係 河西賢治)

画像:ピリカ
2006年6月撮影。ここまで大きくなり、力が強くなると人間の手で身体測定はできません。
本当は怖いピリカ

画像:サケを食べるピリカ
2006年12月15日撮影。ピリカ1歳の誕生日。豊平川さけ科学館からプレゼントされたサケを食べている。
ピリカ誕生日会


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