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更新日:2011年2月26日

1.本当は怖いピリカ 2.デナリの別居 3.ホッキョクグマ、絶滅のおそれ高まる

 1.本当は怖いピリカ
 ピリカを見ていると、抱きしめたい、その耳に触ってみたい、家に連れ帰って一緒に遊びたい、という強い衝動に駆られてしまいます。

 ですが、ピリカをもし抱きしめたなら間違いなく満身創痍になります。

 ピリカは人の手を借りずにララが産み育てた子です。(人間は出産と子育てのために環境を整えることしかできません)
 飼育員にも絶対になつくことはありません。好奇心から飼育員に近づいてくることはありますが、人間を仲間だとは全く思っていないでしょう。

 性別判定や、身長・体重測定の際には、男性職員が5人以上必要です。腕力のある動物園職員ですら、ピリカを抑えるために最低5人は必要なのです。

 暴れるピリカの力は侮れません。
 4月28日に6人がかりで身長・体重を測定したときには、1人が腕に軽い傷を負いました。
 (ちなみに測定結果は身長90cm、体重26kgでした)

 たった1ヵ月で10kg近く体重が増加しています。それとともに力も増しています。成長の度合いを知るために実施していた測定も、困難になる一方で、順調に育っているのは明らかなので、4月で終わりにする予定です。

 ピリカは可愛いだけではなく、とてもパワフルなのです。
 子供といえども陸上最大の肉食動物ですから、撫でてみたいという欲求は胸の内に秘めておきましょう。

 ちなみに、ゴールデンウィークにはプールに活魚(ウグイ)を入れ、果物を入れた浮き玉を初めてピリカに与えました。

 姉ツヨシ(釧路市動物園で会えます)や父デナリは浮き玉を押すばかりで中身をとりだすことができなかったのですが、ピリカは母を真似てうまく浮き玉を転がすことができました。
 ただ、転がすことに夢中になりすぎて、出てきた果物は母親とカラスに食べられてしまいました。

 活魚については、気付かなかったのか潜水が下手なためか、ピリカが魚を獲る姿を見ることはできませんでした。

 ララは早速ウグイを獲っていましたが、1番美味しい腹の部分だけを食べた後でピリカに与えていました。

2.デナリの別居

 野生のホッキョクグマは単独生活者です。わずかな例外を除いて、オスとメスは繁殖期にしか一緒にいません。

 妊娠したメスはたった一頭で巣穴を作り、1~3頭の子供を産んで、立派に狩りができるようになるまで育て上げます。

 子供を連れたメスは、徹底的にオスを避けて行動します。3~6月に発情するオスはメスのクマを追いかけますが、子連れのメスは発情しないので、オスは子供を食い殺そうとするのです。

 もともとメスは体が小さい上に、子育てで体力を消耗しています。子供を守りながらオスと戦うのは容易なことではありません。

 ですから今、ピリカの父であるデナリ(父親であるという認識は全く持っていません)はララとピリカとは別の獣舎で暮らしているのです。

 デナリの獣舎が狭くて可哀相、うろうろしている様子が哀れでならない、というご意見を頂くことがあります。

 確かに獣舎は老朽化していて狭く、改装の必要があります。そして、他の場所に移すには麻酔をかけなければいけないのですが、それには大きなリスクが伴います。

 また、デナリは現在発情期を迎えているため、落ち着きをなくしています。発情期が終われば彼の状態も安定します。

3.ホッキョクグマ、絶滅のおそれ高まる
 国際自然保護連合(IUCN)が発行している、絶滅のおそれのある野生生物を載せたレッドリストの2006年版において、ホッキョクグマの絶滅の可能性が高まったことが公表されました。

 プールデビューの記事の後半にも書いた通り、地球温暖化の影響によるものです。

 私たち人間の活動が、北極圏に暮らすピリカの仲間たちを追い詰めているのです。

 ピリカを「可愛い」ともてはやす一方で、生物の多様性などどうでもいい、環境問題など自分には関係のないことと言えるでしょうか。

 どうか、日々の暮らしの中で、ホッキョクグマのことを時々思い浮かべてみて下さい。ピリカの仲間のためと思って、電力の消費を極力押さえ、二酸化炭素の排出を少しでも減らす努力をしていきませんか。

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これを転がすのが面白いんだよ

体長がわかるよう、こんな工夫をしました

頭の中はララのことばかり。

カラスを追うピリカ

水面を見据える親子


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