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更新日:2011年2月24日

No11.オランウータンのエンリッチメント

マルッとまるごと円山動物園-札幌タイムス掲載記事

オランウータンのエンリッチメント

エンリッチメントとは、動物園などの限られた環境の中で飼育環境を工夫し、動物の生活を豊かにすることです。
動物園にいる動物たちは、ただ檻に入ってエサを与えられているだけでは退屈してしまいます。決められた時間にエサを与えられて、外と中の展示部屋を行き来するだけの生活だったら、他にすることが無く、ただ寝ているだけになってしまいます。これだと見に来たお客さんも面白くないでしょう。
オランウータンは野生では、食を探すのが中心です。たらふく食べようと思っても、そうそう簡単には見つからないため、エサ探しに時間がかかります。エサを探し出して、食べて寝る。野生のオランウータンはこれの繰り返しです。
うちの弟路郎(ていじろう)には知能の高さを利用したエンリッチメントを行っています。
エサを与える時に一度にボンとあげても、あっという間に食べてしまいます。そうすると、あとは寝るだけで弟路郎もお客さんも面白くありません。なのでまず、エサの回数を1回だったものを午前と午後の2回にし、捕るのに苦労するような仕掛けを沢山用意しました。大きな丸太や、海に浮いているブイに5円玉大の穴を空けてエサを入れたり、オランウータンが嫌いな水の中にエサを入れたり、天井から吊したポリタンクに、柵にニボシや果物を置くのです。私も毎回毎回、違う場所に置くので弟路郎は楽しんで探しているようです。
エサを見つけても、工夫をしなくては簡単にはとれません。どうやって食べているか、午前中の屋内展示部屋で観察してみてください。道具を使ったり、樹上で生活するオランウータンではめずらしく二本足で立ったりと、面白い光景が見れるかも知れません。
屋内展示場には「なんでこんなものが?」と首を傾げるような物がおいてあります。段ボールや帽子やタイヤ、雪かきのスコップや皿洗いの水切りかご。決して片づけていない訳ではありません。これらは全て弟路郎のオモチャや休憩所作りの素材になっているのです。
初めてゴムボールを渡した時、はじめは坂を利用して遊んでいたのですが、かじってパンクさせてしまいました。パンクしたらそれで終わりなのではなく、さらに頭にかぶったり、水をすくって飲んでみたり、空いた穴に指を入れたりゴミをつめたりして遊ぶのです。
エンリッチメントという言葉は最近になって出てきた言葉ですが、飼育員は昔から当たり前のように、一生を檻の中で送るのを決められてしまった動物たちの事を思った飼育方法を実践しているのです。
取材対応:オランウータン担当者

以上は平成17年5月~9月まで毎週木曜日に連載された、札幌タイムス「マルッとまるごと円山動物園」7月14日号の記事で、許可を頂き掲載しています。

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