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更新日:2011年2月24日

No9.鷹匠(たかじょう)になった飼育員

マルッとまるごと円山動物園-札幌タイムス掲載記事

鷹匠(たかじょう)になった飼育員

餌づけショーを行っているトビのビリー(メス)は、昨年の5月2日に市民が拾ったタマゴを孵化させたと持ち込まれました。
鳥というのはご存知の通り、産まれてからの「すりこみ」があり、目が見えだす生後8日目あたりから始まるのです。これによって、親は誰なのか、親から貰うエサで自分は何を食べればいいのか、巣はどんな材料で作られているのか、繁殖相手は何なのかを、だいたい1カ月半くらいかけて覚えるのです。人工的に孵化させられたトビは、この「すりこみ」が正常に行われません。そのため、巣材もわからなければ、繁殖相手を育て親の人間だと思ってしまい、人間相手に発情してしまうのです。
こうなっては、自然界に還すことはおろか、他のトビと繁殖させることは望めません。1羽で飼うしかないのです。
そのため、ビリーをショーバードとして飼うことにより、お客さんにトビの本能を見せることにしたのです。
怪我などで保護された猛禽類を、自然界に還すリハビリに鷹匠(たかじょう)の技術が有効であると知って、私も鷹匠の技術を数年前に得ました。猛禽類はアスリートと同じで、一旦休んでしまうと、もとに戻すまで時間がかかる。病み上がりの人をフルマラソンに出すのと同じで、怪我が治ったからといって猛禽類を自然に放っても、かれらは生きていくことはできないでしょう。そのため鷹匠の技術は動物に関わる身として欲しいと思ったのです。それがビリーの飛行訓練に役に立っています。
成鳥は自然界で飛び方や狩りの仕方を身につけていますが、ヒナの場合はそれを1から教えないといけません。しかし、成鳥になると神経質になるため、気に入らない環境下だと飛んでくれないのです。ましてや動物園などは人が沢山いたり、遊園地の騒音など、自然界には無い環境です。ビリーをヒナのうちにジェットコースターや幼稚園児の輪の中に連れ込んだり、私が行く先々に連れ回す事により動物園の環境に慣らすことができました。
生まれ立てのヒナは全身まっ白な柔らかい羽に覆われていますが、生後2カ月を過ぎる頃になるとほとんど成鳥と同じになります。そこら飛行訓練を始めるのですが、その前にこぶしの上に乗る訓練を行いました。猛禽類は決して犬のように人間に慣れるということはありません。あくまでも鷹匠は、猛禽類の習性を巧みに利用して狩りをさせるのです。(No.10へ続く)
※取材対応:トビ担当

トビ1

トビ2

トビ3

トビ4

以上は平成17年5月~9月まで毎週木曜日に連載された、札幌タイムス「マルッとまるごと円山動物園」6月30日号の記事で、許可を頂き掲載しています。

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