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更新日:2011年2月24日

動物の子育てに学ぶ~親と子のきずな~

これは札幌市保健福祉局児童家庭部子育て支援担当課発行の情報誌「子育てさっぽろ」21号,22号に投稿した記事です。

(筆者円山動物園動物科学館館長 長尾章郎)

動物の子育てに学ぶ~親と子のきずな~(子育てさっぽろ21号掲載)

◎母親から学ぶ(ほとんどの動物はお母さんから学びます)
サル山の子育て
ニホンザルのお母さんは赤ちゃんが1ヶ月までの新生時期は、しっかりと胸に子どもを抱きます。これによって母と子のきずながしっかりと結ばれます。
1ヶ月を過ぎて1歳までの幼児期は『少し離して』という教育をします。子どもを床において少し離れますが、淋しくて泣くとすぐに抱き上げます。その距離をだんだんと離していく間に、子ども同士のふれあいを学びます。(人間社会の幼稚園か小学校の低学年です)
そして、1年を過ぎた少年期には『ほっといて』という教育をします。全く無関心なのかというとそうではありません。自分の子どもが、サル山の向こう側で何かあって助けを求めて泣くと、すぐにとんで行って抱き上げますが、普段はほとんど干渉しません。
人間社会では、最近このことが出来ない若いお父さんお母さんが多いようです。皆さんもご自分の小さい頃を思い出して下さい。自分の部屋が汚くなって掃除しようかと思っている時に、親から「掃除しなさい」と言われたことはありませんか。また、勉強が遅れてきたからそろそろ机に向かおうかと思っていた矢先に、「いい加減に勉強しなさい」と言われたことはありませんか。
大切なことは、たとえ親といえども他の人から言われてする行動と自分から進んでする行動とは、結果が大きく違うということです。

動物の子育てに学ぶ~親と子のきずな~(子育てさっぽろ22号掲載)

◎動物が我が子を認識する方法には3つあります。
まずは視覚の目です。
親が子育てをする生き物は、全てがまんまるく生まれてきます。その訳は人間や動物の大脳皮質の中に、丸いものは可愛いということがインプットされています。
丸いから可愛いので育てようと思うわけです。例えば女の子がすらりとした八頭身で生まれてきたら、美人とは云っても可愛いとは思わないかもしれません。生まれてきた時には手足が短くて顔もお腹もまんまるですから、育てようと思うわけです。
動物園で見たい動物のトップはパンダで、二番目はコアラです。その訳はいずれも丸いから可愛いい。だから見たいと思うのです。残念なことにいずれも円山動物園にはおりません。
次には聴覚の耳があります。
鳥は卵から生まれる30時間くらい前から卵の中で鳴きます。その時親も必ず応えます。この卵の中の鳴き交わしが親子のきずなをつくります。例えばペンギンがコロニーでいっぺんに生まれてきて、どうして自分の親を見つけるのかというと、卵の中で聞いた親の声をしっかりと覚えているからです。
最後は嗅覚の鼻です。
一般的に動物は、個体によってそれぞれ特有の臭いをもっており、その臭いで自分の家族や子どもを認識し、しかも嗅覚は人間より数十倍も数百倍も優れています。
そのため、他人の子どもを育てることはめったにありません。
しかし、円山動物園のサル山でこんなことがありました。
ある時二匹の子ざるを抱いてる母親がいました。ニホンザルに双子が生まれることはめったにないので、これはトピックだと思い飼育担当に聞いたところ、なんと他の子どもを育てているのでした。
母サルの母性本能の強さを知りました。

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