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札幌市円山動物園は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための外出自粛を目的として、2020年3月1日から3月31日まで臨時休園となっています。
期間中、皆さまに休園中の動物の様子を少しでもご覧いただけるようTwitterで毎日動画「今日の円山動物園」を配信しています。このページでは、配信した動画に映っている動物について紹介します。
Twitterと共にチェックしてみてください。
今回は、3月26日の動画に登場したベニイロフラミンゴについてご紹介します。
ベニイロフラミンゴは、ガラパゴス諸島やカリブ海沿岸に生息しているフラミンゴ目フラミンゴ科の動物です。塩湖やアルカリ性の湖といった、他の動物が利用できない特殊な環境に適応しており、主に水辺で生活をしています。
動画には集団で移動をする様子が映っていましたが、色が違うフラミンゴが混じっていることにはお気づきでしょうか?
円山動物園では、今回紹介するベニイロフラミンゴの他にチリ―フラミンゴも飼育しており、この2種は熱帯鳥類館で一緒に生活をしています。見分ける方法はとても簡単で、名前のとおりに鮮やかな紅色をしている方がベニイロフラミンゴ、薄いピンク色をしている方がチリ―フラミンゴです。
動画をよく見ると、この紅色とピンク色の集団の中に灰色のフラミンゴが混じっています。この灰色のフラミンゴが、フラミンゴの子どもです。
フラミンゴは生まれた時からあの赤い色がついているわけではなく、生まれた時には白い色をしています。そこから灰色になり、3~4年かけて親と同じ色になりますが、これは成長に伴って色が変わっているのではありません。
フラミンゴの色は、フラミンゴが餌としている藍藻類などの色素(β-カロテンやカンタキサンチン)を摂取することでついていきます。フラミンゴの子どもは、親の素嚢(そのう)で作られた「フラミンゴミルク」という色素を含んだ赤い液体を飲ませてもらうことで徐々に色づいていきます。
「フラミンゴミルク」として色素を子どもに与えている親フラミンゴは、逆に徐々に色が抜けていきます。
フラミンゴは大きな群れを作って移動したり、餌を食べたりします。また、集団でないと繁殖に成功しないらしく、繁殖も大集団で行うことが多いとされています。
フラミンゴは一夫一妻のつがいを一生維持し、このペアは一緒に泥で巣を作ります。巣は高さ30cmほどのバケツを逆さにしたような形をしており、そこに卵を1つ産みます。
子育ては雄も雌も行い、子どもが性成熟期に達するまでの6年間に渡って若鳥を保護します。
↑中央に写っているのがフラミンゴの子ども
フラミンゴは嘴の形も特徴的です。嘴はまっすぐ前へとは伸びずに、真ん中あたりで急に下へと曲がって「への字」の形になっています。これは餌をとるためで、フラミンゴはこの嘴をほとんど上下逆さまの状態で水中に入れます。
餌をとるために嘴を水に入れると、フラミンゴは1秒間に4~17回もの速度で舌を動かして水の出し入れをします。この時に、嘴の中に並んだヒゲ状の「ラメラ」という組織がフィルターの役割をして餌を濾しとっています。また、舌自体にもかぎ状の突起が並んでおり、濾しとった餌を食道へと運びます。
↑水の中に嘴を入れているベニイロフラミンゴ
フラミンゴ(Flamingo)という名前はラテン語で「炎」を意味するflammaに由来していると言われています。
和名はベニヅルですが、ツルと近縁というわけではありません。どちらかといえば、カイツブリと近縁です。
円山動物園では今回ご紹介したベニイロフラミンゴがいる熱帯鳥類館の他に総合水鳥舎でも水辺で暮らす鳥がご覧いただけます。どちらの鳥たちも、足の水かきなどの水辺に適応した体の特徴を持っていますが、よく見ると違う部分も多くあります。それぞれの相異点をぜひ見比べて探してみてください。
今後も皆さまに動物達の元気な姿を伝えていきますので、開園までしばらくお待ちください。
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