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障がい者による政策提言サポーター制度
平成23年度 政策提言書
平成24年3月
札幌市障がい者による政策提言サポーター 一同
私たち第4期サポーターは、平成22年5月に札幌市長からの委嘱をうけ、障がいのある方にとっての地域の身近な課題について検証し、政策提言を行うために活動してきました。
地域の課題について、実際に見たり聴いたり感じとったりするために、障がい者就労支援施設に出向いて懇談会を開催しました。また、札幌市と共に、地域の関係団体、障がい者団体、市民の方との意見交換を行い、様々なご意見をお伺いしてきました。
お伺いしたご意見をふまえ、実際の地域生活において、どのようなことが困るのか、どのようなことが足りないのか、どのようなことが足りているのか、どうすれば解決できるのかなど、みなさんと一緒に考えていくことができるよう、この政策提言書を取りまとめました。
私たちサポーターは、政策提言を通じて、お互いに支え合って、安心して暮らしていくことができる共生社会を、この街に住んでいるみなさんと一緒に実現していきたいと思っております。
平成24年3月 障がい者による政策提言サポーター一同
<用語説明>
・委嘱~人にまかせること。
・検証~しらべること。
政策提言にあたり、障がい福祉に関する検証テーマを「地域生活支援」、「防災」、「就労支援」の3つにしぼりました。
課題を解決していくためには、市民の方々に、まずは、「障がい」について知っていただくことが重要であると考えます。
そこで、3つのテーマについて、「障がいのある人に対する理解促進」の視点から課題検証することとしました。
平成18年4月の障害者自立支援法の施行、平成23年8月の障害者基本法の改正など、障がい者施策に関する制度は、少しずつ改善されてきたと思いますが、いまだ十分といえる状況にはありません。
今後においても、自立支援法に代わる総合的な福祉制度が創設される予定であり、障がい者施策がさらに改善・充実することを期待しています。
しかしながら、いくら制度が充実したとしても、地域社会において、障がいのある人に対する理解や配慮が進まなければ、真の共生社会は実現されないと思います。
身近な地域において、子どもから高齢の方まで、障がいのある人も障がいのない人も、お互いに尊重し支え合うことで、安心した生活をおくることができると考えます。
○障がいのある人が障がいのない人と共に、地域で安心して暮らしていくためには、障がいのある人に対する理解を促進する必要があるので、福祉教育等のさらなる充実が必要です。
○そのためには、学校や企業などに対して、障がい当事者自らが体験談などを語るなど、障がい当事者も協力しながら理解促進を図ることが重要であり、障がい者講師派遣事業(社会福祉協議会で実施)をさらに積極的に推進していくべきと考えます。
○障がいのある人が地域のみなさんと安心して生活していくことができるためには、障がい者施策に関する制度の充実だけでは十分ではありません。
○ボランティア活動、町内会活動、ご近所づきあいなどを通じた地域での支え合いの重要性について、今一度考えてみる必要があると思います。
○地域福祉に関する課題を身近な地域で解決していけるよう、様々な機会やイベント等を通じて、市民の地域福祉活動への関心を高めることが重要であると考えます。
○障がい当事者も、自らの課題に関心をもつことはもちろん、地域活動に積極的に参加していくことが求められると思います。
○在宅で生活している重度障がいのある方と、そのご家族の方に対する支援を、さらに充実していく必要があると思います。
○障がい福祉サービスを利用するにも、受け入れてくれる事業所が少ない状況もあります。
○受け入れが進むような制度のあり方を国に働きかけていく一方、札幌市としても取組を進めるべきと考えます。
○移動支援事業については、その充実に向け、様々な方との意見交換や検討会議が行われております。
○札幌市の財政は厳しい状況にあるのは十分承知しておりますが、移動支援事業の利用対象となる外出の範囲に制限を加えず、障がいのない人と同じように外出できる配慮が必要であると考えます。
○精神障がい者に対する運賃割引の適用が実施され、障がい種別による不均衡が早期に解消されるよう、引き続き国に働きかける必要があります。まず、札幌市交通局において、精神障がい者に対する運賃割引を実施するべきと考えます。
<用語説明>
・不均衡~つり合いがとれていないこと。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、多くの方が犠牲になり、今もなお、復興に向けた様々な活動や取組が続いております。
災害による被害を少しでも減らすために、日頃から防災や減災の意識を高めていく必要があると思います。
高齢の方、障がいのある方など、災害時要援護者に対する避難支援、避難所における支援や配慮のあり方を、地域全体で考えていく必要があると考えます。
<用語説明>
・災害時要援護者~災害のときに、自分や家族の力だけでは避難することが難しい人。
○要援護者の避難支援について、地域に関心をもってもらうことが何より大事であることから、札幌市において、啓発の取組や、避難先施設のバリアフリーの状況などに関する情報提供を充実することが必要であると思います。
○地域においても、札幌市の出前講座などを活用して、地域行事として防災訓練や勉強会等を充実することが必要であると思います。
○特に、新しくできた住宅地や、マンション・アパートが多い地域では、町内会活動に関心の薄い方が少なくないという課題がありますが、町内会を中心に、地域にある福祉事業者、医療機関、マンション管理人、福祉の職業に就いていた方などと協力して、地域住民の自らの課題と認識して、防災・減災に関心をもち、取り組んでいくことが必要であると考えます。
○障がい当事者も地域活動に積極的に参加していくことが重要であると思います。
○災害が発生した場合、避難所まで移動することに支援が必要な方がいるため、そのような方を把握しておく必要があります。また、障がい当事者も、避難所がどこにあるかを把握しておく必要があります。
○避難が長期化するような場合には、障がい特性に応じた避難所生活における支援や配慮が不可欠となります。
○障がいの状況によっては、集団での避難所生活が困難な方、介助が必要な方がいらっしゃるため、個々の状況に対応するために、学校教室を活用するなどして場所を分けるとか、様々な障がい特性について専門的に対応できる福祉避難所を用意するなど、避難所を整備する必要があると考えます。
○福祉避難所は新たに建設するのではなく、地域の福祉施設や特別支援学校(養護学校)を福祉避難所として活用することも必要ではないかと思います。
○避難指示や、避難所における情報提供については、障がい特性に応じた配慮が必要となります。
障がいのある人が、障がいのない人と同じように、それぞれに合った仕事につけることが大事であると思います。
障がいのある方の就労を推進していくためには、国の雇用施策や就労支援に関する制度のさらなる充実が欠かせません。
さらに、企業など採用する側が、障がい者雇用に理解と関心をもつことが何より重要であり、障がいのある方を受け入れる環境を整えることが必要であると考えます。
○地域には色々な障がい者就労支援施設等があり、様々な活動が行われているほか、色々な役務サービスや製品の製造が行われています。
○そのような活動が地域のみなさんにも周知され、施設での活動を通じて、障がいのある人と障がいのない人が、つながりをもてるようになることが期待されます。
○国における障がい者雇用の取組は、着々と進んでおりますが、制度の充実はもちろん、企業等が障がい者雇用に理解と関心をもつことが重要です。
○障がいのある方の働き方は色々あり、その方にあった職場環境を整えることで、能力が発揮されます。
○障がい者雇用がさらに促進されるとともに、雇用が継続され職場に定着できるよう、企業等に対する雇用推進のための支援をさらに充実していく必要があると考えます。
○障がい者雇用にあたっては、特定の障がい種別に隔たることなく、様々な障がい種別や程度の方を雇用するべきと考えます。
○札幌市が率先して、就労体験の機会を提供したり、障がい者雇用を積極的に推進することが重要であると思います。
この2年間、障がいのある方をはじめご家族、関係者のみなさまからたくさんのご意見を聴かせていただきました。ありがとうございました。
10区全ての地域自立支援協議会地域部会との出前講座や、市民のみなさまとの意見交換会に同席させていただき、様々な立場の方の意見を聴くことができたことは、大変良い機会になりました。
みなさまのおかげで、この政策提言書を取りまとめることができましたことを感謝いたします。
障がい種別・程度の違いによって、日常生活における課題や感じ方などが異なることがよくわかりました。
お伺いしたご意見の全てをここに載せることはできませんが、サポーターとしてみなさまからのお話はしっかりと受けとめました。
この1年はとくに防災に関心が高まって高まっているほか、白石区では姉妹が孤立死するという痛ましい事例が起きてしまいました。
このような時にこそ地域におけるつながりを強くするための取組みを進めるべきだと感じました。札幌市のきめ細かな対応を期待しています。
上田市長には、この提言の内容について、ひとつでも多く実現していただきますとともに、市民のみなさまと一緒に考えていくことができるよう、ご配慮いただければ幸いです。
平成24年3月
札幌市障がい者による政策提言サポーター 一同
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