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更新日:2011年2月21日

平成17年度提言書

1. 相談体制の充実と整備

さまざまな障がいをもつ人の生活すべてにわたって相談できるよう、市の担当窓口職員などの相談援助技術の質的な向上をはかるとともに、担当者によって説明内容が変わることのないよう研修等を通じて統一をはかる。

また、各種福祉サービスの内容について、障がいの違いによる情報の格差が生じないよう公平で適切な情報開示、的確な情報提供を行う。

2. サービス供給基盤の整備について

ニーズにあったサービス提供基盤の整備をすすめる。また、整備をすすめる上で、サービス事業者の質の確保をはかる。その際には、障がいの違いによる格差が生じないよう公平なサービス内容の充実をはかる。

3. 障がい者の権利擁護システムについて

障がい者が生活する上で、さまざまな権利侵害などがおきないように、解決に向けての取り組みを充実する。

また、福祉サービスに関する決定などの際、当事者が納得を得られない場合には、その決定理由を公開するとともに、障がい当事者も参加した独立の“審査会”をつくって、双方の主張を公平に判断すべきである。

4. 障がい者差別禁止条例(仮称)について

地方自治体では取り組みが遅れている「障がい者差別禁止条例」についてのワーキングチーム(作業委員会)を早期に立ち上げ、さまざまな障がいを持つ市民からも意見を聞きながら、自治体の中での先駆的な役割を果たす。

5. ホームヘルパーについて

市の身体障害者居宅支援の支給量決定基準は、行政にとっては都合のいい枠組であっても、時間数の必要な障がい者にまで行きわたらない不平等が生じている。たとえば、支給量の境界となる基準として「脳性マヒにより著名な不随意運動・言語障がいを伴う者」という1行があるが、これはヘルパー派遣の実態にはそぐわない。

すべての障がい者は歳を経るにつれ、障がいが多種多様かつ重度になって行くにもかかわらず、これでは限られた障がい者だけに時間支給量を増やすことになっている。早急に基準を見直すべきである。

また、重度障がい者が入院したときに、障がいが重いほど病院の看護では不十分であり、ホームヘルパーをカットすべきでない。

6. 医療費について

昨年、「重度障害者医療費給付助成事業」の見直しがされたが、その影響調査を行うとともに、医療抑制が起こらないような働きかけをする。また、精神障がい者も制度を利用できるようにする。

7. 通行権の確保について

障がい者の自由な移動の権利が保証されていない現状から、それを補うものとして福祉有償運送を行っているSTSの役割は大きい。そこで、STSの運営に対しての支援が必要である。

また、通勤、通学、通所の送迎を自費負担に頼らざるをえない現在の基準では、われわれは将来を選択することもできない。

STS=スペシャル・トランスポート・サービス。要介護者、身体障がい者などで、公共交通機関を利用するのが困難な方を対象に、必要な介助とともに行われる個別的な輸送サービス。

8. 住居について

身体、知的、精神、難病などいずれの障がい者にとっても住居確保の問題は大きい。特に知的障がい者や精神障がい者のグループホームへの支援は一層必要で、身体障がい者のグループホームも市独自に設置すべきである。さらに福祉ホームも各区に建設していかなければならない。

9. 障がい者雇用の充実

障がい者の雇用を推進するために、札幌市は別枠での採用を行っているが、市の補助金、助成金を受けている社会福祉協議会など関連団体、外郭団体でも障がい者雇用を義務づけるべきである。さらに施設や社会福祉法人などで一定の割合で障がい者を雇用したり、期間雇用・臨時雇用でも障がい者雇用を促進すべきである。

納付金を払って障がい者雇用を免れる実態があるので、法定雇用を守り必ず障がい者を雇用させるべき。障がいや体力によって労働時間を短縮するなど、その人に合った働き方をしてもらうことも必要である。

また、IT技術を活用した障がい者の在宅就労支援に関するプロジェクトを企業やNPOらと立ち上げるサポートを市として行う。

さらに指定管理者に業務を委託する上で、障がい者を雇用または新たに雇用する事業所、もしくは障がい者福祉に関連するNPO法人と連携する事業所を選考基準に入れる。

地方自治法の改正により、さまざまなニーズに一層効果的、効率的に対応するため、「公の施設」(コミュニティ施設、スポーツ・文化施設、福祉施設など)の管理方法が「管理委託制度」から「指定管理者制度」に移行することになりました。これら施設の管理運営は、これまで公共団体や、公共団体が1月2日以上出資する法人に限られていましたが、今後は民間事業者、NPO法人、ボランティア団体なども含めて広く公募して施設の管理者を決められるようになります。

10. 小規模通所授産施設(小規模作業所)への支援

一般就労が困難な障がい者にとって地域の中にある作業所は重要な生活の拠点であるが、作業所によっては生産性が非常に厳しいところもあることから、作業所への運営補助は必要である。

また、老朽家屋や狭いアパートなどを借りている実情を考慮し、公共施設の一角を提供するような方法を考えてほしい。

11. 災害、緊急時における障がい者の避難体制の確立について

札幌市は、災害弱者向けの防災マニュアルを作成しているが、障がいを持つ当事者には実行困難な面が多い。平常時でも安心と安全がおびやかされている中、災害、緊急時における安全な避難体制が確保されるよう、当事者の視点と意見を取り入れた実効性あるマニュアルを作成し、普及活動を徹底してほしい。

また、地域で一人暮しをしている重度障がい者を、年1回でも巡回してくれるようなシステムを構築してほしい。

12. 政策決定過程への障がい当事者参画の義務付け

障がい当事者の意見が市の政策に十分反映されるように、障がい当事者の委員会への参画や声を聞く場を設ける。

特に、これから議論が再開される「障害者自立支援法案」に関する迅速な情報提供はもちろんのこと、サービス実施について検討されている「審査会」にも障がい当事者を加えるなど、具体的な内容について当事者の意見を反映させる仕組みをつくる。

また、障がい者による政策提言サポーター制度を引きつづき市の重点政策として位置づけ、各部局との連絡調整を緊密にして縦割り行政の弊害をなくすとともに、他の委員会等との整合を障がい福祉課が調整し報告する。議会との交流や、広報活動にも努めるべき。

13. 障がい者理解教育の充実について

欧米では日本ほどハード面に資金を投入していないが、障がいを持つ人は安心かつ安全に社会参加できるようになっている。我が国との大きな違いは、障がい者理解教育の差によるところが大きい。札幌市においても学齢に応じた適切な障がい者理解教育を徹底するよう強く希望する。

14. 法令・条例等の遵守

障がい者のまわりでは、安心かつ安全な社会生活を送れるように法令や条例、規則などが制定されている。しかし、これらの中には罰則のないものもあり、関係行政機関が適切に執行しないことにより空文化と形骸化が定着している。これら法令等の遵守と、関係職員の意識改革、一層の努力に期待する。

15. おわりに

上田市長は、就任以来あらゆる機会をとらえ職員の意識改革を求めているが、行政執行上の血税のムダづかいが改善されない反面、道路のくぼみや段差など、緊急を要する箇所へは財政逼迫を理由に改善されず、身体障がい者の周辺は不安と危険が蔓延している。

この状態を放置していることは行政の不作為にほかならず、障がい者だけでなく、高齢社会を迎えて、これらの人たちの社会参加を阻害する要因にもなっている。都心部を中心とした財政支出から、生活者を中心とした市内全域の均等な環境整備へと改善されることを期待する。

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