障がい者によるまちづくりサポーター制度 第7期活動報告書 (活動テーマ:心のバリアフリーを広げよう 他) 令和3年(2021年)5月 札幌市障がい者によるまちづくりサポーター 一同 目次  はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・2ページ    サポーターの活動状況 ・・・・・・・・・・・4ページ   1 会議   2 意見交換会   3 講義   4 アンケート協力   5 活動報告     活動内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・9ページ   1 心のバリアフリーを広げよう(メインテーマ)   2 ヘルプマークを知ってもらおう(サブテーマ)   3 災害に備えよう(サブテーマ)   4 就労について考えよう(サブテーマ)  おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・48ページ  サポーター名簿・・・・・・・・・・・・・・50ページ はじめに  こんにちは。みなさんは『障がい者によるまちづくりサポーター』とは、どのような活動をするのかを知っていますか?  任期は3年で様々な障がいのある人達で、期のテーマを決めて意見交換や意見の集約をするものです。  私達7期12名は、メインテーマを『心のバリアフリーを広げよう』に決めました。  しかし、限られた会議の時間内にこの大きなテーマに何処から取り組めばいいのかを模索する中、障がい者というくくりではみな一緒だけど、「他の人の障がいを知らない」という事に気づきました。  そこで、自分の障がいの特性をそれぞれが発表する事から始めることにしました。人は知らない事には無関心や偏見など差別の意識が働くといいます。理解を求める手前に知ってもらう事が大事。  活動をしていく先々で、札幌市が開催する「障害者差別解消法のイベント」等の中で、さまざまな障がいを知ってもらう為に発表の機会を作っていただけるという案が出ました。  方向性が見えその方向で進んでいた頃の2018年9月6日、北海道胆振東部地震が発生。後に、『災害に備えて』という事も、障がいのある私達には大きなテーマとなりました。  会議の中で危機管理対策課の講義を受けたり、それぞれ個人でも講習会に参加するなどして、情報の共有をしたりもしました。  元号が平成から令和になり、サブテーマにも取り組み、活動もまとめに入る大切な時期の2020年にコロナウイルス問題で、集まっての会議もイベントも不可になりました。    唯一可能な書面会議は、人によっては不便であったかも知れません。  誰かの便利は、誰かの不便。  障がいのある人が暮らしやすい社会は、様々な人にとって暮らしやすいに違いありません。  大きくはそんな共生社会をめざし、そして『心のバリアフリーが広がる札幌』になるお手伝いの種に、この報告書がお役に立てますように願いを込めて、ここに報告をさせていただきます。 第7期札幌市障がい者によるまちづくりサポーター代表 鈴木 博子 サポーターの活動状況 1 会議 第1回 平成30年(2018年)8月22日  代表・副代表を決め、共生社会の在り方について意見交換を行いました。 第2回 平成30年(2018年)10月18日  活動テーマについて話し合い、「災害時のこと」「障がいを知ってもらうこと」がテーマの候補となりました。 第3回 平成31年(2019年)1月11日  活動テーマについて、メインテーマが「心のバリアフリーを広げよう」サブテーマが「ヘルプマークを知ってもらおう」に決定しました。また、「災害に備えよう」「就労支援について考えよう」がサブテーマの候補となりました。 第4回 令和元年(2019年)6月6日  心のバリアフリーを広げるため、まずはサポーターそれぞれの障がい特性を発表し合い、学び合うこととしました。  今回は、身体障がい(肢体)、精神障がい、知的障がいの場合について発表・意見交換を行いました。 第5回 令和元年(2019年)8月23日  内部障がい、身体障がい(肢体)、発達障がいの障がい特性について発表・意見交換を行いました。 第6回 令和元年(2019年)10月25日  身体障がい(視覚)、身体障がい(聴覚)の障がい特性について、発表・意見交換を行いました。 また、鈴木代表より、9月に行われた人権シンポジウム「災害と人権」の内容について情報共有がありました。 第7回 令和2年(2020年)1月14日  高次脳機能障がい、精神障がい、知的障がいの障がい特性について、発表・意見交換を行いました。 第8回(書面会議)令和2年(2020年)6月23日  サブテーマ「就労について考えよう」について、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、書面会議の形で意見を出し合いました。また、次回の会議までに、災害への備えの一つとして、住んでいる地域の町内会の名前を調べることとしました。 第9回 令和2年(2020年)10月8日  第7期活動報告書の構成案について、意見交換を行いました。また、サブテーマ「災害に備えよう」について、報告書に載せたいこと等の意見を募集し、後日、とりまとめて報告書に反映することとしました。 第10回 令和3年(2021年)5月11日  第7期活動報告書について最終確認を行いました。また、活動のふりかえりを行いました。   2 意見交換会  ●平成30年(2018年)10月18日   「普段の生活で、水道に関して、何か感じることや困っ  ていることはありますか?」をテーマに、札幌市水道局  営業課と意見交換を行いました。     ●令和2年(2020年)1月14日   「札幌市公式ホームページの使い心地について」をテー  マに、札幌市総務局広報課と意見交換を行いました。 3 講義受講  ●令和1年(2019年)10月25日  「避難所のことを知りたい!」をテーマに、札幌市危機  管理対策室危機管理対策課から、講義を受けました。 4 アンケート協力  ●平成31年(2019年)3月   札幌市総務局広報課のアンケート(ホームページにつ  いて)に協力しました。        ●令和1年(2019年)11月  札幌市芸術文化財団のアンケート(ホームページについて)に協力しました。  ●令和3年(2020年)1月  札幌市芸術文化財団のアンケート(ホームページについて)に協力しました。 5 広報活動  ● 広報さっぽろ(平成30年(2018年)12月号)  ・ まちづくりサポーターから、鈴木代表が心のバリアフリーについて、インタビューを受けました。  ● 広報さっぽろ(平成30年(2018年)12月号)  ・ まちづくりサポーターから、寺地副代表がヘルプマークについて、インタビューを受けました。  ● 出前講座(令和元年(2019年)6月17日)  ・ 札幌市が実施した出前講座「心のバリアフリーとヘルプマーク」について、まちづくりサポーターから、   鈴木代表が参加し、北都小学校4年生の皆さんへ、障がいの特性について知ってもらうためのお話をしたり、質問に答えたりしました。 6 活動報告  ●令和3年(2021年)6月11日    活動報告書を札幌市自立支援協議会に提出  ●令和3年(2021年)6月11日    活動報告書を札幌市に提出 活動内容 今回の活動のテーマについてサポーターで話し合いました。  サポーターのみなさんの意見から、今回の活動では     メインテーマ  「心のバリアフリーを広げよう」 サブテーマ    「ヘルプマークを知ってもらおう」          「災害に備えよう」          「就労支援について考えよう」 に決めて3年間活動をしていくことにしました。 ●メインテーマ● 「心のバリアフリーを広げよう」 ※障がいごとの内容は、それぞれのサポーターの経験等に基づくものであり、本人の言葉を記載しています。 ※10・25・29・43ページ及び裏表紙のイラストは、赤澤サポーターの作品です。 1 心のバリアフリーを広げよう(メインテーマ)  「心のバリアフリー」とは、心の中にある見えない壁である「心のバリア」を無くして、お互いを助け合える社会にしていきましょう、という意味です。  サポーター会議において、「みんなの障がいを知りたいし、自分の障がいを知ってほしい」「世間の人はきっと温かい。障がいを知らないだけなので、世間の人に、障がいを知ってもらうことが大事」等の意見が多く出たことから、第7期においては、「心のバリアフリーを広げよう」がメインテーマとなりました。  「心のバリアフリー推進マーク」は、札幌市が「心のバリアフリー」を身近に感じてもらうために作ったマークであり、サポーターもデザイン選びに関わりました。    今回選んだマークは、多くの方の目に触れるよう、障がい福祉課が作るパンフレットへの掲載や、イベントや研修などで使用されます。  一人でも多くの方に「心のバリアフリー」を知ってもらい、助け合いが広がっていくことを願っています。 1−1 さまざまな障がいの特性について  私たちは、見た目では障がいがあるように見えなくても普段の生活では困っていることが多々あります。  そのことを広く知ってもらうため、まずはサポーター会議の中で、お互いの障がい特性を学ぶため自分の障がいについて話してみることにしました。 身体障がい(肢体)  ●片麻痺なのですが、手足の障がいだけではなく、麻痺側が見えづらい、体の内部の麻痺、声帯の筋肉が落ちるなど、見た目ではわからない症状もあります。 身体障がい(肢体)  ●5歳になる1か月前に、腰の背骨付近に未分化肉腫ができ、脊髄を圧迫して、下肢が麻痺してしまいました。  ●麻痺の影響で、「転びそう!」と思ったときに自分の体重を支えられずに転んでしまいます。特に冬場に多いです。  ●尖足や内反(足の変形などのこと)があり、短下肢装具をつけて、補正しています。補装具は軽くするためにプラスチック製です。歩くことで負担がかかり、壊れて足に刺さったりすることもあります。 身体障がい(視覚)  ●十数年前に、髄膜症という脳の病気になって、2か月半くらい、脳外科で入院していました。  命を落とすこともある病気だそうです。脳の視覚をつかさどる神経が障がいされてしまって、そのときから、視力が下がっていきました。  ●5年前に、視覚障がいと認定されて、身体障害者手帳の交付を受けました。それまでは車の免許を持っていたが、生活が一変してしまいました。  ●障がい者になった当時は、障がい者であることが恥ずかしかったです。自分の中では、大きなショックでした。 身体障がい(聴覚)  ●私は聴覚障がい者です。「ろうあ者」です。「ろう」は耳が聞こえない、「あ」は喋れない障がいです。ただ、手話言語条例で、手話が言語として認められたので、「ろう者」でもいいのかなと思っています。  ●両親も「ろうあ者」です。2歳くらいのときに言葉が遅れているということで、心配した祖父が病院に連れていき、病院で注射をした影響で、耳が聞こえなくなったと聞いています。  ●3歳のときに、室蘭にある言泉学園の寮に入り、中学3年生まで生活しました。その後は小樽にある北海道高等ろう学校の寮で生活し、卒業後札幌で仕事をしました。  ●両親と生活する時間はあまりなかったですが、両親に、生んでくれたことを感謝しています。  ●ろう学校では手話ではなく主に口話を習いました。自分は声が出せると思って、口話に自信をもっていました。ところが社会に出てみると、自分の声を理解してもらうことができませんでした。自分の言葉が通じないことに、とても驚き、がっかりしました。 知的障がい  ●小学校6年生のときに心理検査を受けて、知的障がいがあることが分かりました。  ●最初は受け入れることができなかったです。  ●コミュニケーションもできるし電話もできるので、周りからは「普通に話せる」と思われるけれど、一人でできることが限られるし、話すとたどたどしいです。 知的障がい  ●私は知的障がいがあります。前に住んでいたアパートで、騒音のトラブルに巻き込まれて、困りました。騒音を自分のせいにされました。周りの方とのコミュニケーションがうまくいかなくて、困っています。 発達障がい  ●10年近く前に、アスペルガー症候群の診断を受けて、障害者手帳を取得しました。  ●脳機能の障がいで、優先順位をつけることなどが苦手です。  ●周りからは普通に見えるので、普通に扱われてしまいます。 精神障がい  ●パニック障がいと、双極性障がいがあります。  ●パニック障がいの症状は、喉のつかえ、不安・マイナス思考に包まれてしまうなどです。  ●パニック障がいの発作を体験(5秒間、自分の喉を締めてみる)。これが、一日中続くような感覚です。  ●「生きてる価値なし」「ダメ人間」「役立たず」とずっと言われているような感じで、体全体に不安がのしかかります。  ●体に重りがのっているような感じで、動けなくて、家事もできないし、ベッドから起き上がれるのはトイレだけです。  ●パニック障がいは、過労やストレスの多い環境が原因になるといわれています。また、他の病気を引き起こします。  ●直らない病気だといわれています。  ●「得体の知れない化け物」が自分の中にいる感じです。  ●病気の回復には、家族や友人の理解が欠かせません。安心できる環境は心を安定させ、回復が早くなります。 精神障がい  ●私の病気は「てんかん」で「複雑部分性発作」です。  ●意識障がいになり状況にそぐわない行為を示す発作です。  ●月に5〜12回、発作が起こります。 高次脳機能障がい  ●私は、高次脳機能障がいです。障がい名は「外傷性脳損傷」で、原因は交通事故です。交通事故の後、自分の頭が鈍くなったように感じました。  ●例えば、テレビを見ながらご飯を食べることなど、同時に2つのことができません。何かをしながら話すと舌を噛んでしまうので、「ながら作業」はできません。料理や(繰り上げ、繰り下げのある)計算ができません。 内部障がい  ●私は内部障がい(心臓機能障がい)で、乖離性大動脈瘤という病気です。通常は直径3cmの大動脈の血管が、直径6〜7cmにもなってしまう病気です。  ●心臓から足の付け根まで血管が拡がってしまい、放っておくと破裂して、直接死に至ります。  ●二十数年前に発症して、自分の場合、全ての血管を人工血管に置き換え、人工弁にも置き換えました。 難病  ●私は、リウマチ膠原病の中の全身性強皮症という自己免疫疾患です。全部の症状が少しずつゆるやかに悪化していっている状態です。  ●今は訪問リハビリで腕や足のストレッチをしてもらい、筋や筋肉をのばしてもらって現状維持ができています。  ●ヘルパーさんに買物、調理や掃除をしてもらい、通院も支援の車とヘルパーさんにつきそってもらっています。 1−2 普段困っていること 身体障がい(肢体)  ●地下街から狸小路に移動するエレベータ―がありません。車いすの友人と移動している時、近くのビルにあるエレベーターを教えてもらいましたが、小さくて友人と一緒に乗ることが大変でした。設置できないものかな、と思いました。 身体障がい(視覚)  ●脈絡膜萎縮で、視力が上がらなくなり、細かい文字や細い文字が読めなくなってしまい、困っています。  ●ピンクやオレンジのマークシートが全く見えなくて、困っています。外見から、視覚障がいがあるとわかってもらえません。例えば、目が見えづらくて転んでも、ただつまづいて転んだというふうに思われてしまいます。  ●1月から体調を崩して、手術を受けました。もし大変な病気になってしまうと、重複障がいになることもあるのだなと思いました。 知的障がい  ●一人では外出できないのが困っています。ヘルパー、兄、家族などと出かけています。  ●人ごみでパニックになって、過呼吸になることもあります。パニックになると、周りに迷惑をかけてしまいます。  ●店員に「商品の説明を求めること」「どこに商品があるのか聞く」ことが、一人だと難しいです。 知的障がい  ●円山動物園のゾウ舎で、出入口に進行方向の矢印がなかったので、改善してほしいです。 発達障がい  ●仕事がたくさん来て処理が追いつかなくなると、どうしたらいいか分からなくなってしまいます。 精神障がい  ●双極性障がいは、気分の浮き沈みがあり、躁(元気な状態)のときは、気持ちが高ぶって、普段の自分では考えられないことを言ったり、高価な買い物をしたりしてしまいます。気分がいいので、自覚がありません。  ●「躁が終わると、必ずうつ(元気がない状態)になり、躁のときの行動を後悔してしまいます。 精神障がい  ●困っていることは、調理師の仕事を、医師から止められたことです。 高次脳機能障がい  ●コミュニティが限定されて、自分が安心できる場所(脳外傷友の会コロポックル、自宅、病院くらい)にしか行かなくなりました。 内部障がい  ●手術後は体力がなく、地下鉄で一駅二駅座るのも大変だとか、外出するとすぐ座りたくなることがありました。  ●目に見えない障がいなので、乗り物に乗るとき、地下鉄の専用席、JRの優先席に座ると、「なぜ健康そうなのに座っているのか」というふうに周りから見られているように感じ、困っていました。 難病  ●色々なことができなくなり、我慢やあきらめの連続で、今は平気になりました。  ●病気が悪化するまでは体育会系で、バドミントンやボーリング、パークゴルフもしていました。手指が不自由なので、縫物・編物や文章を書くこともできず、苦手だったはずの読書が趣味になり、中央図書館から送ってもらい毎月6〜10冊の本を読んでいます。 1−3 今までの経験から気づいたこと 身体障がい(肢体)  ●市役所8階のトイレが狭くて暗いので、明るくしてもらえるといいと思います。 身体障がい(視覚)  ●優先席が空いていると座っている人もいるが、後から来た方が、優先席に座りたくても座れないことがあります。  ●ヘルプマークの認知度がまだ低いのかなと思います。  ●ヘルプマークをバッグにつけていても、それが見えなかったり、見過ごしてしまうこともあると思います。  ●例えば「toヘルプ」、お手伝いしますよという仕組があってもいいのかもしれないと思いました。  ●商業施設のトイレで、前に何人も並んでいると、多目的トイレに入りたくても声に出せない人がいるのかなと思いました。多目的トイレであっても、並んでいる人が空いたトイレに順番に入ってしまいます。どうしても多目的トイレを利用する場合は、まわりのひとに声かけをするなど、配慮があるといいと思いました。 身体障がい(聴覚)  ●地下鉄やJRの主な駅では、文字で情報が分かるところが増えてきました。規模が小さいところ、例えば星置駅では、「汽車が来ました」「〇時です」という簡単な文字情報はあります。もっと、文字情報が増えると、いいと思います。 発達障がい  ●飛行機の優先搭乗で、ヘルプマークを利用している方も優先搭乗できるといいのではないか、と思いました。 精神障がい  ●地下鉄の踊り場や、最後の段に、ゴム製のマットが敷いてあるといいと思いました。階段で意識を失い、転落したことがあったためです。 難病  ●エレベーターが少ない。車いす移動が大変。通路なども、車いすを追い越した時に足をぶつけてしまったことがある。通路などに車いす専用のレーンがあると助かると思う。 1−4 配慮や支援をされてうれしいこと、助かること 身体障がい(肢体)  ●「お手伝いしたいんだけど、何を手伝ったらいいですか?」と聞かれたことが、うれしかったです。 身体障がい(肢体)  ●地下鉄車両の入口で、たまたま障害者手帳を持って立っていたとき、「座りなよ」と声をかけてくれて、嬉しかったです。  ●私にもできることがあると思うので、私よりも大変な人のお手伝いができればいいなと思います。 身体障がい(視覚)  ●外見からは障がい者に見えないので、外出先で文字を書くとき、「見えない」と言うと、「見えないんですか?」と言われてしまいます。その時、実は視覚障がいで身体障害者手帳を持っていることを説明すると「わからなくてごめんなさい」と言ってもらえたことが嬉しかったです。   ●資格取得の試験のときに、マークシートが見えないので拡大版のマークシートを用意してもらい、回答を転記してくれました。 ●障がい者になって、「何もできないんじゃないか」と思っていたときもあったが、実はいろんな制度がたくさんあってうれしかったです。 身体障がい(聴覚)  ●ろうあ者であって、お互いにがんばろうという仲間がいるのが、嬉しいです。ろうあ運動で仲間が増えていきました。  ●前はお願いする運動でしたが、それが変わってきて、今は法律を変えるような運動になって、手話言語条例の制定など、仲間と活動を続けてきたことが一番嬉しかったことだと思います。 知的障がい  ●これまで、周りの人に言葉をかけてもらったり、助けてもらったりしたことがいっぱいあります。  ●人ごみでパニックになっててしまったときに、知らない人がお水を買ってくれて、「落ち着いて」と声をかけてくれたことが嬉しかったです。  ●屋外で固まってしまって、声が出なくなってしまったときに、救急車を呼んでくれたことが嬉しかったです。 知的障がい  ●地下鉄に乗っていたときに、ヘルプマークに気づいて声をかけてもらったことがあり、うれしかったです。 発達障がい  ●「ありがとう」「助かった」という感謝される言葉が、嬉しかったです。今の仕事にも繋がっています。 精神障がい  ●ヘルプマークをつけていたときに、席を譲ってもらえたことがうれしかった。「気づかなくてごめんね」と言われ、周りの人も譲り合いをしていたのが、印象的でした。 精神障がい  ●自分ではまっすぐ歩いているつもりだったのですが、てんかんの症状があり、ふらふらと歩いていたことがあります。それを見て、具合が悪いと思ったのか、小学生が「どうしましたか?お荷物お持ちしましょうか?」と声をかけてくれたことがうれしかったです。  ●自分は、周りの人に自分の障がいを打ち明けているので、お店でふらふらしているときに、店員が体を支えてくれて、うれしかったです。 高次脳機能障がい  ●会社の人が、「何も心配しなくていい、会社がサポートする」と言ってくれて、退職まで無事に勤めあげることができました。  ●一人でも、共感してくれる人がいるとがんばれると思いました。 内部障がい  ●地下鉄、JRでそれぞれ2回ずつ、若い学生から、席を譲っていただいたことが嬉しかったです。  ●青森の三沢空港で、飛行機から到着ロビーまで歩いているとき、空港職員が荷物を持ってくれた。ヘルプマークのおかげかと思いました。新千歳空港では、手荷物を預けるとき、ものすごく並ぶので、こういったところも、変わっていってくれるといいと思います。 難病  ●札幌ドームの専用エレベーター前で待っていた時に、小学生くらいの男の子が、健常者さん達を両手で制して「お先にどうぞ!」と言ってくれたことが嬉しかったです。「ありがとう、助かります!」と言ってゆずっていただきました。 まとめ  サポーター同士、お互い知らないことがたくさんありました。  心のバリアフリーを広げるため、自分の障がいの特性を周りの人に分かってもらい、気軽にサポートしてもらうよう、日頃から伝え方を工夫したいと思いました。 ○ サブテーマ ○ 「ヘルプマークを知ってもらおう」  まちづくりサポーターはヘルプマークを利用している人も多数いるため、ヘルプマークに対する意見交換や情報交換をしました。   2−1 意見交換 ・障がい当事者講師として小学校でお話をした時ヘルプマークを知っているか聞いてみました。  知っている子を見て、自分も知っていなければいけないと感じている様子でした。こうした機会は見えない障がいがあることを知ってもらうことにつながると思います。 ・通所している事業所の職員や同僚の障がい当事者がヘルプマークを知りませんでした。 ・周知の取組をしても伝わるべき人に伝わっていないことがあり、そのミスマッチがなくなれば良いと思います。 ・地下鉄は車両の故障で停止したときに、聴覚に障がいのある方がヘルプマークを駅員に見せると情報をもらうことができたという事例がありました。 ・ヘルプマークをつけることに抵抗があります。 ・優先席に座っていてふと視線を上げると目が合うことがよくあります。どこに障がいがあるのだろうと気になって見ているのではないかと思います。 ・ヘルプマークをつけていると視線を感じます。一方、席を譲ってくれるなど良いこともあります。 ・ヘルプマークをつけるようになってから、いつもの地下鉄でも周囲の暖かい雰囲気を感じたという話を聞いたことがあります。 ・耳は聞こえないけれど体は健康なのでヘルプマークを使わない人が多いです。 ・聴覚障がいでも一人で歩いていると健康な人に見られます。ヘルプマークと一緒に手話マークをつけることなども検討しています。 2−1 情報提供(寺地副代表より) ・平成30年(2018年)2月に商業施設にてヘルプマークの啓発活動を実施しました。  その際150名(通行人)にアンケートをお願いしましたところ下記のような結果が得られました。    ◇ヘルプマークについて  ・ヘルプマークを知っている 80%  ・ヘルプマークを知らない  20% ◇ヘルプカードについて  ・ヘルプカードを知っている 40%  ・ヘルプカードを知らない  60% ◇配布場所について  ・ヘルプマークをどこでもらえるか知っている 40%  ・ヘルプマークをどこでもらえるか知らない  60%        アンケートの結果から、行政に頼るだけではなく、障がい当事者自らも、ヘルプマークについて発信していかなければならないと感じました。    2−3 ヘルプマークの今後の普及啓発について  障がい当事者からもヘルプマークについて発信していかなければいけません。  サポーターから、「地下鉄各駅、JR駅のホームやバスセンターの待合室などにヘルプマーク利用者のための優先席があれば、安心して外出できるのではないか」と提案がありました。このことについて、サポーター会議の出席者全員一致で関係各所に検討してもらうよう決定しました。  事務局から地下鉄駅を担当する交通局に確認したところ、優先席を設けることは難しいが、ヘルプマークを着けている方への配慮や支え合いについて、障がい福祉課と協力しながら、より多くの人に広げていくよう取り組んでいきますとのことでした。 まとめ  ヘルプマークの存在を広く知ってもらえるよう、関係各所にヘルプマークの周知の協力を求めることになりました。サポーターも、それぞれ出来る活動をしていきます。 ○ サブテーマ ○ 「災害に備えよう」 3−1 災害の時に不安なこと、困ることについて    北海道胆振東部地震では、まだ暗い中で地震が発生して停電となり、周りの状況も分からない中、食料・水の確保や、避難場所への移動など、突然のできごとに不安がありました。  私たちにとって、普段と異なる状況である災害に対応するのは大変難しいことです。 身体障がい(肢体)  ●車いすユーザーも一人ひとり状態が違います。  ●片麻痺の場合は、手動の車いすはこげません。  ●たとえ電動車いすを使っても、エレベーターが止まったり、物が倒れていたりすると自力での移動はできません。  ●助けて下さる人の手がなければ、避難所まで移動ができません。 身体障がい(視覚)  ●障がいのある人が、災害時に避難所に行くことで迷惑がかかると感じる人が多いように思います。そのことによって、我慢や気持ちの負担も出てくると思います。 身体障がい(聴覚)  ●スマートフォンを携帯しているときは、「札幌市防災アプリ(愛称 そなえ)」の情報を見ることができますが、スマートフォンが壊れたら情報が見られないので、不安です。 知的障がい  ●車いすの仲間たちや知的障がいのある仲間たちが避難所に移動できなくて困っています。  避難所で人がたくさんいることでパニックになって避難所へ入れない障がいのある仲間たちが入れないことがあります。その時に別な部屋に案内されるか不安です。知っている人がいると安心します。 精神障がい  ●避難所で配慮して貰えるか不安です。(体調が悪いと寝たきりで立つのも辛くなるため) 精神障がい  ●特殊な薬を飲んでいるので、災害時に薬を入手できるか(なかなか手に入らないかもと)不安があります。 身体障がい(内部)  ●停電になり、エレベーターが作動しない場合(マンション5階に居住)、避難は階段を利用しなければならず、体力的に大きな不安があります。 難病  ●携帯の充電がなくなり、ラジオもなく、連絡と情報が入らず不安でしたが、何故か楽観的でした。  丸一日経った次の日に、リハビリの先生が、連絡がとれなかったので心配して来て下さり、電話を借りて息子に連絡がとれて、充電器を持ってきてくれました。  ガスと水道が使えたので、カップ麺を食べることができました。冬ではなくてよかったです。電気いらずのストーブは用意できていないです。 3−2 災害の時の課題について  災害の時の課題について意見交換を行いました。  サポーターからは、避難所についての意見が多くありました。 身体障がい(肢体)  ●片麻痺なので、寝るときは、ベッドなど高さがないと、寝られません。また、車いすで動ける幅の動線が必要です。  ●避難場所では手すりがないとトイレが難しいです。  ●自分だけベッドを使うなど、特別な状況になると、周囲の目が気になります。  ●よほどの事態でない限り、避難せず自室で過ごすことになるので、水と食料のストックを常備することと、地域との連携が必要です。 身体障がい(肢体)  ●避難所で誰かが誤って補装具を踏んでしまうと破損して私も困るけれど、踏んだ人も怪我をしてしまうのが心配。 身体障がい(視覚)  ●視覚に障がいがあり、お店で、店員が「○○は売り切れです」と紙に書いて見せてくれていたが、すぐに通り過ぎてしまうので、見えなくて大変でした。  ●健常者と障がい者が同じ条件で支援を受けられるのかが課題になるのではないかと思います。 身体障がい(聴覚)  ●昼間は自分で避難することができますが、就寝中だと気付くのが遅れると思うので怖いです。 知的障がい  ●体育館に避難することを考えると、人ごみが苦手なので、狭い個室なんかがあると嬉しいです。 知的障がい  ●平成30年に西日本で発生した水害(平成30年7月豪雨)の時に知的障がいのある当事者が近所の人に声をかけてもらえず亡くなってしまいました。近所とのつきあいがあれば一緒に避難所に行けるのに。本当に声をかけるのは大切です。地震の時に一人ひとりの避難計画をつくることもしてほしいです。 精神障がい  ●障がい者用避難スペースの設置が必要だと思います。 精神障がい  ●健常者も障がい者も共に体と心のケアが課題となると思います。 内部障がい  ●心臓の持病で服薬していましたが、予備の薬の場所は、家族も知りません。薬は1週間分、バッグに入れて持ち歩くようにしました。  ●トイレや食品の配給など、長時間立って並ぶことは体力的に難しいため不安です。  ●災害時は誰もが等しく被災者なので、障がいがあっても最低限自分を助けることが必要。その時のために、準備が大切だと思います。 難病  ●避難所は利用したことはないので、想像でしかわからないですが、「床に座る、寝ることができない」「冷える、寒いと病状が悪化する」「長時間立っていられない」という不安から利用させてもらうこともためらってしまうかもしれません。 3−3 災害の時に配慮や支援をされてうれしいこと、     助かること    サポーターの中には、避難所のことを講義で教えてもらえたことで、不安が解消されたという声がありました。また、支援者が安否確認の電話をくれたことで安心したというサポーターもいます。   身体障がい(肢体)  ●生存の確認・食糧の差入れ。 身体障がい(視覚)  ●障がいがあるために出来ないことがあると理解してくれること、そしてそれの手助けをしてくれること(言葉かけでも有難い)。 身体障がい(聴覚)  ●同じ住宅で付き合いの長い方が、スムーズに手話ができるので、本当に助かります。 知的障がい  ●地震の時にどこに連絡するのか分からない仲間たちもいます。町内会の人や近所の人に声をかけてほしいです。  ●電話の安否確認で声をきけたら安心します。  ●私が通っている事業所から安否確認の電話をしてくれたことや食べ物を配ってくれたことです。 精神障がい  ●一般の避難者と分けてほしい。不調時は不安感が強くなるので、定期的な声掛けをしてほしい。 内部障がい  ●避難所で過ごさねばならないときに、体育館など大勢の人が集まる場所では、体を休めづらい。別教室の利用や、重たいものの持ち運びなどを助けてもらえたらありがたい。 3−4 その他(自由記載) 身体障がい(視覚)  ●障がいがあるからやってもらうばかりではなく、自らも出来ることはするべきだと思う。何らかのコミュニティに参加することや、ネットなどでも情報収集をすることは大切だと思います。 知的障がい  ●誰でも避難が難しいこともあります。お互いに助け合っていきたいと思います。 精神障がい  ●障がいがあるので、避難したら周りの迷惑にならないか、差別を受けるのでは、という不安がある。障がい者だけの避難スペースがあれば、お互い助け合えるし、安心できると思います。 内部障がい  ●日頃から、地域に知り合いを多く作り、いざという時にお互いに助け合える環境づくりが大切だと思います。 3−5 災害時の取組について  サポーター会議での意見交換を踏まえ、「災害時の避難について知ろう」と話し合い、以下の3段階を経て札幌市や地域等の取組について学習しました。 (1) 人権シンポジウムin札幌 「震災と人権」  鈴木代表が、令和元年(2019年)9月29日に開催された人権シンポジウムに参加し、まちづくりサポーター会議において情報提供をしてくれました。 ◇ 札幌市で起こりうる地震について   ・震度6強以上15%   ・建物倒壊11万棟以上   ・死傷者4万人超と予測 ◇ 札幌市で起こりうる災害について   ・豊平川の氾濫、土砂災害の可能性について ◇ 災害備蓄についての知識   ・食料、飲料水(一人1日3リットル)を3日分。    携帯トイレや携帯電話、充電器など   ・冬の備えも忘れずに。   ・定期的に備蓄品の確認をすることも肝心。    ◇ 避難所の運営について ・スフィア基準のもとに避難所運営   【スフィア基準とは】    災害や紛争の被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、したがって、援助を受ける権利がある」「災害や紛争による苦痛を軽減するために実行可能なあらゆる手段が尽くされるべきである」という2つの信念  ・東日本大震災の際の避難所運営において、「避難所にいる一人ひとりに役割があった」ことで成功例となったものがある。   役割の例としては、子どもが靴を並べる、小学生が食料を配る、高校生が情報の整理をし壁新聞を作る、女性の下着は女性が担当して別の場所で配る、生理用品は予めトイレに設置などがある。 (2) 札幌市危機管理対策室による講義   令和元年(2019年)10月25日に開催されたまちづくりサポーター会議において、「避難所のことを知りたい!」をテーマに、札幌市危機管理対策室危機管理対策課から講義を受けました。 ◇ 札幌市における避難所の種類   避難場所の種類は、大きく分けて5つあります。  @指定緊急避難場所   災害から身を守るために緊急的に避難する施設又は場所のことで、市立小中学校、各区体育館、大規模な公園などが該当します。施設が川やがけの近くなどに位置する場合など、  市立小中学校などでも指定緊急避難場所とならない場合もあるので、看板などで確認が必要です。    A指定避難所(基幹)   滞在スペースのある指定緊急避難場所のことで、市立小中学校や区体育館などです。避難生活に必要な設備や物資が備えられています。   配慮が必要な方(要配慮者)で、他の避難者と一緒に生活することが難しい場合は、空き教室などを福祉避難スペースとして使うことができます。  B指定避難所(地域)   災害によって自宅へ戻れなくなった被災者が一時的に滞在し、指定避難所(基幹)を補完する施設です。地区会館、高校、神社などです。    C一時避難場所   地震が発生した時に避難が必要な場合、一時避難し身の安全を確保する場所です。又は地域で一時集合して安否確認等を行う場所です。公園、市立小中学校のグラウンドなどのことです。     D要配慮者二次避難所   指定避難所に設置される福祉避難スペース等での避難生活が困難な要配慮者の方で、より支援の必要性が高い方を受け入れる避難所です。  開設にあたっては、災害が発生した後、札幌市が要配慮者二次避難所の候補となる施設に連絡・状況を把握し、要配慮者の受入が可能かを確認したうえで、開設をお願いするものです。そのため、開設は、災害発生後、概ね3日目が目途となります。   また、要配慮者二次避難所への受入は、札幌市が施設との調整を経て行うものであり、自己判断で直接避難はできないものです。    ◇ 札幌市の災害備蓄について  ・各区の備蓄品設置場所、種類、備蓄数などについて学びました。指定避難所に備蓄されている応急救援備蓄物資にはアルファ米、クラッカー、毛布、紙おむつ、LEDランタン、生理用品などがあり、各施設の備蓄数は各区の  想定避難者数を指定避難所(基幹)の数で割り決まっています。 ◇ 地震防災マップ、洪水ハザードマップの見方   ・サポーターそれぞれの居住区のマップの見方を学びました。これらのマップには、居住区の指定緊急避難場所や指定避難所の一覧が掲載されています。    以上の講義から、障がいのある人が避難所へ避難する場合、周囲の支援や配慮が不可欠なので、まずは自分が所属している町内会や避難所を確認しようと提案がありました。  令和2年(2020年)6月23日に開催した会議(書面会議)と令和2年10月8日の会議にて確認を行いました。 (3)「災害時に備えた地域での支えあい研修会」  令和2年2月10日に開催された研修会に、まちづくりサポーターの数名で参加しました。    ◇災害時に、支援が必要な障がいのある人などへの、札幌市の取組の紹介  ◇白石区の町内会・東区の福祉事業所が行った要支援者の避難訓練報告  ◇バクバクの会(人工呼吸器を使用している人の会) 災害時の札幌市への要望について  残念ながら、この後、コロナ禍の影響でまちづくりサポーター会議を参集の形で行うことが難しくなり、この研修会についてはメンバー全体での共有はできていません。 まとめ  災害弱者である障がい当事者だからこそ、日ごろから避難所までの行き方を確認したり、災害時に安否確認できるよう人と人とのつながりを作り、地域との結びつきを深めておくことが重要ではないでしょうか。  しかし、避難所は行政だけで運営できるものではなく、地域、NPO、社会福祉協議会、民間企業、など皆で協力してできるものです。障がいのある人も、自分たちにできることを考えることが大事です。  また、非常持ち出し袋に、災害備蓄品である水、食料、薬品など必要なものを備えておく事で、自分の命は自分で守る大切さを再認識しました。 ○ サブテーマ ○ 「就労について考えよう」 4−1 就労先を見つけるための課題について 私たちは一人ひとり障がいの特性が違うため、仕事を見つけることにとても苦労します。 サポーターの中には、求人票を見て応募する時に、障がい特性のある中でも進められる仕事なのか分からない、という不安の声もありました。  また、就労の経験がないときに、職業訓練ができる場所を見つけることの難しさや、通勤に関して地下鉄の利用が必要な場所かどうか等、移動についての困りごともあります。 4−2 就労中の課題について  サポーターの中には、見た目では分かりにくい障がいのため、同じ障がいのある方から、「あなたは健常者だから、私の気持ちが分からない」と言われてしまったことがつらかった、という話もありました。  就労中の課題として、分からないことがあっても、他の人が忙しそうで聞けないこと、いくつかの仕事を同時に進めることが難しい、周りの音が気になって業務を進めるのが難しい、という話ありました。また、働く事務室の温度や湿度に体調を合わせるのが難しいこともあります。 4−3 就労中に配慮や支援をされてうれしいこと、助かること  サポーターが仕事をしているときに、かけてもらってうれしかった言葉や、助けてもらって嬉しかったことがあります。 サポーターから出た体験談  ●「ありがとう」という言葉はやはりうれしい。「ありがとう」の一言で心が折れそうな時や、辛いことがあっても乗り越えることができる。  ●障がいがあることについて気にかけてくれた。仕事がしやすいように配慮してくれたこと。  ●会社の人が私が話す相手になってくれた。集まりに出なくても、必ず、その度にラインで誘ってくれました。とてもうれしく思いました。  ●できないことやわからないことがある時、メンバーやスタッフさんが声をかけてくれ、できたことに対して「すごいね」と言われた時がうれしい。  ●お客さんが「おいしかった」と言ってくれたことがうれしかったです。「また来るね」と言ってくれました。  ●机の移動などの仕事は、一人では難しいのですが、他の方が手伝ってくださるのでとても助かっています。 ●職場用の杖を用意してもらったこと。出入口の扉の開閉をしてもらったこと。   まとめ  障がいを持って働くということは、とても難しい面があります。  @ 生まれつきの障がいのある人。  A 人生の途中で事故や病気で障がい者になった人。  障がいの種類も様々。出来る事、出来ない事もそれぞれ。自分の意思を的確に伝えることが出来ないと、自分に合った仕事をするのは難しいです。  障がいのある人が働く場所には、一般的には、就労継続支援事業所A型(一般の企業に雇用が困難で雇用契約に基づく就労が可能である人が働ける。時給はその年の一般の最低賃金。)またはB型(雇用契約に基づく就労が困難な人が働ける。知識や能力が向上する訓練や支援が受けられる。賃金はひと月1万〜2万円台の場合もある。)で就労する事になります。  また、7期サポーターの中には以前A型で働いていましたが、有給や交通費がもらえることを教えてもらうことが出来ずに辞めてしまった。などの問題点もありました。  もちろん、障がいがあっても、一般の企業で働いている人もいます。民間企業における障がい者の法定雇用率については、2021年4月から2.3%(100人いる企業なら2人以上の障がい者を雇用する)と決められています。数年前には国の役所で数字合わせのための不正が公になり大きな問題になったこともありました。一方で、熱心に障がい者雇用の取組をして表彰される企業もあります。就労の場は働く生きがいを持ち、互いを身近な存在だと意識できる大切な場でもあります。サブテーマとして、就労についても議論の予定をしていましたが感染予防対策で集まれない中での書面会議になりました。  集まることができていた頃の、会議中のフリートークでも常に話題となっていました。障がいがあっても、働ける場所があれば、仕事をして収入を得て生計を立てたいと思っている人はたくさん存在しています。  おわりに  私たち第7期まちづくりサポーターは、2018年から3年間活動して参りました。  その間、元号が平成から令和に変わりました。またサポーターを委嘱された直後に北海道胆振東部地震が発生し、さらに2020年は新型コロナウィルスが猛威をふるい、過去に経験したことのない日々を過ごしました。  私達は、ブラックアウトなど大きな災害を経験したからこそ災害弱者(要配慮者)として、様々なことを学び提案したいと考えました。そのためにまずは、障がいについての日常の困り事や、支援について広く社会に知ってもらうことが「心のバリアフリー」が広がるきっかけになるのではないかと話し合いました。  また、2つ目のテーマであるヘルプマークについて、どのようにしたら周知がより広がるかも話しました。3つ目のテーマである障がい当事者の就労についても、さまざまな意見が出ました。  この3つのテーマについて2年をかけて、じっくり話し合いを重ねました。  しかし3年目の2020年は、コロナ禍の影響で会議をすることもままならず、書面会議という形をとったこともありました。それに伴い、まちづくりサポーターとして札幌市に意見や提案をまとめるところまでは至らず大変残念な思いがあります。しかし多くの課題に気がつくことができましたので第8期、第9期……の皆様に課題を託し活動を終わりたく思います。ありがとうございました。   第7期札幌市障がい者によるまちづくりサポーター副代表  寺地 恵子 氏名 障がい種別   赤澤 桃子 知的障がい   小林 美幸 身体障がい(視覚)   佐藤 博子 高次脳機能障がい   佐藤 正昭 身体障がい(聴覚)   佐藤 さやか 身体障がい(肢体) ◎ 鈴木 博子 身体障がい(肢体)   楯石 僚 発達障がい   田中 健二 精神障がい ○ 寺地 恵子 身体障がい(内部) ○ 林 真奈 精神障がい   原田 千代子 知的障がい   吉井 美鈴 難病、身体障がい(肢体) 50音順 ◎は代表、○は副代表をそれぞれ表します。 任期:平成30年6月1日から令和3年5月31日