開催日時 令和3年7月9日(金曜日)午後2時〜午後4時30分 出席者(計14名・敬称略) (サポーター11名)岩垣・大江・鹿庭・金原・木村・小林・広島・堀・松田・松本・山田 (事務局3名)干場・小林・木内 主な議事と概要  ※詳細は下記「会議の内容」を参照 1 自己紹介の後、サポーターから代表等を選出 代表は山田 英雄氏、副代表2名は大江達夫氏と広島雅美氏に決定。 2 まちづくりサポーター制度について、事務局から資料3に基づき説明。 3 先輩サポーターからの話 過去に複数回サポーターを務められた小山内 美智子 様(自立生活センターNPO法人札幌いちご会 理事長)から、サポーター活動をはじめとした、これまでの障がい福祉に関する活動のご経験をお話しいただいた。 4 サポーター活動のテーマについて ・ 事務局から配布資料4〜6(今期サポーターの応募された方々が取り組みたい活動として挙げていた意見を集約したものや過去3期分の活動テーマ一覧、前期活動報告書)について説明。 ・ 活動テーマは次回会議で決めることとし、本日は、各委員が日頃感じていること、こうなればいいと思っていることなどについて自由に意見を出し合った。 ・ 次回会議までに、今期の活動テーマとして取り上げたいことを、各委員が事務局へ提出することとし、作業スケジュールは、代表、副代表、事務局が別に検討し、後日委員へお知らせする。 ・ 次回会議は10月開催を予定。日程調整は、後日事務局が行う。 5 事務局からの事務連絡    サポーター活動に関する、SNS等による情報発信のルールについて説明。 会議の内容 2 まちづくりサポーター制度について(事務局から説明)  障がい者によるまちづくりサポーター制度は、平成15年に「政策提言サポーター制度」として始まった制度で、平成24年度から現行の名称に変更された。 サポーター制度の目的は、障がいのある方が普段思っていることや考えていることを、同じ目線で理解したり、応援することができる障がいのある方に、 聞き取り役や取りまとめ役となる「サポーター」になっていただき、障がいのある方の意見を札幌市のまちづくりに反映すること。 活動内容は、身の周りの障がいのある方から、あるいは、必要に応じて懇談会等を開催したり、ヒアリング調査等を行うなどして、障がいのある方の意見を聞き取り、それを整理・集約していただくこと。 活動内容は報告書としてまとめ、3年間の任期の最終年に、札幌市自立支援協議会に報告していただく。   質問:サポーター制度の設置根拠となる条例は何か。 回答:条例に基づくものではなく、札幌市(事業実施局)が要綱に基づき設置している。 3 先輩サポーターからの講話 ・講師紹介(事務局から説明)  脳性麻痺の重度身体障がいがある。北海道上川郡和寒町出身。1977年障がいのある人の自立生活を支援する「札幌いちご会」を結成。 これまで多くの著書を出版され、札幌市で行ってきた数々の障がい者運動等のご経験から多くの講演活動も行っている。 ・講話の概要   こんにちは。まちづくりサポーターの会議の場でお会いできないことがとても残念ですが、 今回、若い方にバトンタッチして、札幌のまちを変えていくということを聞きました。それは良いこと。 でも、実際に長く活動してきた人の話を聞くことも大事なことではないでしょうか。皆さんはどう思いますか。 1972年、札幌(冬季)オリンピックがあった時に今の地下鉄が出来ましたが、階段ばかりでエレベーターがなかった。 私たちは困りました。私たちは地下鉄に乗っていろんなところに行きたかったけれど、行けなかった。 そこで、私たちは考えました。毎日、近くの地下鉄に乗った。駅員4人が重い車椅子を持ち上げて階段の上り下りをすることになった。 そのうち、駅員は腰を痛めて「もう勘弁してくれよ」と言いました。そこで、私たちは「駅員さんたちも一緒に(地下鉄に)エレベーターをつけるようお願いしようよ」と話したところ、 「それはいいですね」となって、地下鉄の労働組合の方も一緒にエレベーターをつけるための運動をしてくれることになった。とても嬉しかったです。  それでエレベーターはできたのですが、最初のうちは、『車いすの人しか乗ってはいけません』と大きく書かれていました。 「それはおかしいな」と思い、「その貼り紙を取ってください」とお願いしました。エレベーターはお年寄りも乗るし、 ベビーカーの人も乗りますよね。障がい者のための1億円かかるエレベーター。そういうことを議会に請願したが、何か作るときには必ず壁だらけだった。 私は脳性麻痺があって、しゃべりにくいし聞き取りにくいと言われる。これもバリアです。私が話していることが分からないことがあれば、手を挙げてください。 私たちは若い時は公営住宅にいました。使いにくい公営住宅でした。 建設大臣(当時)に「入居する人が決まってから設計をしてください」と手紙を書きました。トイレ、洗面台、台所、お風呂、全体的に 障がいをもつ人に合った設計をしてくださいと言いました。「小山内さんのアイデアすごくいいです」と言ってくださいました。 自分の思いをさっと書いて送ることは、宝くじより当たりやすいです。私は毎回宝くじだと思って、自分の希望を書いています。 障がい者が地域で自立生活したいといったらよく「一人でアパートに暮らすのは危険だから、施設に行けばいい」と言われました。 北海道に訴えても、とにかく危ないからとしか言われない。言葉で訴えるだけでは弱いので、 実際に自分たちで寄付金やボランティアを集めて、アパートに実験的に住んでみることから始めました。 行ったことについては自分たちの言葉で記録をつけて、本を作っていました。いちご会はそのようなことの繰り返しです。    皆さんもこれから生活していくうえで、出かけたときなどに「ここのトイレが使いにくいな」とか「ここにトイレ があったらいいのにな」とか、みんなで行って体験して訴えていかなければ。それが、あなたたち、サポーターのお仕事です。  私は障がい者に生まれて辛かったけれど、いっぱい、まちづくりをしたから、市民の役に立ってきた。皆さん も、ぜひ障がい者にしかできない仕事をやってください。(札幌)市役所の1階のトイレにいったことがある人はいますか。 1階のトイレは使いやすいでしょう。このようになるまでに20年かかりました。もともと1階にあったトイレは狭くて、車椅子で入れなかった。 北海道の地方に住んでいる障がい者が札幌に訪れた時に、市役所のトイレがひどいのを見て、 「札幌で活動している小山内さんの責任だよ。何とかしてよ。」とよく言われました。 「私の責任じゃないんだけどな」と思ったけれど、市長に「つかいにくいです」と怒った。使いやすいトイレを20年かけて作りました。そしてやっと使いやすいトイレが出来ました。   障がい者住宅を建てた時のことですが、自分たちも設計のプロではないので、図面を見てもわかりませんでした。 設計する側も障がい者のことは分からないものです。障がい者福祉センターのグラウンドを借りて、 段ボールを持ってきて家具の配置を決め、ガムテープでベッド、台所と目印をつけ、電動車いすで入って 一回転できるかどうかを試してみました。自分で必要なものを理解し、相手にも伝えたい場合、 このやり方はとてもわかりやすいので、皆さんも行ってみたら良いと思います。みなさんも、そういうことをサポーター会議で、やってみるといいですね。 市長や役人は異動があり、なにかが前に進んでも、必ずしも引きつがれているわけではないです。 今回はいい人、今回はダメな人と噂するだけでなく、はっきりと要望書を書き訴えていかないと、陰で言っても何もかわらない。 いつでもどこでもあったらいいなという視点を持ち、健康な人にはわからない、障がい者にしか見えないことがある。 障がいがある人と無い人には壁があります。その壁は一生なくならないから、私たちは壊しながら生きていかなければいけないのです。 お互いさまだということを理解しながら付き合っていかなければなりません。「分からないけど、小山内さんってそういう人なんだね」というように、お互いに理解しあうことが大事。 最近いちご会の裏に公園ができて、職員が「小山内さん、とてもいい公園ができたから一緒に行きましょう」と言われたので 「それは行かなくちゃいけない」と思って行きました。行ったとたん、石の段差があったり、 階段がいっぱいあったり、坂道があったり。車椅子の人が引っかかって落ちたら怪我するどころか死んじゃ いそうになりそうな、何でこんな公園を作ったんだろうってね。車椅子だけではなく、ベビーカ―やおばあさん 、保育園の子どもたちにもすごく危険なんですね。昔の公園ならわかりますが、最近になってそのような危険な公園を作っているのです。 みなさん、コロナが終わったら、いろんな公園に行って、車いすやベビーカーに危なくない公園かどうか、チェックしてください。 それがあなたたちサポーターの仕事です。普段からお店に行って、車椅子とか、いろんな障がい者にとって使いにくいことは何か、ということを、毎日心に、気に留めてください。 そして見直すところを決めていってください。心からお願いします。   私もみなさんと同じサポーター会議に入りたかったのですが、どうしても市の人がだめだといったのでがっかりしました。 でも、若い人にバトンタッチということはすごくよくわかります。会議を他の障がい者や、福祉関係者が傍聴できるようにしてください。 いろんな人の意見を聞いて「ああ、こういうことを言っているんだな」と理解し合って、皆で紙に書いて、市の人に渡して、この意見はいいとかそうでないとか、 分けていく必要があります。私たち市民は、あなたたちの話し合いを知る権利があります。 これをどう思うかこれからみなさんで語り合って、傍聴人をいれたらいいのか悪いのか話し合ってください。 パソコンで全部会議の情報を明らかにしたり、開かれた話し合いにして下さい。お願いします。では、何か質問があればしてください。 質問:先ほどエレベーターを設置する運動をしたと伺った。労働組合と障がい者が結束して住みやすい街にするノーマライゼーションのような運動は海外ではよく見られるが(日本では)珍しい。労働組合の方はどのような経緯で結びついたのか。また初めてエレベーターを設置した駅はどこか。 回答:重い車椅子を運ぶことで駅員さんたちが脚や腰を痛めて「勘弁してくれよ」といい、そこで「一緒にエレベータをつける運動をしませんか」と伝えた時に「その考え方はいいね」と言われて運動につながった。初めて設置された駅は白石駅。 質問:エレベーターが工事で使えない時、車椅子の方はどのようにして地下鉄を利用しているのか伺いたい。 回答:タクシーに乗ったり。バスも使いにくいから。長いこと歩いて、違う駅に行っていると思う。 4 サポーター活動のテーマについて(各委員から出された主な意見) ・ 今期のサポーター活動のスケジュール(開催の曜日・頻度)を事前に決めてはどうか。 ・ テーマを決めるにあたり、ソフト面(広報や障がい者教育等)とハード面(バリアフリー整備等) の2つに分けてから、細かなテーマに絞っていくと活動しやすいと思う。また、いくつかのグループに分かれて各テーマに取り組むとより具体的な活動につながると思う。 ・ 札幌市として、社会的援護を必要とする方がどの程度いるのかを把握するため、生活・所得状況の統計を幅広に取ってほしい。 また、コロナ禍による失業等で精神的に追い詰められる方もいると思うので、福祉制度にアクセスしやすい制度周知(アクセシビリティの整備)を必要とする人が多いと思う。 ・ インターネット環境について取り上げたい。SNS(ラインやツイッター等)は外出が困難な方にも利便性があり、まちづくりに関する若者への情報発信にも活用できる。 コロナ禍という状況も含め、障がい者のまちづくりに必要なことだと思う。 ・ 身体障がい以外の障がい者の就労先は少ないため、就労をテーマとして取り上げ、相談事業所と連携するなどして活動していきたい。 ・ 知的障がいのある方々に分かりやすい情報を提供してほしい。今回のコロナの接種券の予診票には記載見本がなく、分かりづらい部分がたくさんある。 ・ 聴覚に障がいがある方は、コロナ禍の状況において、情報コミュニケーションが確保できず困っている。   ワクチン接種の予約方法が分からない人もいた。安心して暮らすことができるよう、きちんとした情報保障が必要。 ・ 重度障がい者の制度について。見守りの部分の時間が認められていないが、その時間がなぜ必要なのかということ等、当事者の声を聴くことがとても大事だと思う。 ・ 若者とコミュニケーション。若い世代に来てもらい話を聞く場をつくればいいのではないか。障がいのある方がどんなふうに生活をしているのか分からないこともあると思うので、   そうしたことを話すことは大事と思う。 ・ 今期サポーターに応募された方々の「取り組んでみたいサポーター活動」に対する意見を集約した配布資料には、普段、自分たちが思っていることや、やりたい活動はある程度集約されている。 ・ 自己紹介で、障がいがあってもなくても住みやすい環境をつくっていくということがキーワードとしてたくさん出ていたように思う。   大きなテーマでもよいし、ヘルパーや制度のことといった小さなテーマでもよい。具体的な事例でも取り組みたいことでも、事務局に意見を集約することから始めたい。    5 事務局からの事務連絡     SNS等による情報発信のルールについて。まちづくりサポーター会議で出された他のサポーターの意見等のうち、   個人が特定されるような情報(障がいの状態や日常生活上のこと等)の発信は、プライバシー保護が損なわれる恐れがあるため留意いただきたい。