第1章 計画の策定にあたって 1 策定の趣旨  札幌市では、現在、「共生社会の実現」を基本理念とする「さっぽろ障がい者プラン2018」(以下、「プラン」という。)に基づき、障がい者計画によって施策の方向性を定めるとともに、障がい福祉計画(第5期)及び障がい児福祉計画(第1期)により障がい福祉サービス等の提供体制の確保を図っているところです。  プラン策定後、国においては、社会のバリア(社会的障壁)の除去に向けた取組が推進されるとともに、障がいのある方の社会参加の促進のため、障害者文化芸術活動推進法や読書バリアフリー法が施行されました。また、障がいのある方が自らの望む生活が地域で営めるよう、生活と就労に関する支援の充実や多様化するニーズにきめ細かく対応するための支援の拡充等、サービスの質の確保及び向上を図るための環境整備も進められるなど、障がいのある方を取り巻く環境は変化し続けています。  計画期間の終了に伴い作成する札幌市障がい福祉計画(第6期)及び札幌市障がい児福祉計画(第2期)においては、こうした社会背景や国の計画に示される新たな方向性に対応し、今後の札幌市における障がい福祉サービス等の更なる充実を図ってまいります。 2 策定の根拠  札幌市障がい福祉計画(第6期)及び札幌市障がい児福祉計画(第2期)は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下、「障害者総合支援法」という。)(第88条第1項)及び児童福祉法(第33条の20第1項)に基づき策定する「市町村障害(児)福祉計画」です。 国が定める「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(以下、「国の基本指針」という。)では、市町村が、令和3年度から令和5年度までの「市町村障害(児)福祉計画」の作成に当たって即すべき事項が定められています。 3 計画期間  2021年度(令和3年度)から2023年度(令和5年度)までの3年間とします。 4 計画の位置づけ  札幌市の障がい福祉サービス及び障がい児通所支援等に係る提供体制の確保等を総合的かつ計画的に進めるための計画です。2018年(平成30年)3月に策定した障がい者計画(※1)とともに、さっぽろ障がい者プラン2018を構成しています。 ※1 障害者基本法に基づく「市町村障害者計画」。札幌市の障がい福祉に関する基本的な施策を定めている。 【図1】計画の構成 5 さっぽろ障がい者プラン2018の概要 (1) プランの位置づけ 札幌市のまちづくりの基本指針である「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を上位計画とする障がい福祉施策に関する部門別計画。国・北海道・札幌市が定める関連計画と整合を図り策定しています。 【図2】他計画との関係イメージ (2) プランの計画期間 2018年度(平成30年度)から2023年度(令和5年度)までの6年間 【図3】計画期間 (3) プランに関連する主な計画 少子高齢化や核家族化の進行等、地域社会を取り巻く環境は大きく変わり、市民の多様なニーズや複雑化した課題に対し包括的な対応が求められています。 保健福祉関係の各計画の策定や推進に当たっては、各計画の成果指標や進捗状況を共有・協議しながら施策を展開するとともに、「札幌市保健福祉施策総合推進本部(※2)」にて一体的に検討・調整することとしています。 ※2 札幌市における保健福祉施策を総合的かつ効果的に推進するために、札幌市内部に設けられた委員会。 ■札幌市地域福祉社会計画2018 幅広い市民の主体的な参加と、事業者、行政等の協働により、地域福祉に関連する取組を進めることで、「みんなで支え合い住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるまちさっぽろ」を実現することを目的として策定したものです。   ■札幌市高齢者支援計画2018・2021 要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域包括ケア体制の深化に向けた取組を定める「高齢者保健福祉計画」と「介護保険事業計画」を一体的に策定したものです。2021年から3年間を計画期間とする札幌市高齢者支援計画2021を新たに策定しました。 ■さっぽろ医療計画2018 市民が生涯を通して健康で安心して暮らせる社会の実現に向け、在宅医療体制の強化や医療に関する適切な情報提供を行うなど医療・保健システムの確立を基本理念として策定したものです。 【図4】3計画との関係イメージ 【障害者基本法による“障害者”の定義】 障害者基本法第2条で“障害者”は、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とされています。  2013年(平成25年4月)に施行された障害者総合支援法では、制度の谷間のない支援を提供する観点から、障がい者の定義に新たに難病等を追加し、障がい福祉サービス等の対象としました。 (4)プランの体系 ■基本理念 障がいのある人もない人も、その命の尊厳が当然に保障され、市民誰もが互いに人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現 ■計画目標 1 地域社会の障がいのある人に対する理解促進 2 障がいのある人の自己決定の尊重と意思決定の支援 3 施設、病院から地域への移行推進と地域生活を支えるためのサービス提供基盤の一層の充実 4 市民、事業者、行政などの連携強化による地域の福祉力の向上 5 障がいのある子どもへの支援 6 障がいを理由とする差別の解消 ■施策(※障がい者計画)  横断的分野 障がい等への理解促進 生活環境の整備 情報アクセシビリティの向上・意思疎通支援の充実 障がいを理由とする差別の解消・権利擁護 施策分野 暮らしの支援 保健・医療の推進 療育・教育の充実 雇用・就労の促進 スポーツ・文化等の振興 安全・安心の実現 ■分野ごとの基本施策(※障がい者計画) 【横断的分野1 障がい等への理解促進】 基本方針1 障がいのある人もない人も、市民誰もが互いに人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の理念の普及を図ります。 基本方針2 市民や企業の自主的な福祉活動を支援し、理解促進を図ります。 基本施策1 啓発・広報活動、福祉教育などの推進 基本施策2 公共サービス従事者、企業、学校などに対する理解促進 基本施策3 ボランティア活動・社会貢献活動への支援 【横断的分野2 生活環境の整備】 基本方針1 全ての市民が安心して快適に暮らせるまちづくりを進めます。 基本施策1 バリアフリーに基づくまちづくりの推進 基本施策2 住まいの確保 【横断的分野3 情報アクセシビリティの向上・意思疎通支援の充実】 基本方針1 障がい特性に応じたコミュニケーション手段の理解と利用を促進し、障がいのある人が情報を取得したり、コミュニケーションしやすい環境づくりを進めます。 基本方針2 障がいのある人の情報通信技術の利用及び活用の機会の拡大を図り、情報アクセシビリティの向上につなげます。 基本施策1 障がい特性に応じたコミュニケーション手段の理解促進 基本施策2 障がい特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進 基本施策3 障がいに配慮した市政情報の提供 基本施策4 情報通信技術による情報アクセシビリティの向上 【横断的分野4 障がいを理由とする差別の解消・権利擁護】 基本方針1 障害者差別解消法に基づき、障がいを理由とする差別の解消及び合理的配慮の提供の推進に取り組みます。 基本方針2 「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」に基づく障がい者虐待の防止等、障がいのある人の権利擁護を進めます。 基本施策1 障がいを理由とする差別の解消の推進 基本施策2 行政サービス等における合理的配慮の提供及び合理的配慮を受けやすくする環境の整備 基本施策3 権利擁護等の推進 基本施策4 障がい児・者虐待防止の推進 【施策分野1 暮らしの支援】 基本方針1 障がいのある人の自己決定、自己選択を尊重し、個々のニーズに対応した支援体制の整備と、サービス提供基盤の一層の充実を図ります。 基本方針2 障がいのある人が地域で安心して暮らすことができるよう、関係機関、事業者、ボランティア等の地域の社会資源の活用により、ライフステージに応じた切れ目のない相談支援・サービス提供体制の充実を図ります。 基本施策1 個々のニーズに対応した支援体制、サービス提供基盤の整備 基本施策2 施設入所者・精神科病院入院患者の地域生活への移行推進 基本施策3 福祉用具などの普及促進・利用支援 基本施策4 地域福祉を担う人材育成・確保 【施策分野2 保健・医療の推進】 基本方針1 健康づくりや各種検査に関する普及・啓発を推進し、障がいの原因となる疾病の予防や、障がいの早期発見に努め、適切な支援につなげます。 基本方針2 難病患者を含む障がいのある人に対する保健・医療サービスの充実を図り、地域生活を支援します。 基本施策1 障がいの原因となる疾病の予防対策や、障がいの早期発見の推進 基本施策2 障がいに対する適切な保健・医療サービスの充実 基本施策3 精神保健・医療の充実 基本施策4 難病に関する保健・医療施策の推進 【施策分野3 療育・教育の充実】 基本方針1 母子保健、療育、保育、教育、福祉、医療、就労等の関係機関の連携の下、乳幼児期から成人期までの切れ目のない支援体制の充実を図ります。 基本方針2 障がいのある子どもが、その障がいの状況に応じた適切な支援を受けながら、社会から孤立することなく、社会の一員として包み支え合い、障がいのない子どもとともに、住み慣れた地域で安心して成長していける環境づくりを推進します。 基本施策1 ライフステージに応じた支援体制の充実 基本施策2 療育の充実 基本施策3 学校教育の充実 基本施策4 成人期への移行支援 【施策分野4 雇用・就労の促進】 基本方針1 障がいのある人それぞれに合った就労支援を、雇用・福祉・教育等の関係機関と連携して取り組み、支援の充実・強化を図ります。 基本方針2 障がいのある人の一般就労への移行を推進し、雇用の定着を図るほか、福祉的就労への支援を充実し、工賃水準の向上を図ります。 基本施策1 個々のニーズに対応した就労相談支援体制の充実 基本施策2 雇用の場の拡充(一般就労、福祉的就労) 基本施策3 障がいのある人の一般就労の推進 基本施策4 福祉的就労における工賃向上 【施策分野5 スポーツ・文化等の振興】 基本方針1 スポーツや文化芸術活動等を通じて、障がいのある人と障がいのない人との交流の機会を提供し、障がいのある人に対する理解促進を図ります。 基本方針2 障がい者スポーツ、障がい者の文化芸術活動を支援し、障がいのある人の体力の増強や交流、余暇の充実を図ることで、心豊かな地域生活を支援します。 基本施策1 スポーツ・文化芸術活動・生涯学習活動に対する支援 【施策分野6 安全・安心の実現】 基本方針 基本方針1 障がいのある人が地域で安全・安心に生活することができるよう、防災対策や災害時における要配慮者対策を推進します。 基本方針2 障がいのある人が地域で孤立しないよう、地域の共助による重層的な見守り体制を構築します。 基本施策1 災害や雪に強いまちづくりの推進 基本施策2 災害時における対応力の向上 基本施策3 地域における見守り活動の推進 基本施策4 消費者被害の防止 【SDGs(持続可能な開発目標)との関係性】  「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals):SDGs〔エス・ディー・ジーズ〕」とは、2015 年(平成27年)9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」にて記載された2030 年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17 のゴール(目標)と169 のターゲット(取組・手段)から構成され、「地球上の誰一人として取り残さない(no one will be left behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国も含めた全ての主体が取り組む普遍的なものであり、日本においても積極的に取り組んでいます。 札幌市においては、2018 年(平成30 年)6月)「SDGs 未来都市」に選定されたほか、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019をはじめとした各種計画へSDGsの視点を反映するなど、SDGsの達成に向け積極的に取り組んでいます。 本計画においても、札幌市の障がい福祉サービス及び障がい児通所支援等に係る提供体制の確保等を総合的かつ計画的に進めることで、17のゴールのうち「3 すべての人に健康と福祉を」「10 人や国の不平等をなくそう」の達成につなげていきます。 【本計画が目指すSDGsのゴール】 3 すべての人に健康と福祉を 10 人や国の不平等をなくそう