「札幌市の児童精神科医療のあり方」の答申への対応について【報告】 2014.11.5 札幌市障がい保健福祉部 平成25年10月に札幌市精神保健福祉審議会から答申を受けた「札幌市の児童精神科医療のあり方」の答申内容のうち、「札幌市児童心療センターの病棟の福祉施設化」及び「市立札幌病院での児童精神科医療の実施」につきまして、以下のとおり方針決定を行いましたので、その内容等について報告いたします。 また、その他の答申事項の対応状況の進捗状況についても併せて報告いたします。 1 答申内容の骨子 2 札幌市児童心療センターの病棟の福祉施設化について (1)方針内容 現在休止している児童心療センターの入院病棟について、現在のスタッフの支援技術や施設設備を生かし、以下の福祉施設を平成27年4月に開設する。 (施設設置条例について、平成26年第4回あるいは平成27年第1回定例市議会において審議いただく予定) 現在の病棟名(休止中) 開設する福祉施設種別 新施設定員 小児病棟(28床) 情緒障害児短期治療施設 入所23人 通所 5人 自閉症児病棟(32床) 福祉型障害児入所施設 入所27人 短期入所5人 (2)上記方針とした理由  @ 情緒障害児短期治療施設   ア 答申内容に沿うとともに、厚生労働省が各都道府県に最低1箇所、大都市にはさらに1箇所の設置を進めている施設種別である。 イ 北海道内には、伊達市に同種施設があるが、本来、この施設種別に措置すべき児童を児童養護施設に措置している実態があるなど、不足している状況であり、当該施設が市内にあることにより、児童養護施設等との役割分担等による札幌市内全体の要保護児童への対応機能の向上が見込まれる。 A 福祉型障害児入所施設(主たる利用者を自閉症児とする) ア 答申では、のぞみ学園でこれまで行ってきた加齢児支援を含めて、福祉施設で行うべきとされているが、児童福祉法の改正により、児童と成人を同一場所で支援を行うことが不可能であることや、成人の施設として「札幌市自閉症者自立支援センター」を整備済みであることから、今回は児童を対象とした専門性の高い施設とする。 イ 主たる利用者を自閉症児とする同種施設は全国に2か所しかなく、また広く知的障がい児を対象とした同種施設については、待機者が常にいるなど、不足している状況であり、当該専門施設が市内にあることにより、他の施設等との連携や役割分担等による札幌市内全体の障がいのある児童への対応機能の向上が見込まれる。 3 市立札幌病院での児童精神科医療の実施について (1)方針内容 @ 市立札幌病院において、成人の精神科と動線分離された「児童の専用病床3床」の入院機能と退院後の一定期間のフォローを中心とした外来診療機能を設置する。 A 設置のための内部改修工事を平成27年度に実施する。 B 市立札幌病院及び他の医療機関における児童精神科医療の実施状況や寄附講座による医師の育成状況等を十分見極めながら、将来的な児童精神科専用病棟に関する検討を行っていく。 (2)上記方針とした理由 @ 答申内容を踏まえ、市内の児童精神科医療ネットワークの構築を前提に、児童精神科の急性期を担う児童専用病床について、可能な限り早期の確保に努めることが必要である。    A 早期実現のため、既存病床転用等により、児童専用の病床を確保しつつ、答申にある専用病棟については、確保した病床や民間医療機関における児童精神科医療の実施状況等を総合的に勘案しながら、その必要性も含めて検討を進める必要がある。 4 その他の答申内容の実施、検討等進捗状況について (1)児童精神科医療に関するネットワークの構築について 平成26年5月に市内の児童精神科医療従事者、大学関係者、福祉関係者等18名を委員とする「児童精神科医療連携体制構築検討会議」を立ち上げ、2ヶ月に1回程度、検討会議を開催し、具体的なネットワークの姿、構築方法等の検討を行っている。 (2)児童精神科の医師養成体制について   平成26年3月に北海道大学に寄附を行い、同年4月に「児童思春期精神医学講座」を開設済み。講座開設により、北大病院内にも臨床研究の場として児童精神科の診療機能が新設され、児童心療センターも活用しながら、現在、特任教授1名、特任助教2名体制で、臨床研究等を行っている。