2015/3/12 札幌市障がい者施策推進審議会 資料2 障害者差別解消法の施行に向けた対応について 1 法律の概要 (1)法律名 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (障害者差別解消法) H28.4.1施行予定 (2)目的 障がいを理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指す。 (3)概要 ●国・地方公共団体等及び事業者による「障がいを理由とする差別」を禁止。 ・不当な差別的取扱いの禁止 ⇒行政機関等、事業者ともに法的義務 ・合理的配慮の不提供の禁止 ⇒行政機関等→法的義務 事業者→努力義務 ●差別を解消するための取組について、政府全体の方針を示す「基本方針」を策定。 ●行政機関等ごとに、当該機関における取組に関する「対応要領」を策定(地方公共団体の策定は努力義務)。 ●事業者に対しては、主務大臣が事業分野別の「対応指針」を策定。 ●相談及び紛争の防止等のための体制の整備、啓発活動等、差別を解消するための支援措置について規定。 2 国の「基本方針」の概要 (1)基本的な考え方 ●法の考え方 ⇒行政機関等及び事業者に対し、障がい者差別解消に向けた具体的取組を求めるとともに、普及啓発活動等を通じて国民一人ひとりによる自発的な取組を促す。 ●基本方針と対応要領・対応指針の関係 ⇒基本方針に即して、行政機関等は職員の取組に資するための「対応要領」を、主務大臣は事業者の取組に資するための「対応指針」を、具体例も盛り込みながら作成。 (2)共通的な事項 ●対象となる障がい者 ⇒障害者基本法に規定する障がい者。障害者手帳の所持者に限られない。女性である障がい者や障がい児にも留意。 ●対象分野 ⇒日常生活及び社会生活全般。雇用分野については、障害者雇用促進法の規定による。 ●不当な差別的取り扱い ⇒正当な理由なく、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供の拒否、場所・時間帯などを制限、障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることなどによる、権利利益の侵害。 ⇒当該取扱いが、客観的に見て正当な目的の下に行われ、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合は正当な理由に相当する。 個別の事案ごとに、障がい者、事業者、第三者の権利利益、行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的な場面や状況に応じて総合的、客観的に判断。 ●合理的配慮 ⇒個々の場面において、障がい者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合に、これを除去するための必要かつ合理的な取組。 ⇒具体的な場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いもの。以下の要素を考慮。 事務・事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況 また、障害者が現に置かれている状況を踏まえ、必要かつ合理的な手段及び方法により、負担が過重とならない範囲で行う。 ⇒現時点の一例として、 ・車椅子利用者のために段差に板を渡すなどの物理的環境への配慮 ・筆談や読み上げなどの意思疎通の配慮 ・障害の特性に応じた休憩時間の調整等の慣行の柔軟な変更 (3)行政機関等・事業者が講ずべき措置に関する基本的な事項 ●対応要領・対応指針 ⇒行政機関等の長は、職員が遵守すべき服務規律の一環として対応要領を、主務大臣は、事業者の適切な対応・判断に資するものとして対応指針を作成。 ⇒対応要領・対応指針の記載事項 ・趣旨 ・不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 ・同具体例 ・相談体制の整備 ・行政機関等・事業者における研修・啓発 ・国の行政機関(主務大臣)における相談窓口(対応指針のみ) ●主務大臣による行政措置(対応指針のみ) ⇒行政措置に至る事案を未然に防止するため、主務大臣は、事業者からの照会・相談に丁寧に対応するなどの取組を積極的に行う。 (4)その他 ●環境の整備 ⇒不特定多数の障害者を主な対象とする事前的改善措置(バリアフリー化、コミュニケーションを支援するための人的支援、情報アクセシビリティの向上等)について、個々の障がい者に対する合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努める。研修等のソフト面も含まれる。 ●相談体制 ⇒新たな機関は設置せず、既存の機関の活用・充実を図る。相談窓口の明確化、相談や紛争解決などに対応する職員の業務の明確化・専門性の向上を図ることにより体制を整備。 ●啓発活動 ⇒行政機関等における職員に対する研修、事業者における研修、地域住民に対する啓発活動 ●障害者差別解消支援地域協議会 ⇒障がい者にとって身近な地域において、様々な機関が地域の実状に応じた差別の解消のための取組を主体的に行うネットワークとして組織することができる。 ⇒期待される役割 適切な相談窓口機関の紹介、具体的事案の対応例の共有・協議、構成機関等における調停、斡旋等の紛争解決、複数機関による対応等 3 検討体制・スケジュール (1)検討体制 ●庁内関係部局で構成する検討会議により検討。 ●障がい者施策推進審議会等の附属機関からも意見を聞きながら、検討を進める。 (2)想定スケジュール(平成27年度) ◆国 ◎平成27年4月〜9月 ・国等対応要領、事業者のための対応指針の作成 ◎平成27年10月〜平成28年3月 ・地方公共団体等職員対応要領の作成に係る支援 ・国民への法、基本方針、対応要領、対応指針の広報・周知 ・国・地方公共団体、関係機関・団体、関係業界における各種体制の整備等 ◆札幌市 ◎平成27年4月〜6月 ・対応要領、相談窓口体制、地域協議会の検討 ・合理的配慮等の事例収集 ◎平成27年7月〜12月 ・対応要領、相談窓口体制、地域協議会の検討 ◎平成28年1月〜3月 ・制度や相談窓口等の市民周知 ・職員研修の実施 ◆共通 ◎平成28年4月 ・法の施行 ※ スケジュールは変更となる可能性がある。