さっぽろ障がい者プラン本編 第1章 障がい者プランの目的と位置付け 1 障がい者プランの目的 障がい者プランは次の計画で構成しています。 ・障がい者保健福祉計画 ・障がい福祉計画(第4期) (1)障がい者保健福祉計画 根拠法:障害者基本法 障がいのある人の自立や社会参加のための支援等について、その基本的な施策を定めるものです。 (2)障がい福祉計画(第4期) 根拠法:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法) 障害福祉サービス等に係る提供体制の確保に関し、サービスごとの必要な量の見込みなどについて定めるものです。 2 障がい者プランの位置付け 障がい者プラン(障がい者保健福祉計画・障がい福祉計画)は、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を上位計画とし、他の部門別計画及び個々の施策・事業に関する中期実施計画との整合を図りながら定めた札幌市における障がい福祉施策に関する部門別計画です。 また、国で定める「障害者基本計画」などとも整合を図りながら策定しております。 <参考:保健福祉に関連する計画> ◆地域福祉社会計画(平成24年3月策定) 市民、事業者、行政の協働のもとで、「安心して暮らせるぬくもりのある地域福祉社会の実現」を目的としています。福祉のまち推進事業を始めとする地域での支え合い活動への幅広い市民の参加の促進や、地域における福祉サービスの適切な利用の推進等に関する事項を内容としています。 ◆高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(平成27年3月策定) 今後も進展する人口構造の高齢化に際し、27年度から29年度までの間に札幌市が取り組むべき施策を明らかにするとともに、介護保険制度の円滑な運営を計画的に実現するため策定したものです。 ◆自殺総合対策行動計画(平成26年3月策定) 「ひとりでも多くの命を救う」ことを目的とし、自殺対策基本法、自殺総合対策大綱及び自殺対策加速化プランに基づき、関係機関との連携・協力を図りながら、自殺対策を総合的かつ効果的に推進するための具体的な取組・計画を策定したものです。 ◆札幌市健康づくり基本計画「健康さっぽろ21」(平成26 年3月策定) 市民が地域とのつながりの中で、すこやかに心豊かに生活できる社会の実現に向けて、これからの10年間を展望した市民の健康づくりの指針です。 ◆さっぽろ医療計画(平成24年3月策定) 市民が生涯を通じて健康で安心して暮らすことのできる社会の実現に向けた望ましい医療体制の構築を基本理念として策定したものです。 3 計画期間 障がい者プランの計画期間は次のとおりです。 ◆障がい者保健福祉計画   6年間 (平成24年4月から平成30年3月まで) ◆障がい福祉計画(第4期) 3年間 (平成27年4月から平成30年3月まで) 4 障がい福祉を取り巻く環境 (1)国における障がい者制度改革の動き 平成15年から始まった「支援費制度」によって、ノーマライゼーションの理念に基づき、「施設から地域へ」という障がいのある人の地域生活を重視する大きな流れが作り出されました。 その後、就労支援の強化や地域移行の推進を図ることを目指して、平成18年に「障害者自立支援法」が施行され、福祉サービス体系の再編など、障がいのある人が地域で安心して暮らせるよう、福祉サービス提供体制の強化等が図られてきたところです。 同法の施行後、内閣府に設置された障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、地域社会における共生の実現に向けて新たな障がい保健福祉施策を講ずることを目的として、平成25年4月から、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」が施行されました。 また、平成23年には「障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」が施行されるとともに、「障害者基本法」が改正されました。 さらに、平成25年6月には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が公布されるとともに、平成26年1月、「障害者の権利に関する条約」を批准したところです。 平成25年9月には、第3次障害者基本計画が策定されました。 (2)ニーズの高度化・多様化 障がいのある人が地域で安心して生活していくことができるよう、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを中心に、様々な取組を実施しているところですが、個々の障がいの程度や状況に応じたきめ細かな支援、出生から学齢期、成人に至るまで、ライフステージに応じた切れ目のない支援などが求められています。 これらの高度化・多様化したニーズには、障害者総合支援法などによる法定サービスのみでは対応が難しいため、札幌市独自の取組も併せて実施するなど、支援のあり方について引き続き検討していく必要があります。 (3)市民自治の推進 国における障がい者施策が大きく変わっていくなかで、障がいのある人のニーズに応じた質の高い支援を行っていくためには、行政による取組のほかに、市民自治の考え方に基づき、地域のボランティア・関係団体、事業者等の地域の福祉力を活用するなど、障がいのある人を地域全体で支え合う体制づくりが必要です。 (4)札幌市における施策展開 平成15年3月に「札幌市障害者保健福祉計画」を策定し、以後10年間にわたる障がい者施策の方向を定めました。 また、平成19年3月には「障がい福祉計画(第1期)」を、平成21年3月には「障がい福祉計画(第2期)」をそれぞれ策定し、障がいのある人の地域生活への移行や、就労支援を一層推進し、誰もがいきいきと暮らせるような元気あふれるまちづくりを進めてきました。 平成24年3月には、「障がい者保健福祉計画」と「障がい福祉計画(第3期)を、「障がい者プラン」とし一体的なものとして改定を行い、平成24年4月から開始しました。(障がい者保健福祉計画は、計画期間を1年前倒しして改定しました。) (5)障がい者施策に関する主な動向 平成15年 支援費制度の施行、札幌市障害者保健福祉計画の策定 平成18年 障害者自立支援法の施行 平成19年 札幌市障がい福祉計画(第1期)の策定、障害者の権利に関する条約への署名 平成21年 札幌市障がい福祉計画(第2期)の策定、内閣府に障がい者制度改革推進本部を設置 平成22年 障害者自立支援法の改正 平成23年 障害者基本法の改正 平成24年 さっぽろ障がい者プランの策定、障害者虐待防止法の施行 平成25年 障害者総合支援法の施行、障害者差別解消法の成立(平成28年4月施行予定)、第3次障害者基本計画(国)の策定 平成26年 障害者の権利に関する条約の批准、さっぽろ障がい者プランの改定 5 改定の趣旨 (1)障がい者保健福祉計画の一部見直し 障がい者保健福祉計画の計画期間は平成30年3月までですが、前述のとおり、計画策定後、障害者総合支援法の施行や障害者差別解消法が成立など、障がい者施策の進展が図られています。 特に障害者差別解消法では、行政機関等に対し障がいを理由とする差別的取扱いの禁止や、障がいのある人が必要とする社会的障壁の除去の実施ついて必要かつ合理的な配慮を行うことを義務付けており、法を踏まえた施策の充実を図っていく必要があります。 また、平成23年3月に発生した東日本大震災を踏まえ、平成25年に災害対策基本法が改正され、市町村に避難行動要支援者名簿の策定が義務付けられるなど、防災対策の充実が求められています。 このような動向を踏まえ、新たな施策分野として「分野9 安全・安心」、「分野10 差別の解消・権利擁護」及び「分野11 行政サービスにおける配慮」を設けるなど、計画の一部見直しを行い、障がい者施策をより一層進めていきます。 (2)障がい福祉計画(第4期)の策定 障がい福祉計画(第3期)の計画期間の終了に伴い、新たに策定するものです。 「地域生活支援拠点等の整備」など、新たな成果目標を設定するとともに、第3期計画ではサービスの見込量を定めていなかった児童福祉法に基づく障害児支援についても、新たに見込量を定めるなど、前計画からの見直しを行っています。 【参考】障害者基本法による障害者の定義について 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいいます。 (障害者基本法第2条) なお、平成25年4月に施行された障害者総合支援法では、制度の谷間のない支援を提供する観点から、障害者の定義に新たに難病等を追加し、障害福祉サービス等の対象としました。 【参考】ノーマライゼーション 高齢者や障がい者などを施設に隔離せず、障がいのない人と一緒に助け合いながら暮らしていくのが正常な社会のあり方であるとする考え方。また、それに基づく社会福祉政策。