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チセ【ci-set】人々が暮らす家
チセの入り口から中を見る。3つの窓があり、左から、神座の窓、光を受ける窓、濁り水を捨てる窓
チセはコタン(集落)に見られる、人々が暮らす家です。
コタンは食料やきれいな水があり、交通に便利な川や海の近くで水はけが良く、災害にあいにくいなど、住まいに適した場所が選ばれました。
【建てる方向、大きさ】
コタンによって決められており、カムイが出入りすると言われているロルンプヤラ(東の窓)を、日が昇る方向、高い山がある方向、川の上流など、そのコタンで尊いとされている方角に向けて建てられました。サッポロピリカコタンのチセは札幌岳に畏敬の念を込め、その方角である南東を向いています。
チセはかつて、コタン単位にまとまって分布していました。チセの大きさは、地域や家族の人数などにより多少の違いはありましたが、基本的な構造に変わりはなく、中央にはアペオイ(炉)があり、その上に肉や魚などを燻製にする火棚が設けられていました。
チセは、小さなもので10坪、大きなものは30坪といわれています。コタンの中にはポロチセと呼ばれる大きな家があり、そこにはコタンコロクル(村長)が住んでいました。
【材料】
建て方や基本的な構造は、道内各地において大きな違いはありませんでしたが、使用する材料は、各地域によって異なっていました。とくに、屋根や壁を造るときは、大量の草や樹皮で葺くため、その土地で手に入りやすいものが使われました。
【家の中での暮らし】
家族にとってチセの中心になるアペオイは、一家そろって食事や仕事をし、また儀式を行う、生活に欠かせない場所でした。アペオイの中には、アペフチカムイ(炉の神)がいると考えられ、一家が安全に、そして平和に暮らせるよう見守っていると信じられていました。
【窓】チセには3つの窓があります。
ロルンプヤラ(神座の窓)
一番重要な窓で、カムイ(神)が出入りすると言われている東方向の窓です。この窓から家の中を覗くことは、カムイに対して大変失礼なこととされているため、儀式など特別なとき以外は決して覗いてはいけないと言われています。
イトムンプヤラ(光を受ける窓)
東よりの窓で、子供たちが寝る場所や、来客者が座る場所がそばにあります。
ヌプキクタプヤラ(濁り水を捨てる窓)
台所の前にある窓です。
【座】座は大きく3つに分かれています。
シソ(右座)
入り口から炉に向かって左側で、その家の主人が座る場所。上手が父親、下手が母親の場所でした。
ハリキソ(左座)
シソの向かい側の場所で、子供やそのほかの家族、客の場所。
ロルンソ(上座)
カムイが出入りするときに通る道と考えられていたので、普段はあまり立ち入らないように、尊敬に値する人しか座ることがゆるされませんでした。
【寝る場所】
寝る場所は、座る場所とほぼ同じ。
【宝物を置く場所】
入り口から炉に向かって左側奥で、交易で手に入れた漆器や杯、刀や矢筒などが大切に置かれていました。宝物の数は、その家の豊かさの象徴であるといわれていました。
サッポロピリカコタンのチセ。手前右の窓が一番大切な窓。札幌岳の方向、南東を向いている。
宝物を置く場所
屋根には炉の煙を出す穴がある。
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