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○札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例
令和4年10月6日条例第41号
札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例
町内会は、札幌市内の各地域において、日常の交流を通じて、地域住民の福祉や防災・防犯、環境美化、冬季の除排雪など、多岐にわたって私たちの生活を支え、地域コミュニティの中核として、札幌市の発展に大きく寄与してきました。
しかし、少子高齢化や世帯構成の変化、共同住宅の増加などによる居住形態の変化のほか、生活様式や個人の価値観の多様化などに伴い、町内会においては、加入率の低下や役員の高齢化、担い手不足などの傾向があり、今後、地域の活力が低下していくことが危惧されています。
近年、超高齢社会の進展や共働き世帯の増加、自然災害の増加などに伴い、高齢者や子どもの日頃の見守り、非常時の助け合いなどの地域住民相互の支え合いが必要となる場面が増加しており、様々な地域の課題の解決や良好な生活環境の維持のためには、町内会における親睦や交流により形成される地域住民同士の顔の見える関係が、ますます重要となっています。
こうした背景を踏まえ、安全で安心な暮らしやすい地域コミュニティを将来にわたって維持していくためには、町内会が地域コミュニティの中核であり、今後も維持されるべき存在であるということを町内会、地域住民、事業者及び市が共に認識し、世代を超え、時代を超えてしっかりと共有していくことが必要です。
札幌市では、まちづくりに関する条例として、札幌市自治基本条例及び札幌市市民まちづくり活動促進条例を定めています。これらの条例に掲げられた理念を踏まえて、地域の町内会の活動を将来にわたって地域住民、事業者及び市が一体となって支え、より豊かで明るく暮らしやすいまちを未来の世代に継承していくため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、町内会が地域コミュニティの中核であり、今後も維持されるべき存在であるという認識を広く共有するとともに、町内会の維持及び活動の活性化に関する基本的な考え方、市の責務等を明らかにし、市の施策の基本となる事項を定めることにより、町内会の維持及び発展を図り、もって暮らしやすいまちの実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 町内会 良好な地域コミュニティの維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的として、本市の一定の区域に住所を有する者(以下「地域住民」という。)の地縁に基づいて形成された町内会、自治会等の団体をいう。
(2) 町内会の連合体 複数の町内会により組織された連合町内会、町内会連合会等の団体をいう。
(3) 地域コミュニティ 本市の一定の区域における地域住民のつながりを基礎とする地域社会をいう。
(基本的な考え方)
第3条 町内会の維持及び活動の活性化は、次に掲げる事項を基本的な考え方として行われるものとする。
(1) 町内会、地域住民、事業者及び市は、等しく地域コミュニティを構成する一員であるという意識を持ちながら、協働して地域のまちづくりに取り組むものであること。
(2) 町内会は地域コミュニティの中核であり、今後も維持されるべき存在であるということを町内会、地域住民、事業者及び市が認識し、その認識を共有するものであること。
(3) 町内会の活動は、地域住民の交流によって、相互に協力しながら、自主的に行われるものであること。
(4) 町内会の活動は、地域住民の相互の理解に基づき、地域住民の多様な価値観及び自主性を最大限に尊重して行われるものであること。
(町内会等の地域における役割)
第4条 町内会は、地域的な共同活動を通じ、地域住民が相互に助け合い、支え合いながら、暮らしやすい地域コミュニティの維持及び形成に努めるものとする。
2 町内会は、その活動に対する地域住民の理解を深めるとともに、その活動への参加を促すため、その活動状況及び運営に関する情報の積極的な提供、公開等により、開かれた運営に努めるものとする。
3 町内会は、地域住民の多様な価値観及び自主性を最大限に尊重し、その活動への参加又は町内会への加入を促すよう努めるものとする。
4 町内会は、その活動を補い合い、又は深めるため、必要に応じて、町内会の連合体、他の町内会、地域でまちづくり活動を行う諸団体及び事業者と連携するよう努めるものとする。
5 町内会の連合体は、当該町内会の連合体を構成する複数の町内会にまたがるまちづくり活動を円滑に進めるため、必要に応じて、市、地域でまちづくり活動を行う諸団体及び事業者と調整等を行うよう努めるものとする。
6 町内会の連合体は、当該町内会の連合体を構成する町内会の意見を踏まえ、必要に応じて、町内会の維持及び活動の活性化に資する意見を市に伝えるよう努めるものとする。
(地域住民の役割)
第5条 地域住民は、地域で安心して快適に暮らすために、自らも地域コミュニティを構成する一員であることを認識し、町内会の意義及び重要性について理解と関心を深め、町内会の活動への参加及び協力に努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、自らも地域コミュニティを構成する一員として、地域コミュニティにおける町内会の意義及び重要性を理解し、町内会の活動への参加及び協力に努めるものとする。
(住宅の建築等を行う事業者等の役割)
第7条 住宅の建築、販売、賃貸又は管理(これらの代理又は媒介を含む。以下「住宅の建築等」という。)を行う事業者は、住宅の建築等を行うに当たり、当該住宅に入居しようとする者に対して、地域の実情に応じて、町内会への自発的な加入又は町内会の自主的な設立に資する情報の提供に努めるものとする。
2 住宅の賃貸又は管理を行う事業者は、当該住宅に入居している者に対して、地域の実情に応じて、町内会への自発的な加入に資する情報の提供に努めるものとする。
3 住宅の建築等を行う事業者及びその関係団体は、町内会の維持及び活動の活性化に関する市の施策に協力するよう努めるものとする。
(市の責務等)
第8条 市は、地域コミュニティにおける町内会の意義及び重要性に鑑み、町内会の維持及び活動の活性化を進めるために必要な施策を実施するものとする。
2 市は、施策、事業等の実施に当たり、町内会に協力を依頼する場合においては、関係部局間の連携に努め、町内会の負担が過重なものとならないよう十分に配慮するものとする。
3 市は、職員が積極的に町内会の活動に参加することを促進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 職員は、地域コミュニティにおける町内会の意義及び重要性を理解し、その活動の更なる活性化を推進する視点に立って、職務を遂行するものとする。
5 職員は、職務を通じて、町内会の活動に関わることへの理解と関心を深めるよう努めるものとする。
(加入促進等)
第9条 市は、地域住民の町内会への自発的な加入又は町内会の自主的な設立を促進するため、必要な支援を行うものとする。
(負担軽減)
第10条 市は、町内会の維持及び活動の活性化のため、町内会の負担を軽減するために必要な支援を行うものとする。
(広報啓発)
第11条 市は、町内会に対する地域住民及び事業者の理解及び関心を深めるとともに、町内会の活動への地域住民及び事業者の一層の参加及び協力を促進するため、広報その他の必要な啓発活動を実施するものとする。
(人材育成等)
第12条 市は、町内会の維持及び活動の活性化を担う人材の育成及び確保に必要な施策を実施するものとする。
(意見交換会等)
第13条 市は、町内会の維持及び活動の活性化に関する施策を策定し、及び実施する際には、町内会及び町内会の連合体の意見を勘案することとし、必要に応じて、意見交換会、意向調査等を実施するものとする。
(推進体制の整備)
第14条 市は、町内会の維持及び活動の活性化に関する施策を推進するため、関係部局間が連携して検討を行う体制を整備するものとする。
(実施状況の公表)
第15条 市長は、毎年度、町内会の維持及び活動の活性化に関する施策の実施状況を公表するものとする。
(財政上の措置)
第16条 市は、町内会の維持及び活動の活性化に関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、令和5年4月1日から施行する。



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