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○札幌市歯科口腔保健推進条例
令和4年6月6日条例第29号
札幌市歯科口腔保健推進条例
(目的)
第1条 この条例は、口(くう)の健康が全身の健康の保持増進に重要な役割を果たしていることに鑑み、歯科口腔保健の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、歯科医療等関係者、保健医療等関係者及び事業者の責務を明らかにするとともに、歯科口腔保健の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民の健康寿命の延伸及び健康格差の縮小を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 歯科口腔保健 8020運動等の生涯を通じた歯の健康づくりの理念及びオーラルフレイルの概念を重視し、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持増進及び口腔の機能の維持向上を図ることをいう。
(2) 歯科医療等関係者 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は歯科保健指導に係る業務(以下「歯科医療等業務」という。)に従事する者及びこれらの者で組織する団体をいう。
(3) 保健医療等関係者 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の歯科医療等業務に関連する業務に従事する者(歯科医療等関係者を除く。)及びこれらの者で組織する団体をいう。
(4) 8020運動 80歳で歯を20本以上維持することを目的とした取組をいう。
(5) オーラルフレイル 口腔の機能にささいな衰えが生じ始め、それを放置すると心身の活力低下又は要介護状態につながる状態をいう。
(6) かかりつけ歯科医 地域住民の生涯にわたる口腔の機能の維持・向上を目指し、地域医療の一翼を担うとともに、身近な地域における日常的な歯科医療又は歯科保健指導を行う歯科医師又は医療機関をいう。
(基本理念)
第3条 歯科口腔保健の推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 市民が歯科口腔保健に関する正しい知識を持ち、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うことを促進するとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること。
(2) 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔及びその機能の状態並びに歯科疾患の特性に応じて、適切かつ効果的に歯科口腔保健を推進すること。
(3) 障がい者、介護を必要とする者その他特別な配慮を要する者が定期的に歯科検診を受けることができること並びに必要に応じて歯科保健指導及び歯科医療を受けることができることを推進すること。
(4) 市民の歯科疾患の減少及び口腔の機能の維持を図るため、医学的及び公衆衛生的見地から効果的な施策を推進することとし、市民の健康寿命の延伸及び健康格差の縮小を目指すこと。
(5) 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連分野における施策との連携を図りつつ、その関係者の協力を得て、総合的に歯科口腔保健を推進すること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国及び北海道との連携を図りつつ、歯科口腔保健の推進に関する施策を策定し、総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 市は、歯科口腔保健の推進に当たっては、歯科医療等関係者、保健医療等関係者及び事業者との連携を図ることとし、情報の提供、助言その他の必要な支援に努めるものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、歯科口腔保健に関する理解を深め、生涯にわたって日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、定期的に歯科検診を受け、必要に応じて歯科保健指導を受けることにより、歯科口腔保健に努めるものとする。
(歯科医療等関係者の責務)
第6条 歯科医療等関係者は、基本理念にのっとり、かかりつけ歯科医の役割を深く理解し、市、保健医療等関係者及び他の歯科医療等関係者と連携して、良質かつ適切な歯科医療等業務を行うとともに、市が実施する歯科口腔保健の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(保健医療等関係者の責務)
第7条 保健医療等関係者は、基本理念にのっとり、市、歯科医療等関係者及び他の保健医療等関係者と連携するとともに、市が実施する歯科口腔保健の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、基本理念にのっとり、雇用する労働者が定期的に歯科検診を受け、必要に応じて歯科保健指導を受けることができるよう、職場環境の整備その他の必要な配慮をするよう努めるものとする。
(基本的施策)
第9条 市は、市民の歯科口腔保健を推進するため、次に掲げる事項を基本とする施策を行うものとする。
(1) 歯科口腔保健に関する知識及び歯科疾患の予防に向けた取組に関する普及啓発に関すること。
(2) 定期的に歯科検診を受け、必要に応じて歯科保健指導を受けることの勧奨に関すること。
(3) 歯科口腔保健の推進に資する調査、研究及び情報の提供に関すること。
(4) 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期に応じた歯科疾患の()患及び重症化の予防並びに歯科口腔保健に関する健康格差の縮小に向けた取組に関すること。
(5) 妊娠中における歯科口腔保健を通じた母体の健康の保持及び胎児の健全な発育に関すること。
(6) 障がい者、介護を必要とする者その他特別の配慮を要する者が定期的に歯科検診を受けること並びに必要に応じて歯科保健指導及び歯科医療を受けることの支援等に関すること。
(7) 災害時における口腔の衛生確保による健康被害の予防に関すること。
(8) 歯科口腔保健の観点からの糖尿病、がんその他の疾病及び喫煙に関する対策等の推進に関すること。
(9) かかりつけ歯科医の活用を通じた生涯にわたる歯科疾患の予防及び口腔の機能の維持向上に関すること。
(10) 歯科口腔保健を通じた児童虐待の早期発見及び予防に関すること。
(11) 8020運動その他歯科口腔保健に関する市民の意識を高めるための運動の促進に関すること。
(12) 地域包括ケアシステム(地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号)第2条に規定する地域包括ケアシステムをいう。)における歯科医療等関係者、保健医療等関係者その他の関係者の連携強化及び在宅歯科医療の充実に関すること。
(13) 歯科医療等関係者の人材確保及び資質の向上並びに保健医療等関係者の資質の向上に関すること。
(14) オーラルフレイル、誤(えん)性肺炎等の予防及び介護予防に向けた口腔の機能の向上に関すること。
(15) スポーツに伴うけがの予防及びスポーツの競技力の向上を目的とした歯科医学的根拠に基づく取組の普及に関すること。
(16) 食育を通じた歯科口腔保健の推進に関すること。
(17) 前各号に掲げるもののほか、歯科口腔保健の推進に関すること。
(計画の策定)
第10条 市は、市民の生涯にわたる歯科口腔保健に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、歯科口腔保健の推進に関する計画を策定するものとする。
(効果的な歯科保健対策の推進等)
第11条 市長及び教育委員会は、乳幼児期及び学齢期における口腔の健康づくり教育及びフッ化物の応用等の科学的根拠に基づく効果的な取組の推進に関し必要な措置を講ずるものとする。
2 市長及び教育委員会は、前項の取組が安全かつ効果的に実施されるよう、歯科医療等関係者及び保健医療等関係者と連携を図るものとする。
(札幌市歯科口腔保健推進会議)
第12条 歯科口腔保健の推進に関する施策について調査審議を行うため、札幌市歯科口腔保健推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
2 推進会議は、委員15人以内をもって組織する。
3 委員は、学識経験を有する者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、再任されることができる。
6 特別の事項を調査審議するため必要があると認めるときは、推進会議に臨時委員を置くことができる。
7 臨時委員は、その者の委嘱に係る特別の事項に関する調査審議が終了したときは、当該委嘱を解かれたものとみなす。
8 推進会議に、必要に応じ、部会を置くことができる。
9 前各項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。
(財政上の措置)
第13条 市は、歯科口腔保健の推進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
1 この条例は、令和5年1月1日から施行する。
2 第12条第3項の規定による推進会議の委員の委嘱のために必要な準備行為は、この条例の施行前においても行うことができる。



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