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○札幌市議会基本条例
平成25年2月26日条例第2号
札幌市議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会(第2条―第11条)
第3章 議員(第12条―第14条)
第4章 市民との関係(第15条―第17条)
第5章 市長等との関係(第18条―第21条)
第6章 議会の機能強化及び議会改革(第22条―第25条)
第7章 政治倫理(第26条)
第8章 議会事務局等(第27条・第28条)
第9章 他の条例等との関係等(第29条・第30条)
附則
札幌市議会は、極限の北の大地において言語に絶する困難の連続にも屈しなかった先人たちの偉業を受け継ぎ、これからの道都札幌の誇りある歴史を刻んでいくために、ここに今、自らが果たすべき役割を強く自覚するものである。
札幌市は、北方圏ならではの豊かな自然の恵みや文化などの資源を基盤として、一人ひとりの創造性を生かした先進的な取組により、世界に誇り得る都市として飛躍的な発展を遂げてきた。
こうした先人たちによる豊かで、かつ、厳しい自然との共生や戦いの歴史の中で連綿と培われてきた寛容かつ進取の気風を大切にし、本市議会は、少数意見も尊重した議会運営や、他の地方議会に先駆けて議会の傍聴を完全に自由化するなど積極的な公開を行うとともに、請願及び陳情を随時受け付け、その審査に際し提出者からの説明の機会を設けるなど、開かれた議会の実現に向けて、これまでも先進的かつ積極的な取組を進めてきたところである。
近年、地域のことは地域が決める市民自治を実現するという地方分権社会への転換が進められている。市政課題が複雑高度化する中で、本市議会が、多くの権限と責任を担う政令指定都市の議会として、市長その他の執行機関に対する監視及び評価並びに政策の立案及び提言など議会が果たすべき機能を最大限に発揮していくためには、本市議会のこうした伝統を重んじながら、一方で、災害時における議会の役割を踏まえるなど、既存の枠組みにはとらわれない柔軟な姿勢を併せ持ち、自らの改革及び機能強化に継続的に取り組んでいかなければならない。
よって、札幌市議会は、市民、市議会及び市長、この三者の関係の中で、本市議会及び本市議会議員が果たすべき役割等を明確化し、これを市民と共有することを通して、市民の負託に的確に応える議会の在り方を常に追求し、地方自治の本旨である市の発展及び市民福祉の向上に寄与することを誓い、本市議会における最高規範たるこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制における札幌市議会(以下「議会」という。)及び札幌市議会議員(以下「議員」という。)の役割等を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、市民の負託に基づき、市の発展及び市民福祉の向上に寄与することを目的とする。
第2章 議会
(議会の役割)
第2条 議会は、次に掲げる役割を担うものとする。
(1) 議案、請願及び陳情等の審議、審査等並びにこれらの議決を行うこと。
(2) 市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の事務の執行について、監視及び評価を行うこと。
(3) 市政の課題等について調査研究を行い、政策の立案及び提言を行うこと。
(4) 国会又は関係行政庁に意見書を提出するほか、決議により議会の意思を表明すること。
(議会の活動原則)
第3条 議会は、前条に規定する役割を果たすため、次に掲げる原則に基づき活動する。
(1) 二元代表制の下、本市の意思決定を担う議決機関としての責任を自覚し、その機能を最大限に発揮すること。
(2) 多様な市民意見を充分に把握した上で、市民の代表として公正かつ公平な議論、審議、審査等をし、意思決定を行うこと。
(3) 市民が参加しやすい開かれた議会運営を行うとともに、議会活動について、市民への説明責任を果たし、積極的に情報公開を進めること。
(4) 市民の負託に的確に応える議会の在り方を常に追求し、議会の改革に継続的に取り組むこと。
(交流及び情報交換の推進)
第4条 議会は、議会活動の成果をより高めるため、他の地方公共団体の議会と交流し、相互に情報交換を図るよう努めるものとする。
(災害時の議会の役割)
第5条 議会は、災害が発生した場合においては、生活基盤の整備、市民生活の回復等に必要な予算を迅速に決定し、必要に応じて関係機関と連携を図るための組織を設置するなど、災害からの復興に向け積極的な役割を果たすよう取り組むものとする。
(議員定数)
第6条 議員定数については、市長等の事務の執行に対する監視及び評価並びに政策の立案及び提言などの議会機能の確保を考慮するとともに、多様な市民意見を市政に反映させるための適切な人数を確保するという視点等を踏まえて、別に条例で定める。
(議長及び副議長の役割)
第7条 議長は、その職務として、議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会事務をつかさどり、及び議会の代表者として中立かつ公平な立場において職務を行い、民主的な議会運営を行うものとする。
2 前項の規定は、副議長が議長の職務を行う場合について準用する。
(本会議)
第8条 定例会及び臨時会(以下「本会議」という。)は、議員全員で構成し、議会の最終的な意思決定を行う。
(委員会)
第9条 議会は、常任委員会及び議会運営委員会を設置するとともに、必要に応じて特別委員会を設置する。
2 常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下これらを「委員会」という。)は、その設置目的に沿う機能が発揮されるように運営されなければならない。
(本会議及び委員会の運営)
第10条 議会は、本会議及び委員会の運営に当たり、議会活動の公正性及び透明性を確保するとともに、議員平等の原則にのっとり民主的で円滑な運営を推進するものとする。
2 議員は、議案及び市政の課題等について、その論点が市民にとって明らかになるよう質疑又は質問(以下「質疑等」という。)を行うものとする。
3 市長等は、議長又は委員長の許可を得て、答弁に必要な範囲内で、議員の質疑等の趣旨を確認するための発言をすることができる。
(議員報酬)
第11条 議員報酬及び議員の期末手当については、市政課題等の複雑高度化に対し、市長等の事務の執行に対する監視及び評価並びに政策の立案及び提言などの議会機能を充分に発揮することができるよう、多様な分野に幅広い知識と経験を有する人材が議員として活動できるための環境を整備するという視点等を踏まえ、別に条例で定める。
第3章 議員
(議員の活動原則)
第12条 議員は、市民の代表として選挙により選ばれた公職にある者として、次に掲げる原則に基づき活動する。
(1) 多様な市民意見と市政の課題を的確に把握し、市政全体を見据えた広い視点及び長期的展望を持って、公正かつ誠実に職務を遂行すること。
(2) 自らの議会活動及び議会における意思決定等の過程について、市民に分かりやすく説明すること。
(3) 政策の立案及び提言に係る能力の向上を図るため、常に研さんに努めること。
(4) 議会が言論の府であることを踏まえ、議員相互間の討議を活発に行うこと。
(会派)
第13条 議員は、政策の決定及び形成に資するため、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する会派を結成することができる。
2 会派は、議員の活動を支援するとともに、政策の立案、提言等を主体的に実施するものとする。
(政務活動費)
第14条 会派(所属議員が1人の場合を含む。)は、議会の活性化を図るため、政務活動費を活用して、市長等の事務の執行に対する監視及び評価並びに政策の立案及び提言などの議会機能の強化に取り組むものとする。
2 政務活動費については、その使途の透明性を確保しなければならない。
3 政務活動費の交付に関する事項については、別に条例で定める。
第4章 市民との関係
(市民参加)
第15条 議会は、市民の意見を議会活動に反映することができるよう、次に掲げる方法その他の方法により、市民の議会活動への参加を推進するものとする。
(1) 公聴会及び参考人の制度等の活用に努めること。
(2) 請願及び陳情が提出されたときは、公正かつ公平に処理すること。
(3) 請願及び陳情の審査に際し、原則として、その提出者の意見を聴く機会を設けること。
(広報及び広聴の充実)
第16条 議会は、市民に開かれた議会の実現のため、多様な情報発信手段を用いて、議会活動について積極的な広報を行うものとする。
2 議員又は会派は、議会報告、意見交換、意見聴取等により市民の意見を把握するものとする。
(本会議及び委員会の公開)
第17条 議会は、本会議及び委員会を原則公開し、必要な資料を市民に配布するとともに、市民が傍聴等をしやすい環境の一層の充実に取り組むものとする。
2 議会は、本会議及び委員会の会議録を公開し、意思決定に係る過程と結果を明らかにするものとする。
第5章 市長等との関係
(市長等との関係)
第18条 議会は、二元代表制の下、市長等と独立対等な立場で緊張ある関係を保持し、市長等の事務の執行に対する監視及び評価を行うとともに、政策の立案及び提言を通じて、市の発展及び市民福祉の向上のために活動するものとする。
(議会への説明等)
第19条 市長等は、計画、政策、施策又は事業(以下「計画等」という。)を立案し、又は変更するときは、その計画等の論点を明確にし、かつ、水準を高めるため、計画等の内容に関する必要な資料を作成し、議会へ適時適切な報告を行うものとする。
(監視及び評価)
第20条 議会は、議決、調査、検査その他の権限を行使することにより、市長等の事務の執行が、適正かつ公平に、及び効率的に行われているかどうかを監視するとともに、その効果及び成果について評価し、必要と認めるときは、適切な措置を講ずるよう求めるものとする。
(政策の立案及び提言)
第21条 議会は、議員提案による条例の制定、決議、質疑等を通じて、積極的に政策の立案及び提言を行うものとする。
第6章 議会の機能強化及び議会改革
(議会の機能強化及び議会改革)
第22条 議会は、市長等の事務の執行に対する監視及び評価並びに政策の立案及び提言などの議会機能を強化するとともに、自らの改革に継続的に取り組むものとする。
(議決事件の拡大)
第23条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件については、市民の負託に応える市政運営を実現できるよう、別に条例で定める。
(専門的知見の活用)
第24条 議会は、本会議等における審議の充実、政策の立案及び提言機能の強化並びに政策の効果の評価に資するため、地方自治法第100条の2の規定に基づく専門的事項に係る調査を積極的に活用するものとする。
2 議会は、必要に応じて専門的知見を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。
(検討組織の設置)
第25条 議長は、議会の機能強化及び改革に継続的に取り組むため、議員で構成する検討組織を設置することができる。
第7章 政治倫理
第26条 議員は、市民の負託に応えるため、議員としての品位を保持するとともに、政治倫理の向上に努め、公正及び誠実を旨として職責を全うしなければならない。
第8章 議会事務局等
(議会事務局)
第27条 議会は、自らの政策の立案及び提言機能を強化し、議会活動を円滑かつ効果的に行うため、議会事務局の機能及び組織体制の強化を図るものとする。
(議会図書室)
第28条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室を設置するとともに、充実強化し、一般の利用にも配慮するものとする。
第9章 他の条例等との関係等
(最高規範性)
第29条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。
(条例の見直し)
第30条 議会は、この条例の施行後、必要があると認めるときは、この条例の見直しを行う。
附 則
(施行期日)
この条例は、平成25年4月1日から施行する。



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