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○札幌市公文書管理条例
平成24年6月13日条例第31号
札幌市公文書管理条例
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 公文書の管理(第3条-第13条)
第3章 特定重要公文書の保存、利用等(第14条-第31条)
第4章 公文書管理審議会(第32条-第38条)
第5章 雑則(第39条-第41条)
第6章 罰則(第42条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、公文書が市民の知る権利を具体化するために必要な市民共有の財産であることに鑑み、公文書管理の基本的事項を定め、公文書の適正な管理並びに市政上重要な公文書の保存及び利用を図ることにより、市民との情報共有を進めるとともに、現在及び将来にわたり市の説明責任を全うし、もって効率的で、公正かつ透明性の高い行政運営を確保すること及び市民が主体となったまちづくりの推進に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会、公営企業管理者、消防長及び議会並びに本市が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)をいう。
(2) 公文書 実施機関の職員(本市が設立した地方独立行政法人(以下「本市地方独立行政法人」という。)の役員を含む。以下この号、第37条及び第40条において同じ。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。
(3) 法人公文書 公文書のうち、本市地方独立行政法人が保有しているものをいう。
(4) 重要公文書 公文書のうち、市政の重要事項に関わり、将来にわたって市の活動又は歴史を検証する上で重要な資料となるものをいう。
(5) 特定重要公文書 次に掲げるものをいう。
ア 重要公文書のうち、第8条第1項の規定により市長が引き続き保存の措置を採ったもの及び同条第2項の規定により市長に移管されたもの
イ 重要公文書のうち、第12条第4項の規定により市長に移管されたもの
ウ 法人その他の団体(実施機関を除く。)又は個人から市長に対し寄贈又は寄託の申出があった文書で、市政の重要事項に関わり、将来にわたって市の活動又は歴史を検証する上で重要な資料となると市長が認め、寄贈又は寄託を受けた文書
第2章 公文書の管理
(公文書の管理に関する原則)
第3条 実施機関(本市地方独立行政法人を除く。以下この章において同じ。)の職員は、この条例の目的を十分に認識し、公文書の作成、整理、保存等を適切に行わなければならない。
(公文書の作成)
第4条 実施機関の職員は、当該実施機関における審議又は検討の経緯その他の意思決定に至る過程並びに事務及び事業の実績について、合理的に跡付け、又は検証することができるよう、事案が軽微なものを除き、公文書を作成しなければならない。
(公文書の整理)
第5条 実施機関の職員が公文書を作成し、又は取得したときは、当該実施機関は、効率的な事務又は事業の処理及び公文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める公文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する公文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)を一の集合物(以下「簿冊」という。)にまとめなければならない。
2 実施機関は、単独で管理することが適当であると認める公文書及び前項の規定によりまとめた簿冊(以下「簿冊等」という。)について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
3 前項の場合において、実施機関が簿冊等(法令等により作成又は取得から30年を超えて保存することが定められている公文書を除く。)について設定する保存期間は、30年を最長とする。
4 実施機関は、職務の遂行上必要があるときは、その必要な限度において、簿冊等の保存期間及び保存期間の満了する日を延長することができる。
5 市長は、簿冊等について、保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。以下同じ。)の満了前のできるだけ早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、重要公文書に該当すると認めるものにあっては特定重要公文書として引き続き保存する措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置を採るべきことを定めなければならない。
6 市長以外の実施機関は、必要に応じて市長と協議を行い、簿冊等について、保存期間の満了前のできるだけ早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、重要公文書に該当すると認めるものにあっては市長への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置を採るべきことを定めなければならない。
7 市長は、前項の規定により市長以外の実施機関が簿冊等について廃棄の措置を採るべきと定めた場合であっても、当該簿冊等が重要公文書に該当すると認めるときは、当該実施機関に市長への移管の措置を採ることを求めることができる。この場合において、当該実施機関は、当該求めを参酌して前項の規定による定めを変更することができる。
(公文書の保存)
第6条 実施機関は、簿冊等について、当該簿冊等の保存期間の満了する日までの間、その内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
2 前項の場合において、実施機関は、当該簿冊等の集中管理の推進に努めなければならない。
(公文書目録)
第7条 実施機関は、簿冊等の管理を適切に行うため、簿冊等の分類、名称、保存期間の満了する日の属する年度、保存期間、保存期間が満了したときの措置その他の必要な事項(札幌市情報公開条例(平成11年条例第41号)第7条各号に掲げる非公開情報に該当するものを除く。)を記載した目録(以下「公文書目録」という。)を作成しなければならない。ただし、1年未満の保存期間が設定された簿冊等については、この限りでない。
2 実施機関は、公文書目録を電子情報処理組織を使用する等の方法により、一般の閲覧に供しなければならない。
(保存期間が満了した公文書の取扱い)
第8条 市長は、保存期間が満了した簿冊等について、第5条第5項の規定による定めに基づき、特定重要公文書として引き続き保存し、又は廃棄しなければならない。
2 市長以外の実施機関は、保存期間が満了した簿冊等について、第5条第6項及び第7項の規定による定めに基づき、市長に移管し、又は廃棄しなければならない。
3 実施機関は、第1項の規定により引き続き保存し、又は前項の規定により市長に移管する簿冊等について、第17条第2項第1号に掲げる場合に該当するものとして市長において利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の記録をし、又は意見を付さなければならない。
(管理状況の報告等)
第9条 市長以外の実施機関は、公文書目録の作成状況その他の公文書の管理状況について、毎年度、市長に報告しなければならない。
2 市長は、各実施機関における公文書目録の作成状況その他の公文書の管理状況を取りまとめ、毎年度、その概要を公表しなければならない。
(公文書管理体制の整備)
第10条 実施機関は、公文書を適正に管理するために必要な体制を整備しなければならない。
(公文書管理規則等)
第11条 実施機関は、公文書の管理が第3条から前条までの規定に基づき適正に行われることを確保するため、公文書の管理に関する定め(以下「公文書管理規則等」という。)を設けなければならない。
2 公文書管理規則等には、公文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 作成に関する事項
(2) 整理に関する事項
(3) 保存に関する事項
(4) 公文書目録の作成に関する事項
(5) 移管又は廃棄に関する事項
(6) 管理状況の報告に関する事項
(7) 管理体制の整備に関する事項
(8) その他公文書の管理に必要な事項
3 実施機関は、公文書管理規則等を設けたときは、これを公表しなければならない。これを変更したときも同様とする。
(法人公文書の管理に関する原則)
第12条 本市地方独立行政法人は、第3条から第6条までの規定に準じて、法人公文書を適正に管理しなければならない。
2 本市地方独立行政法人は、法人簿冊等(効率的な事務又は事業の処理及び法人公文書の適切な保存に資するよう相互に密接な関連を有する法人公文書を一の集合物にまとめたもの並びに単独で管理している法人公文書をいう。以下同じ。)の管理を適切に行うため、法人簿冊等の分類、名称、保存期間の満了する日の属する年度、保存期間、保存期間が満了したときの措置その他の必要な事項(札幌市情報公開条例第7条各号に掲げる非公開情報に該当するものを除く。)を記載した目録(以下「法人公文書目録」という。)を作成しなければならない。ただし、1年未満の保存期間が設定された法人簿冊等については、この限りでない。
3 本市地方独立行政法人は、法人公文書目録を電子情報処理組織を使用する等の方法により、一般の閲覧に供しなければならない。
4 本市地方独立行政法人は、保存期間が満了した法人簿冊等について、重要公文書に該当するものにあっては市長に移管し、それ以外のものにあっては廃棄しなければならない。
5 本市地方独立行政法人は、前項の規定により市長に移管する法人簿冊等について、第17条第2項第1号に掲げる場合に該当するものとして市長において利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。
6 本市地方独立行政法人は、法人公文書目録の作成状況その他の公文書の管理状況について、毎年度、市長に報告しなければならない。
7 市長は、毎年度、前項の規定による報告を取りまとめ、その概要を公表しなければならない。
8 本市地方独立行政法人は、法人公文書の管理が前各項の規定に基づき適正に行われることを確保するため、前条第2項の規定を参酌して、法人公文書の管理に関する定め(次項において「法人公文書管理規則等」という。)を設けなければならない。
9 本市地方独立行政法人は、法人公文書管理規則等を設けたときは、これを公表しなければならない。これを変更したときも同様とする。
(他の制度との調整等)
第13条 この章の規定は、公文書のうち次に掲げるものには適用しない。
(1) 特定重要公文書
(2) 図書館その他の市(本市地方独立行政法人を含む。)の施設において一般の利用に供することを目的として管理しているもの
(3) 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他の刊行物で不特定多数の者に販売することを目的として、実施機関以外のものにより発行されるもの
第3章 特定重要公文書の保存、利用等
(特定重要公文書の保存)
第14条 市長は、特定重要公文書について、第29条の規定により廃棄されるに至る場合を除き、永久に保存しなければならない。
2 市長は、特定重要公文書について、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
3 市長は、特定重要公文書の分類、名称その他の特定重要公文書の適切な保存及び利用に資するために必要な事項を記載した目録を作成し、電子情報処理組織を利用する等の方法により一般の閲覧に供しなければならない。
(個人情報の漏えい防止等)
第15条 市長は、特定重要公文書に個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第1項に規定する個人情報をいう。)が記録されている場合には、当該個人情報の漏えいの防止のために必要な措置を講じる等適正な管理を行わなければならない。
全部改正〔令和4年条例48号〕
(利用の促進)
第16条 市長は、特定重要公文書(次条の規定により利用させることができるものに限る。)について、展示その他の方法により積極的に一般の利用に供するよう努めなければならない。
(特定重要公文書の利用請求及びその取扱い)
第17条 何人も、この条例の定めるところにより、第14条第3項の目録の記載に従い、市長に対して特定重要公文書の利用の請求(以下「利用請求」という。)をすることができる。
2 市長は、利用請求があったときは、次に掲げる場合を除き、当該利用請求に応じるものとする。
(1) 当該特定重要公文書に次に掲げる情報が記録されている場合
ア 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
(ア) 法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
(イ) 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
(ウ) 当該個人が公務員等(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第5条第1号ハに規定する公務員等をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分
イ 法人その他の団体(国、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
(ア) 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
(イ) 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供された情報であって、当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
ウ 市又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、次に掲げるもの
(ア) 公にすることにより、国の安全が害されるおそれがあるもの、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがあるもの又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの
(イ) 公にすることにより、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるもの
(ウ) 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、正確な事実の把握を困難にし、又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれがあるもの
(エ) 市若しくは他の地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関する情報であって、公にすることにより、その企業経営上の正当な利益を害するおそれがあるもの
エ 法令若しくは他の条例の定めるところにより又は実施機関が法律上従う義務を負う国の機関の指示等により、公にすることができないと認められる情報
(2) 当該特定重要公文書がその全部又は一部を一定の期間公にしないことを条件に実施機関以外のものから寄贈され、又は寄託されたものであって、当該期間が経過していない場合
(3) 当該特定重要公文書の原本を利用に供することにより当該原本を破損し、若しくは汚損するおそれがある場合又は市長が修復作業等のために当該原本を現に使用している場合
3 市長は、利用請求に係る特定重要公文書が前項第1号に該当するか否かについて判断するに当たっては、当該特定重要公文書が作成され、又は取得されてからの時の経過を考慮するとともに、当該特定重要公文書に第8条第3項又は第12条第5項の規定による記録がされ、又は意見が付されている場合には、当該記録又は意見を参酌しなければならない。
4 市長は、第2項第1号又は第2号に掲げる場合であっても、同項第1号アからオまでに掲げる情報又は同項第2号に規定する条件に係る情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、利用請求者に対し、当該部分を除いた部分を利用させなければならない。ただし、当該部分を除くことにより、利用請求の趣旨が損なわれることが明らかであるときは、この限りでない。
一部改正〔令和4年条例48号〕
(本人情報の取扱い)
第18条 市長は、前条第2項第1号アの規定にかかわらず、同号アに掲げる情報により識別される特定の個人(以下この条において「本人」という。)から、当該情報が記録されている特定重要公文書について利用請求があった場合において、本人であることを示す書類で市長が定めるものの提示又は提出があったときは、本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報が記録されている場合を除き、当該特定重要公文書につき同号アに掲げる情報が記録されている部分についても、利用させなければならない。
(利用請求の手続)
第19条 利用請求をしようとするものは、次に掲げる事項を記載した請求書(以下「利用請求書」という。)を市長に提出しなければならない。
(1) 利用請求をするものの氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
(2) 利用請求に係る第14条第3項の目録に記載された特定重要公文書の名称
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が定める事項
(利用請求に対する決定等)
第20条 市長は、利用請求に係る特定重要公文書の全部又は一部を利用させるときは、その旨の決定をし、利用請求者に対し、その旨並びに利用させる日時及び場所を書面により通知しなければならない。
2 市長は、利用請求に係る特定重要公文書の全部を利用させないときは、利用させない旨の決定をし、利用請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
3 前2項の規定により利用請求に係る特定重要公文書の全部又は一部を利用させない旨の決定をした場合において、当該特定重要公文書の全部又は一部についての利用が可能となる時期が明らかであるときは、市長は、その旨をこれらの規定による書面に付記しなければならない。
(利用決定等の期限)
第21条 前条第1項又は第2項の決定(以下「利用決定等」という。)は、利用請求があった日の翌日から起算して14日以内にしなければならない。ただし、利用請求書に形式上の不備があると認められる場合で利用請求者に対して補正を求めたときは、当該補正に要した日数は、この期間には算入しない。
2 市長は、やむを得ない理由により、前項に規定する期間内に利用決定等をすることができないときは、利用決定等をすべき期限を、同項に規定する期間の満了する日の翌日から起算して30日を限度として延長することができる。この場合において、市長は、速やかに、利用請求者に対し、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。
3 利用請求者は、市長が第1項に規定する期間の満了する日の翌日から起算して30日を経過した後においても、利用請求に係る特定重要公文書の全部又は一部について利用決定等をしないとき(次条第1項の規定による通知があったときを除く。)は、当該利用決定等がされていない特定重要公文書を利用させない旨の決定があったものとみなすことができる。
(利用決定等の期限の特例)
第22条 利用請求に係る特定重要公文書が著しく大量であるため、利用請求があった日の翌日から起算して44日以内にその全てについて利用決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条第1項及び第2項の規定にかかわらず、市長は、利用請求に係る特定重要公文書のうちの相当の部分につき当該期間内に利用決定等をし、残りの特定重要公文書については相当の期間内に利用決定等をすれば足りる。この場合において、市長は、同条第1項に規定する期間内に、利用請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
(1) この項の規定を適用する旨及びその理由
(2) 残りの特定重要公文書について利用決定等をする期限
2 利用請求者は、前項の規定による通知があった場合において、市長が同項第2号に規定する期限を経過した後においても、利用請求に係る特定重要公文書の全部又は一部について利用決定等をしないときは、当該利用決定等がされていない特定重要公文書を利用させない旨の決定があったものとみなすことができる。
(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
第23条 利用請求に係る特定重要公文書に次に掲げるもの以外のもの(以下この条、第26条第2項第3号及び第27条第2項において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、市長は、利用決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、意見書を提出する機会を与えることができる。
(1) 市及び本市地方独立行政法人
(2) 国、独立行政法人等並びに他の地方公共団体及び地方独立行政法人
(3) 利用請求者
2 市長は、第三者に関する情報が記録されている特定重要公文書の利用をさせようとする場合であって、当該情報が第17条第2項第1号ア(イ)又は同号イただし書に規定する情報に該当すると認めるときは、利用させる旨の決定に先立ち、当該第三者に対し、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
3 市長は、特定重要公文書であって、第17条第2項第1号ウに該当するものとして第8条第3項又は第12条第5項の規定により市長以外の実施機関から意見を付されたものを利用させる旨の決定をする場合には、あらかじめ、当該実施機関に対し、意見書を提出する機会を与えなければならない。
4 市長は、第1項又は第2項の規定により意見書を提出する機会を与えられた第三者が当該特定重要公文書を利用させることに反対の意思を表示した意見書(以下「反対意見書」という。)を提出した場合において、当該特定重要公文書を利用させる旨の決定をするときは、その決定の日と利用させる日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、市長は、利用決定後直ちに、反対意見書を提出した第三者に対し、利用させる旨の決定をした旨及びその理由並びに利用させる日を書面により通知しなければならない。
(利用の方法)
第24条 市長が特定重要公文書を利用させる場合には、文書、図画、写真又はフィルムについては閲覧又は写しの交付により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を考慮して市長が定める方法により行う。
2 市長は、前項の規定により特定重要公文書を閲覧に供し、又はその写しを交付する場合において、当該特定重要公文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他合理的な理由があるときは、当該特定重要公文書を複写したものを閲覧に供し、又はその写しを交付することができる。
(費用の負担)
第25条 前条の規定により特定重要公文書(これを複写したものを含む。)の写しの交付(電磁的記録にあっては、これに準ずるものとして市長が定める方法によるものを含む。)を受けるものは、その写しの交付に要する費用を負担しなければならない。
一部改正〔令和4年条例48号〕
(審査請求)
第25条の2 利用決定等(第21条第3項又は第22条第2項の規定により特定重要公文書を利用させない旨の決定があったとみなされた場合における当該あったものとみなされた決定を含む。以下同じ。)に係る審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第1項本文の規定は、適用しない。
追加〔平成28年条例17号〕、一部改正〔令和4年条例48号〕
(公文書管理審議会への諮問)
第26条 利用決定等について審査請求があったときは、市長は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、札幌市公文書管理審議会に諮問しなければならない。
(1) 審査請求が不適法であり、却下する場合
(2) 裁決で、審査請求に係る利用決定等の取消し又は変更をして、当該審査請求に係る特定重要公文書の全部を利用させることとする場合。ただし、当該審査請求に係る特定重要公文書の利用について反対意見書が提出されている場合を除く。
2 市長は、前項の規定により諮問をしたときは、次に掲げる者に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。
(1) 審査請求人及び参加人(行政不服審査法第13条第4項に規定する参加人をいう。以下同じ)
(2) 利用請求者(利用請求者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)
(3) 当該審査請求に係る利用決定等について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)
一部改正〔平成28年条例17号〕
(審査請求に対する裁決)
第27条 市長は、審査請求について裁決をする場合は、その諮問に対する札幌市公文書管理審議会の答申を尊重しなければならない。
2 市長は、第三者に関する情報が記録されている特定重要公文書の利用決定等に関する審査請求について、次の各号のいずれかに該当する裁決をし、特定重要公文書を利用させようとするときは、当該裁決の日と利用させる日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、市長は、直ちに当該第三者に対し、利用させる旨及びその理由並びに利用させる日を書面により通知しなければならない。
(1) 利用決定に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する裁決
(2) 審査請求に係る利用決定等を変更し、当該利用決定等に係る特定重要公文書を利用させる旨の裁決(第三者である参加人が当該特定重要公文書の利用に反対の意思を表示している部分に係る変更の裁決に限る。)
一部改正〔平成28年条例17号〕
(実施機関による利用の特例)
第28条 第8条第1項若しくは第2項又は第12条第4項の規定により、特定重要公文書を引き続き保存し、又は移管した実施機関が、それぞれの所掌事務を遂行するために当該特定重要公文書の利用を請求した場合には、第17条第2項第1号の規定は適用しない。
(特定重要公文書の廃棄)
第29条 市長は、特定重要公文書として保存されている文書がその重要性を失ったと認める場合には、当該文書を廃棄することができる。
2 市長は、前項の規定により文書を廃棄するときは、あらかじめ札幌市公文書管理審議会に諮問しなければならない。
(保存及び利用の状況の公表)
第30条 市長は、特定重要公文書の保存及び利用の状況について、毎年度、公表しなければならない。
(特定重要公文書の保存、利用及び廃棄に関する定め)
第31条 市長は、特定重要公文書の保存、利用及び廃棄が第14条から第25条まで及び第28条から前条までの規定に基づき適切に行われることを確保するため、特定重要公文書の保存、利用及び廃棄に関する定めを設けなければならない。
第4章 公文書管理審議会
(審議会の設置)
第32条 公文書の管理に係る施策の適正かつ円滑な実施を図るため、札幌市公文書管理審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、第26条第1項及び第29条第2項の規定により市長から諮問を受けた事項について調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する事項のほか、公文書の管理に係る施策に関する重要な事項について市長に意見を述べることができる。
(組織等)
第33条 審議会は、委員7人以内をもって組織する。
2 委員は、学識経験者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
3 委員の任期は、2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(部会)
第34条 審議会は、その指名する委員3人以上をもって構成する部会を置くことができる。
2 審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもって審議会の決議とすることができる。
(審査請求に係る審議会の調査審議手続等)
第35条 審議会は、必要があると認めるときは、市長に対し、審査請求に係る特定重要公文書(以下「対象特定重要公文書」という。)の提示を求めることができる。この場合において、市長は、審議会の求めを拒んではならない。
2 前項に定めるもののほか、審議会は、審査請求に係る事件に関し、審査請求人、参加人又は市長(以下「審査請求人等」という。)に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させることその他必要な調査をすることができる。
3 審議会は、審査請求人等から申立てがあったときは、審査請求人等の不利益にならないことが明らかである場合等その必要がないと認められる場合を除き、当該審査請求人等に、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
4 審査請求人又は参加人は、前項の規定により意見を述べるときは、審議会の許可を得て、補佐人と共に出頭することができる。
5 審査請求人等は、審議会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、審議会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
6 審議会は、必要があると認めるときは、その指名する委員に、第1項の規定により提示された対象特定重要公文書を閲覧させ、第2項の規定による調査をさせ、又は第3項の規定による審査請求人等の意見の陳述を聴かせることができる。
7 審査請求人等は、審議会に対し、審議会に提出された意見書又は資料の閲覧又は複写を求めることができる。この場合において、審議会は、当該閲覧又は複写を求めた審査請求人等以外のものの利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は複写を拒むことができない。
8 審議会は、前項に規定する閲覧又は複写について、その日時及び場所を指定することができる。
9 この条に規定する調査審議の手続は、公開しない。ただし、審議会が認めた場合は、公開することができる。
10 審議会は、審査請求に係る諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するものとする。
一部改正〔平成28年条例17号〕
(準用)
第36条 前条(第10項を除く。)の規定は、第34条第2項の規定により部会の決議をもって審議会の決議とする場合について準用する。
(意見の徴取等)
第37条 審議会は、その所掌事務(審査請求に係る事務を除く。)を遂行するため必要があると認める場合は、実施機関の職員その他関係者の出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又はこれらの者からの資料の提出を求めることができる。
一部改正〔平成28年条例17号〕
(審議会の組織及び運営に関する事項についての委任)
第38条 第32条から前条までに規定するもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。
第5章 雑則
(市長の調整)
第39条 市長は、この条例による公文書管理制度の円滑かつ統一的な実施を図る上で必要があると認めるときは、公文書の管理について、他の実施機関に対し、報告を求め、又は助言をすることができる。
(研修)
第40条 実施機関は、それぞれ、当該実施機関の職員に対し、公文書の管理を適正かつ効率的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うものとする。
(委任)
第41条 この条例に定めるもののほか、公文書の管理に関し必要な事項は、実施機関が定める。
第6章 罰則
第42条 第33条第5項の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(1) 附則第8項の規定 公布の日
(2) 第4章(第35条及び第36条を除く。)及び附則第12項の規定 この条例の公布の日から起算して3月を超えない範囲内において市長が定める日(平成24年規則第44号で平成24年7月17日から施行)
(3) 第16条から第28条まで、第35条及び第36条の規定 施行日から起算して1年を超えない範囲内において市長が定める日(平成25年規則第28号で、同25年7月1日から施行)
(経過措置)
2 施行日前に作成し、又は取得した公文書の保存期間は、実施機関が現に定めている保存期間とする。
3 前項の規定にかかわらず、施行日前に作成し、又は取得した公文書で、実施機関により10年を超える保存期間が定められているもののうち次に掲げるもの以外のものの保存期間は、当該公文書に係る事案の処理が完結した日(4月1日から5月31日までの間に完結した前年度予算に係る公文書にあっては、同年度の末日)の属する年度の翌年度の4月1日から起算して30年間とする。
(1) 法令等により保存期間の定めのある公文書
(2) 時効が完成するまでの間証拠として保存する必要がある公文書
4 前項の規定により施行日の前日前に保存期間が満了することとなる公文書については、施行日の前日を保存期間が満了する日とみなす。
(経過措置に係る公文書の保存期間の延長)
5 実施機関は、前2項の規定により施行日の前日に保存期間が満了し、又は同日を保存期間が満了する日とみなす公文書について、職務の遂行上必要があると認めるときは、その必要な限度において、保存期間及び保存期間が満了する日を延長することができる。
(経過措置に係る公文書の保存、移管又は廃棄の措置)
6 市長は、附則第2項から第4項までの規定により施行日の前日に保存期間が満了し、又は同日を保存期間が満了する日とみなす公文書(次項において「保存期間満了公文書」という。)について、重要公文書に該当すると認めるものにあっては特定重要公文書として引き続き保存し、それ以外のものにあっては廃棄しなければならない。
7 市長以外の実施機関は、保存期間満了公文書について、重要公文書に該当すると認めるものにあっては市長に移管し、それ以外のものにあっては廃棄しなければならない。
(準備行為)
8 第33条第2項の規定による審議会の委員の委嘱のために必要な準備行為は、同項の規定の施行前においても行うことができる。
(札幌市情報公開条例の一部改正)
9 札幌市情報公開条例の一部を次のように改正する。
(次のよう略)
(札幌市個人情報保護条例の一部改正)
10 札幌市個人情報保護条例(平成16年条例第35号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)
(札幌市情報公開・個人情報保護審議会及び札幌市情報公開・個人情報保護審査会条例の一部改正)
(次のよう略)
(札幌市特別職の職員の給与に関する条例の一部改正)
(次のよう略)
附 則(平成28年条例第17号)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。
2 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの条例の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの条例の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、なお従前の例による。
附 則(令和4年条例第48号抄)
(施行期日)
第1条 この条例は、令和5年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。



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