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○札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例
平成20年11月7日条例第36号
札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 子どもの権利の普及(第4条―第6条)
第3章 子どもにとって大切な権利(第7条―第11条)
第4章 生活の場における権利の保障
第1節 家庭における権利の保障(第12条・第13条)
第2節 育ち学ぶ施設における権利の保障(第14条―第19条)
第3節 地域における権利の保障(第20条―第23条)
第4節 参加・意見表明の機会の保障(第24条―第27条)
第5節 子どものそれぞれの状況に応じた権利の保障(第28条)
第6節 子どもの育ちや成長にかかわる大人への支援(第29条―第31条)
第5章 子どもの権利の侵害からの救済(第32条―第44条)
第6章 施策の推進(第45条・第46条)
第7章 子どもの権利の保障の検証(第47条・第48条)
第8章 雑則(第49条)
附則
すべての子どもは、未来と世界へ羽ばたく可能性に満ちた、かけがえのない存在です。
日本には、平和な社会を築き、基本的人権を大切にする日本国憲法があります。さらに、日本は、世界の国々と、子どもの権利に関して条約を結び、誰もが生まれたときから権利の主体であり、あらゆる差別や不利益を受けることなく、自分らしく、豊かに成長・発達していくことを認め、これを大切にすることを約束しています。
子どもは、子どもが持つ権利を正しく学び、感じたこと、考えたことを自由に表明し、自分にかかわることに参加することができます。こうした経験を通して、自分が大切にされていることを実感し、自分と同じように、他の人も大切にしなければならないことを学びます。そして、お互いの権利を尊重し合うことを身につけ、規範意識をはぐくみます。
大人は、子ども自身の成長・発達する力を認めるとともに、言葉や表情、しぐさから、気持ちを十分に受け止め、子どもの最善の利益のために、子どもが直面することについて、ともに考え、支えていく責任があります。
子どもの権利を大切にすることは、子どもが自分の人生を自分で選び、自信と誇りを持って生きていくように励ますことです。それによって子どもは、自ら考え、責任を持って行動できる大人へと育っていきます。
子どもは、社会の一員として尊重され、大人とともに札幌のまちづくりを担っていきます。子どもが参加し、子どもの視点に立ってつくられたまちは、すべての人にとってやさしいまちとなります。
私たちは、こうした考えのもと、ここに、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの権利の保障を進めることを宣言し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、子どもが毎日を生き生きと過ごし、自分らしく伸び伸びと成長・発達していくことができるよう、子どもにとって大切な権利等について定めることにより、子どもの権利の保障を進めることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において「子ども」とは、18歳未満の者その他これと等しく権利を認めることが適当である者として規則で定める者をいいます。
2 この条例において「育ち学ぶ施設」とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に定める児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に定める学校、専修学校及び各種学校その他の施設のうち、子どもが育ち、学ぶことを目的として通学し、通所し、又は入所する施設をいいます。
3 この条例において「保護者」とは、親及び児童福祉法に定める里親その他の親に代わり子どもを養育する者をいいます。
(責務)
第3条 保護者、育ち学ぶ施設の設置者、管理者及び職員(以下「施設関係者」といいます。)、事業者、市民並びに市は、子どもの最善の利益を考慮し、子どもの権利の保障に努めなければなりません。
2 市は、市外においても子どもの権利が広く保障されるよう、他の公共団体等に対し協力を要請し、働きかけを行うものとします。
第2章 子どもの権利の普及
(広報及び普及)
第4条 市は、子どもの権利について、広報することなどにより、その普及に努めるものとします。
(子どもの権利の日)
第5条 市は、子どもの権利について、市民の関心を高めるため、さっぽろ子どもの権利の日(以下「権利の日」といいます。)を設けます。
2 権利の日は、11月20日とします。
3 市は、権利の日にふさわしい事業を行うものとします。
(学習等への支援)
第6条 市は、家庭、育ち学ぶ施設、地域等において、子どもが自分の権利と他人の権利を正しく学び、お互いの権利を尊重し合うことができるよう、必要な支援に努めるものとします。
2 市は、市民が子どもの権利について正しく学び、理解することができるよう、必要な支援に努めるものとします。
第3章 子どもにとって大切な権利
(子どもにとって大切な権利)
第7条 この章に定める権利は、子どもが成長・発達していくために、特に大切なものとして保障されなければなりません。
2 子どもは、自分の権利が尊重されるのと同じように、他人の権利を尊重しなければなりません。
(安心して生きる権利)
第8条 子どもは、安心して生きることができます。そのためには、主に次に掲げる権利が保障されなければなりません。
(1) 命が守られ、平和と安全のもとに暮らすこと。
(2) 愛情を持ってはぐくまれること。
(3) いじめ、虐待、体罰などから心や体が守られること。
(4) 障がい、民族、国籍、性別その他の子ども又はその家族の状況を理由としたあらゆる差別及び不当な不利益を受けないこと。
(5) 自分を守るために必要な情報や知識を得ること。
(6) 気軽に相談し、適切な支援を受けること。
(自分らしく生きる権利)
第9条 子どもは、自分らしく生きることができます。そのためには、主に次に掲げる権利が保障されなければなりません。
(1) かけがえのない自分を大切にすること。
(2) 個性や他人との違いを認められ、一人の人間として尊重されること。
(3) 自分が思ったこと、感じたことを自由に表現すること。
(4) プライバシーが守られること。
(豊かに育つ権利)
第10条 子どもは、様々な経験を通して豊かに育つことができます。そのためには、主に次に掲げる権利が保障されなければなりません。
(1) 学び、遊び、休息すること。
(2) 健康的な生活を送ること。
(3) 自分に関係することを、年齢や成長に応じて、適切な助言等の支援を受け、自分で決めること。
(4) 夢に向かってチャレンジし、失敗しても新たなチャレンジをすること。
(5) 様々な芸術、文化、スポーツに触れ親しむこと。
(6) 札幌の文化や雪国の暮らしを学び、自然と触れ合うこと。
(7) 地球環境の問題について学び、豊かな環境を保つために行動すること。
(参加する権利)
第11条 子どもは、自分にかかわることに参加することができます。そのためには、主に次に掲げる権利が保障されなければなりません。
(1) 家庭、育ち学ぶ施設、地域、行政等のあらゆる場で、自分の意見を表明すること。
(2) 表明した意見について、年齢や成長に応じてふさわしい配慮がなされること。
(3) 適切な情報提供等の支援を受けること。
(4) 仲間をつくり、集まること。
第4章 生活の場における権利の保障
第1節 家庭における権利の保障
(保護者の役割)
第12条 保護者は、子どもの養育及び発達に関する第一義的な責任者であることを認識し、年齢や成長に応じて適切な指導、助言等の支援を行い、子どもの権利の保障に努めなければなりません。
2 保護者は、子どもの言葉、表情、しぐさなどから思いを受け止め、これにこたえていくよう努めるものとします。
(虐待及び体罰の禁止等)
第13条 保護者は、養育する子どもに対して、虐待及び体罰を行ってはなりません。
2 市は、虐待を受けた子どもの迅速で適切な救済に努めなければなりません。
第2節 育ち学ぶ施設における権利の保障
(施設関係者の役割)
第14条 施設関係者は、育ち学ぶ施設が子どもの健やかな成長・発達にとって重要な役割を果たすことを認識し、子どもの権利の保障に努めなければなりません。
2 施設関係者は、子どもの言葉、表情、しぐさなどから思いを受け止め、相談に応じ、対話などを行うよう努めるものとします。
(開かれた施設づくり)
第15条 育ち学ぶ施設の設置者及び管理者(以下「施設設置管理者」といいます。)は、子ども、保護者及び地域住民に、施設の運営等に関する情報を提供し、意見を聴き、協力を受けるなど、開かれた施設となるよう努めるものとします。
(いじめの防止)
第16条 施設関係者は、いじめの防止に努めなければなりません。
2 施設関係者は、子どもがいじめについて相談しやすいように工夫し、いじめが起きたときは、関係する子どもの最善の利益を考慮し、対応するよう努めなければなりません。
(虐待及び体罰の禁止等)
第17条 施設関係者は、子どもに対して虐待及び体罰を行ってはなりません。
2 施設関係者は、虐待及び体罰を受けた子どもの迅速で適切な救済に努めなければなりません。
(関係機関等との連携と研修)
第18条 施設設置管理者は、虐待、体罰及びいじめについての相談、救済、防止等のために、関係機関等との連携に努めるものとします。
2 施設設置管理者は、職員に対し、虐待、体罰及びいじめについての相談、救済、防止等に関する研修の機会を設けるよう努めるものとします。
(事情等を聴く機会の設定)
第19条 施設設置管理者は、子どもに対して不利益な処分等を行おうとするときは、あらかじめ、子ども本人から事情等を聴く機会を設けるよう努めるものとします。
第3節 地域における権利の保障
(地域における市民及び事業者の役割)
第20条 市民は、地域が子どもにとって多様な人間関係を通して豊かに育つために大切な場であることを認識し、子どもの権利の保障に努めなければなりません。
2 事業者は、雇用する子どもに対し、子どもの権利の保障に努めるとともに、適当な方法により、子どもの権利についての従業員の理解を深めるよう努めるものとします。
(地域における子どもの居場所)
第21条 市民及び市は、地域において、子どもが安心して自分らしく過ごすことができる居場所づくりに努めるものとします。
(地域における自然環境の保全)
第22条 市民及び市は、子どもが育つ環境として自然が大切であることを認識し、地域における自然環境の保全に努めるものとします。
(安全で安心な地域)
第23条 市民及び市は、地域において、子どもを見守り、子どもが安全に、安心して過ごすことができるよう努めるものとします。
2 市民及び市は、地域において、子どもが自分自身を守る力をつけることができるよう、必要な支援に努めるものとします。
第4節 参加・意見表明の機会の保障
(子どもの参加等の促進)
第24条 市は、市政等について、子どもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。
2 施設設置管理者は、施設の行事、運営等について、子どもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。
3 市民は、地域の文化・スポーツ活動等について、子どもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。
(市の施設に関する子どもの意見)
第25条 市は、子どもが利用する市の施設の設置及び運営に関して、子どもの参加について配慮し、適切な方法で子どもの意見を聴くよう努めるものとします。
(審議会等への子どもの参加)
第26条 市は、子どもにかかわる事項を検討する審議会等に関して、子どもの参加について配慮するよう努めるものとします。
2 前項の審議会等は、適切な方法で子どもの意見を聴くよう努めるものとします。
(子どもの視点に立った情報発信等)
第27条 市民及び市は、子どもの参加の促進を図るため、子どもにかかわる施策、取組等について、子どもが理解を深め、自分の意見を形成することができるよう、子どもの視点に立った分かりやすい情報発信等に努めるものとします。
第5節 子どものそれぞれの状況に応じた権利の保障
(お互いの違いを認め尊重する社会の形成)
第28条 市民は、子どもが、障がい、民族、国籍、性別その他の子ども又はその家族の状況を理由としたあらゆる差別及び不当な不利益を受けないように、お互いの違いを認め尊重し合う社会の形成に努めなければなりません。
2 市は、前項の差別及び不当な不利益を生じさせない、又はなくすための取組を行うよう努めなければなりません。
3 市は、前項の取組を行う際には、次のことなどに配慮しなければなりません。
(1) 障がいのある子どもが、尊厳を持って生活し、社会に参加すること。
(2) 子どもが、アイヌ民族の生活、歴史、文化等を学ぶこと。
(3) 外国籍等の子どもが、必要に応じて日本語を学ぶとともに、自分の国、言語、文化等を学び、表現すること。
(4) 子どもが、性別による固定的な役割分担にとらわれないこと及び性的少数者について理解すること。
第6節 子どもの育ちや成長にかかわる大人への支援
(保護者への支援)
第29条 市は、保護者が安心して子育てをすることができるよう、必要な支援に努めるものとします。
2 事業者は、従業員が安心して子育てをすることができるよう、配慮に努めるものとします。
(育ち学ぶ施設の職員への支援)
第30条 施設設置管理者は、職員が心に余裕を持って、子どもと十分にかかわることができるよう、必要な職場環境の整備に努めるものとします。
2 施設設置管理者は、職員に対し、子どもの権利についての理解を深めるための研修の機会を設けるよう努めるものとします。
(市民の地域での活動の支援)
第31条 市は、子どもの権利の保障に関する活動を行う市民と連携するとともに、市民の地域での活動を支援するよう努めるものとします。
第5章 子どもの権利の侵害からの救済
(相談及び救済)
第32条 市は、次条第1項に定める救済委員によるもののほか、子どもの権利の侵害に関する相談又は救済について、関係機関等と相互に協力・連携を図るとともに、子ども及びその権利の侵害の特性に配慮した対応に努めなければなりません。
(救済委員の設置及び職務)
第33条 市は、権利の侵害を受けた子どもに対して、迅速で適切な救済を図るために、札幌市子どもの権利救済委員(以下「救済委員」といいます。)を置きます。
2 救済委員の職務は、次のとおりとします。
(1) 子どもの権利の侵害に関する相談に応じ、必要な助言及び支援を行うこと。
(2) 子どもの権利の侵害に関する救済の申立て又は自己の発意に基づき、調査、調整、勧告、是正要請等を行うこと。
(3) 制度の改善を求めるための意見を表明すること。
(4) 勧告、意見表明等の内容を公表すること。
(救済委員の責務等)
第34条 救済委員は、子どもの権利の擁護者として、公正かつ適正に職務を遂行するとともに、関係機関等と相互に協力・連携を図るものとします。
2 救済委員は、その地位を政党又は政治的目的のために利用してはなりません。
3 救済委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはなりません。その職を退いた後も同様とします。
4 市の機関は、救済委員の職務の遂行に関し、その独立性を尊重するとともに、積極的な協力援助に努めるものとします。
5 市の機関以外のものは、救済委員の職務の遂行に協力するよう努めるものとします。
(救済委員の定数、任期等)
第35条 救済委員の定数は、2人とします。
2 救済委員のうち1人を代表救済委員とし、代表救済委員は、救済委員に関する庶務を処理するものとします。
3 救済委員は、人格が高潔で、子どもの権利に関し優れた識見を有する者のうちから、市長が議会の同意を得て委嘱します。
4 救済委員は、任期を3年とし、1期に限り再任されることができます。
5 市長は、救済委員が心身の故障のため職務を遂行することができないと認めるとき、又は職務上の義務違反その他救済委員たるにふさわしくない非行があると認めるときは、議会の同意を得て解嘱することができます。
6 救済委員は、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員又は長その他市長が別に定める者と兼ねることができません。
(相談及び救済の申立て)
第36条 何人も、次に掲げる子どもの権利の侵害にかかわる事項について、救済委員に対し、相談及び救済の申立てを行うことができます。
(1) 市内に住所を有する子どもに係るもの
(2) 市内に通勤し、又は市内に存する育ち学ぶ施設に通学し、通所し、若しくは入所する子ども(前号に定める子どもを除きます。)に係るもの(相談又は救済の申立ての原因となった事実が市内で生じたものに限ります。)
2 救済の申立ては、書面又は口頭で行うことができます。
(調査及び調整)
第37条 救済委員は、救済の申立てにかかわる事実又は自己の発意に基づき取り上げた事案について、調査を行うものとします。
2 救済委員は、救済の申立てが、救済にかかわる子ども又はその保護者以外の者から行われた場合において調査を行うとき、又は自己の発意に基づき取り上げた事案について調査を行うときは、当該子ども又は保護者の同意を得なければなりません。ただし、当該子どもが置かれている状況を考慮し、救済委員が当該同意を得る必要がないと認めるときは、この限りではありません。
3 救済委員は、調査を開始した後においても、その必要がないと認めるときは、調査を中止し、又は打ち切ることができます。
4 救済委員は、調査のため必要があるときは、関係する市の機関に対し説明を求め、その保有する文書その他の記録を閲覧し、若しくはその提出を要求し、又は実地に調査することができます。
5 救済委員は、調査のため必要があるときは、子どもの権利の侵害に関する救済を図るため必要な限度において、市の機関以外のものに対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができます。
6 救済委員は、調査の結果、必要があると認めるときは、子どもの権利の侵害の是正のための調整を行うことができます。
(調査の対象外)
第38条 救済委員は、特別の事情があると認めるときを除き、救済の申立てが次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、調査を行わないものとします。
(1) 判決、裁決等により確定した権利関係に関する事案又は判決、裁決等を求め現に係争中の事案に関するものであるとき。
(2) 議会に請願又は陳情を行っている事案に関するものであるとき。
(3) 札幌市オンブズマンに苦情を申し立てた事案に関するものであるとき。
(4) 救済委員又は札幌市オンブズマンの行為に関するものであるとき。
(5) 救済の申立ての原因となった事実のあった日から3年を経過しているとき。
(6) 前条第2項の同意が得られないとき(同項ただし書に該当するときを除きます。)。
(7) 前各号のほか、調査することが明らかに適当ではないと認められるとき。
(勧告等の実施)
第39条 救済委員は、調査又は調整の結果、必要があると認めるときは、関係する市の機関に対し、是正等の措置を講ずるよう勧告することができます。
2 救済委員は、調査又は調整の結果、必要があると認めるときは、関係する市の機関に対し、制度の改善を求めるための意見を表明することができます。
3 第1項の規定による勧告又は前項の規定による意見表明を受けた市の機関は、これを尊重しなければなりません。
(是正等の要請)
第40条 救済委員は、調査又は調整の結果、必要があると認めるときは、市の機関以外のものに対し、是正等の措置を講ずるよう要請することができます。
(報告及び公表)
第41条 救済委員は、第39条第1項の規定による勧告又は同条第2項の規定による意見表明をしたときは、当該市の機関に対し、その是正等又は改善の措置の状況について報告を求めるものとします。
2 前項の規定により報告を求められた市の機関は、当該報告を求められた日の翌日から起算して60日以内に、救済委員に対して、是正等又は改善の措置の状況について報告するものとします。
3 救済委員は、第39条第1項の規定による勧告若しくは同条第2項の規定による意見表明をしたとき、又は前項の規定による報告があったときは、その内容を公表することができます。
4 救済委員は、前項の規定による公表をするに当たっては、個人情報等の保護について十分な配慮をしなければなりません。
(活動状況の報告)
第42条 救済委員は、毎年、その活動状況について、市長及び議会に報告するとともに、これを公表するものとします。
(調査員及び相談員)
第43条 救済委員の職務の遂行を補佐するため、調査員及び相談員(以下「調査員等」といいます。)を置きます。
2 調査員等は、子どもの権利に関し優れた識見を有する者のうちから、市長が委嘱します。
3 第34条第1項から第3項まで及び第35条第6項の規定は、調査員等について準用します。
(規則への委任)
第44条 この章に定めるもののほか、救済委員の組織及び運営に関して必要な事項は、規則で定めます。
第6章 施策の推進
(施策の推進)
第45条 市は、子どもにやさしいまちづくりを推進するため、子どもの権利に配慮した施策を進めるものとします。
(推進計画)
第46条 市は、前条の施策を進めるに当たっては、総合的な推進計画を定めるものとします。
2 市は、前項の推進計画を定めるに当たっては、市民及び次条に定める権利委員会の意見を聴くものとします。
第7章 子どもの権利の保障の検証
(権利委員会の設置等)
第47条 市は、子どもの権利に関する施策の充実を図るとともに、子どもの権利の保障の状況を検証するため、札幌市子どもの権利委員会(以下「権利委員会」といいます。)を置きます。
2 権利委員会は、前条第1項の推進計画について意見を述べるほか、市長その他の執行機関の諮問に応じ、又は必要があるときは自らの判断で、子どもに関する施策における子どもの権利の保障の状況について、調査し、審議します。
3 権利委員会は、15人以内の委員で組織します。
4 委員は、人権、福祉、教育等の子どもにかかわる分野において学識経験のある者及び15歳以上の子どもを含む市民のうちから市長が委嘱します。
5 委員の任期は、2年とします。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。
6 委員は、再任されることができます。
7 前各項に定めるもののほか、権利委員会の組織及び運営に関して必要な事項は、規則で定めます。
(答申等及び市の措置)
第48条 権利委員会は、前条第2項の諮問を受けたとき、又は自らの判断で調査し、審議したときは、その結果を諮問した執行機関又は必要と認める執行機関に答申し、又は報告します。
2 権利委員会からの答申又は報告を受けた執行機関は、これを尊重し、必要な措置を講ずるものとします。
第8章 雑則
(委任)
第49条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定めます。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、市長が別に定める日から施行します。(平成21年規則第7号で平成21年4月1日から施行。ただし、附則第3項の規定は、平成21年規則第7号の公布の日(平成21年2月25日)から施行)
(経過措置)
2 第36条から第41条までの規定は、これらの規定の施行の日(以下「施行日」といいます。)の3年前の日から施行日の前日までの間にあった子どもの権利の侵害にかかわる救済の申立てについても適用し、当該3年前の日前にあった子どもの権利の侵害にかかわる救済の申立てについては、適用しません。
(準備行為)
3 第35条第3項の規定による救済委員の委嘱のために必要な行為は、同項の規定の施行前においても行うことができます。



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