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○札幌市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例
平成12年3月31日条例第32号
〔注〕令和3年7月から改正経過を注記した。
札幌市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 建築主等の配慮等(第6条―第8条)
第3章 建築計画の事前公開(第9条―第12条)
第4章 仲介(第13条―第15条)
第5章 調停(第16条―第27条)
第6章 雑則(第28条―第30条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、中高層建築物の建築に関し、建築主等が配慮すべき事項、建築計画の事前公開の手続、紛争の仲介及び調停の手続その他必要な事項を定めることにより、紛争の予防及び調整を図り、もって良好な近隣関係を保持するとともに、健全な地域環境の形成に資することを目的とする。
(定義等)
第2条 この条例における用語の意義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)の例による。
2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 中高層建築物 次のいずれかに該当する建築物をいう。
ア 第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域若しくは工業地域又は用途地域の指定のない区域のうち別表に掲げる区域内の建築物(その敷地の一部がこれらの地域内にあるものを含む。)で、その高さが10メートルを超えるもの
イ 商業地域又は工業専用地域内の建築物(その敷地の全部がこれらの地域内にあるものに限る。)で、その高さが15メートル(当該建築物の敷地境界線(その敷地が前面道路に接する場合においては、その前面道路のうち規則で定める部分が当該建築物の敷地に含まれるものとみなした場合における当該建築物の敷地境界線。以下同じ。)からの水平距離が10メートル未満の範囲内にアに掲げる用途地域又は区域がある場合においては、10メートル)を超えるもの
(2) 近接住民 中高層建築物の敷地境界線からの水平距離が10メートル未満の範囲内にある土地を所有する者又はその敷地が当該範囲内にある建築物を所有し、若しくは占有する者
(3) 周辺住民 次のいずれかに該当する者をいう。ただし、近接住民を除く。
ア 中高層建築物の敷地境界線からの水平距離が当該建築物の高さの2倍に相当する距離の範囲内にある土地を所有し、若しくは占有する者又はその敷地が当該範囲内にある建築物を所有し、若しくは占有する者
イ 中高層建築物の建築により、テレビジョン放送の電波の著しい受信障害(以下「テレビ電波受信障害」という。)の影響を受けるおそれがあると認められる者
(4) 近隣関係住民 近接住民及び周辺住民をいう。
(5) 建築主等 中高層建築物の建築主、設計者、工事監理者及び工事施工者をいう。
(6) 紛争 中高層建築物の建築に伴い生ずる日影、通風の阻害、テレビ電波受信障害等及び工事中の騒音、振動等の日常生活に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主等との間の紛争をいう。
3 前項第1号に規定する建築物の高さの算定方法は、令第2条第2項に規定する地盤面からの高さによる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に定めるところによる。
(1) 階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の8分の1以内の場合においては、その部分の高さは、5メートルまでは、当該建築物の高さに算入しない。
(2) 棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。
(適用除外)
第3条 この条例の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合は、適用しない。
(1) 法第18条第1項に規定する建築物を建築する場合
(2) 法第85条に規定する仮設建築物を建築する場合
(3) 前条第2項第1号アに該当する建築物の増築又は改築をする場合であって、当該増築又は改築に係る部分の高さが10メートル以下であるとき。
(4) 前条第2項第1号イに該当する建築物の増築又は改築をする場合であって、当該増築又は改築に係る部分の高さが15メートル(建築物の敷地境界線からの水平距離が10メートル未満の範囲内に同号アに掲げる用途地域又は区域がある場合においては、10メートル)以下であるとき。
(5) 敷地及び周囲の状況等により、紛争が生じるおそれがないと市長が認めた建築物を建築する場合
(市の責務)
第4条 市は、紛争の未然防止に努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適切に調整をするよう努めなければならない。
(当事者の責務)
第5条 建築主等は、中高層建築物の設計及び工事の施工に当たっては、良好な近隣関係を保持するとともに、健全な地域環境の形成に配慮するよう努めなければならない。
2 建築主等及び近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって、自主的に解決するよう努めなければならない。
第2章 建築主等の配慮等
(建築計画上の配慮)
第6条 建築主及び設計者は、中高層建築物の建築計画の策定に当たっては、建築物の用途及び規模に応じて、次に掲げる事項(用途地域に関する都市計画において定められた建築物の容積率が10分の40を超える地域内における第2条第2項第1号イに該当する建築物の建築計画を策定する場合は、第3号に掲げる事項を除く。)に配慮するよう努めなければならない。
(1) 中高層建築物の居住者、利用者等のための自動車(原動機付自転車を含む。)及び自転車の駐車施設の設置
(2) 中高層建築物の居住者のための廃棄物保管場所の設置
(3) 近隣関係住民(第2条第2項第3号イに掲げる者並びに工業専用地域内の近接住民及び同号アに掲げる者を除く。)に及ぼす日影及び通風の阻害の影響に関する軽減措置
(4) 中高層建築物及びその敷地について、植栽その他の方法による緑化の推進
(5) その他良好な近隣関係を保持するために必要な措置
(テレビ電波受信障害対策)
第7条 建築主等は、中高層建築物の建築によりテレビ電波受信障害が生じるおそれがある場合には、受信状況の調査及び受信障害が予測される範囲の調査並びにその障害を解消するために必要な措置の検討を行わなければならない。
2 建築主等は、中高層建築物の建築によりテレビ電波受信障害が生じた場合は、受信障害の範囲の調査を行うとともに、その障害を解消するために必要な措置を講じなければならない。
(工事の施工に伴う措置)
第8条 建築主等は、中高層建築物の工事の施工により近隣関係住民の日常生活に及ぼす影響を軽減するため、工事中の騒音及び振動の低減、じんあいの飛散の防止、周辺地域の交通安全対策その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第3章 建築計画の事前公開
(標識の設置)
第9条 建築主は、近隣関係住民にその建築計画の周知を図るため、法第6条第1項又は法第6条の2第1項の規定による中高層建築物の確認の申請を提出しようとする日(以下「確認申請の日」という。)の30日前までに、規則で定めるところにより、建築計画の概要を記載した標識を設置しなければならない。
2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
3 第1項に規定する標識は、法第89条第1項の規定による表示を行うまで設置しなければならない。
4 建築主は、第2項の規定による届出をした後、中高層建築物の建築計画を工事の完了前に変更しようとする場合は、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に届け出るとともに、標識が設置されている間は、速やかに標識の記載内容を訂正しなければならない。
(計画の説明)
第10条 建築主等は、近接住民に建築計画の概要その他の規則で定める事項について説明(書面のみによる説明を除く。以下この条において同じ。)をしなければならない。ただし、近接住民が所有する土地(その全部又は一部が第2条第2項第2号に規定する範囲内にあるものに限る。)又は近接住民が所有し、若しくは占有する建築物(その敷地の全部又は一部が同号に規定する範囲内にあるものに限る。)の敷地のいずれもその全部が商業地域又は工業専用地域内にある場合その他市長がやむを得ないと認めた場合は、この限りでない。
2 建築主等は、近隣関係住民(前項の規定により説明を受けた近接住民を除く。)から建築計画の概要について説明を求められたときは、規則で定める事項について説明をしなければならない。
3 建築主等は、第1項又は前項の規定による説明を行った後、中高層建築物の建築計画を工事の完了前に変更しようとする場合は、速やかに、説明を行った近隣関係住民に建築計画の変更の概要について説明をしなければならない。ただし、市長がやむを得ないと認めた場合は、この限りでない。
(報告)
第11条 建築主は、第6条の規定による建築計画の策定に当たって配慮をした内容、第7条第1項に規定する受信状況の調査及び受信障害が予測される範囲の調査の内容並びに前条第1項の説明の状況を記載した報告書を確認申請の日の10日前までに市長に提出しなければならない。
2 建築主は、前条第2項及び第3項の規定により行った説明の状況を記載した報告書を速やかに市長に提出しなければならない。
3 建築主は、第7条第2項に規定するテレビ電波受信障害の範囲の調査及びその障害を解消するために必要な措置並びに第8条に規定する工事の施工により近隣関係住民の日常生活に及ぼす影響を軽減するための措置の内容を記載した報告書を、その都度速やかに市長に提出しなければならない。
(建築計画の取りやめ)
第12条 建築主は、第9条第1項の規定による標識の設置後、中高層建築物の建築計画を取りやめようとする場合は、規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
第4章 仲介
(仲介)
第13条 市長は、近隣関係住民及び建築主等(以下「紛争当事者」という。)が、紛争の自主的な解決に努めても、解決に至らなかった場合において、紛争当事者双方から紛争に関する仲介の申出があったときは、仲介を行う。
2 市長は、紛争当事者の一方から紛争に関する仲介の申出があった場合において、必要があると認めるときは、他方の紛争当事者に対し、期限を定めて仲介に応ずるよう勧告することができる。
3 前2項の申出は、中高層建築物の建築工事の着手前に行わなければならない。ただし、第8条に規定する工事の施工に伴う措置に関する仲介の申出については、当該工事の完了時までに、第7条に規定するテレビ電波の受信障害に関する事項その他市長が必要と認める事項に関する仲介の申出については、当該工事の完了時から1年以内に行わなければならない。
4 市長は、仲介のため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、出席を求めてその意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
5 市長は、仲介を行う場合において、紛争当事者の主張の要点を確かめ、紛争が適切に解決されるよう努めなければならない。
(仲介の打切り)
第14条 市長は、仲介によって紛争の解決の見込みがないと認めるときは、仲介を打ち切ることができる。
(仲介の非公開)
第15条 仲介の手続は、公開しない。
第5章 調停
(中高層建築物紛争調整委員会)
第16条 市長の付託に応じ紛争に関する調停を行うとともに、市長の諮問に応じ紛争の予防及び調整に関する重要事項について調査審議するため、札幌市中高層建築物紛争調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、前項の諮問に関する事項並びに紛争の予防及び調整に関する事項について、市長に意見を述べることができる。
(委員会の組織)
第17条 委員会は、委員10人以内で組織する。
2 委員は、建築、法律、都市計画又は行政に関して学識経験を有する者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
(委員の任期)
第18条 委員の任期は、2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
(秘密を守る義務)
第19条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(会長及び副会長)
第20条 委員会に会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、委員会を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(小委員会)
第21条 委員会に付託された調停は、必要に応じて3人以上の委員で構成する調停小委員会(以下「小委員会」という。)を設けて行うことができる。
2 小委員会の委員は、委員会の委員のうちから、事件ごとに会長が指名する。
3 小委員会は、調停が終了したときは速やかにその結果を会長に報告するものとする。
(調停の申出)
第22条 市長は、第14条の規定により仲介が打ち切られたこと又は第13条第2項の規定による勧告を行っても他方の紛争当事者が従わなかったことにより、紛争当事者の双方から調停の申出があった場合において、必要があると認めるときは、委員会に調停を付託することができる。
2 市長は、第14条の規定により仲介が打ち切られたこと又は第13条第2項の規定による勧告を行っても他方の紛争当事者が従わなかったことにより、紛争当事者の一方から調停の申出があった場合において、必要があると認めるときは、当該他方の紛争当事者に対し、期限を定めて調停に付することを受諾するよう勧告することができる。
3 市長は、他方の紛争当事者が前項に規定する勧告を受諾したときは、委員会に調停を付託しなければならない。
(意見の聴取等)
第23条 委員会又は小委員会は、調停のため必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、出席を求めてその意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(調停案受諾の勧告)
第24条 委員会又は小委員会は、必要に応じ、調停案を作成し、紛争当事者に対し、期限を定めてその受諾を勧告することができる。
(調停の打切り)
第25条 委員会又は小委員会は、調停に係る紛争について紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
2 前条の規定による勧告がされた場合において、指定された期限内に紛争当事者の双方から受諾する旨の申出がなかったときは、紛争当事者間の調停は、打ち切られたものとみなす。
(調停終了の報告)
第26条 委員会は、調停が終了したときは、速やかにその結果を市長に報告するものとする。
(調停の非公開)
第27条 調停の手続は、公開しない。
第6章 雑則
(措置命令)
第28条 市長は、第9条第1項又は第4項の規定に違反して標識を設置しない者又は訂正しない者に対し、期限を付して標識を設置し、又は訂正するよう命ずることができる。
2 市長は、第11条第1項の報告書を提出しない者に対し、期限を付して報告書を提出するよう命ずることができる。
(公表)
第29条 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、その旨を公表することができる。
(1) 前条第1項又は第2項の規定による命令に正当な理由なく従わないとき。
(2) 第11条第1項の報告書に虚偽の記載をしたとき。
2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ、公表の対象となる者に対し、その旨を通知し、意見陳述の機会を与えなければならない。ただし、意見陳述の機会を与えることができないときは、この限りでない。
(委任)
第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
1 この条例は、平成12年9月1日から施行する。ただし、第4章及び第5章の規定は同年10月1日から施行する。
2 第3章の規定は、平成12年10月1日以後にする第9条第1項に規定する申請に係る中高層建築物の建築について適用する。
附 則(平成17年条例第30号)
1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。
2 改正後の第3章の規定は、改正後の第2条第2項第1号イに該当する建築物(以下「建築物」という。)については、平成17年11月1日以後に札幌市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第9条第1項の申請を行う建築物に係る建築計画の事前公開について適用する。
附 則(平成22年条例第35号抄)
1 この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和3年条例第27号)
この条例は、公布の日から施行する。
別表


区域

都市計画法(昭和43年法律第100号)第20条第1項の規定により告示された札幌圏都市計画新川北地区地区計画の区域

都市計画法第20条第1項の規定により告示された札幌圏都市計画清田・真栄地区地区計画の区域

都市計画法第20条第1項の規定により告示された札幌圏都市計画曙11条2丁目地区地区計画の区域

一部改正〔令和3年条例27号〕



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