○札幌市消費生活条例
平成19年6月29日条例第26号
札幌市消費生活条例
札幌市消費生活条例(平成6年条例第18号)の全部改正(平成19年6月条例第26号)
目次
第1章 総則(第1条―第10条)
第2章 消費者の権利の確立に関する施策
第1節 消費者の安全の確保(第11条―第15条)
第2節 広告その他の表示、包装及び計量の適正化(第16条―第21条)
第3節 取引行為の適正化(第22条・第23条)
第4節 商品及びサービス等の確保並びに物価の安定(第24条―第29条)
第5節 調査、勧告、公表等(第30条―第35条)
第3章 消費者被害の救済(第36条―第40条)
第4章 総合的施策の推進
第1節 消費者の意見の反映等(第41条―第44条)
第2節 環境・資源への配慮(第45条・第46条)
第5章 消費生活審議会(第47条・第48条)
第6章 雑則(第49条・第50条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、市及び事業者の責務並びに消費者、消費者団体及び事業者団体の果たすべき役割を明らかにするとともに、市が実施する施策について必要な事項を定めることにより、その施策を総合的に推進し、消費者の自主的努力と相まって、市民の消費生活の安定及び向上を図り、もって市民の安全で安心できる暮らしの実現に資することを目的とする。
(基本理念)
第2条 消費者の利益の擁護及び増進は、市、事業者及び消費者の相互の信頼と協力を基調とし、次に掲げる消費者の権利の確立が図られるとともに、消費者が自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。
(1) 消費生活を営むうえで生命、身体及び財産を侵害されない権利
(2) 公正な取引により、良質な商品及びサービス等を提供される権利
(3) 消費生活を営むうえで必要な情報を速やかに提供される権利
(4) 消費生活を営むうえで不当に受けた被害から適切かつ迅速に救済を受ける権利
(5) 消費者の意見が市が実施する消費者の利益の擁護及び増進に関する施策(以下「消費者施策」という。)及び事業者の事業活動に適切に反映される権利
(6) 消費者の自主的な組織化及び行動が保障される権利
(7) 自立した消費生活を営むために必要な教育を受ける権利
2 消費者の自立の支援に当たっては、消費者の安全の確保等に関して事業者による適正な事業活動の確保が図られるとともに、消費者の年齢その他の特性に配慮されなければならない。
3 消費者の利益の擁護及び増進は、次に掲げる事項に配慮して行わなければならない。
(1) 高度情報通信社会の進展に的確に対応すること。
(2) 消費生活における国際化の進展に的確に対応すること。
(3) 環境を保全すること。
一部改正〔平成25年条例5号〕
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 商品 消費者が消費生活を営むうえで使用する物をいう。
(2) サービス等 次のいずれかに該当するものをいう。
ア 消費者が消費生活を営むうえで利用する役務
イ 消費者が消費生活を営むうえで施設を利用し、又は役務の提供を受ける権利
ウ ア及びイに掲げるもののほか、消費者が消費生活を営むうえで使用し、又は利用するもののうち、商品以外のもの
(3) 消費者 事業者が供給する商品又はサービス等を使用し、又は利用して生活する者及び特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第58条の4に規定する訪問購入(同法第58条の17第1項各号に規定するものを除く。以下「訪問購入」という。)に係る購入業者の相手方をいう。
(4) 事業者 商品又はサービス等の供給に関して商業、工業、サービス業その他の事業を行う者及び前号の購入業者をいう。
(5) 消費者団体 消費者の権利若しくは利益の擁護又は増進のため消費者により組織された団体をいう。
(6) 事業者団体 事業者の共通の利益の増進のため事業者により組織された団体をいう。
一部改正〔平成25年条例5号〕
(市の責務)
第4条 市は、第2条に規定する基本理念にのっとり、市民の参加と協力の下に、総合的な消費者施策を策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、消費者が健全な消費生活を営むことができるよう、適切かつ迅速な情報提供を行うとともに、消費生活を営むうえで必要な教育の充実に努めなければならない。
3 市は、消費者団体が行う消費生活の安定及び向上のための健全かつ自主的な活動に必要な協力をするよう努めなければならない。
4 前3項に定めるもののほか、市は、消費者施策を策定し、又は実施するに当たっては、必要に応じ国又は他の地方公共団体と連携するとともに、消費者の意見の反映に努めるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、第2条に規定する基本理念に鑑み、その供給する商品及びサービス等並びに訪問購入に係る物品について、次に掲げる責務を有する。
(1) 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。
(2) 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること。
(3) 消費者との取引に際して、消費者の年齢、知識、経験、財産の状況その他の特性に配慮すること。
(4) 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理すること。
2 事業者は、その供給する商品及びサービス等に関し環境の保全に配慮するとともに、当該商品及びサービス等について品質等を向上させ、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。
3 事業者は、事業活動において取得した消費者の個人に関する情報を適正に取り扱わなければならない。
4 前3項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動を行うに当たっては、法令(市及び北海道の条例及び規則を含む。)を遵守するとともに、市が実施する消費者施策に協力しなければならない。
一部改正〔平成25年条例5号〕
(事業者団体の役割等)
第6条 事業者団体は、事業者の自主的な取組を尊重しつつ、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理の体制の整備、事業者自らがその事業活動に関し遵守すべき基準の作成の支援その他の消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努めるものとする。
2 前項に定めるもののほか、事業者団体は、市が実施する消費者施策に協力しなければならない。
(消費者の役割)
第7条 消費者は、自ら進んで、その消費生活に関して、必要な知識を修得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めるものとする。
2 消費者は、自らの権利の確立に努めるとともに、消費者相互の連携を図ることにより、消費生活の安定及び向上のために積極的な役割を果たすものとする。
3 消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権の適正な保護に配慮するよう努めるものとする。
(消費者団体の役割)
第8条 消費者団体は、次に掲げる役割を果たすよう努めるものとする。
(1) 消費者が自らの権利を確立することを支援すること。
(2) 消費生活に関する各種団体相互の連携を図ること。
(3) 消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明をすること。
(4) 消費者に対する啓発及び教育をすること。
(5) 消費者の被害の防止及び救済のための活動をすること。
(6) 消費生活に関し、環境の保全のための活動をすること。
(7) その他消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動をすること。
(相互協力)
第9条 市、事業者及び事業者団体並びに消費者及び消費者団体は、それぞれの責務又は役割を認識し、かつ、それぞれの責務又は役割に応じ相互に協力して、消費者の利益の擁護及び増進に努めるものとする。
2 前項の場合において、市は、相互の協力を推進するため必要な施策を実施するものとする。
(消費者基本計画)
第10条 市長は、消費者施策を総合的かつ計画的に推進するための基本となる計画(以下「消費者基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、消費者基本計画の策定に当たっては、あらかじめ、札幌市消費生活審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、消費者基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、消費者基本計画の変更について準用する。
第2章 消費者の権利の確立に関する施策
第1節 消費者の安全の確保
(消費者の安全を害する商品及びサービス等の供給の禁止等)
第11条 事業者は、消費者の生命若しくは身体に対して危害を及ぼし、若しくは及ぼすおそれがあり、又はその財産に対して損害を加え、若しくは加えるおそれがある商品及びサービス等(以下「消費者の安全を害する商品等」という。)を供給してはならない。
2 事業者は、商品及びサービス等の品質及び技術の向上、危害の防止に関する表示の適正化その他の消費者の安全を害する商品等を供給することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならない。
3 事業者は、消費者の安全を害する商品等を供給したときは、その旨を公表し、自ら当該消費者の安全を害する商品等を回収する等危害又は損害の発生又は拡大を防止するため必要な措置を講じなければならない。
4 事業者団体は、事業者が前2項の規定により措置を講じる場合において、積極的に指導し、又は協力するよう努めなければならない。
(消費者の安全を確保するための調査及び情報提供)
第12条 市長は、消費生活における消費者の安全を確保するため、事業者が供給する商品及びサービス等について必要な調査を行うものとする。
2 市長は、前項の規定による調査により、事業者が前条第1項の規定に違反しているおそれがあると認めたときは、速やかに当該事業者が供給する商品又はサービス等による危害又は損害について必要な調査を行うものとする。
3 市長は、前項の調査に関し必要があると認めたときは、当該商品又はサービス等を供給する事業者に対し、当該商品又はサービス等が消費者の安全を害する商品等でないことを証明することを要求することができる。
4 市長は、事業者が前項の規定による証明を行わない場合において正当な理由がないと認めたとき、又は同項の規定による証明を行った場合においてその内容が不十分であると認めたときは、当該事業者に対し、再度証明を行うことを要求することができる。
5 前2項の規定による要求は、書面により行うものとする。
6 市長は、必要に応じ、第1項若しくは第2項に規定する調査又は第3項若しくは第4項の規定による要求により得た情報を消費者に提供するものとする。
(消費者の安全を害する商品等に対する措置)
第13条 市長は、事業者の供給する商品又はサービス等が消費者の安全を害する商品等であると認定した場合において、当該事業者が第11条第3項に規定する措置をとらないときは、法令で定める措置がとられるときを除き、当該事業者に対し、同項に規定する措置をとるよう勧告することができる。
(緊急安全確保措置)
第14条 市長は、事業者の供給する商品又はサービス等が消費者の安全を害する商品等であると認定した場合において、当該消費者の生命又は身体に対して重大な危害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあり、当該消費者の安全を確保するため緊急の必要があると認定したときは、法令で定める措置がとられるときを除き、当該消費者の安全を害する商品等の品名、これを供給する事業者の氏名又は名称及び住所その他の当該危害の発生又は拡大を防止するための必要な事項を公表しなければならない。
2 市長は、前項の規定により公表したときは、直ちに当該事業者に対し第11条第3項に規定する措置をとるべきことを通知しなければならない。
3 前項の規定による通知を受けた事業者は、直ちに第11条第3項に規定する措置をとらなければならない。
(安全確保基準の制定等)
第15条 市長は、法令に定めがある場合を除き、消費生活における消費者の安全を確保するため必要があると認めたときは、商品及びサービス等について事業者が遵守すべき基準(以下「安全確保基準」という。)を定めることができる。
2 市長は、安全確保基準を定めたときは、その旨を告示しなければならない。安全確保基準を変更し、又はこれを廃止したときも同様とする。
3 事業者は、安全確保基準を遵守しなければならない。
第2節 広告その他の表示、包装及び計量の適正化
(広告その他の表示の適正化)
第16条 事業者は、商品又はサービス等を供給するに当たっては、次に掲げる事項を推進するよう努めなければならない。
(1) 商品又はサービス等の品質その他の内容並びに当該商品又はサービス等を供給する事業者の氏名又は名称及び住所を適切に表示すること。
(2) 商品又はサービス等の価格(単位当たりの価格を示すことができるときにあっては、当該単位当たりの価格を含む。)を適切に表示すること。
(3) 商品又はサービス等を自動販売機その他これに類する機械(以下この号において「自動販売機等」という。)により供給するときは、当該自動販売機等の見やすい箇所に当該商品又はサービス等を供給する事業者等との連絡に必要な事項その他必要な事項を適切に表示すること。
(4) 商品又はサービス等を供給した後に当該商品又はサービス等に関して保証、修理その他のサービスを積極的に提供するとともに、当該サービスを提供するときは、その内容を適切に表示すること。
2 事業者は、商品若しくはサービス等又は訪問購入に係る物品について広告を行う場合には、虚偽又は誇大な表現、消費者が選択を誤るおそれのある表現その他の不適切な表現を避け、消費者が商品若しくはサービス等又は訪問購入に係る物品について適切な選択等をすることができるように必要かつ正確な情報の提供に努めなければならない。
一部改正〔平成25年条例5号〕
(表示・広告基準の制定等)
第17条 市長は、法令に定めがある場合を除き、必要があると認めたときは、前条第1項各号に規定する表示に関する事項及び同条第2項に規定する広告に関する事項について事業者が遵守すべき基準(以下「表示・広告基準」という。)を定めることができる。
2 市長は、表示・広告基準を定めたときは、その旨を告示しなければならない。表示・広告基準を変更し、又はこれを廃止したときも同様とする。
3 事業者は、表示・広告基準を遵守しなければならない。
(包装の適正化)
第18条 事業者は、商品に包装(容器を用いる場合を含む。以下同じ。)をしてこれを供給する場合には、当該包装の安全性を確保しなければならない。
2 事業者は、商品に包装をしてこれを供給する場合には、当該包装により当該商品の内容を消費者に誤認させることがないようにしなければならない。
3 事業者は、商品に包装をしてこれを供給する場合には、当該商品の保護又は品質の保全に必要な限度を超える包装をしないよう努めなければならない。
4 事業者は、商品の包装について、資源の節約に寄与するものを選択するよう努めるとともに、包装が不要となったときは、適正に再利用され、若しくは再生利用され、又は廃棄されるよう配慮しなければならない。
(包装基準の制定等)
第19条 市長は、法令に定めがある場合を除き、必要があると認めたときは、商品の包装について事業者が遵守すべき基準(以下「包装基準」という。)を定めることができる。
2 市長は、包装基準を定めたときは、その旨を告示しなければならない。包装基準を変更し、又はこれを廃止したときも同様とする。
3 事業者は、包装基準を遵守しなければならない。
(簡易包装への協力)
第20条 消費者は、商品の包装について簡易な包装に協力するよう努めなければならない。
(計量の適正化)
第21条 市は、消費者と事業者との間の取引に際して適正な計量が確保されるよう、必要な施策を実施するものとする。
2 事業者は、商品及びサービス等並びに訪問購入に係る物品について適正な計量を実施するよう努めるとともに、前項の規定に基づき市が実施する施策に協力しなければならない。
一部改正〔平成25年条例5号〕
第3節 取引行為の適正化
(不当な取引行為の禁止)
第22条 事業者は、口頭、文書又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)により消費者との間で行う取引に関し、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 消費者に対し、次に掲げるいずれかの方法により契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為
ア 販売又は訪問購入の意図を隠して接近すること。
イ 商品及びサービス等並びに訪問購入に係る物品の内容、取引条件その他の取引に関して重要な情報を故意に示さないこと。
ウ 商品及びサービス等並びに訪問購入に係る物品に関し、将来における不確実な事項について誤解させるべき断定的判断を提供すること。
エ 不実のことを示すこと。
オ 消費者の取引に関する知識、経験若しくは判断力の不足に乗じ、又は消費者を心理的不安に陥れること。
カ その他誤信を招く情報を示すこと。
(2) 訪問購入(特定商取引に関する法律第58条の17第2項各号に規定するものを除く。)に係る売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない消費者に対し、営業所等(同法第2条第1項第1号の営業所等をいう。)以外の場所において、当該売買契約の締結について勧誘をし、又は勧誘を受ける意思の有無を確認する行為
(3) 消費者が契約の締結の勧誘を望まない旨若しくは契約の締結を拒絶する旨の意思を示したにもかかわらず、又はそれらの意思を示す機会を与えることなく契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為
(4) 消費者に著しく不当な不利益をもたらすことの明白な内容の契約を締結させ、又はそのような内容の契約に変更させる行為
(5) 消費者に対し、契約(契約の成立又は契約内容について当事者間で争いのあるものを含む。)に基づく債務の履行を不当に強要する行為
(6) 消費者に対し、次に掲げるいずれかの方法により、実際は成立していない契約の債務の履行を強要する行為
ア 不実の表示等により契約が成立していると誤認させること。
イ 威迫する内容の表示等を行うこと。
(7) 契約又は契約の解除権等の行使に基づく債務の履行を不当に遅延し、若しくは拒否し、又は消費者の正当な契約の解除権等の行使を不当に妨げる行為
2 事業者は、与信契約等(消費者が他の事業者から商品又はサービス等を購入することを条件又は原因として信用を供与し、又は保証を受託する契約をいう。以下この項において同じ。)の締結の勧誘若しくは締結又は債務の履行に関し、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 前項各号に掲げる行為
(2) 与信契約等の条件又は原因となる商品又はサービス等の販売を行う事業者若しくはその取次店等実質的な販売行為を行う者の行為が前項各号に規定する行為のいずれかに該当することを知りながら、又はそのことを知り得べきであるにもかかわらず、与信契約等の締結を勧誘し、若しくは与信契約等を締結させる行為
3 市長は、規則で前2項に規定する行為(以下「不当な取引行為」という。)に該当する行為の基準を定めることができる。
一部改正〔平成25年条例5号〕
(不当な取引行為に関する調査及び情報提供)
第23条 市長は、不当な取引行為が行われている疑いがあると認めたときは、当該不当な取引行為について必要な調査を行うものとする。
2 市長は、前項の規定による調査により、不当な取引行為が事業者によって行われていると認め、かつ、当該不当な取引行為による消費者の被害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めたときは、当該事業者に係る不当な取引行為、商品又はサービス等の種類その他必要な情報を提供するものとする。
3 前項の場合において、市長は、当該事業者の不当な取引行為により消費者に重大な被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、同項に規定する情報のほか、当該事業者の氏名又は名称、住所その他の当該事業者を特定する情報を提供することができる。
第4節 商品及びサービス等の確保並びに物価の安定
(商品及びサービス等の円滑な流通等)
第24条 事業者は、常に商品及びサービス等の円滑な流通を図るとともに、その価格を安定させるよう努めなければならない。
(生活関連商品等の価格等の調査及び情報提供)
第25条 市長は、市民の消費生活と関連の深い商品及びサービス等(以下「生活関連商品等」という。)について、その価格の動向、需給の状況、流通の実態等必要な事項の調査を行うものとする。
2 市長は、必要に応じ、前項に規定する調査により得た情報を消費者に提供するものとする。
(生活関連商品等の確保)
第26条 市長は、生活関連商品等が不足し、若しくは不足するおそれがあり、又はその価格が著しく高騰し、若しくは高騰するおそれがあると認めたときは、事業者又は事業者団体に対し、当該生活関連商品等の円滑な供給その他必要な措置を講じるよう要請することができる。
(特定生活関連商品等の指定)
第27条 市長は、市民の消費生活と特に関連の深い商品及びサービス等について、その流通の円滑化及び価格の安定を図るため必要があると認めたときは、当該商品及びサービス等を特別の調査を要する商品及びサービス等(以下「特定生活関連商品等」という。)として指定することができる。
2 市長は、前項の規定による指定を行ったときは、その旨を告示しなければならない。指定を解除したときも同様とする。
(特定生活関連商品等の調査及び情報提供)
第28条 市長は、前条第1項の規定により特定生活関連商品等の指定をしたときは、特定生活関連商品等についてその流通状況、価格の変動その他の市民の消費生活の安定を図るため必要な事項を調査するものとする。
2 市長は、必要に応じ、前項の規定による調査により得た情報を消費者に提供するものとする。
(不適正な事業行為の是正勧告)
第29条 市長は、特定生活関連商品等を供給する事業者が、その円滑な流通を不当に妨げ、又は著しく不当な価格で当該特定生活関連商品等を供給していると認めたときは、当該事業者に対し、これらの行為を是正するよう勧告することができる。
第5節 調査、勧告、公表等
(立入調査等)
第30条 市長は、第12条から第15条まで、第17条、第19条、第23条、第28条及び前条の規定の施行に必要な限度において、事業者に、その業務の状況について報告させ、若しくは第12条第1項若しくは第2項に規定する調査及び第13条若しくは第14条の規定による認定を行うために必要な最小限度の商品、事業者がサービス等を提供するために使用する物若しくは商品若しくはサービス等に係る資料(以下この条において「商品等」という。)の提出を求め、又はその職員に、事業者の事務所、工場、事業場、倉庫その他の事業に関係のある場所に立ち入り、商品等、帳簿、書類その他の物件を調査させ、若しくは関係人に質問させることができる。
2 市長は、事業者又は関係人が前項の規定による報告、商品等の提出、立入調査又は質問に対する回答を拒んだときは、当該事業者に対し、書面により再度、報告をし、商品等を提出し、立入調査に応じ、又は質問に対し回答するよう要求することができる。
3 前2項の規定により立入調査又は質問する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
(合理的な根拠を示す資料の提出要求)
第31条 市長は、事業者が第22条第1項第1号エに規定する不実のことを示す行為をしたか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該事業者に対し、期間を定めて、当該示した事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、当該事業者は不実のことを示す行為をしたものとみなす。
(指導等)
第32条 市長は、第15条第3項、第17条第3項、第19条第3項又は第22条第1項若しくは第2項の規定に違反している事業者があると認めたときは、当該事業者に対し、当該違反している事項を速やかに是正するよう指導し、又は勧告することができる。
2 市長は、前項の規定による勧告をした場合において、特に必要があると認めるときは、当該勧告をした旨及び当該勧告の内容を同項に規定する事業者が所属する事業者団体及び当該事業者と契約関係にある他の事業者のうち市長が必要と認めるものに通知することができる。
(意見陳述の機会の付与)
第33条 市長は、前条第1項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該事業者の意見を聴かなければならない。
(公表)
第34条 市長は、事業者が第12条第4項若しくは第30条第2項の規定による要求又は第13条、第29条若しくは第32条第1項の規定による勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
(意見陳述の機会の付与)
第35条 市長は、前条の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該事業者の意見を聴かなければならない。
第3章 消費者被害の救済
(苦情の処理等)
第36条 市長は、消費者と事業者との間の取引に関して消費者から苦情の申出があったときは、適切かつ迅速に当該苦情を解決するために必要な助言、あっせんその他の措置を講じるものとする。
2 市長は、前項の規定による措置を講じるため必要があると認めたときは、事業者その他の関係人に対し、必要な資料の提出、報告又は説明の要求その他必要な調査を行うことができる。
(あっせん又は調停)
第37条 市長は、前条第1項に規定する苦情を円滑に解決するため必要があると認めたときは、札幌市消費生活審議会のあっせん又は調停に付すことができる。
2 市長は、前項の規定によりあっせん又は調停に付したときは、その旨を苦情の申出を行った者及び当該申出に係る事業者に通知するものとする。
3 市長は、事業者が、正当な理由がなく、第1項に規定するあっせん又は調停の呼出しに応じないときは、当該事業者の氏名又は名称、苦情の内容その他の必要な事項を公表することができる。
(事件の周知)
第38条 市長は、同一又は同種の原因による被害の防止又は救済を図るため、必要があると認めるときは、前条第1項の規定によりあっせん又は調停に付した苦情の概要を公表することができる。
2 市長は、前項の規定により苦情の概要を公表したときは、当該苦情に係るあっせん又は調停の経過及び結果を公表するものとする。
(消費者訴訟等の援助)
第39条 市長は、事業者の事業活動により消費生活上の被害を受けた消費者が事業者を相手に訴訟を提起する場合又は事業者に訴訟を提起された場合において、次に掲げる要件(事業者に訴訟を提起された場合にあっては、第1号に掲げる要件を除く。)を満たすときは、訴訟に係る経費の貸付けその他の訴訟活動に必要な援助を行うことができる。
(1) 当該消費者の受けた被害と同一又は同種の原因に基づく被害が多数発生し、又は発生するおそれがあること。
(2) 当該消費者が当該貸付けを受けなければ、当該訴訟を提起し、又は応訴することが困難と認められること。
(3) 当該被害に係る苦情が第37条第1項の規定によるあっせん又は調停に付されたこと。
2 前項の規定により訴訟に係る経費の貸付けを受けた者は、当該訴訟が終了したときは、市長が指定する日までに貸付けを受けた資金の全額を返還しなければならない。
3 市長は、前項の規定にかかわらず、特別の理由があると認めたときは、貸し付けた資金の返還期限若しくは返還方法を変更し、又はその返還の債務を減額し、若しくは免除することができる。
4 前各号に規定するもののほか、第1項に規定する訴訟活動に必要な援助に関し必要な事項は、規則で定める。
(札幌市行政手続条例の適用除外)
第4章 総合的施策の推進
第1節 消費者の意見の反映等
(消費者の意見の反映)
第41条 市長は、消費生活の安定及び向上に資するため、広く消費者の意見、要望等を把握し、消費者施策に適切に反映させるよう努めなければならない。
(市長への申出)
第42条 消費者は、この条例の定めに違反する事業者の事業活動により、広く消費生活に支障が生じるおそれがあるときは、市長に対し、適切な措置を講じるよう申し出ることができる。
2 市長は、前項の規定による申出があったときは必要な調査を行い、当該申出の内容が事実であると認めるときは、この条例に基づく措置その他適切な措置を講じるものとする。
3 市長は、第1項の規定による申出があったときは、その処理の経過及び結果を当該申出を行った者に通知するものとする。
4 市長は、必要があると認めるときは、第1項の規定による申出の内容並びにその処理の経過及び結果を公表するものとする。
(消費者の自主的行動の促進)
第43条 市長は、消費生活の安定及び向上を図るための消費者の自主的な組織活動が促進されるよう、必要な施策を講じるものとする。
(教育及び啓発活動の推進)
第44条 市長は、消費者が経済社会の変化に即応した健全かつ合理的な消費生活を営むため必要な知識等を生涯を通じて修得できるよう、学習の機会及び場の提供等消費者教育の充実を図るとともに、消費生活に関する知識の普及、情報の提供等の啓発活動を積極的に推進しなければならない。
第2節 環境・資源への配慮
(環境の保全及び資源・エネルギーの有効利用)
第45条 市長は、健全な消費生活を推進するため、環境の保全及び資源・エネルギーの有効利用に関する知識の普及、指導、情報の提供その他必要な措置を講じるものとする。
(消費者、事業者等の対応)
第46条 消費者は、消費生活において、資源・エネルギーの有効利用並びに不用品の再利用及び再生利用を積極的に行うよう努めなければならない。
2 事業者は、商品及びサービス等の生産又は供給に当たっては、省資源・省エネルギーに資する商品及びサービス等の開発又は販売に努めなければならない。
3 市長は、消費者の第1項の規定による活動について、協力するよう努めるものとする。
第5章 消費生活審議会
(設置)
第47条 市長の諮問に応じ、市民の消費生活の安定及び向上を図るための施策の基本的事項その他当該施策の実施に係る事項を調査審議するため、札幌市消費生活審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織等)
第48条 審議会は、委員12人以内をもって組織する。ただし、特別の事項を調査審議し、又は第37条第1項の規定によるあっせん若しくは調停をするため市長が必要があると認めたときは、臨時の委員を置くことができる。
2 委員は、学識経験のある者、消費者、事業者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
3 委員(第1項ただし書の臨時の委員を除く。)の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
5 第37条第1項の規定により審議会の権限に属することとされた事項を調査審議するため、審議会に消費者苦情処理部会を置く。
6 前項の規定により消費者苦情処理部会の所掌に属することとされた事項については、消費者苦情処理部会の決定をもって審議会の決定とする。
7 第5項に定めるもののほか、特定の事項を調査審議するため必要があると認めたときは、審議会に専門部会を置くことができる。
8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第6章 雑則
(適用除外)
第49条 第2章第1節の規定は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び同条第9項に規定する再生医療等製品については、適用しない。
2 第2章及び第3章の規定は、次に掲げるものについては、適用しない。
(1) 医師、歯科医師その他これに準ずる者により行われる診療行為及びこれに準ずる行為
(2) 法令により、又はこれに基づいて規制されている商品又はサービス等の価格
一部改正〔平成26年条例59号〕
(委任)
第50条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
1 この条例は、平成20年2月1日から施行する。
2 改正後の札幌市消費生活条例の規定は、この条例の施行の日以後に行われた事業者の行為について適用し、同日前に行われた事業者の行為については、なお従前の例による。
附 則(平成25年条例第5号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(平成26年条例第59号)
この条例は、平成26年11月25日から施行する。