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先に述べたように、札幌市の学校給食は、昭和の高度成長期を経て、その時代に要求された学校給食の役割を果たし、給食現場で働く人たちや関係者の献身的な努力を背景に、子ども達の心身の発達に大きく貢献してきた。
しかし、現代、物が豊かになるに従って、子ども達の生活環境も豊かにそして多様化し、子ども達の食生活にも新たな問題が生じており、こうした今日的な背景の中で、学校給食の役割を考え直していく必要がある。即ち、食生活に対して求められる質の豊かさは、学校給食に対しても個々のニーズや、ゆとり、潤い、楽しさを求めているということである。
一方、こうした要求に応えていくためには、献立や給食スタイルの工夫、あるいは会食するための環境やそこでの人間関係など、現在の札幌市の学校給食の中で改善や整備していかなければならない点は少なくない。また、学校給食は、子ども達の成長期における食生活に大きく関わりながらも、子ども達の食生活全体の回数から見ると、およそ6分の1に過ぎないことから、家庭での日常的な食生活が極めて大きな影響力を持っているのである。
したがって、学絞給食と家庭が、それぞれの役割をあらためて認識するとともに、相互の連携を強めていくことも必要である。
次に掲げる項目は、札幌市の学校給食が時代に即した形で、そして子ども達の食生活全体の中での学校給食の役割を果たしていくために、改善、整備が必要であると考え、当運営委員会で特に議論を重ねた点である。
現在の献立及び給食スタイルは、子ども達の健康の保持増進等のための、栄養と食品構成の基準の中で、基本的には全員に同じメニュー、同じ量を個別に提供している。
したがって、食教育という観点から、子ども達が潤いや楽しさを感じながら食べることや、自ら選んで食べたり、自分に合った量を考えて食べることを通して得る、食べることの自己管理能力を培うという役割が十分に果たされているとはいえない。
現在、米飯用に強化磁器の飯碗の導入が開始されたが、従来からの食器は、ステンレス製のカップとランチ皿、食具は献立に応じて先割れスプーンかフォークまたは竹箸である。
ステンレス製のカップは、熱伝導率が大きく、子ども達はカップに手を添えずに食べざるを得ないなど、食事のマナーを身につける障害の一つともなっている。
また、大きさについても、例えばめん類は一度に入れられないから、2回に分けて入れざるを得ないなど日常の食生活から乖離した工夫を強いている。
先割れスプーンは、刺す、切る、掬うの3種の機能を合わせ持つといわれ、一見合理的であるが、実際には、それぞれの機能自体が不完全で、満足に使いこなすことは難しいし、料理に合った食具の選択もできない。もとより一般家庭でも使われることの少ない食具である。
なにより、食器具の種類や数は、献立の工夫を制限し、食事マナーの体得や子ども達がこの時期に体験し学習していくべき食文化にも負の影響を与えている。
一部の学校で、余裕教室や多目的室を食堂として利用する工夫がなされているが、学習の場である教室で、授業に引き続いて食事をしているのが現状である。
直前まで、学習していた教室で同じ学習机で喫食するのは、潤いや楽しさの感じられる会食という観点から、食事環境として相応しいとはいえない
現在の給食時間は、概ね、小学校が40分、中学校が35分の中で行われており、この中で配膳や下膳などに要する時間を差し引いた実質の喫食時間は、15分ないし25分程度であり、喫食時の栄養指導、あるいは会食の潤いや交流などを生み出すための時間としては、十分とはいえない。
子どもたちが、生涯にわたって健康でたくましく生活していくための能力を育てる、健康教育としての食教育は、栄養職員が中心となって進めて行かなければならない。
また、いわゆる残食の問題についても、こうした食教育を通して改善していくことが大切である。
しかし、食教育の専門家である栄養職員が、十分にその能力を発揮できる環境や体制にないことから、そうした本来的な役割を果たしているとはいえないのが現状である。
また、自分の栄養や健康を自ら考えて生活していける能力を育てていくという食教育を、学校給食と家庭との役割という観点から考えると、それぞれの役割を果たしていくための、良好な連携が必要である。
しかし、当運営委員会が実施したアンケートの結果によれば、保護者の給食に対する認識度は必ずしも高くはないし、学校給食としても、家庭に働きかけていくという連携が十分になされているとはいえない。
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