ここから本文です。

更新日:2013年3月13日

札幌大通高等学校の取組(平成24年度)

研究内容

いのちの学習~性の問題を切り口にして人権について考える~

学習を通して育てたい力

高校生は生活空間が飛躍的に広がる時期である。発達段階としては、他者の存在を寛容的に受容し、多様な価値観をお互い認め合って生きていかなければ成立しない一般社会の在り方を、知的にも体験的にも認識できるようになる時期ではあるが、他者との関係性を構築することが苦手な現代の子どもたちにとっては様々な準備を必要とする。中でも男女交際は高校生にとって身近な問題であり、様々な問題が浮き彫りになっている。無防備な性行動や、依存や束縛など、他者や自己を大切にできない男女交際の在り方が、本人の大きな悩みになっていたり、このことにより心身の健康を損ねる事例も少なくない。

高校では、教科学習の中で男女平等教育やジェンダーに関する授業が行われ、人権に関する知識・理解を深めている。加えて本年度は、いのちの学習の中で男女交際のあり方について考える講話や授業を段階的に積み上げていくことを計画した。性の問題の基礎となるものは、男女が互いに他者を尊重し、丁寧な人間関係を築こうとする意識と、自分自身を大切にしようとする自尊感情である。生徒が自分の将来に夢をもち、今、そしてこれからの望ましい男女交際の在り方を真剣に考えることを通して、自己と他者を尊重する人権感覚の涵養に繋げたい。

実践の内容1

「WYSH教育」2年次対象

ねらい

・思春期における心身の状態を見つめ、今の自分の確かな成長を確認する。

・エイズ、性感染症・妊娠中絶は誰にでもリスクがあり、そのリスクは深刻なものであることを認識する。

・大切な将来に向けて、性行動を急がずに丁寧な人間関係を築くことを大切にしようとする気持ちをもつ。

学習内容

関連する教科である保健の時間と総合的な学習の時間を使い、性関係で起こる問題、エイズ、性感染症や妊娠、避妊など、性行動に伴うリスクにはどんなものがあるのか、性に関する問題の現状や必要な知識を学習した。それらを予防するための方法や、高校生の性の情報に危険性はないのかを話し合い、この授業の中心となる部分は「こういったリスクがあることは分かっているのに高校生が安全な性行動が取れず、無防備な性行動に走ってしまうのはどうしてなのか」というテーマについてグループ内で交流した。生徒からは「知識が足りない」「性欲のせい」「好きな人が変わりやすい」「皆んなしているから」などに加えて「断ることができない」「パートナーと話し合うことができない」「相手を尊重していないから」「自分を大切に思えないから」など、自他を尊重し、性についても話し合うことができるような対等な人間関係が大切だという考えが示された。

札幌大通高校1

実践の内容2

「デートDVって何?」3年次対象

ねらい

・デートDVとは何かを知り、望ましい男女交際の在り方について考える。

・セクシャルマイノリティーについて考える。

・丁寧な人間関係を築くことを大切にしようとする気持ちをもつ。

学習内容

札幌市男女共同参画室の企画協力のもと、NPO法人「女のスペース・おん」理事の方に講師をお願いして3年目になる。生徒の実態は「デートDV」を知らなかったり、言葉は知っていても、何を指してDVというのか分からなかったという生徒が多い。そこで、ロールプレイやパワーポイントを通して「デートDV」とはどういうものか。それはなぜ起きるのかについて学んだ。

講師との打ち合わせに最も時間をかけるのは、受講する生徒の実態や背景の共有である。本校には様々な過去の出来事が心の底に傷として残っている生徒が少なくない。

そういった生徒が講師の言葉で傷つくことがないように、さらに講師の言葉によってエンパワメントできるようにすることが必要である。講師は当事者支援の立場から感じる現実の問題を、資料の活用で雰囲気を和らげながら話してくださいました。最後に、初めに行ったのと同じ場面設定のロールプレイを、対等な関係だったらどうかというパターンで生徒が行った。

札幌大通高校2

 

実践の内容3

「生と性を考えるカフェテリア」4年次対象

ねらい

これから社会に巣立ち、近い将来父親、母親になるかもしれない自分たちが、これからの人生のライフイベント(恋愛・結婚・出産など)を幸せに築けるよう、自分自身の「生と性」を大切にしようとする意識をもたせる。

学習内容

卒業を控えた4年次にとっては、学校教育で生き方や性について学ぶ最後の場となる生徒も少なくない。この学習は自分の好きなテーマのテーブルに座り、「カフェテリア」のように講師を囲んで語り合う形式で実施した。自分の今の関心や悩みにあったテーマを選択させることで個々のニーズに即した学びを供給し、双方向の学習となるように小集団で語り合う場を設定した。講座は外部講師による育児や出産にまつわる専門的な話の他、本校男性教員を講師として日頃の授業場面では知り得ない先生方の父としての一面や、恋愛観などを男性の立場から語ってもらいました。

【講座1】「育児って楽しい?」保健センター保健師・医師

【講座2】「思春期外来の窓口から」クリニック助産師

【講座3】「助産師として伝えたい、いのちの尊厳」クリニック助産師

【講座4】「男女交際について」本校男性教諭

【講座5】「父親になって思うこと」本校男性教諭

札幌大通高校3札幌大通高校4

成果

高校生にとって性の問題と人権の問題は切り離せないと感じている。このような、性の問題を切り口とした学習を毎年積み重ね、知識とスキルの獲得だけでなく、意図的に人との関係性、社会との関係性について考えさせる学習活動は、個々の多様性を肯定的に受け止め、自他共にかけがえのない大切な存在であるという人権感覚の基礎を涵養することに繋がると考える。

課題

本校はいじめの被害経験や学校不適応感、養育環境の問題による保護など、過去や現在において人権侵害や精神的な苦痛、孤独感を味わった経験のある生徒が少なくない。場合によってはこのような集団指導において生徒は様々な受け止め方をする。振り返りシートなどで個々の受け止め方や心境を見取り、必要に応じて個別の相談活動に繋げるなどのフォローを行っていきたい。

このページについてのお問い合わせ

札幌市教育委員会学校教育部教育課程担当課

〒060-0002 札幌市中央区北2条西2丁目 STV北2条ビル3階

電話番号:011-211-3891

ファクス番号:011-211-3862